2015-04-04

ラ・ロシュフコー/『月曜閑談』サント・ブーヴ


 自尊心という家の2階に住んでいる者たちは、階下に住んでいる者たちとは何の関係もないと主張する。したがって彼らは、2階に昇る秘密の階段があることを人に知らせたという点で、ラ・ロシュフコーを許さないのだ。

【『月曜閑談』サント・ブーヴ:土居寛之〈どい・ひろゆき〉訳(冨山房百科文庫、1978年)】

 シャルル=オーギュスタン・サント=ブーヴ(1804年12月23日-1869年10月13日)は近代批評の父と呼ばれる作家である。ユゴーやバルザックと同世代。さしずめフランス文学界の三銃士といったところだ。

 まあ見事なアフォリズムである。わずか3行(本文)でラ・ロシュフコーの本質を言い当てる。『ラ・ロシュフコー箴言集』(二宮フサ訳、岩波文庫、1989年)は『書斎のポ・ト・フ 』(潮出版社、1981年/潮文庫、1984年/ちくま文庫、2012年)で開高健、谷沢永一、向井敏の3人が絶賛しており、直ぐに読んだのだが二十歳前後ということもあってあまりピンと来なかった。ちょっと調べてみたところ、吉川浩の新訳(角川文庫、1999年)の方がよさそうだ。

 日本の文芸批評を確立した第一人者は小林秀雄で、小林ももちろんサント・ブーヴの影響を受けている。『我が毒』は小林の翻訳。

 フランスは文化の宗主国を自認しているが、ま、連中が図に乗るのも仕方がない。だってこんな名文があるのだから。

 尚、出版社は「ふざんぼう」(冨山房)と読む。硬派の良書を数多く発行している会社だ。『緑雨警語』斎藤緑雨、中野三敏編や『イタリア抵抗運動の遺書 1943.9.8-1945.4.25』P・マルヴェッツィ、G・ピレッリ編など。

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