2014-06-13
欧州バンカーを巻き込む恐怖、BNP罰金は「金融戦争」示唆
国際金融協会(IIF)の理事会出席のためにロンドンに先週集まった世界の主要銀行幹部らに対し、英銀HSBCホールディングス のダグラス・フリント会長は、ある助言を用意していた。米国の外交政策で金融機関を巻き込む転換が起きており、米政府が金融戦争を敵国に仕掛けている状況について書物をよく読んで理解すべきだというアドバイスだ。
IIFが4日開いた理事会に出席した英銀バークレイズのアントニー・ジェンキンス最高経営責任者(CEO)らに対し、フリント会長(58)は、米政権で国家安全保障問題担当次席補佐官を務めたファン・ザラート氏の著書「財務省の戦争:金融戦争の新時代の幕開け(原題)」を一読するよう勧めた。その場に居合わせた関係者2人が明らかにした。
ザラート氏は著書の中で、制裁対象国の個人と敵国、犯罪者による金融活動が米国の外交政策の標的となる傾向がますます強まっていると分析。その渦中に巻き込まれているのはグローバルに業務展開する金融機関であり、ビジネスと評判に傷がつくリスクを避けたいとの願望によって協力を余儀なくされる。
HSBCは1年半前、マネーロンダリング(資金洗浄)捜査を決着させるため、当時としては過去最大規模の19億ドル(現在の為替レートで約1940億円)の支払いで米当局と合意した。米司法省の銀行に対する要求はその後エスカレートし、複数の関係者によれば、フランス最大の銀行BNPパリバ は制裁対象国と行った取引をめぐる捜査で、100億ドル(約1兆200億円)規模の罰金支払いと有罪答弁の受け入れを求められている。
欧州の銀行幹部らは、ブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、米当局がBNPパリバに要求している罰金の大きさについて、米国でのオペレーショナルリスク(業務遂行に伴うリスク)と罰金額の予測不能性を増大させると懸念を示した。
欧州議会の経済・金融問題委員会のシャロン・ボウルズ委員長はインタビューで、銀行システムの安定に巻き添え被害が生じかねない不安を表明。「銀行に対するシステムリスクが心配だ。米国には今や異なる制度が存在し、欧州の基準に比べて巨額な懲罰的罰金の支払いが求められる。われわれは銀行システム安定のために多額の税金を投入してきたが、再び安定が損なわれる危険がある」と訴えた。
原題:Europe Bankers Cringe at Escalating U.S. Fines Amid BNPSkirmish(抜粋)
【Bloomberg 2014-06-12】
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