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2021-10-18

後藤健二氏殺害の真相/『日本人が知らない地政学が教えるこの国の進路』菅沼光弘


『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘 2013年
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘 2013年
『この国を呪縛する歴史問題』菅沼光弘 2014年

 ・アメリカの軍事予算削減を補う目的で平和安全法制が制定された
 ・戦死の法律的定義
 ・後藤健二氏殺害の真相

 今度の後藤(健二)さんの殺害をめぐって最大の謎はそこなのです。なぜ、ヨルダン政府は、1月27日に、すでに1月3日に殺されていたパイロットの釈放を取り引きの条件にしたのか。
 それを弁明して、「我々も誰かが殺されていたことは把握していたが、それがパイロットであるという確証は得ていなかった」とヨルダン政府は言ったのですが、この弁明はあまり説得力がない。いまの偵察衛星の精度から言えば、顔かたちまでみんなわかるはずです。
 それから、もうひとつ。このパイロットの父親は、昔からヨルダン王国と関係が深かったある遊牧民族の族長なのです。遊牧民というのは、昔から聴覚とか視覚とかがものすごく発達しています。肉眼では見えないような砂漠の遥か彼方にわずかな砂煙がちょっと立っただけで、敵が来るとわかる。そうでないと生きていけないのです。それと部族間の情報は、ものすごく早く回る。ヨルダンとイラクの距離はそんなにない。当然、この父親は部族の情報網を通じて、息子は殺されたことを知っていたはずです。この父親の元へ何度もヨルダン政府の人間が行っている。ヨルダン政府もすべて知っていたはずです。にもかかわらず、なぜすでに死んだ者の釈放を条件に挙げたのか。
 無理難題を出して交換できないようにしたわけです。後藤さんを釈放させないようにさせたのです。そこに英国の情報機関の介在が疑われる。かねて、英国は、第2次世界大戦のとき、1941年の12月8日に真珠湾攻撃があり、その二日後に、マレー沖海戦があった。この海戦で、日本海軍の航空隊によって、英国のロイヤル・ネーヴィーが誇る作戦行動中の戦艦プリンス・オブ・ウェールズ、重巡洋艦レパルスが撃沈された。真珠湾は泊まっている艦めがけての攻撃です。こちらは反撃もする作戦行動中の戦艦です。それを日本の海軍の、ベトナムから飛んで行った航空隊が、撃沈したのです。
 このニュースは日本でも大きく取り上げられたのですが、ヨーロッパ、とくに中東にものすごいショックを与えたのです。これが、英国の歴史家も書いていますが、中東の歴史を替えた。このことに刺激されて、当時英国の信託統治下にあったイスラエルのエルサレムで、いまでも現存している最高級のホテル、キング・デイヴィッド・ホテルに、当時の英国政府の代表部と、パレスチナ駐在の英国軍の司令部があったのですが、そこへ、イスラエルの秘密機関の命令で、そこのコックがホテルの地下に爆弾を仕掛けて、爆破させてしまった。それで、英国はほうほうの体でイスラエルから逃げることになった。それがイスラエルの独立につながっていったのです。
 当時、英国は世界最強の国だった。英国の海軍は七つの海を支配していた。こんな強い英国に抵抗するなどということは、当時ユダヤ人にも、もちろんアラブ人にも考えられなかったことなのです。
 ところが、イエロー・モンキーと呼ばれた日本人がやってしまった。だから、これは世界史的に見ても大変なことだったのです。
 先ほどから何度も言っているように、アラブ人を2級市民として扱い、くそみそに言っている英国を、同じアジア人がやっつけてくれた。本当にみんな喜んじゃったのです。
 以後、アラブの人たちは親日派になった。特に知識人がそうです。
 しかし、逆に、英国にとっては頭に来ることだった。当然ですね。結果的に、日本によって、英国は中東から放り出されたということになるわけですから。
 したがって、英国にとっては、もう二度と再び、中東に日本の進出させるのは御免蒙(こうむ)るということです。

 ところが、昨年12月に安倍さんがイスラエルに行って演説しました。「イスラム国」に抵抗する中東の国々に日本は援助を惜しまない、と演説したのです。そして、後藤さん救出のための本部をヨルダンのアンマンに置いた。本来、これは民間人の問題だったのだから、外務省の領事部あたりでこそこそやればいいものを、わざわざ副大臣を本部長としてアンマンに駐在させて、救出活動を大々的に宣伝した。
 しかし、そのときに英国は、これを逆用して、日本人の中に「反イスラム」の空気を醸成しようと考えたはずです。要するに、イスラムを日本人の敵にさせよう。世界の情報機関というのはこういうことを考えるのです。日本が「親イスラム」では困るのです。(中略)

 それはその後の展開を見ればわかる。後藤さん、湯川遥菜さんが殺されてしまって、日本人はみんな「『イスラム国』はなんということをしてくれたんだ」となった。
 そして、日本の国民が「反アラブ」「反イスラム」なんてことになってくると、向こうもますますもって「反日」となっていく。そして、その流れの中で、2020年の東京オリンピックが行われることになると、日本を標的にしたテロが怖い。
 後藤さん殺害のときに「イスラム国」は「これから、日本および日本人をテロの標的にする」と宣言しました。だから、東京オリンピックでの「イスラム国」によるテロの可能性も排除できない。本来、その可能性は限りなくゼロに近かったのに、です。
 そういうことをイギリスの情報機関はやった可能性があるのです。
 しかし、あの人たちはものすごく巧い。この事件の直前に、初めてロンドンで、日本の防衛大臣、外務大臣、英国の国防大臣、外務大臣の「2+2」の会談を行ったのです。
 そして、そのときに、お互いに安全保障の問題について意見を交換したのです。まさにこの時期だから、「イスラム国」の問題について、ロンドンのほうが情報が多いというので、情報の共有をもちかけたはずです。そのとき、英国側は日本は何も知らないということを確信したのですね。だからできたのです。いま言ったような形で騙(だま)せた。日本の人はそんなことは夢にも思わない。
 また、その後、追い打ちをかけるように、イギリスのプリンス、ウィリアムが日本の東北に来ました。イギリスはそんなに悪い国だと、私みたいな人間が言っても、いやいやそんなことはない、わざわざプリンスが来日して、東北のお見舞いをしてくれた、ああイギリスはいい国だ、ということになるでしょう。こんな私みたいな見立てをする人間は、誰もないですよ。
 しかし、インテリジェンスの世界というのはそんなものなのです。よその国のことなんか考えてくれません。みんな自分の国の国益だけを考えて行動する。それが情報機関というものです。
 そして、後藤さんの首を斬ったジハーディスト・ジョン。あの英語はロンドン訛(なま)りの英語だという。あの男、しばらくしてから、自分がなぜ「イスラム国」に参加しているか、手記を出したのです。それによると、イギリスでMI5につかまってしまって、MI5がいろいろなことを要求するから頭に来て「イスラム国」に来たと書いてある。そういう話を聞くと、プロは、あのMI5が逃がすようなことはしない。「我々に協力するか、それとも死ぬか、二つに一つ」、どちらかしかない。あそこへ行ったということは、MI5の手先として行っているのです。MI5の手先が「イスラム国」の中に浸透しているということです。(中略)
 MI5の連中はもっと狡猾(こうかつ)です。命令されて、あるいは自ら進んでかもしれないけど、ナイフで捕虜の首を斬る。そういう映像をぱーんと出す。「そうか、お前信用できるな」となる。MI5のやり方はそれなんです。(中略)
 ただ、後藤さんが殺されたひとつの理由は、彼がキリスト教徒だったからだろうと思います。彼がもし仏教徒だったら、あるいは殺されなかったかもしれません。イスラムの人にとってはキリスト教徒は敵なのですから。

【『日本人が知らない地政学が教えるこの国の進路』菅沼光弘〈すがぬま・みつひろ〉(KKベストセラーズ、2015年)】

『ダイヤモンドより平和がほしい 子ども兵士・ムリアの告白』後藤健二

 省略したのだが、日本赤軍は中東で英雄視されているとも書かれている。テルアビブ空港乱射事件(1972年)が自爆テロの呼び水になったとのこと。

 歴史の恩讐(おんしゅう)はかくも根深い。特に植民地を失ったイギリス・フランス・オランダは帝国の位置から叩き落されたわけだから恨み骨髄である。

 プリンス・オブ・ウェールズの撃沈の報告を聞いたイギリスのチャーチル首相は絶句し「戦争全体でその報告以上に私に直接的な衝撃を与えたことはなかった」と著書の『第二次世界大戦回顧録』で語っている。

Wikipedia

 日本人捕虜の犠牲をお膳立てし、その価値を最大限にまで高める。所謂「最適化」だ。バイブルを台本とする彼らであればこそ、かような演出が可能なのだ。シェイクスピアも墓場で目を白黒させているに違いない。

 日本人はあまりにも恵まれている。まず水や食料に困ることがない。気候も温暖で雪国を除けば雨露さえ凌ぐことができれば死ぬこともない。何にも増して異民族から支配されたことが一度もない。ヨーロッパのように権謀術数が必要な場面も少なく、腹を切ってしまえば後は水に流してもらえる。「水に流せる」のは水が豊富だからだ。砂漠の民族の苛烈さは水の乏しさに依るものか。

 陰謀は欧米の伝家の宝刀である。「陰謀論」という言葉は、もちろん陰謀を隠すために編み出されたキーワードである。王朝がくるくると変遷するチャイナもまた謀(はかりごと)の国である。孫子の兵法はナポレオンも愛読していた。そんな世界にあって我々日本人はまるで中学生のように陰謀を「卑怯」と憎む性質から脱却できていない。それどころか「敵を知る」努力すら敗戦後怠ってきた。

 中国を肥え太らせたのは日本である。小さかった座敷犬は既に猛獣と変貌した。彼らは日清戦争の恨みを忘れなかった。習近平は中華思想に息を吹き込み、かつての朝貢国を再び従えようと目論んでいる。

 いざ戦争となれば日本人は強い。グルカ兵ですら恐れた日本人である。戦闘状態に入ればDNAが目覚めることだろう。だが、起つの遅くなれば被害が大きくなってしまう。犠牲になるのは老人と婦女子である。それを最小限に抑えるためには「備え」が欠かせないのだ。憲法改正が急務である。

戦死の法律的定義/『日本人が知らない地政学が教えるこの国の進路』菅沼光弘


『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘 2013年
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘 2013年
『この国を呪縛する歴史問題』菅沼光弘 2014年

