2015-03-21
田中嫺玉、デイヴィッド・マレル、ヘレン・エラーブ、他
5冊挫折、2冊読了。
『それからの海舟』半藤勝利〈はんどう・かつとし〉(筑摩書房、2003年/ちくま文庫、2008年)/鼻につく江戸弁が随所に出てきて辟易させられる。節度を欠いたようにしか見えない。ちょっと驚いたのだが江戸っ子ってのは天皇軽視なのかね? 少年時代の半藤が「天皇は徳川(とくせん)家の間借り人」と発言している。
『国家なる幻影 わが政治への反回想(上)』『国家なる幻影 わが政治なる反回想(下)』/石原慎太郎(文藝春秋、1999年/文春文庫、2001年)/予想以上に面白くてびっくりした。さすが作家だ。環境大臣として水俣病と向き合った箇所が目を惹いた。イメージが先行する人物だが実務家の面がよく見える。
『心をつなげる 相手と本当の関係を築くために大切な「共感コミュニケーション」12の方法』アンドリュー・ニューバーグ、マーク・ロバート・ウォルドマン:川田志津〈かわだ・しづ〉訳(東洋出版、2014年)/アンドリュー・ニューバーグの新著とあって期待したが大いに外れた。『脳はいかにして〈神〉を見るか』とは比べるべくもない。方法論に傾いてマニュアルみたいな代物となっている。着眼点は優れているのだが手法がまずい。読み進むうちに「てめえ、いい加減にしやがれ」と言いたくなる。
『キリスト教暗黒の裏面史 誰も書かなかった西欧文明のダークサイド』ヘレン・エラーブ:井沢元彦監修、杉谷浩子訳(徳間文庫、2004年)/飛ばし読み。それでも2/3ほどは読んだ。頻出する「正統派キリスト教」がキリスト教の伝統的なイデオロギーを指し、特定の宗派を意味しないという点でダメだと思う。腰砕けだろう。学問的根拠が弱い。
21冊目『血の誓い』デイヴィッド・マレル:佐宗鈴夫〈さそう・すずお〉/ランボー・シリーズとブラック・プリンス・シリーズの間の作品ということで期待に胸を膨らませたが、あっと言う間にしぼんだ。大体、こんな作品があったことも知らなかったもんなー。
22冊目『神の詩 バガヴァッド・ギーター』田中嫺玉〈たなか・かんぎょく〉訳(TAO LAB BOOKS、2008年)/評価の高い翻訳。田中女史はバガヴァッド・ギーターを翻訳するためにサンスクリット語を学んだという。元々プロの訳者ではない。最初に訳した『大聖ラーマクリシュナ 不滅の言葉(コタムリト)』も当初は自費出版であった。確かに上村勝彦訳より読みやすいが、上村訳がそれほど悪いとも思えない。これは紛れもない「神の詩」である。私は胸が悪くなった。神のエゴが強すぎるよ。我(が)が強いという点では聖書とよく似ている。で、はたと気づいたのだが、バラモン教(古代ヒンドゥー教)を理解しなければ、仏教のオリジナリティが見えてこない。イエスがユダヤ教の論理の上に乗っかっているように、ブッダもまたヒンドゥー教の論理に乗っている。「真のバラモン」を説いていることからも明らかだろう。見ようによってはバガヴァッド・ギーターでも三法印は説かれている。ただし法を説くブッダ自身の無我性が明らかに異なる。こりゃあ、30代くらいから腰を据えて勉強しないと追っつかないね。因みに田中女史は旭川出身で私と同郷。
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