2016-02-24
中条省平、西尾幹二、他
2冊挫折、2冊読了。
『「食べもの神話」の落とし穴 巷にはびこるフードファディズム』高橋久仁子〈たかはし・くにこ〉(ブルーバックス、2003年)/特定の食べ物や栄養が与える影響を過大に評価することをフードファディズムという。高橋が紹介した言葉である。「発掘!あるある大事典」の納豆ダイエットを覚えている人も多いことだろう。ま、捏造だったわけだが。私は常々「体験を根拠とする主張」を批判してきたが、本書に関しては逆に「体験のなさ」が科学的視点の無味乾燥を際立たせている。面白味のない正論といった印象を受けた。鋭さもなければ柔らかさもない。東洋医学を批判する西洋医学の視点と一緒だ。
『主食をやめると健康になる 糖質制限食で体質が変わる!』江部康二〈えべ・こうじ〉(ダイヤモンド社、2011年)/江部は糖質制限の言い出しっぺ。高橋からすればフードファディズムとなろう。健康本に共通するのは活字の大きいスカスカ本という作り。悪い本ではないのだが、時間がないため中止。
21冊目『三島由紀夫の死と私』西尾幹二(PHP研究所、2008年)/若き日に封印した私情を赤裸々に開陳する。それが西尾にとっては三島への誠実であったのだろう。「『死』から見た三島文学」と「不自由への情熱」を収録。三島事件に欠かせないテキストである。江藤淳批判については心情において同調せざるを得ない。
22冊目『三島由紀夫が死んだ日 あの日何が終り 何が始まったのか』中条省平〈ちゅうじょう・しょうへい〉編・監修(実業之日本社、2005年)/憲法改正の政治的機運が高まる今、東亜百年戦争(ペリー来航から大東亜戦争敗戦まで)、戦後占領の実態、そして三島由紀夫の憤死を省みる必要がある。岸信介の日米安保改定でとどまっていてはダメだ。新左翼の敗退と三島の死が戦後にピリオドを打ったのである。市ヶ谷の自衛隊駐屯地で三島は憲法改正のために自衛隊の決起を促した。自衛隊員たちは野次と怒号をもって応えた。
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