 ・アメリカの軍事予算削減を補う目的で平和安全法制が制定された
 ・戦死の法律的定義
 ・後藤健二氏殺害の真相

 安倍内閣のやったことは、集団的自衛権の行使は憲法違反ではないとしたことですが、その集団的自衛柄件というのを具体化した場合、どうなるでしょうか。
 例えばいまの自衛隊員が、仮に中国が尖閣に攻めて来たときに、国を守るというようなことになれば、後顧の憂いなく立ち上がって中国に立ち向かっていく。これはまさに個別的自衛権の発動ということになります。だから、それについては何の問題もありません。
 しかし、ではアメリカの艦船がミサイル攻撃を受けるかもしれないという段階のときに、日本の自衛隊が、中国のミサイル艦を攻撃する。そして、中国の反撃を受けて、自衛隊員が戦死することもある。こういう事態を、日本の自衛隊の人たちは受け入れることができるだろうか。現に、その形で戦死したときに、これまでそれについての具体的な法律は何もできていなかった。その戦死した自衛官は靖国神社に祀(まつ)られるのか。いま、防衛省の中に慰霊碑があって、毎年慰霊祭をやっています。それは災害出動で亡くなった方とか、演習中に命を落とした方とか、そういう人たちがみな祀られている。それらの方々は靖国神社とは関係ない。戦争ではないのだから。これは「戦死」ではないのだから。
 自衛隊員が国のために戦って撃たれる。これは本望だ。だから、国のためにお亡くなりになったのだから、国がその慰霊をやる。遺族に補償をする。これは当然です。
 しかし、アメリカのために戦ってやられたという場合、どのように遺族に説明をして、どのように処理をしていくか。例えば遺族への補償はどうするか。遺族年金があるのか。いままでそういう事態をまったく想定していないから、それに備えた法律は何もできていないのです。
 そして、さらにもっと言えば、自衛隊は憲法上では軍隊ではないので、 軍隊ならば、当然の権利・義務みたいなものも揃っていないのです。
 それから、個別的自衛権の場合は、正当防衛という論理を使う。例えば自衛艦が砲撃されるという場合、攻めて来た中国の軍艦に向かって自衛隊が発砲する。この場合、これは正当防衛の論理で考える。
 しかし、アメリカの軍艦のために、中国の兵員を自衛隊員が撃ち殺した場合、これは日本の法制の中にどう位置づけられるのか。一番細かいことから言うと、違法性は阻却されるのか。そんなことから始まって何も決められていないのです。
 だから、集団的自衛権の行使だけ認めても、さまざまな以前の法律が矛盾したまままだ生きている。自衛隊が発砲する法的根拠というのは、警察何職務執行法ですよ。それに準じているのです。だから、警察官がピストルを撃ったとき、過剰防衛ではない、正当防衛であった、という弁明をしますね。正当防衛というのは、急迫不正の侵害に対し、やむをえないやり方でやらないと、違法性が阻却されない。阻却されない場合、警察官は逮捕されることになります。
 法整備なしに集団的自衛権を行使したら、苦労するのは自衛隊員だということは目に見えている。だから、そういう自衛隊の人たちのための法整備をやらないことにはどうしようもない。これが「安保法制」ということの本当の問題点です。

【『日本人が知らない地政学が教えるこの国の進路』菅沼光弘〈すがぬま・みつひろ〉(KKベストセラーズ、2015年)】

 新聞やテレビはこうしたことを報じたのだろうか? 政治的なテーマを国民が理解しているようには思えないし、政治家自らがきちんと伝えているとも思えない。自衛隊もしっかりと発信するべきだろう。

 日本国民は日米安保というサンタクロースを信じて国防意識を眠らせている。中国が尖閣諸島の上陸すれば米軍が攻撃するだろうか? 異国の無人島のために彼らは自らの生命を犠牲にするだろうか? しかも当事者は指をくわえて眺めているだけにも関わらず。あり得ない。米軍の軍事行動には議会の採決が必要なのだ。アメリカ国民がそれを支持することは断じてないだろう。

 戦後の日本は致命的な過ちを二度犯した。一つは北朝鮮拉致問題(1988年、梶山答弁)で、国民の生命と財産を守る国家の義務を思えば、戦争をしてでも取り返すべきだった。もう一つは地下鉄サリン事件(1995年)に対して破防法適用しなかったことである。バブル景気が日本人を狂わせてしまったのだろう。

 既に法律のテクニカルな問題を論じても徒労感につきまとわれる。日本国民の意思で憲法改正を行っておかなければ、軍事行動が先んじてなし崩し的に突入した満州事変と同じ轍を踏む羽目となることだろう。

 政治に期待できなければ、石原莞爾〈いしわら・かんじ〉か海江田四郎の登場を待つ他ない。

2021-10-17

アメリカの軍事予算削減を補う目的で平和安全法制が制定された/『日本人が知らない地政学が教えるこの国の進路』菅沼光弘


『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘 2013年
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘 2013年
『この国を呪縛する歴史問題』菅沼光弘 2014年

 ・アメリカの軍事予算削減を補う目的で平和安全法制が制定された
 ・戦死の法律的定義
 ・後藤健二氏殺害の真相

 対米関係で一番大事なことは何か。いま、アメリカの現状をつらつら考えるに、アメリカはイラク戦争をやったり、あるいはアフガニスタンに兵を出したりして、膨大な軍事費を使ってしまった。その結果、アメリカの財政が逼迫(ひっぱく)したことです。アメリカはドルさえ刷ればお金はつくれるのだけけれども、それにも限界があるわけです。あまりやり過ぎると、強烈なインフレが起きてにっちもさっちもいかなくなる。したがって、そこで締めなければいけない。軍事予算も緊縮しなければいけない。オバマ大統領は3年前から、今後10年間、国防予算を毎年10%、機械的に削減していくことにした。それは国際情勢いかんにかかわらず、そうするという方針を出したのです。アメリカの国防予算の10%というのは、日本の自衛隊の予算よりも多いのです。それだけの額を目標に毎年カットしていくというわけです。これはたいへんなことです。
 そのために、その削減分を、日本に、特に太平洋においては自衛隊に肩代わりしてほしいというのが、アメリカの最大の要望なのです。
 それに応え、アメリカに協力できるような法制をつくる。それが、2015年7月18日に衆議院を通った安保法制なのです。その中核は何かというと、集団的自衛権の行使を現憲法の下でも認めるということです。そこで、内閣法制局長官の首を切ってまで(2013年8月8日山本庸幸小松一郎)、安倍さんは、「解釈」を変更することで、集団的自衛権の行使を認めることにしたのです。
 そして、その法的根拠は、昭和32、33年の砂川闘争というのがあったわけですが、そのときの裁判で、最高裁は初めて「日本には自衛権がある」ことを認めた。その砂川判決に依ったのです。最高裁が自衛権を認めたことは、個別的自衛権の他に集団的自衛権もあると認めたことだ、という解釈で、歴代の内閣が慎重に「憲法違反」としてきた集団的自衛権を、内閣の一存で認めさせたのです。
 そのことによって、アメリカの軍事予算削減に起因する、軍事力の弱体化を日本の自衛隊が具体的に補えるようにしたのです。
 こういうことで「もう安倍内閣は大丈夫だ」というところまで見届けて、岡崎(久彦)さんは安心してお亡くなりになったと言われています。
 安保法制を、そんな具合にして政府はここまで押し通してきたわけです。ところが、国会が始まって、参考人として呼んだ憲法学者がみんな「集団的自衛権は憲法9条違反だ」と言った。与党が呼んだ参考人までが憲法違反だと言いました。それで国会審議の雰囲気はまたおかしくなったけれども、その流れの中で、しかし衆院を通したわけですから、これから安倍内閣自体が国内的にどうなるかはわかいませんが、アメリカは満足したでしょう。
 アメリカにしてみれば、これで中国に対してかなり大きな抑止力を構築できたということになります。

【『日本人が知らない地政学が教えるこの国の進路』菅沼光弘〈すがぬま・みつひろ〉(KKベストセラーズ、2015年)】

 久方振りの菅沼本である。語り下ろしであるが、やはり老いた感が否めない。

砂川裁判が日本の法体系を変えた/『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』矢部宏治

 上記リンクは狡猾(こうかつ)な左翼本であるが一読の価値はある。

 平和安全法制制定の事情と背景はわかった。それにしても、なぜ日本政府はいつも受けばかりに回って、攻めに転じないのか? 吉田茂が経済を優先して軍事を後回しにしたのはそれなりの見識に基づいた政策であった。しかし吉田はその後変節する。

日米安保条約と吉田茂の思惑/『重要事件で振り返る戦後日本史 日本を揺るがしたあの事件の真相』佐々淳行
憲法9条に対する吉田茂の変節/『平和の敵 偽りの立憲主義』岩田温
マッカーサーの深慮遠謀~天皇制維持のために作られた平和憲法/『吉田茂とその時代 敗戦とは』岡崎久彦

 岸信介が行った日米安保条約改定も極めて正当なものだった。とすれば池田勇人以降の首相責任が重いと考えざるを得ない。

 アメリカが日本に何かを肩代わりさせようと近づいてきた時に、なぜこれを梃子(てこ)にして攻勢に打って出ないのか。本書によればEUはドイツを封じ込める目的で結成されたとあるが、そのEUでドイツは見事に経済的な主導権を確立したのである。日本政府はアメリカを利用して自主憲法を制定するのが当然ではなかったか。

 あまりにも馬鹿馬鹿しい戦後の歴史を思えば、日本の官僚制度がアメリカに牛耳られているような錯覚すら覚える。

 規制緩和も遅々として進まない現状を鑑みれば、一定程度の独裁政権が誕生しない限り、この国が変わることはなさそうだ。

2020-07-06

日本の伝統の徹底的な否定論者・竹内好への告発状 その正体は、北京政府の忠実な代理人(エージェント)/『悪魔の思想 「進歩的文化人」という名の国賊12人』谷沢永一


・『書斎のポ・ト・フ』開高健、谷沢永一、向井敏
・『紙つぶて(全) 谷沢永一書評コラム』谷沢永一
『「悪魔祓い」の戦後史 進歩的文化人の言論と責任』稲垣武
『こんな日本に誰がした 戦後民主主義の代表者・大江健三郎への告発状』谷沢永一

 ・進歩的文化人の正体は売国奴
 ・日本罪悪論の海外宣伝マン・鶴見俊輔への告発状 「ソ連はすべて善、日本はすべて悪」の扇動者(デマゴーグ)
 ・日本の伝統の徹底的な否定論者・竹内好(たけうち・よしみ)への告発状 その正体は、北京政府の忠実な代理人(エージェント)

『誰が国賊か 今、「エリートの罪」を裁くとき』谷沢永一、渡部昇一
『いま沖縄で起きている大変なこと 中国による「沖縄のクリミア化」が始まる』惠隆之介
『北海道が危ない!』砂澤陣
『これでも公共放送かNHK! 君たちに受信料徴収の資格などない』小山和伸
『ちょっと待て!!自治基本条例 まだまだ危険、よく考えよう』村田春樹
『自治労の正体』森口朗
『戦後教育で失われたもの』森口朗
『日教組』森口朗
『左翼老人』森口朗
・『売国保守』森口朗
『愛国左派宣言』森口朗

