2012-09-08

なんとなくインチキ臭い/『メディア論 人間の拡張の諸相』マーシャル・マクルーハン


(※アフォリズムの)意表をついて、ズブリと短刀を刺しこんでくる言葉のスリル、通説をズドンとひっくりかえす言葉の回転ワザに他愛もなく快感を覚えていた。しかし、2~3年で、すぐに倦きてしまった。「寸鉄人を刺す」青白い刃のような言葉も、すこし落ち着いて眺めると、いくらでも、その逆なことを言えることに気づいたからだ。
 こうなると、警句の逐一が、やたら、もっともらしく偉ぶっているように見えてきて、もう駄目なのである。

【『本の読み方 墓場の書斎に閉じこもる』草森紳一〈くさもり・しんいち〉(河出書房新社、2009年)】

 窓の向こうの夕日を眺めながら開いたページにこんな件(くだり)があった。そして今、マーシャル・マクルーハン著『メディア論 人間の拡張の諸相』を思うと、草森の指摘がピタリと符合するのだ。

 数十ページ読んだあたりから私の鼻は嫌な臭いを嗅ぎとった。洗練された言葉の羅列はどれ一つ肚にズシリとこない。重量を失った思考は飛散する。しかし花火のような情緒はない。ただネオンサインのような刺激があるだけだ。

 今まで同じような印象を受けた人物としては、ジャン・ボードリヤールジョン・グレイなどを挙げることができる。多分、ジョン・メイナード・ケインズも同様のタイプだと思う。彼らは一様に芸達者なのだ。ジャン、ジョン、ジョン。

 現代の若い学生たちは電気によって構造化された世界で成人する。それは車輪の世界でなく電気回路の世界である。断片の世界でなく統合パターンの世界である。現代の学生たちは神話と深層の世界に生きている。しかしながら、学校では分類された情報にもとづいて組織された状況に出会うのである。

【『メディア論 人間の拡張の諸相』マーシャル・マクルーハン:栗原裕〈くりはら・ゆたか〉、河本仲聖〈こうもと・なかきよ〉訳(みすず書房、1987年)以下同】

 実に巧みな表現であるのだが前半と後半が結びつかない。「電気によって構造化された世界」と「神話と深層の世界」との脈絡がわからない。

「メディアはメッセージである」というのは、電子工学の時代を考えると、完全に新しい環境が生み出されたということを意味している。

 私は断然、小田嶋隆に軍配を上げる。

メディアは“下水管”に過ぎない/『無資本主義商品論 金満大国の貧しきココロ』小田嶋隆

 機械は自然を芸術形式に変えた。はじめて人間は自然を審美的および精神的価値の源泉として見るようになった。

 それは砂漠から生まれた宗教を信じている西洋世界の連中に限られた話だろうよ。

 現代は不安の時代である。電気の内爆発のために、いかなる「視点」とも無関係に関与と参与を強いられるからだ。

 これ、テレビのことを言ってんのかね? 「一億総白痴化」(大宅壮一〈おおや・そういち〉)の方がわかりやすい。

 人間の結合と行動の尺度と形態を形成し、統制するのがメディアに他ならないからである。

 これは理解できる。ただし生活におけるコミュニケーションの影響が抜け落ちている。

 印刷は16世紀になると個人主義と国家主義を生み出した。

 メディアを中心に論じて印刷を過大評価している。個人主義と国家主義を生み出したのは「私有」の概念であり、資本主義経済の影響の方が大きい。

 電気の速度に特徴的な瞬間性と拡散性とが課せられている。けれども、果てしなく平面が交叉する同心円というのは、洞察に必要なものだ。

 マクルーハンの文章こそ「電気的」である。

 電気の技術が最初に生み出したものは不安であった。いま、それは倦怠を生み出しているように見える。

 俺も疲れたよ(笑)。先ほど偶然、マクルーハンの動画を見つけたのだが、私の印象は変わらぬどころか強化された。やっぱりインチキ野郎に見えて仕方がない。

 ま、古典といわれ、称賛の声が圧倒的に多い本なので、悪い評価をすることも無意味ではあるまい。一つだけ書評を紹介しておく。

DESIGN IT! w/LOVE

 確かに文字→印刷技術→メディア→インターネットは情報伝達のスタイルとスピードを変えた。とはいえ、結果的には情報発信者の増大に伴って世界はフラット化へ向かっているような気もする。その一方で「もの言えぬ民」が「ものを言える」ようになったわけだが、メッセージそのものが既にメディアからの影響を受けており、思想的格闘の欠如が明らかだ。もちろん私も含まれる。

