2016-12-27

菅沼光弘、黒沢隆朝


 1冊挫折、1冊読了。

台湾高砂族の音楽』黒沢隆朝〈くろさわ・たかとも〉(雄山閣、1973年)/戦前の現地調査に基づいた学術書である。写真も豊富で尚且つ楽譜や歌詞に至るまでが網羅されており、A5判で500ページ強の大冊である。Difang(ディファン/郭英男)の歌に衝撃を受け、映画『セデック・バレ』に魂を掴まれ、とうとう本書にまで辿り着いた。前半が合唱、後半が楽器となっているが前半だけ飛ばし読み。思いも寄らぬイレギュラーボールがあり鎌倉仏教の謎が一つ解けた。近代における学問の姿勢が険しい山の頂上を目指す姿を思わせる。それに比べると現代の学問は賢(さか)しらな情報や技術論に終始しているのではないか。本書は音楽の始原にまで迫る重要な研究で音楽史に一石を投じる内容となっている。

 174冊目『この国を脅かす権力の正体』菅沼光弘(徳間書店、2013年)/一冊読み落としていた。これで菅沼本は全て読破。序盤がまったりしていて挫けそうになったが中盤から俄然盛り上がる。例の如く日本を取り巻く米中韓の綱引きをインテリジェンスで読み解く。拉致被害者に関して驚くべき記述あり。金融に関する指摘は瞠目に値する。その辺の経済学者よりもはるかに鋭い。菅沼や佐々淳行が生きている内に情報機関を作らないと大変な損失となる。

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