2012-11-28
『気功革命 癒す力を呼び覚ます』盛鶴延〈セイ・カクエン〉(太田出版社、1996年/コスモスライブラリー、2004年)
2012-11-27
文体とスタイル/『書く 言葉・文字・書』石川九楊
表現のなかで、人間がいちばん惹(ひ)かれるのは、その文体、スタイルである。人間を好きになる場合でも、その人のスタイルを好きになるのだ。どう生きているか、といった対他的、対社会的スタイルに共鳴するかしないか、である。
【『書く 言葉・文字・書』石川九楊〈いしかわ・きゅうよう〉(中公新書、2009年)】
挫折本である。読書日記に書くのも忘れていた。多分今年の1月に読んだと記憶する。石川の頑(かたく)なさが、どうも肌に合わない。書字にこだわって主張が勝ちすぎている。相手の話に耳を傾けるゆとりが感じられない。文章は神経質で生硬さを帯び、『一日一書』のような軽やかさに欠ける。主張をすればするほど人間の幅が狭く見えてくる。
それでも尚、この一文は光っている。私の内側でモヤモヤとした疑問が立ちどころに形をなして、そのまま氷解した。我々が物語に感動するのはストーリーや構成よりも、文体や語り口によるところが大きいのだろう。
「歴史とは文体(スタイル)の積畳である」とまで石川は言い切っている。
・人間の表出と表現の積畳が歴史
「生の本質は反応である」という我が持論からすれば、「反応は常に表現的である」と導かれる。これは意図や演出があろうとなかろうと、相手の瞳には「表現」と映ることを意味する。
こう書くと何だか小難しい話に聞こえるかもしれないが、好きなヒーローやヒロインを思い浮かべると腑に落ちる。例えばロバート・B・パーカーが描くスペンサー、例えば私が敬愛してやまないアフマド・シャー・マスードや鹿野武一〈かの・ぶいち〉など。そのスタイルを我々は「生きざま」と呼ぶのだ。
「ざま=様、態」とは「さま」が訛(なま)った言葉で、その意味は次の通りだ。「1.物事や人のありさま。ようす。状態。 2.姿かたち。かっこう。 3.方法。手段。 4.理由。事情。いきさつ。 5.おもむき。趣向。体裁」(「大辞林」による)。
つまり「物」ではなく「事」である。固定ではなく変化。単独ではなく関係性。
思考や性格を支えているのも多分文体である。石川の指摘はそれほど深い。
・香る言葉/『ストーナー』ジョン・ウィリアムズ
・思想する体/『フェルデンクライス身体訓練法 からだからこころをひらく』モーシェ・フェルデンクライス
・「自己」という幻想/『闇の脳科学 「完全な人間」をつくる』ローン・フランク
トマ・サンカラ 清廉の士
ドキュメンタリー。2006年、フランス。アフリカのチェ・ゲバラと呼ばれる革命家トマ・サンカラの功績。
・サンカラとブルキナ・ファッソ(1)
・サンカラとブルキナ・ファッソ(2)
・サンカラとブルキナ・ファッソ(3)
・ブレーズ・コンパオレはトマ・サンカラを暗殺して大統領となった
・革命家を殺すことはできても、その思想までは殺すことはできない~トーマス・サンカラを記念して
・「アフリカの革命政権再考 : トマ・サンカラが遺したもの」岩田拓夫
白水Uブックスのamazon評価レビュー順
・白水Uブックス
実は白水Uブックスを殆ど読んでいない。10冊も読んでないはずだ。今更ながらそんなことに気づいたので、少しずつ読んでみようかしらと思った次第である。白水社はあまり広告も見かけないので援護射撃したい。
2012-11-26
2012-11-25
イスラエル・エルサレムの聖墳墓教会 水道料金未納で銀行口座凍結