 ま、そんなわけだ。

メディア論―人間の拡張の諸相


あらゆる事象が記号化される事態/『透きとおった悪』ジャン・ボードリヤール

2012-09-07

武田邦彦 「電力はなぜ足りたのか?」 2012.09.06

タバコ産業に従事する女の子たち(インド)~プラン・ジャパン


プラン・ジャパン

Best of Just For Laughs Gags - Defying Gravity Insane Pranks

服部之総、岸田秀


 2冊挫折。

黒船前後・志士と経済 他十六篇』服部之総〈はっとり・しそう〉(岩波文庫、1981年)/予想していた内容と全然違った。

黒船幻想 精神分析学から見た日米関係』岸田秀、ケネス・D・バトラー(トレヴィル、1986年/青土社、1992年/河出文庫、1994年)/岸田にしては珍しく冗長で締まりのない内容だ。50ページほどでやめる。

米政府機関(CIAとJSOC)がイエメンでの無人機攻撃を拡大、今年すでに200人、過去8日間で29人を殺害



・JSOC(統合特殊作戦コマンド

2012-09-06

米国の世界支配ツアー

US20world

 今世紀中にアメリカの横暴を阻止することはできるのか?

人間は何をいつ生産したのか?


ジル・ボルト・テイラー


 1冊読了。

 47冊目『奇跡の脳 脳科学者の脳が壊れたとき』ジル・ボルト・テイラー:竹内薫訳(新潮社、2009年/新潮文庫、2012年)/一昨日読了。少々高っ調子(ハイテンション)な文章が鼻につくが内容は文句なし。類書に山田規畝子〈やまだ・きくこ〉著『壊れた脳 生存する知』があるが、山田が障害世界を描いたのに対し、ジル・ボルト・テイラーは脳という宇宙を経験したといってよい。順序としてはトーマス・ギロビッチ著『人間この信じやすきもの 迷信・誤信はどうして生まれるか』→ロバート・カーソン著『46年目の光 視力を取り戻した男の奇跡の人生』→本書→アンドリュー・ニューバーグ、ユージーン・ダギリ、ヴィンス・ロース著『脳はいかにして〈神〉を見るか 宗教体験のブレイン・サイエンス』→トール・ノーレットランダーシュ著『ユーザーイリュージョン 意識という幻想』と進むのがいいだろう。最大の問題は、アナロジーが死の象徴化から始まり、「宗教の原型は確証バイアス」とすれば、宗教は左脳から誕生しながらも宗教体験(悟り)は右脳で行われることになる。数年前から「本覚論(ほんがくろん)を修行論ではなく時間論で捉えるべきだ」と考えてきたが、本書に蒙(もう)を啓(ひら)かれほぼ解決した。「宗教とは何か?」「必読書」に追加。

2012-09-05

Meet the Superhumans(2012年 ロンドン・パラリンピック)

Meet the Superhumans from STITCH on Vimeo.


パラリンピック ロンドン2012年(サムスンCM)

武田邦彦 「政府の『人体実験』政策」 2012.09.01

爆笑! ダラス開会式に役者の抗議者潜入!「企業権力ツール賞」授与(TPP、ACTA)

パラリンピック ロンドン2012年(サムスンCM)


Meet the Superhumans(2012年 ロンドン・パラリンピック)

ローマ法王候補、死の前にバチカン批判「儀式仰々しい」


 バチカン(ローマ法王庁)の改革派で、法王候補にも挙げられたマルティーニ枢機卿が亡くなり、ミラノの大聖堂(ドゥオーモ)で3日、葬儀が営まれた。最後となったインタビューが死の翌日に報じられ、「教会は200年ほども時代から取り残された。官僚組織が肥大化し、儀式と服装ばかりが仰々しい」と現在のバチカンを厳しく批判していた。

 枢機卿は8月31日、85歳で死去した。持病のパーキンソン病が悪化していたという。率直で分かりやすい語り口で、伊国民に広く愛され、葬儀には聖堂内外に約2万人が集った。葬儀前の週末にはモンティ首相らを含め、約15万人が聖堂に足を運んだという。

 伊北部トリノ生まれ。日本での布教を夢見てイエズス会の聖職者となり、1980年から2002年まではミラノ大司教を務めた。生殖医療や離婚の是非、避妊具の使用に柔軟な姿勢を示し、他宗教との対話にも積極的だった。