 ところで、近代シナ文学の研究者に竹内好(よしみ)という魁偉(かいい)な人物がいました。この人はシナ学を志したくせに、肝心なシナの古典については無学であり、無関心でしたが、それはともかくとして、自分の専攻である近代シナ文学に執着するあまり、近代シナが格別に秀でた国であると信じるようになりました。これまた一向に珍しくもない、ありふれた自然な経過です。
 ところが竹内好の場合は、近代現代のシナを崇敬し高く持ちあげるにとどまらないで、現代シナを尊重し称賛する思い入れを梃(てこ)に用いて、ひたすら、わが国を罵倒する放言に熱意を燃やしました。なにがなんでも、常に悉(ことごと)くシナは正しく清らかであり、そのご立派な尊敬すべきシナに較べて、なにがなんでも、すべて、必ず日本は劣っており間違っている、という結論が一律に導きだされました。
 その生涯を通じて竹内好は、日本に対して肯定的な評価を下したことがなく、彼にとって日本はあらゆる面において否定と非難の対象にしかすぎませんでした。反日的日本人という言葉ができるより遙(はる)か遙か昔、半世紀以上も前から、竹内好は筋金入りの反日的日本人でありました。

【『悪魔の思想 「進歩的文化人」という名の国賊12人』谷沢永一〈たにざわ・えいいち〉(クレスト社、1996年/改題『反日的日本人の思想 国民を誤導した12人への告発状』PHP文庫、1999年/改題『自虐史観もうやめたい! 反日的日本人への告発状』ワック、2005年)】

 私はつくづくこの12人の著作を読んでこなかったことを感謝した。加藤周一の「夕陽妄語」(せきようもうご/朝日新聞連載)に目を通した程度である。とにかく掴みどころのない文章で後に谷沢と向井敏が腐していたのを読んで溜飲を下げた憶えがある。丸山眞男の『現代政治の思想と行動』を読まねばと思ったのは30代になった頃だ。マルティン・ニーメラー牧師の言葉が引用された「現代における人間と政治」は避けて通れないと感じた。が、ついぞ読む機会がなかった。丸山については進歩的文化人の代表であることは動かないが、小室直樹が師事しており政治学者としては優れた見識の持ち主なのだろう。最後は学生運動に愛想を尽かした

 他人の悪口を読むのは後味の悪いものである。感情を一旦突き放して見つめる冷静さを欠くと醜悪な文章になりやすい。「この人はシナ学を志したくせに」は書き過ぎだ。抑制が利いていない。それでも本書が教科書本であるのは確かで、彼らの正体を知らずに著書と親しんでいる人も多いことと思われる。

 竹内好の本は何冊か持っていた。あまり記憶にないので多分売れたのだろう。悪い印象は持っていなかったので本書を読んで吃驚仰天(びっくりぎょうてん)した。中国人は客をもてなすのが巧い。たとえそれがカネや女であったとしても、誰に何を与えればどう動くかをきちんと読んでいる。毛沢東や周恩来が生き抜いてきた政争は日本の比ではない。周恩来の養女・孫維世〈そん・いせい〉は留置所で惨殺されている。

 文化大革命時代には、女優としての名声の高さと毛沢東との男女関係から江青の嫉妬を買い、迫害を受けた。孫維世は養父である周恩来が署名した逮捕状を以って、北京公安局の留置場に送られ、1968年10月14日に獄中で死亡した。遺体は一対の手枷と足枷のみ身に付けた全裸の状態であった。一説には江青が刑事犯たちに孫維世の衣服を剥ぎ取らせて輪姦させ、輪姦に参加した受刑者は減刑を受けたと言う。また、遺体の頭頂部には一本の長い釘が打ち込まれていたのが見つかった。これらの状況から検死を要求した周恩来に対し、「遺体はとうに焼却された」という回答のみがなされた。

Wikipedia

 周恩来には表の顔と裏の顔があったが、そうでもしなければとっくに失脚していたことだろう。

 アメリカと中国は、表面的には対立していても裏の情報世界ではもともとツーカーなんです。そもそもCIAの前身OSS時代には、長官ドノバンの命令でOSS要員が延安の共産党根拠地に出向いて、対日抗戦を支援していた。60年代の中ソ対立時代も米中はあらゆる場面で結託してソ連に対抗していたし、79年のソ連アフガニスタン侵攻で、ムジャヒディンを支援しタリバン政権を後押ししたのも、米中の情報機関です。スパイマスター周恩来によって育まれた中国共産党の情報機関、中央委員会調査部は胡耀邦総書記の時代、公安部の一部と合併、国家安全部として、現在では、かつてのソ連のKGBをしのぐ巨大組織になっています。

【『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘(徳間書店、2006年)】

 中国の手に掛かれば政治家はもとより作家・ジャーナリスト・学者などはイチコロだろう。子供に飴を与えるようなものだ。中国へ渡ると親中派になって帰国する人が多いのも当然だ。細君を伴わない政治家は確実に女を充てがわれていると見てよい。

 左翼は国家の伝統を破壊し漂白した後に社会主義の樹立を目論む。人権・平等・ジェンダーといった綺麗事に騙されてはならない。彼らは単なる破壊者なのだ。

2020-01-16

進歩的文化人の正体は売国奴/『悪魔の思想 「進歩的文化人」という名の国賊12人』谷沢永一


・『書斎のポ・ト・フ』開高健、谷沢永一、向井敏
・『紙つぶて(全) 谷沢永一書評コラム』谷沢永一
『「悪魔祓い」の戦後史 進歩的文化人の言論と責任』稲垣武
『こんな日本に誰がした 戦後民主主義の代表者・大江健三郎への告発状』谷沢永一

 ・進歩的文化人の正体は売国奴
 ・日本罪悪論の海外宣伝マン・鶴見俊輔への告発状 「ソ連はすべて善、日本はすべて悪」の扇動者(デマゴーグ)
 ・日本の伝統の徹底的な否定論者・竹内好への告発状 その正体は、北京政府の忠実な代理人(エージェント)

『誰が国賊か 今、「エリートの罪」を裁くとき』谷沢永一、渡部昇一
『いま沖縄で起きている大変なこと 中国による「沖縄のクリミア化」が始まる』惠隆之介
『北海道が危ない!』砂澤陣
『これでも公共放送かNHK! 君たちに受信料徴収の資格などない』小山和伸
『ちょっと待て!!自治基本条例 まだまだ危険、よく考えよう』村田春樹
『自治労の正体』森口朗
『戦後教育で失われたもの』森口朗
『日教組』森口朗
『左翼老人』森口朗
・『売国保守』森口朗
『愛国左派宣言』森口朗

〈戦後の学界、言論界の大ボス・大内兵衛(おおうち・ひょうえ)への告発状〉
第二章 「日本は第二次大戦の主犯」と言う歴史の偽造家

〈日本罪悪論の海外宣伝マン・鶴見俊輔(つるみしゅんすけ)への告発状〉
第三章 「ソ連はすべて善、日本はすべて悪」の扇動者(デマゴーグ)

〈戦後民主主義の理論的指導者(リーダー)・丸山眞男(まるやま・まさお)への告発状〉
第四章 国民を冷酷に二分する差別意識の権化(ごんげ)

〈反日的日本人の第一号・横田喜三郎(よこた・きさぶろう)への告発状〉
第五章 栄達のため、法の精神を蹂躙(じゅうりん)した男

〈進歩的文化人の差配人・安江良介(やすえ・りょうすけ)への告発状〉
第六章 金日成に無条件降伏の似非(えせ)出版人

〈「進歩的インテリ」を自称する道化・久野収(くの・おさむ)への告発状〉
第七章 恫喝(どうかつ)が得意な権力意識の化身

〈進歩的文化人の麻酔担当医・加藤周一(かとう・しゅういち)への告発状〉
第八章 祖国をソ連に売り渡す“A級戦犯”

〈日本の伝統の徹底的な否定論者・竹内好(たけうち・よしみ)への告発状〉
第九章 その正体は、北京政府の忠実な代理人(エージェント)

〈マスコミを左傾化させた放言家・向坂逸郎〈さきさか・いつろう)への告発状〉
第十章 最も無責任な左翼・教条主義者

〈現代の魔女狩り裁判人・坂本義和(さかもと・よしかず)への告発状〉
第十一章 日本を経済的侵略国家と断定する詭弁家(きべんか)

〈ユスリ、タカリの共犯者・大江健三郎(おおえ・けんざぶろう)への告発状〉
第十二章 国家間の原理を弁(わきま)えない謝罪補償論者

〈進歩的文化人の原型・大塚久雄(おおつか・ひさお)への告発状〉
第十三章 近代日本を全否定した国賊

【『悪魔の思想 「進歩的文化人」という名の国賊12人』谷沢永一〈たにざわ・えいいち〉(クレスト社、1996年/改題『反日的日本人の思想 国民を誤導した12人への告発状』PHP文庫、1999年/改題『自虐史観もうやめたい! 反日的日本人への告発状』ワック、2005年)】

 錚々(そうそう)たる顔ぶれで谷沢永一の本気が伝わってくる。1990年代は戦後教育の毒がまだ抜けていなかった。小泉訪朝で北朝鮮が拉致(らち)を認めた2002年から東日本大震災(2011年)までの10年間で日本人はようやく目覚めた。この時、民主党政権であったことが国民にとっては二重の不幸であった。菅直人は国旗・国歌に反対する真性の左翼で「君が代」を絶対に歌わない政治家だった。2009年に政権をとった民主党は2012年の暮れに下野する。国民が寄せた期待は無残かつ最悪の形で潰(つい)えた。

 冒頭の一文を紹介しよう。

 戦後50年です。その間、総体として言えば、日本の社会的な風潮は、先の大東亜戦争のため、多大の罪悪感を持つように、国民を引きずり回してきました。
 しかも、この傾向が一段と高まったのは、時間が進むにつれての“押しつけ”だったのです。すなわち、日韓基本条約昭和40年)と日中平和条約昭和53年)によって、国際関係の諸問題が解決し、国交がきちんと正常化したそのあとから、京城政府および北京政府に、平身低頭すべきであるという時流が強まったのです。まことに、おかしな根拠のない思い込みでした。
 そのため、中華人民共和国や大韓民国などアジアの諸国が、先の大戦にまつわるさまざまな言い掛かりを突きつけてきたとき、その言い分を無条件に受け入れるという習慣が生まれました。それも、正規の外交ルートを通じての公式な申し入れではないのです。一方的な放言として、わが国を攻撃したり、いわゆる不快の意を憎々しげに表明したり、新聞の論調で喚(わめ)きたてたり、という手口でした。すべて、近代国家としての正式な手続きを経ない非公式な恫喝(どうかつ)だったのです。
 それにもかかわらず、わが国のその時その時の政府は、それこそ無条件で頭を下げ、相手側の言い分を全面的に認めて、拝跪(はいき)する姿勢を通してきました。政府よりもっとひどかったのは、新聞とテレビによるわが国の言論界だったのです。本来なら、国民の意向を反映すべきはずの言論界が、一部の国を売る輩(やから)に乗っ取られてしまいました。
 これら言論界を牛耳(ぎゅうじ)っている連中が、北京政府や京城政府の立場に立って、彼らの言い分を増幅してがなりたてる代理人となり、日本にだけ非があると囃(はや)し立てたのです。彼らは日本の国益を代弁するという、当然そうあるべき使命を投げ捨て、その逆に、相手側の国の利益になるように言論を組み立てました。
 他国の利益を重んじて他国の代弁者となり、自分の国の大切な国益を損なう行為に突き進む者、これを「売国奴」と呼ぶのが正当でありましょう。

