2冊読了。
30冊目『
アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない』町山智浩(文藝春秋、2008年/文春文庫、2012年)/待望の文庫化。映画評論家として知られる町山はもともと編集者であった。やや砕けた調子なのは若者を想定したためか。日本人が抱く「アメリカ」という幻想を木っ端微塵にしてくれる。またかの国が福音派を中心とするキリスト教原理主義である実態を見事に伝える。「
キリスト教を知るための書籍」に追加。因みに宮崎哲弥の最初の編集者が町山であった。年齢も同じ。
31冊目『
クレイジー・ライク・アメリカ 心の病はいかに輸出されたか』イーサン・ウォッターズ:阿部宏美訳(紀伊國屋書店、2013年)/期せずしてアメリカ本が2冊並んだ。どちらも収穫が大きかった。4章で構成されているが、第4章が「メガマーケット化する日本のうつ病」となっている。拒食症やうつ病など、病名が広く知られることによって病人が増大する傾向がある。しかもその背景には医師が無意識のうちに患者製造に加担している可能性がある。そして一方には流行の病に冒されることで自己主張をする人々が存在する。これは十分あり得ることである。私流に言えば「脳内情報の上書き更新」である。ひとたび精神疾患という物語が構成されれば、脳や身体(しんたい)は物語に沿って動き出す。文章の行方が時々危うくなるのは英語本文のせいか。もっと思い切った意訳を試みてもよかったのではないか。傑作『
精神疾患は脳の病気か? 向精神薬の化学と虚構』エリオット・S・ヴァレンスタインとは角度が異なり、社会科学的色彩が強い。そして本書もまた製薬会社の薄汚い手口を暴いている。こちらは近々書評を書く予定だ。
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