朝日新聞デジタル 2012年9月4日

2012-09-04

民主主義と暴力について/『あなたのなかのサル 霊長類学者が明かす「人間らしさ」の起源』フランス・ドゥ・ヴァール


民主主義と暴力/『襲われて 産廃の闇、自治の光』柳川喜郎

 続きを書くとしよう。

 民主主義は暴力に対抗し得るだろうか? チト微妙だ。するともしないとも言える。

 いじめをモデルに考えてみよう。私に子供がいたとする。更にその子が私の意に反しておとなしい子に育ったものと仮定しておく。

 我が子に対する教育はコミュニケーション能力を磨くことに主眼を置く。誰とでも仲よくなることができ、人の心を理解できる子供に育て上げる。

 で、私の子か、あるいは子供の親友がいじめられた場合どうするか? 「心ある大衆を集めて反撃せよ」と私なら教えることだろう。

 2対1という構図は、チンパンジーの権力闘争を多彩なものにすると同時に、危険なものにもしている。ここで鍵を握るのは同盟だ。チンパンジー社会では、一頭のオスが単独支配することはまずない。あったとしても、すぐに集団ぐるみで引きずりおろされるから、長続きはしない。チンパンジーは同盟関係をつくるのがとても巧みなので、自分の地位を強化するだけでなく、集団に受けいれてもらうためにも、リーダーは同盟者を必要とする。トップに立つ者は、支配者としての力を誇示しつつも、支援者を満足させ、大がかりな反抗を未然に防がなくてはならない。どこかで聞いたような話だが、それもそのはず人間の政治もまったく同じである。

【『あなたのなかのサル 霊長類学者が明かす「人間らしさ」の起源』フランス・ドゥ・ヴァール:藤井留美訳(早川書房、2005年)以下同】

Pan troglodytes

 政治の淵源はチンパンジーにあったのだ。我々の先祖は偉大だ(笑)。つまり政治とは暴力の異名であったのだ。民主主義が政治手続きである以上、暴力とは無縁でいられない。

 下の階層に属する者が、力を合わせて砂に線を引いた。それを無断で踏みこえる者は、たとえ上の階層でも強烈な反撃にあうのだ。憲法なるもののはじまりは、ここにあるのではないだろうか。今日の憲法は、厳密に抽象化された概念が並んでいて、人間どうしが顔を突きあわせる現実の状況にすぐ当てはめることはできない。類人猿の社会ならなおさらだ。それでも、たとえばアメリカ合衆国憲法は、イギリス支配への抵抗から誕生した。「われら合衆国の人民は……」ではじまる格調高い前文は、大衆の声を代弁している。この憲法のもとになったのが、1215年の大憲章(マグナ・カルタ)である。イギリス貴族が国王ジョンに対し、行きすぎた専有を改めなければ、反乱を起こし、圧政者の生命を奪うと脅して承認させたものだ。これは、高圧的なアルファオスへの集団抵抗にほかならない。

Pan troglodytes predation 2

 ボス猿vs.バトルロイヤル戦だ。重要なことは強いボスに従うよりも、ある程度利益を分配した方が進化的な優位性があると考えられることだ。実際、抜きん出たカリスマ指導者を持った集団は、指導者を失った途端に崩壊の坂を転げ落ちる。

 民主主義は積極的なプロセスだ。不平等を解消するには働きかけが必要である。人間にとても近い2種類の親戚のうち、支配志向と攻撃性が強いチンパンジーのほうが、突きつめれば民主主義的な傾向を持っているのは、おかしなことではない。なぜなら人類の歴史を振りかえればわかるように、民主主義は暴力から生まれたものだからだ。いまだかつて、「自由・平等・博愛」が何の苦労もなく手に入った例はない。かならず権力者と闘ってもぎとらなくてはならなかった。ただ皮肉なのは、もし人間に階級がなければ、民主主義をここまで発達させることはできなかったし、不平等を打ちやぶるための連帯も実現しなかったということだ。

Banksy Canvas Monkey Guns
Banksy作)