イスラエル・エルサレムの旧市街にある聖墳墓教会が900万シェケル(約1億8600万円)の水道料金未納のため銀行口座を凍結され、聖職者らへの報酬が払えず、閉鎖の危機に直面している。
4日までに、英BBCが伝えた。キリストの処刑場跡に建てられたとされる教会は、「エルサレム当局が水道料金の免除を認めた」としているが、水道会社は「法律上、免除はありえない」と15年分の料金の支払いを求めている。
【MSN産経ニュース 2012-11-05】
2012-11-24
「Africa For Norway」
ノルウェーの学生たちがあの名曲をパロって作った『Africa For Norway』。寒さに凍えてる不幸なノルウェーに手をさしのべようとアフリカの人々に訴えるパロディを通して、先進国側が持つアフリカへの偏見に気づかせていくという秀逸な作品。youtube.com/watch?feature=…
— Higashi Shinpei さん (@shinpei23) 11月 23, 2012
2012-11-23
銃声を響かせる大義名分は何なのだろうか
銃声が響いている国がある…それでもそれらに関するニュースはネットの中でしか私は見ることが無かった。これら銃声を響かせる大義名分は何なのだろうか…同じ空の下に生まれ同じ星で育まれる命たち…震えるような大気が彼らを暖かく包む。無駄な命なんてひとつもないのだ
— 灯戸裡古都さん (@poi_33) 11月 19, 2012
鹿野武一の沈黙
鹿野武一はつねに列の外に立っていた。もっと正確に言うなら、彼はみずから進んでいつも、いちばん外側の列に身を置いていた。
囚人たちが作業現場の行き帰りに組まされる隊列は五列。行進中にもし一歩でも隊伍を離れる者がいれば、逃亡と見なしその場で射殺してよい規則になっている。囚人たちがしばしば射殺されたのは、逃亡を試みたからではなく、その大部分は、氷のように固く凍てついた雪の上を行進していて蹟くか足を滑らせて列外へよろめいたからにすぎない。ことに、実戦の経験の少ないことに劣等感を持っている少年兵が警備に当たっている場合、彼らは「きっかけさえあれば、ほとんど犬を射つ程度の衝動で発砲」した。
【松浦寿輝〈まつうら・ひさき〉】
クリシュナムルティを除けば、ここ数年間でこれが最も強烈な言葉であった。鹿野武一〈かの・ぶいち〉は孤にして絶なる人間性の山頂を示した。/“「もしあなたが人間であるなら、私は人間ではない。もし私が人間であるなら、あなたは人間ではない」” web.kyoto-inet.or.jp/people/tiakio/…
— 小野不一さん (@fuitsuono) 11月 22, 2012
・「鹿野武一」関連資料集
・菅季治、鹿野武一、石原吉郎
・究極のペシミスト・鹿野武一/『石原吉郎詩文集』~「ペシミストの勇気について」
・ナット・ターナーと鹿野武一の共通点/『ナット・ターナーの告白』ウィリアム・スタイロン
・言葉を紡ぐ力/『石原吉郎詩文集』石原吉郎
・「棒をのんだ話 Vot tak!(そんなことだと思った)」/『石原吉郎詩文集』石原吉郎
2012-11-21
開沼博、藤本晃、アルボムッレ・スマナサーラ、畑谷史代
2冊挫折、2冊読了。
『フクシマの正義 「日本の変わらなさ」との闘い』開沼博〈かいぬま・ひろし〉(幻冬舎、2012年)/フォントが悪くて読みにくい。また短い対談の量が多く、構成に難ありと感じた。新書形式の方がよかったのではあるまいか。
『悟りの階梯 テーラワーダ仏教が明かす悟りの構造』藤本晃(サンガ新書、2009年)/第二章まで読む。価格的にはお釣りがくる内容だ。悟りの段階が詳しく描かれている。南伝大蔵経のテキストが参考になる。