 日中共同声明(1972年)はよく憶えている。私は小学校3年生だった。担任の先生が昂奮した面持ちで教室に入ってくるなり、「今凄いニュースがあった。中国と日本が仲直りした」と告げた。

 今振り返ると中国は実に巧妙であった。左派政党ではなく公明党を使って国交回復を打診したのだ。キッシンジャーの極秘訪中(1971年)という呼び水もあった。田中角栄首相は飛びついた。「ビンのふた」論も知らずに。

米中国交回復のためにアメリカは沖縄を返還した/『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘
李承晩の反日政策はアメリカによる分割統治/『この国を呪縛する歴史問題』菅沼光弘

 日本人は近代史を学ぶことを禁じられたも同然だった。戦後教育は東京裁判史観に染まっていた。結局のところGHQの蒔(ま)いた種が中国・韓国という花を咲かせたということなのだろう。

 そして中韓の反日運動が日本人にとって目覚まし時計の役割を果たすのだから歴史というものは一筋縄ではゆかないものである。



中国の核実験を礼賛した大江健三郎/『脱原発は中共の罠 現代版「トロイの木馬」』高田純

2018-10-01

李承晩の反日政策はアメリカによる分割統治/『この国を呪縛する歴史問題』菅沼光弘


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年
『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘:2009年
『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘:2010年
『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年
『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘:2011年
『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘:2012年
『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘:2012年
『国家非常事態緊急会議』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄:2012年
『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘:2012年
『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
『神国日本VS.ワンワールド支配者』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄
『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘:2013年

 ・李承晩の反日政策はアメリカによる分断統治

『日本人が知らない地政学が教えるこの国の進路』菅沼光弘 2015年

 李承晩がアメリカの承認を得て大統領になった1948年当時は、当然のことながら韓国国民はみな日本統治時代のことを知っていたわけで、それゆえ過去を懐かしむということも多々あったわけですが、そうした親日的な人々が次々に投獄されることなった。李承晩が大統領に就任してからの2年間に、こうした政治的弾圧によって投獄された人々の数は、日本統治時代を通じて投獄された人々の総数を超えるほどだったといわれています。
 もちろん学校教育においては反日教育が徹底的に行われました。日本の出版物やテレビドラマ、歌謡曲などの大衆文化も「公序良俗に反する」として輸入や放送が規制されました。こうした規制は延々半世紀にわたって続き、部分的ながら開放されるようになったのはつい最近のことにすぎないのです。

【『この国を呪縛する歴史問題』菅沼光弘(徳間書店、2014年)以下同】

 韓国の民主化・自由化が実現したのは金大中〈キム・デジュン〉大統領の時代で1997年のことである。李承晩の後を継いだ朴正熙〈パク・チョンヒ〉~全斗煥〈チョン・ドゥファン〉は軍事クーデター政権で、盧泰愚〈ノ・テウ〉も軍出身者だった。続く金泳三〈キム・ヨサンム〉は文民だが旧軍事政権と選挙協力をしていた。

 義務教育で反日教育を施しているのは中国と韓国であり、戦争を前提とした準備行動であると考えるのが妥当だ。反日デモや反日行動が報じられるようになり日本人の反中・反韓感情が一気に高まった。フリー・チベット運動によって眼(まなこ)を開いた人も多いことだろう。私もその一人だ。

 東アジアを不安定なまま維持するのがアメリカの防衛戦略である。自らの覇権のために他国を混乱させるのがアングロサクソン流だ。

 反共はともかく、なぜ李承晩はこれほどまで徹底して反日政策をとったのかといえば、それが取りも直さずアメリカの政策にほかならなかったからです。アメリカは朝鮮半島が日本の領土であることを認識していました。それゆえ日本と韓国を分割統治する上で、韓国における日本の残滓(ざんし)を一掃しなければならないと考えました。とりわけ韓国国民に染みついた過去の日本式教育をアメリカの意思にかなったものに改革しなければならない。そうでなければ日本と韓国を切り離すことができないからです。それにはまず徹底的に反日感情を植えつけて両国を離反させる、というのが当時のトルーマン大統領によるアメリカの韓国占領政策であり、それはまたディバイド・アンド・ルール(分割統治)の原則でした。そしてそれを忠実に実践したのが李承晩という傀儡だったわけです。

 分割統治は大英帝国のお家芸である。相手国の少数派を特権階級化して植民地経営を行うのを基本とする。反英感情を防ぐ盾(たて)のようなものだ。ルワンダで同じ民族の人々をツチ族とフツ族に分けたのもベルギーによる分割統治であった。それがあのルワンダ大虐殺にまで発展するのだ。

 韓国の建国が1948年(昭和23年)である。アメリカの反日政策はキッシンジャーの米中外交(1971年)にまで脈々と引き継がれた。周恩来に魅了されたキッシンジャーは在日米軍を「ビンの蓋(ふた)」に例え、飽くまでも日本の軍事的膨張を防ぐところに目的があると言明した。文化大革命を生き延びた周恩来からすればキッシンジャーなど青二才同然であったことだろう(『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘)。

 キッシンジャーはいまだ健在である。トランプ政権を陰で支えているのだ。現在アメリカでは軍産複合体を支配するユダヤ人旧勢力とユダヤ人新勢力の綱引きが激化している。米国内の主導権が変わったところでキッシンジャーが絵を描いている以上、東アジア戦略は変わることがないだろう。今後、韓国が北朝鮮に飲み込まれる形で統一されれば、日本の立ち位置はかなり危うくなる。台湾・フィリピン・ASEAN諸国と連携するしか道はない。

 韓国が埋め込まれた反日感情に自ら気づくことは難しいだろう。とすれば日清戦争と同じ状況が再びやって来るに違いない。

2018-04-28

安倍首相辞任の真相/『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年
『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘:2009年
『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘:2010年
『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年
『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘:2011年

 ・教科書問題が謝罪外交の原因
 ・アメリカの穀物輸出戦略
 ・中国の経済成長率が鈍化
 ・安倍首相辞任の真相

『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘:2012年
『国家非常事態緊急会議』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄:2012年
『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘:2012年
『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『神国日本VS.ワンワールド支配者』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘:2013年

 最近、ブッシュ政権の国務長官だったコンドリーザ・ライスが回顧録を出しましたが、そのかで北朝鮮に対する日本政府の対応を痛烈に非難しています。ライス国務長官は、当時のチェイニー副大統領などの強硬派の意見を退けて、ブッシュ大統領に北朝鮮との話し合い路線を進めていたからです。アメリカは「テロ支援国家」の名簿に入れていた北朝鮮を、名簿から外す方向で考えていたのです。
 しかし安倍さんは、日本人を拉致するというのはまさしくテロではないか。北朝鮮はテロ支援国家どころかテロ国家そのものだと主張しつづけてきた。それで2007年9月9日にAPEC(アジア太平洋経済協力会議)がオーストラリアのシドニーで開催されたとき、「北朝鮮をテロ支援国家から外さないように」とブッシュ大統領に懇願したのです。それに対してブッシュ大統領は「考えましょう」と返事をした。
 ところが帰国した翌日、安倍さんは午後の衆院本会議で施政方針演説をやる予定でしたが、その午前中に、アメリカ大使館から「ノー」という返事がきた。「大統領は北朝鮮のテロ支援国家指定解除をやります」と。安倍さんはいわばアメリカから梯子(はしご)を外されてしまったのです。これで完全にギブアップした安倍さんは、2日後の9月12日に「健康上の理由」で突如、辞任を表明することになってしまったのです。

【『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘(徳間書店、2012年)】

田中角栄の失脚から日本の中枢はアメリカのコントロール下に入った」の続きを。この事実をどう捉えるか? 中には「そんなことぐらいで……」と思う人もいるだろう。安倍首相は拉致問題に政治生命を懸けていたに違いない。小泉首相訪朝後、拉致被害者5人が日本に帰国したが、小泉は彼らを北朝鮮に帰すつもりだった。これに猛反対したのが安倍晋三官房副長官と中山恭子拉致担当内閣官房参与だった。

「戦後レジームからの脱却」とは史実に基づく日本近代史の見直しと、自立した国家すなわち自分の国は自分で守るという当たり前の姿を目指すものだ。アメリカに国家の安全保障を委ね、左翼政党や進歩的文化人に配慮する中で拉致被害が発生した。当初は政府はおろかどの政党もその事実を認めようとはしなかった。シベリア抑留の二の舞を踏んだといってよかろう。

「戦利品」の一つとして、日本人捕虜のシベリヤ強制労働の道は開かれていた/『内なるシベリア抑留体験 石原吉郎・鹿野武一・菅季治の戦後史』多田茂治

 そして今再び北朝鮮を巡って世界が揺れている。アメリカは二度にわたって日朝国交正常化を阻んできた(『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘)。もう一つ重要な歴史として米中国交回復のためにアメリカは沖縄を返還した(『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘)事実を忘れてはならない。

 トランプ大統領が安倍晋三を信頼しているのは確かだが、アメリカ・ファーストのためとあらばまたしても梯子を外す可能性を考えておく必要がある。もしもアメリカがアジアから一歩退くとなればそこに中国が攻め込んでくる。アメリカ頼みの防衛は極めて危険である。インド・ロシアそしてASEAN諸国・台湾との連携を模索すべきだ。今直ぐに。

この国の不都合な真実―日本はなぜここまで劣化したのか?
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2018-04-27

田中角栄の失脚から日本の中枢はアメリカのコントロール下に入った/『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年
『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘:2009年
『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘:2010年
『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年

 ・IAEA(国際原子力機関)はアメリカの下部組織
 ・日米経済戦争の宣戦布告
 ・田中角栄の失脚から日本の中枢はアメリカのコントロール下に入った

『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘:2012年
『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘:2012年
『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘:2012年
『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘:2013年