 そしていじめもなくならない。自殺も。警察庁の「自殺統計」によれば学生・生徒の自殺者数は微増傾向にあり、2011年に初めて1000人を超えた。

自殺対策白書

 この内、いじめが原因となっている数はわからない。だが一人でもいじめを苦に死を選んだ児童がいれば、決してそれを許すべきではない。

 意外と見落としがちであるが、暴力というのも実は文化と考えられる。まず始めに啖呵(たんか)を切る。突然殴ることは殆どない。次に相手の胸倉をつかむ。サルの世界でディスプレイと呼ばれる示威行為と一緒だ。つまり暴力は相手の命を奪うことを目的としていない。憎悪に猛り狂い、殺意がたぎっていたとしても、我々は相手の喉仏や鼻の下、眉間、耳の下を殴ることができない。ま、本気で喉元に手刀を入れれば、やられた方は死んでしまうことだろう。

 再び学校に目を戻そう。学校内で民主主義が実現されるのは多数決で何かを決める場合に限られる。実際はクラス委員や生徒会長を選出する時だけであろう。そしてクラス委員や生徒会長には大した権限がない。学校全体を仕切っているのは校長を始めとする教員たちであり、クラスを牛耳るのはいじめっ子なのだ。

 何となく日本を象徴するような話だ。校長先生がアメリカで、いじめっ子が暴力団と考えればわかりやすいだろう。

 革命とは政治主義の変更であって、国民全員に利益が分配される革命など存在しない。例えば米騒動を考えてみよう。現在、米に替わるものはマネーである。では貧しい人々が決起して、銀行を襲えばカネを奪えるだろうか? 無理だね。残念ながら銀行にカネはないのだよ。あってもせいぜい預金の20%程度であろう。あいつらは準備預金率というレバレッジで悪どく儲けているのだ。マーケットを見よ。デジタル化された数値がやり取りされているだけの世界だ。

 面倒になってきたので結論を述べる。我々はいざという時に暴力を振るえる覚悟がない限り、民主主義を実現することは不可能だ。更にすべての情報が公開されていない以上、投票行為すらメディアによって操作されてきた可能性がある。

 いじめを傍観する者が一人もいなくなれば、民主主義は完璧なものとなろう。

フランス・ドゥ・ヴァール

あなたのなかのサル―霊長類学者が明かす「人間らしさ」の起源

女の子の服を着たがる息子のために父親がとった行動を世界が絶賛


2012-09-03

ステンドグラスのような棚田(中国雲南省)

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 ステンドグラス、ではない。棚田である。空の色が水に映(は)えて美しいガラスのように見える。人間の日々の営みが大自然と調和するところに、意図せざる芸術が生まれる。大地と共に生きることは、人間に都合のよい一方的な収穫を意味しなかったはずだ。「気は風に乗れば則ち散り、水に界せられば則ち止る。古人はこれを聚めて散らせしめず、これを行かせて止るを有らしむ。故にこれを風水と謂う」(『葬書』)。

世界で最も美しい棚田の街 雲南省元陽

2012-09-02

ニーナ・シモン / Nina Simone


クリスティン・アスビョルンセン / Kristin Asbjørnsen

 ってことで、ニーナ・シモンも紹介しよう。二人の声は蒙古族ホーミーに通じるものがある。







ベスト・オブ・ニーナ・シモン Nina: The Essential Nina Simone Little Girl Blue

クリスティン・アスビョルンセン / Kristin Asbjørnsen


 ボーカルが耳に届くや否や、そのまま胸に染み込んできた。クリスティン・アスビョルンセン(ノルウェー)の声はニーナ・シモンと同じバイブレーションを放っている。オペラの声量は神を目指して直進するが滋味に乏しい。一方、クリスティン・アスビョルンセンやニーナ・シモンは喉を唸(うな)らせることで陰影の豊かさを歌い上げる。











「酔いどれ詩人になるまえに」オリジナル・サウンドトラックWayfaring StrangerNight Shines Like the Day

クリスティン・アスビョルンセン MP3

ある中学校のクラスでシャーペンの芯が通貨になった話



信用創造のカラクリ
「Money As Debt」

Neil Armstrong, Apollo Missions, The First & Last Men on the Moon: Kennedy Launches the Race for the Moon


アポロ月面着陸映像は本物か? 捏造にキューブリックも関与

繰り返される偽旗作戦


偽旗作戦

Just For Laughs: Gags - Season 9 - Episode 11

【日本の税収】は、消費税を3%から5%に上げた平成9年以降、減収の一途


言葉や演技で笑いが取れない場合、番組企画は「公開処刑」か「ドッキリ」に行き着く



テレビの中でいじめが蔓延している、という小田嶋隆さん(@tako_ashi)の見解
若手芸人の役回りはイジメ被害者の「モガキ」/『テレビ救急箱』小田嶋隆