67冊目『苦しみをなくすこと 役立つ初期仏教法話 3』アルボムッレ・スマナサーラ(サンガ新書、2007年)/いやはや素晴らしい内容だ。スマナサーラ長老の登場で、過去の日本仏教本は色褪せてしまった。実践なき学者が書く仏教書は所詮解説書の域を超えることがない。日本の仏教界は一度鎌倉時代を否定する作業が必要だと思う。鎌倉万歳といった視線ではブッダを見失う可能性すらある。
68冊目『シベリア抑留とは何だったのか 詩人・石原吉郎のみちのり』畑谷史代〈はたや・ふみよ〉(岩波ジュニア新書、2009年)/一気読み。もっと早く読んでおくべきだった。石原という人物の輪郭がくっきりと浮かんでくる。シベリアの寒風に削(そ)がれた頬の陰まで見えるような気がした。石原の詩文と証言のバランスが素晴らしい。小さいながらも香月泰男の絵が数点掲載されており、実に目が行き届いている。
2012-11-18
遊ぶ少年兵
アムネスティ・インターナショナルの広告である。映像や画像におけるリアリティの追求は時に逆効果を生みかねない。この広告の場合、少年兵が置かれた現実を生々しく伝えることで、情報の受け手は暴力に対して鈍感となり、更なる衝撃を待望するようになる。名の通った国際機関はすべて白人が創設したもので、ユダヤ資本がバックアップしている。その意味ではアムネスティすら信用に値する団体とは言い難い。
・少年兵は流れ作業のように手足を切り落とした/『ダイヤモンドより平和がほしい 子ども兵士・ムリアの告白』後藤健二
・少年兵は自分が殺した死体の上に座って食事をした/『戦場から生きのびて ぼくは少年兵士だった』イシメール・ベア
・『武装解除 紛争屋が見た世界』伊勢崎賢治
2012-11-17
「犯罪組織NATOを解体せよ」ミシェル・コロン
【追記、11月18日】動画がYouTubeにアップされたのは6月15日である。そして今朝の新聞で「日本政府によるミャンマー支援500億円」が報じられた。19日のオバマ大統領訪問に合わせた動きだろう。米大統領のミャンマー訪問は初めてのこと。日経朝刊はわざわざ「27年ぶり、中国をけん制」と小見出しを打っている。ミシェル・コロンの指摘(5分50秒前後から)が正しければ、日本は日中戦争へ舵を切ったと見てよさそうだ。
民主党は「2030年代に原発稼働ゼロ」を衆院選マニフェストに掲げた。穿(うが)った見方をすれば、2020年代に核兵器を保有するとも読める。中国が本格的に日本の領土を侵犯し威嚇的な行動をとれば、世論は諸手(もろて)を挙げて核保有に傾くことだろう。ま、電通とCIAが既にシナリオを用意していたとしてもおかしくない。まず手始めにfacebookとtwitterを使って様々な情報を流し、撹乱(かくらん)要因を埋め込むはずだ。
この動画は実に多くのことを教えてくれる。核兵器とメディアが民主主義を完全に葬ったのだ。
2012-11-16
ヴァセリン ペトロリュームジェリー(大)368g 【白色ワセリン】
「ヴァセリン ペトロリュームジェリー368g」は、100%ピュアな白色ワセリンの保湿クリームです。肌荒れ、かさつき、お肌の保護に。無香料・無着色・防腐剤無添加。
・ひび割れや乾燥肌に必要なのはビタミンでも尿素でもない、ワセリンである
ロメオ・ダレール、宮城谷昌光、白川静、ダン・S・ケネディ、大野栄一、アルボムッレ・スマナサーラ、安冨歩
6冊挫折、3冊読了。
『なぜ、世界はルワンダを救えなかったのか PKO司令官の手記』ロメオ・ダレール:金田耕一訳(風行社、2012年)/ボリュームがあり過ぎる。20代、30代であれば必読のこと。ルワンダの資料としては超一級であることは論を俟(ま)たず。