 アメリカのFBIは日本との関わりのなかで、どこにどれだけのお金が流れたかなど、あらゆる情報を把握しています。ロッキード事件では、それがたまたまロッキード・丸紅ルートとして表面化したけれど、アメリカが叩こうとしたのは日本の首相であって、それ以外はどうでもよかったのです。
 アメリカには罪を認めて当局の捜査に協力すれば刑を軽減したり不起訴にするという司法取引精度がある。アメリカの刑事裁判は大部分が司法取引で行われているから、事件の証拠などいくらでも出てきます。だから贈賄側であるロッキードの副会長コーチャンも司法取引に応じて、不起訴を条件にぺらぺらとしゃべる。その証拠をアメリカ政府はポンと出して、あとは日本の検察が好きなようにおやりなさいよとやる。その証拠を東京地検特捜部がアメリカまでもらいに行った。その中心にいて田中角栄に論告求刑したのが、現在「さわやか福祉財団」で理事長をつとめている堀田力さんです。
 しかし、いまもいろいろと問題を起こしていますが、当時から検察のやり方というのは実に卑劣です。一国の総理だった人物を外為法違反などということで捕まえる。そんなことが許されていいのかどうか。結局、これもまたアメリカの意向にそって検察が動いているからです。田中角栄を見せしめに締め上げて、「今後一切、アメリカに逆らうようなことは許さない」というアメリカのお先棒をかつぐ、日本の検察はまったく地に堕(お)ちてしまいました。
 地に堕ちたのは検察ばかりではありません。アメリカに逆らえば潰されるということを身にしみて知らされた日本の総理大臣もまた、このときから地に堕ちてしまった。とりわけ中曽根康弘から竹下登へとつづく内閣はアメリカの要求を100パーセント飲みつづけ、その後の自民党政権はことごとくアメリカの言いなりという状態になりました。海部俊樹しかり、宮澤喜一しかり、橋本龍太郎しかり、小泉純一郎しかりです。

【『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘(徳間書店、2011年)】

 ロッキード事件はアメリカに先んじて中国と国交回復を成し遂げた田中角栄首相に対するキッシンジャーの報復だった。ジャーナリストの文明子〈ムン・ミョンジャ〉が菅沼に語った。「角栄さんがクビになった最大の原因は何か知ってますか。それは日中国交正常化ですよ。もっといえば台湾問題なんですよ」と。キッシンジャーは田中角栄を「アンプレディクタブル・ガイ(何をやらかすかわからない野郎)」だと罵倒し、「あんな田舎者はもう徹底的にやっつける」と言った。エアフォースワンに同乗を許された彼女が直接聞いた話である。

 大東亜戦争以来、アメリカはずっと蒋介石政権を援助してきた。夫人の宋美齢もアメリカでは大変な人気があった。アメリカが台湾の存在に苦慮する中で突然日本が中国に手を出したわけだ。キッシンジャーの目には「身の程知らずな属国」と映ったのだろう。

 橋本龍太郎もまた日歯連闇献金事件(2004年)で失脚し、2年後に亡くなった。橋本はコロンビア大学で行った講演後の質疑で「大量の米国債を売却しようとする誘惑にかられたことは、幾度かあります」と発言し、翌日のニューヨーク市場は1987年のブラックマンデー以来最大の192ドルの下げ幅を記録した。これに対する意趣返しだと囁かれた。

 我々は大東亜戦争に敗れても尚、アングロサクソンの本当の恐ろしさを理解していないのだろう。国際社会にあって人の好(よ)さは致命的なマイナスとなる。第一次安倍政権もまたアメリカによって潰された

 田中角栄が葬られた後で堀田力や立花隆がメディアや出版界で活躍したのもアメリカからのご褒美に違いない。

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2016-06-29

核廃絶を訴えるアメリカの裏事情/『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年
『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘:2009年

 ・沖縄普天間基地は不動産の問題
 ・核廃絶を訴えるアメリカの裏事情

『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年
『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘:2011年
『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘:2012年
『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘:2012年
『国家非常事態緊急会議』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄:2012年
『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘:2012年
『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『神国日本VS.ワンワールド支配者』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘:2013年
『沈むな!浮上せよ! この底なしの闇の国NIPPONで覚悟を磨いて生きなさい!』池田整治、中丸薫

 北朝鮮も、小なりといえども核兵器を持つことによって、政治的な独立あるいは自主性、民族の尊厳を中国からも守れる。だから、そういう政治的な意味を込めて核実験をやったということは間違いない。
 しかし、これまた不思議な話で、当時、一般的に北朝鮮の最初の核実験は失敗だったと言われた。我々日本人は核兵器についての知識があまりないものだから、それを信じてきたが、どうもそれは的はずれではないかと考えられます。というのは、北朝鮮はプルトニウム爆弾をつくっているが、これは10年くらいたつと、劣化して処理しなくちゃいけない。今、「核の廃絶」とかみんな言っている。アメリカのオバマ大統領もこの前言いました。あれも、我々はただ単純に、これはいいことだと言っているが、あの裏を見ますと、もうそろそろアメリカの兵器もみんな劣化し始めているんです。これを廃棄するとものすごく金がかかるわけです。したがって、大義名分がないと金が使えない。ロシアも同じことです。だから、「世界から核をなくそう」という名目でどんどん減らしていくことになる。
 最近になって、北朝鮮はもっと早い段階で既に核兵器を持っていたんじゃないか、それが劣化してきた。この第1回の核実験というのは、劣化した核兵器処理ではなかったか。だから、あの実験の本質は何かということをもっと究明する必要がある。それから、第2回の核実験は何か。これは恐らく核弾頭を小型化する実験に成功したんじゃないのかとも言われているんです。

【『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘(ヒカルランド、2010年)】

 本書は第20回日本トンデモ本大賞(2011年)の候補作品となった。

 宇宙人や地底人と交信している中丸薫さんが、北朝鮮に招かれ、北朝鮮は素晴らしい国だと絶賛します。対談相手の菅沼光弘氏もそれに同調し、北朝鮮を批判する日本人を非難したりしています。こういう人が、元公安調査庁調査第二部長だったというのが、いちばんトンデモないことかも……。

山本弘

 ま、無責任な嘲笑目的の賞なので力を込めて反論するだけ無駄だろう。個人的にはやはり中丸薫の人脈は侮れないと思う。例えば池田大作の場合は創価学会というマンモス教団の組織力・財力・政治力が背景にあるが、中丸の場合は完全に一個人である。それでいて池田を凌駕するほどの国際的な人脈を持っているのだ。

 菅沼も中丸やベンジャミン・フルフォードが相手だと、かなり踏み込んだ発言をしている。自らトンデモ系に近づくことで読者に与える衝撃を和(やわ)らげようとしているのだろう。

 オバマ大統領はプラハ演説(2009年)で核廃絶を訴え、同年のノーベル平和賞を受賞した。


 これが世紀のペテンであったとすればハリウッド映画さながらの演出である。あるいは産業廃棄物をお花畑に変えるようなマジックか。

 オバマよ、あんたは核爆弾の中古品を処分する目的で広島を訪れたのか? 平和を売り言葉にして軍産複合体への利益誘導を図ったのか? 利用できると見込んで広島の被爆者をも利用したのか?

 美しい言葉は感情を揺さぶる。そして我々は考えることをやめるのだ。オバマ万歳、広島万歳。めでたしめでたしである。

 政治は富の分配という本来の仕事を放棄して、明らかに富の誘導へとシフトしている。そもそも世界各国で莫大な量の金融緩和を行っているにもかかわらず、目に見えるバブルが発生していない。緩和マネーはどこへ行ったのか? 企業の内部留保の納まるような金額ではないと思うのだが。格差が拡大するとマネーは流動化を失い、持てる者に富が蓄積されてゆく。消費も低迷し、いつまで経ってもデフレを克服できない。

 情報公開と情報判断によって民主政は作動する。奇しくも核兵器廃絶と原発事故を通して我々は情報が秘匿されている事実を知った。そして我々にはロクな判断力がない。討論番組と称する言論プロレスを見て気勢を上げたり溜飲を下げる程度のレベルである。政府の予算を読み解くこともできなければ、法改正の意味も理解できない。本来であればそこにエリート(選良)が求められるわけだが、この国のエリートは官僚となっている(笑)。

 結局のところいい意味でも悪い意味でも、なるようにしかならないのだろう。安倍首相が真珠湾を訪問すれば、「アメリカと共に血を流す」覚悟を披瀝せざるを得なくなる。アメリカの軍産複合体にとっては一石二鳥というわけだ。

2016-05-27

ヒロシマとナガサキの報復を恐れるアメリカ/『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年
『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘:2009年
『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘:2010年

 ・日本共産党はコミンテルンの日本支部
 ・ヒロシマとナガサキの報復を恐れるアメリカ

『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘:2011年
『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘:2012年
『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘:2012年
『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘:2012年
『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『神国日本VS.ワンワールド支配者』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘:2013年

菅沼●たとえば、北朝鮮やイランの核開発の問題。オバマ大統領は核廃絶を訴えてノーベル平和賞を貰いましたが、もちろんこの発言には裏がある。冷静に考えれば、ロシアも中国も北朝鮮もどんどん開発をしていて、現実的に核廃絶なんてできるわけがないというか、単なる寝言です。
 廃絶は寝言でも、不拡散と言って、アメリカがイランや北朝鮮の核開発に異常に神経質になるのは、イラン・北朝鮮が核を持つと、再び日本とドイツが核兵器を開発するという誘惑にかられることを心配しているからです。第二次世界大戦のトラウマがあるから、これはなんとしても阻止しないといけない。

【『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎(扶桑社、2010年)以下同】

 オバマ大統領が今日、広島を訪問した。原爆資料館を見学し、原爆慰霊碑に献花。アメリカの国家元首としては初めてのことである。ま、安倍首相に対するご褒美なのだろう。2014年のオバマ来日以降、安倍政権が行ってきたことといえば、特定秘密保護法の制定・施行と安全保障関連法案の改正(集団的自衛権の行使)である。

 1959年に原爆資料館を訪れたチェ・ゲバラは言った。「きみたち日本人は、アメリカにこれほど残虐な目にあわされて、腹が立たないのか」と(『チェ・ゲバラ伝』三好徹)。米軍による原爆投下は人体実験だった(『洗脳支配 日本人に富を貢がせるマインドコントロールのすべて』苫米地英人)。戦後、アメリカから広島・長崎に派遣された医療団は一切治療を行うことなくデータ収集に専念した。それは現在も尚続いているのである。

菅沼●北朝鮮の核ミサイルは、核大国である中国とロシアにとっても何の脅威でもありません。また、韓国の場合は、基本的に同胞だから核は撃ってこない。すると、本当に脅威なのは日本だけです。だから、「日本も核武装すべき」という議論が日本に出てくることがアメリカはショックなのです。
 日本の技術力からすれば、あっという間に核大国になってしまう。もし、そうなったら、必ずやニューヨークとワシントンに報復攻撃をしてくる……。

須田●アメリカはそう思っているのでしょう。

菅沼●ヒロシマとナガサキの報復をされると確信しているのです。なぜなら、アメリカ人は目には目を、歯に歯を、というのが基本的な考え方であり、アメリカが日本に原爆を落としたのは神も許した正義なのです。

