2014-11-03

池田清彦、菅沼光弘、ピエール・ルメートル、ルイズ・アームストロング


 4冊読了。

 82冊目『新装版 レモンをお金にかえる法』ルイズ・アームストロング、絵:ビル・バッソ:佐和隆光〈さわ・たかみつ〉訳(河出書房新社、2005年/旧版、1982年)/評価の高い絵本だが、どこがいいのかさっぱりわからなかった。まず絵が悪い。本文も無味乾燥だと思う。

 83冊目『その女アレックス』ピエール・ルメートル:橘明美訳(文春文庫、2014年)/昨夜読み始めて、今朝読了。悪くはないといったところ。技巧が勝ちすぎていて鼻につく。シドニィ・シェルダン的な作為が全開。わかっている。最後まで付き合ってしまった私の負け惜しみだ。愛すべきキャラクターを描けていないため感情移入ができなかった。主役の警部は身重が145cmしかなく、それを小馬鹿にするような描写がたっぷり出てくる。

 84冊目『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘(青志社、2012年/旧版、2009年)/菅沼尽くしである。公安調査庁入りした経緯が最も詳しく描かれている。菅沼は正真正銘の国士である。それに対して佐藤優は官僚を脱していない。

 85冊目『生物にとって時間とは何か』池田清彦(角川ソフィア文庫、2013年/『生命の形式 同一性と時間』哲学書房、2002年)/大どんでん返し。今年の1位はまたしても入れ替わった。文庫ではなくハードカバーを買うべきだった。角川ソフィア文庫は紙質が悪い。米原万里〈よねはら・まり〉が『打ちのめされるようなすごい本』で推していた一冊。私は構造主義をさほど知らないが、『免疫の意味論』、『アフォーダンス 新しい認知の理論』、『哲学、脳を揺さぶる オートポイエーシスの練習問題』を読んでいたので辛うじてついてゆくことができた。池田の気合いが手加減を許さないため難解だが、第1章の専門用語に目をつぶれば後は何とかなる。時間に対してこういうアプローチの仕方があるとはね。クオリアの件(くだり)はよくわかならかったが、ポパーの3世界を論じた箇所で私は悟りを得た(笑)。いやあ、やっぱり長生きするもんだね。

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