『沈黙の王』宮城谷昌光〈みやぎたに・まさみつ〉(文藝春秋、1992年/文春文庫、1995年)/冒頭の「沈黙の王」を読むだけでも買い。漢字誕生の瞬間を鮮やかに描く。その他は淡くて私の口には合わなかった。
『漢字 生い立ちとその背景』白川静(岩波新書、1970年)/時間のある時に再読する。文体が硬質なため読み進むのに時間を要する。漢字そのものが呪術であることがよくわかる。
『ビジネス版 悪魔の法則 ポジティブ思考のウソを斬る』ダン・S・ケネディ:池村千秋訳(阪急コミュニケーションズ、1999年)/実はまだ読んでいるのだが多分挫ける予定だ。文章が洗練されていて心地よいのだが、如何せん私が必要とするジャンルではない。
『電卓で遊ぶ数学 これぞ究極の電卓使用術』大野栄一(ブルーバックス、1992年)/50歳近くなって、加減乗除以外の使用法を知らないことに唖然として取り寄せた。これは必要に応じて読む。
『自分を変える気づきの瞑想法』アルボムッレ・スマサーラ(サンガ、2004年/増補改訂版、2011年)/参考にならず。形式に傾きすぎ。
64冊目『心は病気 役立つ初期仏教法話 2』アルボムッレ・スマナサーラ(サンガ新書、2006年)/これはオススメ。できれば『怒らないこと』を先に読んだ方がよい。
65冊目『死後はどうなるの?』アルボムッレ・スマナサーラ(国書刊行会、2005年/角川文庫、2012年)/ふむ、アルムッレ・スマナサーラは死後の生命を信じていることが判明した。やはり部派仏教もダメか。大乗と共に啓典宗教化した事実がよくわかった。でもまあ、その辺の大乗仏教よりもはるかにいいよ。
66冊目『原発危機と「東大話法」 傍観者の論理・欺瞞の言語』安冨歩〈やすとみ・あゆむ〉(明石書店、2012年)/これは凄い。感嘆した。2日で読了。そのしなやかで強靭な知性が岡真理や友岡雅弥と似ている。3人で鼎談(ていだん)をさせたいものだ。本書の普遍性に気づく人がどれほどいるだろうか? 「歴史という物語が改竄(かいざん)される様相」を描いているのだ。私の好みとしては、スタンレー・ミルグラムや進化科学・認知科学に結びつけて欲しかったが、まあそれは望みすぎというものだ。これほどの内容でありながらブログをまとめたという事実に驚嘆した。あらゆる組織・集団が安冨歩を必要としてる。
2012-11-15
Canon 電卓 HS-1220TUG SOB 12桁(5250円→1773円)
2012-11-14
2012-11-13
綾野まさる、猿渡瞳著『いのちの作文 難病の少女からのメッセージ』が増刷
日本テレビ「24時間テレビ」で放映。大腿骨骨肉腫で13歳の命を閉じた瞳ちゃんのメッセージ、 それは「いま生きていることの喜びと命の大切さ」。
その知らせが届いたのは、亡くなって3週間後だった。いまは天国にいる瞳ちゃんは、笑顔でこういいました。「ほんとうの幸せは、地位でも、名誉でも、お金でもなく、いま生きている、ということなのです」。骨肉腫(骨にできるガン)に冒され、死の恐怖と闘いながら、少女は自らの命を見つめて、その切なる思いを作文に綴った。その作文「命を見つめて」は、全国作文コンクール優秀賞を受賞。しかし、その知らせが届いたのは、少女の死の3週間後のことだった。
秋田県よい本をすすめる会特選図書。小学校中学年以上向き。
・女子中学生の渾身の叫び/『いのちの作文 難病の少女からのメッセージ』綾野まさる、猿渡瞳
・病に感謝する女子中学生
2012-11-12
マーティン・プリマー、ブライアン・キング著『本当にあった嘘のような話 「偶然の一致」のミステリーを探る』が文庫化