須田●日本は毎年毎年、ヒロシマ、ナガサキで大々的な慰霊集会を行なって、大日本帝国の英霊を祀る靖国神社に総理大臣が毎年参列するくらいだから、アメリカ人は「日本人は原爆投下を絶対に許していない」と思っています。

菅沼●「それは考えすぎだろう」と日本人は思うかもしれないが、そうではありません。アメリカ人は「絶対に許さない」と考えるのが自然というか、当たり前だと思っている。日本人のセンスとは、ちょっと違うわけです。

 アメリカの歴史は「リメンバー」(忘れるな)というスローガンが端的に示している。「リメンバー・アラモ砦」でメキシコ戦争、「リメンバー・サムター砦」で南北戦争、「リメンバー・メイン号」でスペイン戦争、「リメンバー・ルキタニア号」で第一次世界大戦参戦、「リメンバー・パールハーバー」で第二次世界大戦参戦、そして「リメンバー・トンキン湾」でベトナム戦争、「リメンバー9.11」で対テロ・アフガン・イラク戦争へと突入してきた。

 人間も国家も相手の中に自分の似姿を見出す。「やられたらやり返す」のがアメリカの流儀だ。日本を恐れるのは当然であった。だが当の日本は平和という病に冒されていた。しかもその平和を担保していたのは駐日米軍の存在であり、アメリカの核の傘であった。ブラック・ユーモアにしては黒すぎる。

菅沼●アメリカ人には、どうしても日本的なメンタリティーが理解できない。だから、日本人が怖くて仕方ないのです。それで、常に経済的にも技術的にも軍事的にも、独り立ちできないようにしてくるわけです。

 アメリカが世界で行ってきたことはジョン・パーキンス著『エコノミック・ヒットマン 途上国を食い物にするアメリカ』、ナオミ・クライン著『ショック・ドクトリン 惨事便乗型資本主義の正体を暴く』やウィリアム・ブルム著『アメリカの国家犯罪全書』が詳細に渡って論じている。アメリカこそは世界最大のテロ国家である(『9.11 アメリカに報復する資格はない!』ノーム・チョムスキー)。

 アメリカの疑心暗鬼は自らの悪逆非道から生まれる。世界の警察官は世界の犯罪者でもあった。

 日本人はお人好しである。もちろん戦後教育が歴史から目を逸(そ)らさせてきた事実を見逃すことはできない。だが歴史に学んだところで今直ぐアメリカと手を切るわけにはいかない。そもそも自衛隊が単独で戦闘できる体制になっていないのだ。日本としては時間をかけてでもアジア諸国との信頼関係を培い、ロシアおよびインドとの関係を強化するしかない。

 中国では民主化の動きが圧力となって、中国共産党は民主化を封じ込める形で日本との戦端を開くことだろう。恐らく2020年前後には動き出すに違いない。これがアメリカの方針であり、共和党政権になっても維持されることだろう。米軍は日本から撤収する可能性が高い。

日本最後のスパイからの遺言
菅沼 光弘 須田 慎一郎
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2015-11-12

ロシア革命の実態はユダヤ革命/『世界を操る支配者の正体』馬渕睦夫


『日本の敵 グローバリズムの正体』渡部昇一、馬渕睦夫
『国難の正体 世界最終戦争へのカウントダウン』馬渕睦夫

 ・ロシア革命の実態はユダヤ革命

 ロシア革命について、もちろん私たちは歴史の教科書で学んだわけですが、残念ながら真実は隠されていました。そもそもロシア革命という名称自体が誤解を招く元です。ロシア革命はロシア皇帝の圧政に苦しむロシア人が蜂起して帝政を転覆した革命では決してありません。ロシアの少数民族ユダヤ人を解放するために、国外に亡命していたユダヤ人がロンドン・シティやニューヨークのユダヤ系国際金融勢力の支援を受けて起こした革命であったのです。その意味で、ロシア革命ではなく「ユダヤ革命」と言うのが正しいのです。

【『世界を操る支配者の正体』馬渕睦夫〈まぶち・むつお〉(講談社、2014年)以下同】

 アメリカのウッドロー・ウィルソン大統領は新生ソ連に対して「素晴らしい民主主義国家が誕生した」と賛美した。ウィルソンといえばパリ講和会議(1919年)で日本が提案した人種的差別撤廃提案に対して、唐突に「全会一致が望ましい」と言い出し、国際連盟の議長権限で否決した人物である。さしずめ有色人種の人権は軽くユダヤ人の人権は重いといったところか。

「ユダヤ系国際金融」と聞けば陰謀論めいているが、キリスト教が利息を禁じていたため金融業はユダヤ人が行ってきたヨーロッパの歴史がある。信用創造や株式による投資を編み出したのも彼らであった。

 では、ウィルソン大統領はなぜロシア革命を礼賛したのでしょうか。その理由は、彼の周囲を固めていた側近たちが皆社会主義者であったということです。ウィルソン大統領が第二の自分とまで呼んで信頼していたエドワード・マンデル・ハウス大佐は社会主義者でした。ハウス大佐は一介のユダヤ系民間人にすぎませんが、ホワイトハウス内に執務室を与えられていました。ウィルソン大統領の側近中の側近の補佐官であったのです。このように、議会の承認を必要としない、いわば令外官(りょうげのかん)がアメリカ大統領に最も影響を与える地位に就くことができるのです。
 この方程式は現在まで続いています。有名なヘンリー・キッシンジャー大統領補佐官(1923年~)は、私人の身分でニクソン大統領の外交政策を牛耳りました。カーター大統領の安全保障担当補佐官であったズビグニュー・ブレジンスキー(1928年~)は、オバマ大統領の外交顧問を務めたほど、長期にわたり民主党の外交政策に影響を与え続けました。


「エドワード・マンデル・ハウス」で検索したところこの動画を見つけた。どうやら社会主義よりも国際主義に重きがあるようだ。

 当時の米ソを理解するために欠かせないのはアーマンド・ハマー(1898-1990年)だろう。共産主義のシンボルである「鎌とトンカチ」がそのまんま名前となっている(アーム・アンド・ハンマー)。



「ハマーの父親ジュリアスはロシアから移住してきたユダヤ人医師で、アメリカで最初に『共産党』を組織した男だった」(石油王Dr.ハマー 米ソ貿易で巨利を得たユダヤ大富豪)。正確には「アメリカ共産党の元となった社会主義労働党の創設者」である。「冷戦時代に東西両陣営を股にかけて活躍し、米ソ外交の“影の主役”として歴史に名を残した」(アメリカで活躍するユダヤ人)。更に中国への出入りも自由であった。彼は自家用ジェット機で晩年に至るまで世界を飛び回った。

 ソ連建国が1922年。ウッドロー・ウィルソン政権下でFRB(連邦準備制度)の設立が1913年である。「J・P・モルガンが所有するジキル島クラブで秘密会議が開かれ」「多くの上院議員が休暇で不在の隙を突いて12月23日にワシントンD.C.に駐在する連邦準備制度理事会と12地区に分割された連邦準備銀行により構成される連邦準備制度が成立した」(Wikipedia)。きな臭い匂いがプンプンする。

 後にソ連のスパイであったハリー・デクスター・ホワイトによってIMFが設立された(『秘密のファイル CIAの対日工作』春名幹男、2000年)ことを考えると、FRB設立はユダヤ人によるアメリカ乗っ取りシステムの構築と考えていいだろう。ハマーの資金が投じられたという説もあるが年齢を踏まえると父親によるものか。

 アーマンド・ハマーは池田大作中丸薫とも親交を重ねた。まったくユダヤ人は恐ろしいものだ。



元ソ連外交官が語る「ロシア-ユダヤ闘争史」の全貌
ロシアとウクライナのユダヤ人の悲史
ロシア・ユダヤ人実業家の興亡
歴史という名の虚実/『龍馬の黒幕 明治維新と英国諜報部、そしてフリーメーソン』加治将一
ネオコンのルーツはトロツキスト/『「米中激突」の地政学』茂木誠

2015-09-20

60年安保闘争~樺美智子と右翼とヤクザ/『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年
『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘:2009年
『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘:2010年
『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年
『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘:2011年
『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘:2012年
『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘:2012年
『国家非常事態緊急会議』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄:2012年
『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘:2012年
『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『神国日本VS.ワンワールド支配者』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄

 ・反日教育のきっかけとなった天安門事件
 ・60年安保~樺美智子と右翼とヤクザ

 この安保闘争を契機にソ連共産党も中国共産党もともに、この日本に革命を起こそうとした。当時、私も60年安保闘争に参加して、「これで日本もいよいよ革命だ」と思いました。毎日、毎日、国会議事堂の前に何十万という人が集まるのですから。当時、渋谷区南平台に岸信介首相の家があって、その岸さんの家まで、毎日渋谷を通って南平台までデモ、そしてアメリカ大使館に対してもデモです。
 あの当時の多くの国民はみんな安保反対だったのだけれども、しかし、よくよく考えてみると、前の日米安保条約というのは、サンフランシスコ講和条約調印のとき、吉田首相がただ一人、密室で調印した不平等条約でしたから、岸さんが変えようとしたのは無理もないのです。
 その条約では、アメリカには日本を守る義務がない。要するに、ただ「占領中の現状のまま米軍の基地を日本に置く」ということを約束した条約なのですから。そこで岸さんは、「これじゃ、いかん」というので、「日本を米軍が守る」ということを意味する条文を入れたわけです。だからこれは、本当は日本にとってはいい改定だったのです。反対する理由はない。
 では、当時なぜああいう反対運動になったのかというと、やはり反米感情です。あのころ一番若い、学生世代が、戦争中の体験をした最後の世代です。
 その上の世代で戦争に実際に参加した人たちは、戦争の悲惨さというのを身近に考えているものだから、安保条約が戦争につながるということを信じていたかもしれない。一番若い世代の学生は、もう単純な反米です。誰も安保条約そのものを読んではいないのですから。しかし、だからこそ、あれだけ盛り上がったのです。
 岸信介さんは、東条内閣の商工大臣をやったり、満州でいろいろ活動したりしていましたが、物凄い秀才でした。ちょうど我妻栄〈わがつま・さかえ/1897-1973〉という、東大の法学部の民法の大先生がいたのですが、私などもその最後に習った組ですけど、その我妻栄先生が言っていました。「岸君というのは物凄く頭がいいんだ。一高の時代には岸君は何も勉強しないで、義太夫とか歌舞伎とか、そんなものに凝っていた。私はずっと勉強ばかりして、やっと岸君と並んだ」と。60年安保のころの世論では、岸さんがどういう人かということをいっさい考えないで、単に、東条内閣の閣僚だった、戦争犯罪人だというのが先に立つものだから、大変だったのです。

【『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘(ベストセラーズ、2013年)以下同】

「あの当時、日米安保条約の条文なんか誰も読んでいなかった」とは当時、全学連の最高幹部で安保闘争を指導した西部邁〈にしべ・すすむ〉の発言である。大衆は往々にして愚かである。部分情報に基づいて感情的な反応をしがちだ。政治がエリートを必要とする理由もここにある。

