2015-10-01
小室直樹、高橋和巳、中川雅之、加藤祐三、小山鉄郎、小林よしのり、田原総一朗、他
2冊挫折、7冊読了。
『科学の考え方・学び方』池内了〈いけうち・さとる〉(岩波ジュニア新書、1996年)/講談社科学出版賞受賞。文章に切れがない。
『日本の独立』植草一秀(飛鳥新社、2010年)/「悪徳ペンタゴン」という言葉がよくない。視点が明らかに偏っている。行間にルサンチマンが漂う。
115冊目『戦争論争戦』小林よしのり、田原総一朗(ぶんか社、1999年/幻冬舎文庫、2001年)/今読むとやはり小林に軍配が上がる。田原総一朗はジャーナリストというよりも、ただのテレビマンであり、本質は言論プロレスラーにすぎないことがよく理解できる。この世代でこれほど礼儀を欠く人間も珍しいし、極めて罪悪感に乏しいタイプの人物である。単なる戦争嫌いが近代史の俯瞰を困難にしている。主要番組がテレビ朝日であるのも腑に落ちる。
116冊目『日本を貶めた10人の売国政治家』小林よしのり編(幻冬舎新書、2009年)/保守系論客による座談会。アンケートは一見の価値あり。国益を損なう首相の多さに目を覆いたくなる。
117冊目『白川静さんに学ぶ漢字は楽しい』白川静監修、小山鉄郎〈こやま・てつろう〉編(共同通信社、2006年/新潮文庫、2009年)/意外にも硬派な内容で、ページ上部の古代文字と図が参考になる。連載記事らしいが毎回白川に取材したとのこと。部首ごとにまとめられていて漢字の関係性がよくわかる。
118冊目『幕末外交と開国』加藤祐三(講談社学術文庫、2012年)/某テレビ番組は本書を題材にしていることがわかる。ペリーと林大学頭〈はやしだいがくのかみ〉とのやり取りは実にスリリングで当時のインテリジェンス能力の高さを示す。幕末の首脳は現代の政治家よりもはるかに外交能力に長(た)けていた。文章もよく、内容も濃く類書を圧倒している。「日本の近代史を学ぶ」に加えた。
119冊目『ニッポンの貧困 必要なのは「慈善」より「投資」』中川雅之(日経BP社、2015年)/新刊。これは良書。中川は日経新聞社からの出向組のようだが、かような良心をもつ人物がいることに驚く。文章に切れがあり、インタビューする人物も選り抜きといってよい。日経BP社では企画の段階から反対されたという。読者層を考慮すればそれも当然だろう。しかし中川はたった一人で優れた新聞連載を上回る仕事を成し遂げた。ジャーナリストの魂をもつ若い記者がいる事実に快哉を上げたい。
120冊目『子は親を救うために「心の病」になる』高橋和巳(筑摩書房、2010年/ちくま文庫、2014年)/摂食障害は母子関係に原因があるという。初めて知った。確かイーサン・ウォッターズ著『クレイジー・ライク・アメリカ 心の病はいかに輸出されたか』では、ほぼ世界同時進行で広まったと書いてあったように記憶する。最終章の悟り体験が忘れられず。必読書入り。
121冊目『日本人のための憲法原論』小室直樹(集英社インターナショナル、2006年/同社、2001年『痛快!憲法学 Amazing study of constitutions & democracy』改題)/編集の勝利。小室特有の文体的臭みをほぼ完璧に脱臭(笑)。講義形式にすることで驚くほど読みやすくなっている。しかも憲法論にとどまらず宗教学・歴史・社会学・経済学をも網羅。結果的には8割方のページに付箋をつける羽目となった。本年度暫定2位。これまた必読書入り。
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