これは、偶然のいたずらか!? 「偶然の一致」が引き起こした、信じられない事件の謎に迫る! 本書には、信じられない「偶然の一致」の実話が、数多く収録されている。それを、「単なる偶然」と見るか、「運命のなせるわざ」と見るかは、読者の判断にゆだねられている。しかし、どういう見方をしようと、この世界が、我々の知りえない不思議に満ちているという現実だけは、変わらないのである。※本書は、2004年8月に小社より刊行した『本当にあった嘘のような話』を文庫化したものです。
・ユングは偶然の一致を「時間の創造行為」と呼んだ/『本当にあった嘘のような話 「偶然の一致」のミステリーを探る』マーティン・プリマー、ブライアン・キング
・宇宙人に誘拐されたアメリカ人は400万人もいる/『本当にあった嘘のような話 「偶然の一致」のミステリーを探る』マーティン・プリマー、ブライアン・キング
・株式有料情報の手口/『本当にあった嘘のような話 「偶然の一致」のミステリーを探る』マーティン・プリマー、ブライアン・キング
・偶然の一致はもっと壮大な宇宙の調和の現われ
・原子の99.99パーセントが空間
病院ぐるみで赤ちゃん300人売買、医師・看護師ら逮捕 エジプト
エジプト警察は11日、新生児300人余りを人身売買していた組織を摘発し、カイロ(Cairo)市内の病院の医師1人、看護師2人を含む容疑者5人を逮捕したと発表した。この病院の院長は逃亡しており、警察が行方を追っている。
警察発表によると、容疑者らは約3年間にわたってこの病院で生まれた新生児を1人当たり最高570ドル(約4万5000円)で売っていたとされる。病院では、望まない妊娠をしながら中絶するには遅すぎる妊婦に対し、生まれた新生児を売ることを条件に帝王切開手術を行っていた。売却先は主に子どものいない夫婦だったという。
エジプトでは養子縁組が法律で禁じられており、2009年には孤児院から子どもを買ったとして米国人夫婦が2年の禁錮刑判決を受けている。このため法規制を回避する手段として子どもを買う夫婦もいる。
一方、中絶は母体に危険が及ぶ場合に限り認められている。
【AFP 2012-11-12】
呉善花〈オ・ソンファ〉著『ワサビと唐辛子 受け身の日本人、攻めの韓国人 その強さと弱さ』が文庫化
ワサビも唐辛子も、「辛い」ということでは同じだが、辛さの質には大きな違いがある。ワサビは、身体の内側にジーンと染みわたるような辛さ。唐辛子は、頭のてっぺんからカーッと立ちのぼるような辛さ。「吸収」と「発散」のイメージなのだ。ワサビの辛さは「受け身」の姿勢を、唐辛子の辛さは「能動」の姿勢をイメージさせる。実際、日本人は、つねに自分を「受け身の立場」に置こうとする傾向が強いし、韓国人は、つねに自分が「能動の位置」に立とうとする傾向が強い。まさに正反対なのである。もうひとつ、ワサビの辛さは鼻にツンと来て涙が出るが、それは一瞬で消え去る。一方、唐辛子の辛さのほうは、料理を全部食べ終わった後でも、まだ汗が引かないほど長続きする。これも、淡白であっさりした日本人と、粘り強く持続力のある韓国人を象徴しているかのようだ。そんな具合に、ワサビと唐辛子に重ねた日韓の話は尽きない。本書は「唐辛子文化」の中で育った著者が、日本および日本人を「ワサビ文化」という角度から眺めたときに見えてきた、さまざまなシーンを描写したものである。
ダン・アリエリー著『予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』が増刷
