2015-07-17
B・V・A・レーリンク、A・カッセーゼ、小室直樹、藤原肇、手塚治虫
1冊挫折、2冊読了。
『手塚治虫クロニクル 1968~1989』手塚治虫(光文社新書、2011年)/町山智浩が「傑作」と評した「きりひと讃歌」を読もうと思ったのだが、第1話しか掲載されておらず。ネット注文にありがちな失敗のひとつ。
84冊目『脱ニッポン型思考のすすめ』小室直樹、藤原肇(ダイヤモンド社、1982年)/学問の原理を重んじるこの二人が対話しているとは知らなかった。小室のデビュー作『危機の構造 日本社会崩壊のモデル』(ダイヤモンド社、1976年)を読んだ藤原が自著での主張と酷似していたため対談を申し出た。6歳年下の藤原がまったく臆することなく討論に臨む。内容は手厳しい日本叩きが大半であるが、東京裁判史観に毒された日本が高度経済成長を遂げ、バブル景気に向かう時期に当たる。史観を失って経済を重視したものの、国際社会で資本主義原理を弁えない日本の無知を二人は徹底的にこき下ろす。裏表紙の二人が実に若々しい。50歳の小室御大がギラギラした表情を放っている。天才が放つ火花に見とれる。
85冊目『東京裁判とその後 ある平和家の回想』B・V・A・レーリンク、A・カッセーゼ:小菅信子〈こすげ・のぶこ〉訳(中公文庫、2009年)/ベルト・レーリンクは東京裁判の判決に異を唱えた判事の一人だ。オランダ人。他ではインドのパール判事が最も広く知られているが、フランスのアンリ・ベルナール判事も個別反対意見書を提出している。日本人である私はレーリンクの考えを全面的に支持するものではないが、やはり歴史の当事者が語る重みがある。重要テキストであることに鑑み「日本の近代史を学ぶ」に追加した。法学部の大学生は本書を通して東京裁判を法的に検証するべきだ。日本の軍事力が二流で政治力が三流である現状を思えば、国際法という分野でエリートを育成するしか手が残されていない。戦略的な法律研究が必要だ。レーリンクは東條英機を始めとする日本人の被告は「皆、立派であった」と語っている。小菅信子の「解題」も気合十分。
0 件のコメント:
コメントを投稿