樺美智子の死因と報道――樺美智子の遺体は慶応病院法医学教室で解剖され、「内臓器圧迫による出血のための急死。致命傷となる外傷はない」という結果が出た。ところが、解剖に立ち会った社会党参議院議員と代々木病院副院長は「扼殺の疑いが強い」と異なる発表をした。さらに社会党弾圧対策委員会は殺人罪で告発。「樺美智子さんは警棒で殴られたうえ、踏まれて死亡したのではないか」という報道も加勢した。しかし後日、東京地検は現場写真や参加者の証言などからその説を否定している。

60年安保闘争

 このページでは60年安保闘争の全容が簡明に描かれている。反米感情が高まるきっかけとなった「ジラード事件」というのも初めて知った。

 この樺美智子〈かんば・みちこ〉さんが亡くなった6月15日、私もあの南通用門にいました。60年安保の時代はまだ警察力が弱かった。デモ隊が国会の中へなだれ込む。国会内には、機動隊ができる前ですから、防護服もない警察官が並んでいた。デモ隊が警察官に石を投げるものだから警察官に当たる。血を流した警察官がばたばた倒れるわけです。
 それで、そのときに岸さんの周辺の人たちがいろいろ考えて、これはもう警察だけでは駄目だ。一方では自衛隊に治安出動を命じようとするのだけど、これもまた、当時の防衛庁長官などが反対してできなかったのです。そこで一策を講じて、当時の児玉誉士夫〈こだま・よしお/1911-1984〉に「全国の親分衆をみんな集めろ」と命じた。それで、親分たちが集まって、ヤクザを左翼の防波堤にしようとした。児玉が本当の右翼かどうかは知らないけれども、このときから右翼とヤクザがつながることになったのです。当時は、それほど警察力が脆弱(ぜいじゃく)でした。次の70年安保になってくると、警察にも機動隊ができ、装備が充実し、もうなんということなくなってきたのですが。


 樺美智子が死んだ日(6月15日)のストには全国で580万人もの人々が参加した。「6月15日と18日には、岸から自衛隊の治安出動を打診された防衛庁長官・赤城宗徳が拒否。安保反対のデモが続く中、一時は首相官邸で実弟の佐藤栄作と死を覚悟する所まで追いつめられたが、6月18日深夜、条約の自然成立」(Wikipedia)。アイゼンハワー大統領の訪日が中止。岸首相が辞意を表明。7月14日、岸は暴漢に刺され重傷を負う。

 古い日米安保は吉田ドクトリンに基づき、国防を米軍に丸投げし、経済復興を優先したものだった。日本経済はアメリカが戦争を行うたびに発展してきた。二度のオイルショックも省エネ技術で乗り越えた。だがバブル景気を迎えても尚、自国の防衛と真剣に取り組むことはなかった。これが安全保障のアウトソーシングかというと決してそうではない。米軍が動くには議会の承認が必要なのだ。アメリカの政治家は自国民が日本のために血を流すことを是とするだろうか? 防衛費が削減されている事実を踏まえれば困難極まりない。

 安保関連法案が成立した。紛糾する国会を見て落胆の度合いが深まった。この国では「安全保障を論じること」自体が忌み嫌われるのだ。チベット・ウイグルやパレスチナを他人事としか考えていないのだろう。国家には戦争をする権利があり、国民の生命と財産を守る義務がある。戦後教育によって国家観を奪われた体たらくがこのざまだ。

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敵前逃亡した東大全共闘/『彼らが日本を滅ぼす』佐々淳行

2015-05-01

日米経済戦争の宣戦布告/『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年
『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘:2009年
『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘:2010年
『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年

 ・IAEA(国際原子力機関)はアメリカの下部組織
 ・日米経済戦争の宣戦布告
 ・田中角栄の失脚から日本の中枢はアメリカのコントロール下に入った

『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘:2012年
『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘:2012年
『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘:2012年
『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘:2013年

 1990年代に入ってアメリカの最大の敵であったソ連邦が崩壊し、東西冷戦が終結しました。それによってアメリカの外交戦略も大きく転換することになります。このときジョージ・H・W・ブッシュ(父)政権のCIA長官だったロバート・ゲイツは、「ソ連という最大の標的がなくなったいま、CIAは何をやるのか」と議会で問われて、こう答えました。「これまでわれわれはソ連との冷戦に80%以上の能力を費やしてきたが、これからはわれわれのインテリジェンス能力の60%以上を経済戦争のために使う」と。
 ゲイツがいった経済戦争の相手はどこかといえば、これは世界第2位の経済大国にのし上がってきた日本以外にない。日本に対する日米経済戦争の宣戦布告です。
 ブッシュを破って1993年に大統領となった民主党のビル・クリントンもまた、経済政策を最優先課題に掲げて、選挙戦中に「われわれはソ連に勝って冷戦は終った。しかし本当の勝利者はわれわれではない。日本とドイツだ」と、その後の対日政策を象徴するようなことをいっています。米ソ冷戦の谷間で日本とドイツはぬくぬくと平和を享受し、アメリカに対抗できるような巨大な経済力をつくり上げてきた。その「平和の代償」はいただくよ、といったのです。

【『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘(徳間書店、2011年)】


日本にとって危険なヒラリー・クリントン」の続き。キリスト教文化圏は「始めに言葉ありき」(新約聖書「ヨハネによる福音書」)で、言外に含むところが少ない。ま、「ない」と思っていい。彼らにとっては「言葉が全て」である。こうした宗教的・文化的差異を弁えないところに日本外交の悲劇がある。

 クリントン政権の日米経済戦争は菅沼本で必ず取り上げられる。「戦争」とは勝つために手段を選ばぬことを意味する。中には殺された人もいたかもしれない。CIAは世界中で暗殺を遂行してきた。最大のテロ集団と指摘する声も多い。

 日本の経済発展は戦略に基づくものではなく漁夫の利であった。アメリカがベトナム戦争で疲弊し、公民権運動で揺れる中、日本人はひたすら働いた。アメリカが戦争を始めるたびに日本の仕事は増えた。マレーシアではマハティール首相が「ルック・イースト政策」を実施した。「日本に見倣(なら)おう」というわけだ。日本は第二次世界大戦に敗れてから奇蹟的な復興を遂げた。

 そんななかでクリントン政権は国家経済会議(NEC)を組織する。これは経済面でのアメリカの安全保障を考え、アメリカの利益を守るための器官です。その議長の席に就いたのが世界最大級の投資銀行ゴールドマン・サックスの共同会長で、ウォール街の天才と称されたロバート・ルービンです。ルービンは後に財務長官に就任しますが、彼の下で働いていたローレンス・サマーズもルービンの後を継いで後に財務長官になり、また現在のオバマ政権で財務長官を務めているティモシー・ガイトナーもまたこのときのメンバーです。つまりNECはアメリカの経済・財務の逸材を集結して構成された機関で、それらが一丸となって対日経済戦略に乗り出してきたわけです。
 彼らは日本経済について徹底的に調べ、分析し、これに対処するための戦略を考えた。CIAもまた経済担当職員を大挙して日本に送り込み、経済だけでなく、日本の企業形態や社会の特質、文化にいたるまで、あらゆるインテリジェンスを駆使して徹底的に調べ上げた。そして到達した結論の一つが、大蔵省の存在でした。
 ヴォーゲルの『ジャパン・アズ・ナンバーワン』も、実は同じことを指摘しています。この本は、なるほど日本の高度経済成長の要因を分析し、日本的経営を高く評価していますが、日本人が浮かれて喜ぶような本ではなく、そんな日本を野放しにしてはいけない、潰さなければいけないという警告の書でもあったのです。ヴォーゲルは、日本の経済を主導しているのは大蔵省や通産省の優秀な役人たちだと見抜いていました。





 こうしてバブル景気はあっと言う間に崩壊し、「失われた10年」がその後20年続くこととなる。この間も日本はアメリカを同盟国と信じ、安全保障を委ねてきた。お人好しというよりは馬鹿丸出しである。日本経済を牽引してきた大蔵省と経産省は解体された(中央省庁再編)。日本の国富はアメリカに奪われ続けた。

 青森県にある米軍三沢基地のエシュロンはソ連や中国の情報ではなく、日本の情報を収集するようになる。「戦争」であるがゆえにアメリカはあらゆる技術を駆使して、日本経済の破壊を目論んだ。

 アメリカは1990年代後半にITバブルに沸き、2000年代には住宅バブルとなる。そして2007年にサブプライム・ショック、翌2008年にはリーマン・ショックに見舞われ、資本主義は激しく揺れる。アメリカはマネーそのものから手痛いしっぺ返しを食らった。その後、世界は金融緩和・通貨安競争によって「100年に一度の危機」を乗り越えたかのように見える。だが、そうは問屋が卸さない。じゃぶじゃぶの緩和マネーが氾濫を起こすのはこれからだ。

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2015-04-29

日本にとって危険なヒラリー・クリントン/『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年
『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘:2009年
『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘:2010年
『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年
『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘:2011年
『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘:2012年
『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘:2012年
『国家非常事態緊急会議』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄:2012年

 ・フリーメイソンの「友愛」は「同志愛」の意
 ・日本にとって危険なヒラリー・クリントン

『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
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『神国日本VS.ワンワールド支配者』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘:2013年

 売国奴という言葉がありますが、国家観を持たない人間は平気で国を売ります。自分では国を売るという意識もないまま、「親米」だの「親中」だのと体(てい)のいい言葉の裏で、国を売って平然としています。私はこれまでどれほどそういう政治家を見てきたか。本当に嫌になるくらい見てきました。

【『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘(徳間書店、2012年)以下同】

 今から30年ほど前までは「愛国心」という言葉が右翼を示すキーワードであった。この国は戦争に敗れて以来、「国を愛すること」すら許されなかった。

 本多勝一〈ほんだ・かついち〉の「菊池寛賞を改めて拒否しなおす」(『潮』1983年11月号)に感激した私は、当然のように彼が批判する山本七平からは遠ざかった(『殺す側の論理』すずさわ書店、1972年)。浅見定雄の『にせユダヤ人と日本人』(朝日文庫、1986年)にも私は手を伸ばした。時代の風は左側から吹いていた。それに断固として異を唱えたのが渡部昇一〈わたなべ・しょういち〉や谷沢永一〈たにざわ・えいいち〉であった。彼らは「右翼」と目された。