これまでの経済学では、人は合理的に行動するものと考えられてきた。だが、本当にそうだろうか。本当はおなじ味でも、雰囲気のいいカフェのコーヒーにはファストフード店のコーヒーより高いお金を払っていないだろうか? また、上等の靴下が必要だったのに、一足ぶんおまけされていた安物の靴下を買ってしまったことは? そう、人は不合理な行動をとるものなのだ。経済行動に大きく影響しているにもかかわらず、これまで無視され誤解されてきた、人の不合理さを研究するのが、行動経済学という新しい分野である。ユニークで愉快な実験によって、人がどのように不合理な行動をとるのかを系統的に予想することが可能になっている。また、「おとり」の選択肢や、価格のプラセボ効果、アンカリングなど、人の理性を惑わす要素を理解するとき、ビジネスや投資、政治の世界でも、驚くほどのチャンスがもたらされるのだ。行動経済学研究の第一人者がわたしたちを動かすものの正体をおもしろく解説し、話題になったベストセラー行動経済学入門に、新たに2章を書き下ろし、刊行後の反響を受けた考察を追加した増補版。
・比較トラップ/『予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』ダン・アリエリー
2012-11-07
2012-11-06
事故
道路で車同士がぶつかりそうになってすごいタイヤの摩擦音がして、それを見たおじさんが「うおー!あぶなかったなー!」って言いながら植え込みの中へ自転車で突っ込んで行った。
— 処之助さん (@tokoronosuke) 11月 26, 2010
2012-11-02
アメリカ北東部を襲ったハリケーン「サンディ」
「サンディ」による米国の死者は93人に、ガソリン不足や停電続く
米当局は、同国北東部を襲ったハリケーン「サンディ」による死者が少なくとも93人に達したと発表した。現在も救助活動が続いており、死者数がさらに増加する可能性もある。
当局によると、これまで確認されたニューヨーク市での死者は38人。ニュージャージー州では12人となっている。
災害リスク評価会社EQECATは「サンディ」の推定被害額について、保険損失額が最大200億ドル(約1兆6000億円)、経済損失額が最大500億ドルとの試算を明らかにした。同社は地下鉄の運休や停電に伴う損失が予想よりも大規模になる可能性を指摘した。
ニューヨーク市などではガソリン不足も深刻化し、ガソリンスタンドでは数時間にわたり列に並ぶ市民の姿もみられた。列に並んでいたロングアイランド島に住む29歳の女性教師は、ストレスで疲れ切っているとし、「ガソリンスタンドを見つけるために午前中ずっと近くの地域を運転したが、どこも閉まっていた。心配だ」と述べた。
1日時点では15州で約460万の世帯や事業が停電となっており、一部の地域では数週間にわたり停電が続く可能性もある。ニューヨーク市マンハッタンのイーストリバーにある電力会社コンソリデイティッド・エディソン(ED.N: 株価, 企業情報, レポート)は、11月10─11日の週末までに大半の地域で電力が復旧するとの見通しを示す一方で、一部の地域では復旧までにさらに1週間以上がかかる可能性があるとしている。
10月28日から運休していたニューヨーク市の地下鉄は、一部で運行を再開した。
【ロイター 2012-11-02】
災害時におけるデマ拡散と情報制限
「東京工業大学の高安美佐子准教授らのグループは、震災後に拡散した「千葉県内の製油所が爆発して有害物質が雨と一緒に降る」という内容のデマが、ツイッターでどのように広がったかを解析」www3.nhk.or.jp/news/web_tokus…
— Masato Koyamaさん (@usa_hakase) 11月 1, 2012
何がデマなのかわからないくせに、またこんな記事か。NHK.
