2015-03-15
馬渕睦夫、池田清彦、養老孟司、田中英道、他
5冊挫折、1冊読了。
『編集狂時代』松田哲夫(本の雑誌社、1994年/新潮文庫、2004年)/松田哲夫は「ちくま文学の森」を編んだ人物。蒐集(しゅうしゅう)と編集の遍歴。文章は読みやすく、滲み出る狂気も好ましい。しかしこちらのギアがはまらず。
『一下級将校の見た帝国陸軍』山本七平(朝日新聞出版、1983年/文春文庫、1987年)/山本の文章が苦手である。老獪(ろうかい)な体臭を感じる。読み手をコントロールしようとする意図が透けて見える。帝国陸軍の病巣を自己の体験から捉えた作品だが小室直樹ほどの合理性がない。体験は認知の歪みをはらむ。部分から全体を描くのは困難な作業だ。
『決算書はここだけ読め!』前川修満〈まえかわ・おさみつ〉(講談社現代新書、2010年)/これは後回し。今読んでも頭に入らないため。
『戦後日本を狂わせたOSS「日本計画」 二段階革命理論と憲法』田中英道(展転社、2011年)/学者のせいか文章が読みにくい。チャンネル桜の討論に登場するが、あの語り口を思わせる文章である。独り言っぽい雰囲気で、相手を説得しようとする意志が感じられない。たぶん論証に重きを置いているためなのだろう。ルーズベルト大統領は左翼であるとの指摘あり。馬渕睦夫をフォローする人は読んでみるといい。
『ほんとうの環境問題』池田清彦、養老孟司(新潮社、2008年)/粗製濫造気味。養老の部分はインタビューだろう。話し言葉となっている。『正義で地球は救えない』がよかっただけに精彩を欠く。
20冊目『世界を操る支配者の正体』馬渕睦夫〈まぶち・むつお〉(講談社、2014年)/書評でも触れたがアメリカが左翼に支配されている構造を歴史的に辿る。国際主義はユダヤ人の価値観に基づくもので、米ソが同根から生まれたとする見方が斬新だ。ただし物語としては大変面白いのだが、回顧録などの書籍情報に拠(よ)っているため、絵としてのオリジナリティが色褪せる。そしてややもすると筆致が陰謀論に傾く悪い癖が見受けられる。馬渕もチャンネル桜でお馴染みだが、やはり彼の話しぶりがそのまま文章に反映している。言葉が弱い。内容は駐ウクライナ兼モルドバ大使が綴るウクライナ問題となっていて時宜を得た一冊。
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