2014-12-31
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今年は菅沼光弘との出会いが衝撃であった。菅沼は正真正銘の国士であると思う。小野田寛郎〈おのだ・ひろお〉と同じ精神の輝きを放っている。こういう人物を知ると何となく佐藤優の正体が透けて見える。本物が偽物を炙(あぶ)り出すのだ。菅沼本はあと2冊を残すのみ。ただ、語り下ろしが多いため著作の完成度はやや低く、既に紹介中ということもありランキングからは除外した。
再読のため『すばらしい新世界』オルダス・ハクスリーも除いた。二度目の方が面白いという傑作だ。
印象に残ったものをアトランダムに紹介しよう。
まずは山岳ものから。
『凍』沢木耕太郎
『垂直の記憶』山野井泰史
私が山男に憧れるのは彼らを「現代の僧侶」と考えているためである。酸素が薄い酷寒の高所を登攀(とうはん)するストイシズムは大衆消費社会と全くの別世界である。沢木本は山野井夫妻を描いたノンフィクション。著名な作家が一隅を照らす人物に光を当ててくれた。よくぞ! と感嘆せずにはいられない。山野井の童顔は雰囲気がジョージ・マロリーとよく似ている。
次にマネー本から。
『国債は買ってはいけない!』武田邦彦
『2015年の食料危機 ヘッジファンドマネージャーが説く次なる大難』齋藤利男
武田本は粗雑ではあるものの、税と国債の矛盾を指摘したところが卓越している。齋藤本は食料安全保障への警鐘を鳴らした内容で、素人にもわかりやすい。
続いて漢字本を。
『三国志読本』宮城谷昌光
『回思九十年』白川静
白川と宮城谷の対談が重複している。このあたりと以下の小林本は若い人に読んで欲しい。
『小林秀雄対話集 直観を磨くもの』小林秀雄
『学生との対話』小林秀雄
私は小林秀雄を感情スピリチュアリズムと考えており嫌いなのだが、この2冊は凄い。特に後者は私も待望していた作品だ。
『苦海浄土 池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集 III-04』石牟礼道子
迷いに迷った挙げ句、「必読書」に入れなかった本である。入れても構わないのだが、ノンフィクションと謳いながら、後年になって創作があったことを石牟礼は述べている。その政治性に嫌悪感を抱いてしまう。最初から「被害者の呪い」を描いた文学作品とすればよかったのだ。当時の公害に違法性がなかった事実を忘れてはなるまい。
『「食べない」健康法 』石原結實
実践中。実用書は読者の行動を変えるかどうかが勝負の分け目。わたしゃ、直ぐ実践したよ。ただし合理性には疑問が残る。
続いて小室直樹による近代史の講義。
『封印の昭和史 [戦後50年]自虐の終焉』小室直樹、渡部昇一
『日本国民に告ぐ 誇りなき国家は、滅亡する』小室直樹
小室は合理主義者であり、学問における原理主義者であるといってよい。政治性やイデオロギーとは無縁の人物だ。その小室を通して渡部昇一が「日本近代史を正しく伝える」先駆者であることを知った。1990年代、渡部や谷沢永一は右翼の片棒を担いでいると思われていた。私もその一人だ。今になってわかるが、彼ら以外は時流に阿(おもね)る学者でしかなかった。東京裁判史観を粉砕することなくして日本の独立はない。
以上は甲乙つけがたいがゆえにランキングから外したがどれも面白い。続いてベスト15を。今年も我が選球眼が衰えることはなかった。ヨガナンダとローリング・サンダーは密教研究の重要なテキストであると考える。
15位『円高円安でわかる世界のお金の大原則』岩本沙弓
14位『資本主義の終焉と歴史の危機』水野和夫
13位『標的(ターゲット)は11人 モサド暗殺チームの記録』ジョージ・ジョナス
12位『ブッダの教え 一日一話』アルボムッレ・スマナサーラ
11位『アルゴリズムが世界を支配する』クリストファー・スタイナー
10位『サバイバル宗教論』佐藤優
9位『増補 日本美術を見る眼 東と西の出会い』高階秀爾
8位『アメリカの国家犯罪全書』ウィリアム・ブルム
7位『ショック・ドクトリン 惨事便乗型資本主義の正体を暴く』ナオミ・クライン
6位『悩む力 べてるの家の人びと』斉藤道雄&『治りませんように べてるの家のいま』斉藤道雄
5位『あるヨギの自叙伝』パラマハンサ・ヨガナンダ
4位『ローリング・サンダー メディスン・パワーの探究』ダグ・ボイド
3位『生きる技法』安冨歩
2位『驕れる白人と闘うための日本近代史』松原久子
1位『生物にとって時間とは何か』池田清彦
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