— Masato Koyamaさん (@usa_hakase) 11月 1, 2012
「つまり、「有害物質の雨」の危険性は十分現実的なものであり、正当な危機感が表現され、「雨に直接濡れるな」等の危険回避のヒントも含まれていた。なお、千葉製油所に隣接した劣化ウランの保管施設がこの時延焼していたことが、後日明らかになった。」sk01.ed.shizuoka.ac.jp/koyama/public_…
— Masato Koyamaさん (@usa_hakase) 11月 1, 2012
「パニック神話にとらわれて情報制限をおこなった人々は、当然とられるべきだった住民の正当な危険回避行動も妨げた」sk01.ed.shizuoka.ac.jp/koyama/public_…
— Masato Koyamaさん (@usa_hakase) 11月 1, 2012
2012-11-01
法人税と所得税の最高税率を引き上げるべきだ/『消費税は0%にできる 負担を減らして社会保障を充実させる経済学』菊池英博
・「法人税の引き下げによる経済効果はゼロないしマイナス」
・法人税と所得税の最高税率を引き上げるべきだ
本書を一読すれば日本の税体系が滅茶苦茶であることが理解できる。
議論は「直間比率の改善」というテーマとなり、直接税である法人税と所得税を軽減して、新たに間接税として消費税を入れようとする方向であった。こうして、1989年から消費税が導入され、当初3%だった税率は、1998年から5%へ引き上げられたのである。
法人税と所得税の引き下げ過程をまとめてみると、法人税は1981年度42%、1984年度43.3%であり、その後、1990年度に37.5%へ引き下げられ、1998年度34.5%、1999年度30%となり、現在に至っている。個人の所得税・住民税について見ると、所得税は1981年度で最高税率が70%に地方税(住民税)18%を加えて合計88%の高率であった。その後、段階的に引き下げられて、消費税が導入された1989年度の最高税率は合計65%(所得税50%、住民税15%)であり、1999年度の最高税率は50%(所得税37%、住民税15%)、2007年度には税源の一部が地方に移ったため、最高税率は50%(所得税40%、地方税10%)となっている。
【『消費税は0%にできる 負担を減らして社会保障を充実させる経済学』菊池英博(ダイヤモンド社、2009年)以下同】
「失われた10年」によって国内需要は冷え込んだ。経団連は「グローバル市場での競争力をつける」との名目であの手この手を使って政府に働きかけた。生産コストを抑える目的で電力自由化が実現したのもこの頃だ(2000年)。
それにしても全然気づかなかったよ。新聞社やテレビ局も法人であるがゆえに、報道のトーンが上がることはまずない。むしろ国民の目から遠ざけようと努力していた可能性すらある。経団連は「日本の法人税率の高さが海外移転につながっている」と嘘の主張までしてみせた(Wikipedia)。商売は信用よりもキャッシュ・フローを重んじ、資本は内部留保となって滞留しデフレに拍車をかけた。「自分たちさえよければいいのか?」。御意。
1999年以来の10年間、法人税は30%、個人の所得税・住民税の最高税率の合計は50%(所得税40%、地方税10%)である。とくに特徴としては、地方税が2007年度から所得の大小に関係なく、一律10%の「フラット税制」となっていることだ。つまり、累進課税を放棄したのである。レーガン税制の根幹が「フラット税制」であり、この方式で税収が極端に減り、社会保障費が出なくなったことは、すでにアメリカで証明されている。それなのに、なんと日本では、「30年前に失敗した考え」である「フラット税制」を2007年度に導入しているのだ。
とすると間接税の比率が高くなっているわけだから、税の逆進性が顕著になっていると考えてよいのだろう。応能負担原則は崩壊しつつある。
ちょっと考えれば誰にでもわかるはずだ。可処分所得が1億円あったとしても、マイホームを10軒、自家用車を10台所有する人はいないだろう。すなわち金持ちを優遇することは消費にとってマイナス作用を及ぼす。
しかし酷い話だ。馬鹿丸出しといってよい。挙げ句の果てには介護事業がズタズタとなり、多数のリハビリ難民を生み、買い物先で車椅子使用者がヘルパーから置いてけぼりにされた。自公政権の罪は深い。
