2015-05-08
スコット・パタースン、パブロ・ネルーダ、クララ・ホイットニー
2冊挫折、1冊読了。
『勝海舟の嫁 クララの明治日記(上)』クララ・ホイットニー:一又民子〈いちまた・たみこ〉、高野フミ、岩原明子、小林ひろみ訳(講談社、1976年/増補・訂正版、中公文庫、1996年)/満を持して臨んだが150ページで挫ける。クララは明治8年(1875年)にアメリカから来日した。当時14歳。後に勝海舟の妾腹・梅太郎に嫁ぐ。梅太郎の生母は梶くま。くまの逝去後、梅太郎は勝家の三男として東京で育てられるが長じて梶姓を継ぐ。勝海舟には青い目をした6人の孫がいた。クララは曇りなき瞳で生き生きと明治の日本を綴る。取り立てて黄色人種を見下す視線もない。しかしながら宗教差別が凄まじい。キリスト教に洗脳された14歳としか見えない。福澤諭吉などの大物が次々と登場する。一級の資料といってよい。尚、勝海舟の部分だけであれば、下田ひとみ著『勝海舟とキリスト教』で間に合いそうだ。
『ネルーダ回想録 わが生涯の告白』パブロ・ネルーダ:本川誠二〈ほんかわ・せいじ〉訳(三笠書房、1976年)/飛ばし読み。さすがに文章が素晴らしい。来日していたとは知らなかった。若きカストロやゲバラとの出会いが目を惹く。時代を吹き渡った社会主義旋風にいささか違和感を抱く。各章の合間に挿入された詩が美しい。
45冊目『ザ・クオンツ 世界経済を破壊した天才たち』スコット・パタースン:永峯涼〈ながみね・りょう〉訳(角川書店、2010年)/著者はウォールストリート・ジャーナルの記者でこれがデビュー作。こなれた文章が秀逸で訳も素晴らしい。クオンツと呼ばれる天才数学者たちがサブプライム・ショック、リーマン・ショックで金融を崩壊させるまでをドラマチックに描く。個人的にはアーロン・ブラウンの登場にびっくりした。CDSの事情についても詳しく触れている。
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