現在、われわれ日本国民が早急に認識すべきことは、「法人税の引き下げは経済成長にマイナス効果しかない、むしろ法人税と所得税の最高税率を引き上げるべきだ」ということである。法人税引き下げは経済効果がマイナスである。「法人税の引き下げ」を強く要求しているのは外資であり、それを財界がそのまま自公政権に要求しているのである。財界は、2006~07年にバブル期以上の多額の利益を上げたにもかかわらず、外資の要求をそのまま自公政権にぶつけている。
「法人税引き下げ」を実行した場合には、次のようなことが起こる。
1.法人税減税で余った資金は、デフレで需要不足の日本国内には投資されず、たとえ実物投資されたとしても、それは海外に投資されるに過ぎない。だから、日本国民の雇用増加、経済成長の効果はゼロであり、余剰資金は株主配当、役員報酬となり、所得格差は拡大し、資金の海外流出によって経済効果はマイナスになる。
2.海外の工場建設に投資されれば、投資収益は配当金として日本に還流する。しかし、その利益処分は、株主の采配で決まることとなり、国内の従業員の報酬や国内建設には向かわない。
外資ということは日米経済協議会あたりが絡んでいるのだろう。
また共産党の志位委員長が、ギリシャが財政破綻した一つの原因は法人税減税にあったと指摘している(「しんぶん赤旗」2010年7月2日)。ま、誰かの得は他の誰かの損であるというのが経済の常識だ。マーケット用語では「リスクの付け替え」という。
また、「日本の実効税率は国際比較しても決して高くはない」のだ。国税と地方税の合計で国際比較すると、日本の実行税率(地方税が国税で費用になる場合を調整した後のネットの税率)は、アメリカ(ニューヨーク)45.95%、日本(東京)は40.69%、ドイツ39.9%、フランス33.33%、イギリス30%であって、日本はアメリカよりも低い。ヨーロッパが日本より低いのは、外資を呼び寄せたいからである。日本は世界一の債権国(投資資金の潤沢な国)であって、外国からの資本輸入は本質的に必要ない。外資を呼び寄せるために法人税を減税することはまったく必要ない(以上の「法人税減税」に関しては、前掲の野口悠紀雄『資本開国論 新たなグローバル化時代の経済戦略』第5章を参照されたい)。
・法人税「40%は高い」といいながら実は…ソニー12%、住友化学16%
日本が債権国であることについては以下も参照されよ。
・日本は「最悪の借金を持つ国」であり、「世界で一番の大金持ちの国」/『国債を刷れ! 「国の借金は税金で返せ」のウソ』廣宮孝信
「嘘には三つある。軽い嘘はただの嘘。重い嘘は真っ赤な嘘。最も重い嘘は政府の統計」 これはイギリスの名宰相といわれたベンジャミン・ディズレーリ(1804~1881)の言葉である。ディズレーリはユダヤ人で初めてイギリスの首相になった人物で、19世紀後半に七つの海を制した大英帝国の政治家であった。
嘘が不信を生み、不信が不安につながる。世界が右傾化しつつある原因もこのあたりにあるのだろう。巨大な嘘は世界を混乱させ、必ずや暴力的な衝突に至らせるに違いない。
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仏アルプス銃撃事件、被害者とフセイン元大統領の関連口座につながり
仏アルプスのリゾート地でイラク系英国人の一家ら4人が射殺された謎めいた事件で、独紙ビルト(Bild)オンライン版は10月29日、殺害されたサード・ヒリ(Saad al-Hilli)さん(50)がサダム・フセイン(Saddam Hussein)元イラク大統領と関連のある銀行口座にアクセス可能な人物だったと報じた。
この事件は9月初め、仏南部オートサボア(Haute-Savoie)県シュバリーヌ(Chevaline)でヒリさんと妻、義理の母親が車内で、また巻き込まれたとみられるフランス人男性が車の近くで射殺体で見つかったもの。車に同乗していた幼い娘2人は生き残った。
ビルト紙が独外国情報機関「ドイツ連邦情報局(BND)」筋の情報として伝えたところによると、ヒリさんの父親はフセイン元大統領統治時代の支配政党バース党(Baath Party)の銀行口座を管理する立場にあり、前年に父親が死去した後はヒリさんが口座へのアクセス権を得ていたという。
この情報筋によればBNDは、イラク・欧米間の口座取引を数十年にわたって監視していたという。BNDはこの件についてAFPの取材に応じなかった。
仏検察当局は今月、ヒリさんの父親が開設しヒリさんが管理していたスイスの銀行口座について、長期間にわたって資金移動がなかったと発表していた。
【AFP 2012-11-01】