 菅沼の指摘は右左の問題ではない。政治家が国益よりも私益を重んじたとの一点にある。新聞・テレビ・企業がこれに続くのは当然であろう。祖国は売り物と貶められた。

 日韓関係についてもそうです。例の従軍慰安婦の問題について、ヒラリー・クリントン国務長官が従来の「コンフォート・ウーマン(慰安婦)」という英語の呼称を「セックス・スレイブ(性奴隷)」にするしかないと言いはじめています。
 これは韓国の圧力によるもので、アメリカのニュージャージー州とニューヨーク州の2ヵ所には、旧日本軍従軍慰安婦の記念碑が建てられています。いずれも公共施設の中です。そこには「20万人の韓国の若い女性が日本帝国政府に拉致されてセックス・スレイブになった」と書かれている。せいぜい数万人とされていたのがいまや20万人になっているのです。
 日本政府はこれを撤去するように申し入れていますが、アメリカはまったく撤去しようとしません。
 この記念碑を見たアメリカ人は、これはひどい、日本は許せないとなるでしょう。それを受けてヒラリー・クリントンはセックス・スレイブと言い出した。
 李明博大統領は来年2月で任期は終りですが、韓国というのは政権の末期になると必ず反日の気運を高めることになります。まして李明博政権は身内の収賄事件などが発覚してボロボロですから、世論を反日に向けさせて自分に矛先が向かないようにしています。それにアメリカも加担しているわけです。


「米国は,アメリカ合衆国下院121号決議の成立と,ヒラリークリントンやバラクオバマの声明によって,韓国の売春婦(政府と売春婦の両方)をサポートした」(アメリカ人ジャーナリストのマイケル・ヨンさんの日本語のブログ)。

 バブル景気に酔い痴れる日本に対して「経済戦争」を仕掛けたのが夫君のビル・クリントンであった(『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘)。その妻女が親日家であるとは考えにくい。夫婦揃って左派的要素が強いことでも知られる。

 慰安婦問題を歴史的事実としないためにも、「いわゆる慰安婦問題」と表記することが望ましい。結果的に見ればアメリカにおける韓国のロビー活動に我が国が敗れたということだ。

 本来であれば朝日新聞の慰安婦虚報が明らかになった時点で、これをテコに全国民的な歴史検証を開始すべきであった。アメリカ議会に対するロビー活動も必要だとは思うが、まずきちんとした英語情報を書籍やウェブサイトの形で日本から発信すべきである。

渡部昇一の考える、いわゆる慰安婦問題について

 そもそもなぜ慰安婦が必要になったか? 兵士に強姦させないためである。こんな簡単な理屈もわからなくなっている。欧米やロシアの場合は徹底的な強姦を行う。ノルマンディー上陸作戦に参加した米軍兵士たちはフランス人女性を思う存分犯した(AFP 2013-05-27)。ヒトラー率いるナチス・ドイツを破ったロシア軍も手当たり次第にドイツ人女性をレイプした。老女までもが犠牲となった。

 東京裁判史観を完全に払拭することなしに戦後レジームからの脱却はあり得ない。現段階では正確な自国の歴史を述べる機会すら与えられていないのが日本の現状である。

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2015-01-16

日露友好の土壌/『なぜ不死鳥のごとく蘇るのか 神国日本VS.ワンワールド支配者 バビロニア式独裁か日本式共生か 攻防正念場!』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年
『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘:2009年
『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘:2010年
『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年
『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘:2011年
『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘:2012年
『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘:2012年
『国家非常事態緊急会議』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄:2012年
『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘:2012年
『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『この国を呪縛する歴史問題』菅沼光弘:2014年

 ・日露友好の土壌

『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘:2013年

菅沼●ロシアと日本が協力できるのは単に経済的な関係だけではないんですよ。宗教的に見てもそうです。ロシア正教は一般的なキリスト教とちょっと違う。
 例えば彼らが一番愛するのがアイコン(イコン)です。それに何が描いてあるかというと、マリア様です。マリア様は女性です。日本も、伊勢神宮内宮の祭神はアマテラスです。女性に対する畏敬の念ということではロシアと日本には共通性がある。

【『なぜ不死鳥のごとく蘇るのか 神国日本VS.ワンワールド支配者 バビロニア式独裁か日本式共生か 攻防正念場!』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄(ヒカルランド、2013年)以下同】

 ベンジャミン・フルフォードの言説には慎みがない。思ったこと、感じたことをそのまま吐いている。その軽薄さが彼の言論を単なる陰謀論に貶める。部分的な真実があったとしても私は彼の言葉を信用しない。このような子供染みた人物を相手にする菅沼の意図も理解しかねる。菅沼ファンであってもベンジャミン関連は読む必要なし。

 アイコンについては小田嶋隆が秀逸な解説をしている。

アイコンとは/『コンピュータ妄語録』小田嶋隆

「偶像崇拝」という言葉にはかくの如き西洋の歴史がある。一言でいえば「シンボルは神に非ず」ということだ。これは中々奥が深いテーマで宗教や脳機能の深淵に関わる問題が潜んでいる。

 タレントとは本来「才能」を意味する言葉であるが、タレントのポスターが偶像である事実に気がつけば偶像崇拝はストンと腑に落ちる。例えば筋金入りのオタクがいたとしよう。彼は大好きなアイドルのポスターに向かって朝な夕な語りかける。ある時は悔しい思いを涙ながらに訴え、またある時は嬉しい出来事を輝く瞳で報告する。彼の脳内ではアイドルのポスターが実像と化している。幼い妹が誤ってポスターを破いてしまった事態を想定すればわかることだ。それはもう「ポスター」ではなくなっている。ご存じの人もいるだろうがアイドルとは「偶像」を意味する言葉である。

 ここからもう一段深めるとシンボルとしての言葉に辿り着く。そこから横に移動すれば、表意文字としての漢字に込められた力、すなわち呪能が見えてくる。で、最終的には脳のアナロジー機能に行き着く。

アナロジーは死の象徴化から始まった/『カミとヒトの解剖学』養老孟司

 菅沼の指摘は「日本人とロシア人の脳が似ている」ことを示す。初耳だ。こんな話は聞いたことがない。聞いたことがないだけに鮮烈な説得力を感じる。

菅沼●ロシア人は、日本人に対して、イギリス人だとか何かみたいに人種的な偏見なんて全然ない。シベリアに抑留された人が現地のロシア人女性と一緒になって、帰ってこなかった例も随分ある。

 言われてみると確かにロシアの美人は欧米の美人よりも日本人には取っ付きやすい印象がある。ただしロシアの女性と結婚すると性行為の回数が多くて日本男児では体が持たないと佐藤優が書いていた。1日3回とか。

菅沼●今まで日露関係は、イデオロギーや、北方領土の問題とかがあって、ギクシャクしてきたけども、そういうものが薄れてくると、ロシアと日本というのは、宗教的にも、人間的にも、また経済的にも非常にくっつきやすい条件ができつつあるわけですよ。

 こういう卓見が随所にあるから菅沼本はやめられない。私は本来であればやはり東アジアを中心とした漢字文化圏が緩やかな共同体を目指すのが理想だと考えているが、中国との関係が上手くゆかない以上、日本とロシアが友好を深めることは望ましいと思う。

2014-12-31

反日教育のきっかけとなった天安門事件/『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年
『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘:2009年
『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘:2010年
『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年
『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘:2011年
『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘:2012年
『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘:2012年
『国家非常事態緊急会議』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄:2012年
『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘:2012年
『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『神国日本VS.ワンワールド支配者』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄

 ・反日教育のきっかけとなった天安門事件
 ・60年安保闘争~樺美智子と右翼とヤクザ

『この国を呪縛する歴史問題』菅沼光弘 2014年
『日本人が知らない地政学が教えるこの国の進路』菅沼光弘 2015年

 かつて(1989年)天安門事件というのがありました。そのときに、天安門を占拠した若い学生のなかから「中国共産党打倒」のスローガンが出たのですね。これに、その当時の、鄧小平〈トウ・ショウヘイ〉を中心とする古い指導者たちは物凄くショックを受けたわけですね。そこで、鄧小平たちが考えたのは、「これでは駄目だ。若者に愛国教育ややらんといかん」ということでした。愛国教育とは、「中華人民共和国をつくるについて、中国共産党が日本軍国主義の侵略を排除するためにどれだけ苦労したか」ということを教えるということです。
 つまり彼らの言う愛国教育というのはイコール反日教育です。これを江沢民体制の10年ずっとやってきた。そして、今も続けています。その成果が今日の激しい反日運動の背景にあるわけです。中国共産党がなぜ今も独裁的に中国を支配しているのか、それを正当化する理由が二つあるわけです。一つは要するに、日本軍国主義の中国侵略からこの国を解放して中華人民共和国をつくったのは共産党だということです。もう一つは、中国共産党が存在しなければ、今日の経済発展はあり得ないということです。経済発展をするためには中国共産党独裁が必要である。こういうことでこれまでやって来たわけで、それらの信念が揺らいでくると反日というマグマが噴出する。小泉純一郎首相のときには靖国が大きな問題だったけれども、靖国の問題が収まれば、今度は尖閣の問題ということになってくる。これは尖閣でも靖国でもどちらでもよいのであって、たまたま今は尖閣を問題にしただけなのです。
 したがって、その中国共産党の権威が揺らげば揺らぐほど、国内が荒れれば荒れるほど、必ずまた出てきます。今だって、年間20万件とか30万件の暴動が起きているのです。あるいは環境汚染、汚職、こんなものが絶えることなく続いている。あの国は常に何かがあるわけです。もちろん浮き沈みはあります。今は、中国の形勢が国際的に不利になってきたこともあって、ちょっと収まってきているのです。しかし、中国共産党の政権が存在する限り、こういうことはこれからも何度でもあります。
 もっとも、これが日中戦争にまで発展することは、今のところ考えられません。現状では中国がもし戦争に踏み切れば、共産党政権は崩壊するでしょう。

【『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘(ベストセラーズ、2013年)】

 本年最後の書評も菅沼光弘で締め括る。

 中国における反日教育は「物語の上書き更新」を意味する。つまり鄧小平の読みは当たったわけだ。恐ろしい事実ではあるが、大衆の再教育(≒洗脳)が可能であることを示している。

 一方、我が日本はどうか。戦後になって東京裁判史観を引き摺ったまま何ひとつ変わっていない。アメリカが施したマインドコントロールが半世紀以上にわたって続いている。

 人間は幻想に生きる動物だ。宗教・歴史・文化・芸術など全てが幻想である。その幻想を支えるアルゴリズムが価値観であるわけだが、我々は価値観を選択することができない。まず言語の縛りがある。次に親や教員に教えられることを子供は疑うことが難しい。そもそも比較する材料がない。感情的な反発は覚えても、深い懐疑に至ることはないだろう。

 日本国の再生を思えば、やはり歴史から始めるしかないというのが私の考えだ。欧米キリスト教に対抗し得るのは、天皇陛下を中心とした一千数百年にわたる独自の文明である。中国(シナ)は日本よりも古い歴史を持つが、王朝国家の興亡が連続しているため一つの国家と見なすことはできない。

 イギリス王室はウィリアム1世から始まる。1066年のことである。ヨーロッパで日本に対抗できる歴史を有するのはローマ、ギリシャくらいだろう。

 200数十年の歴史しか持たないアメリカを筆頭に、白人は天皇陛下が目障りでしようがない。聖書に記述がないというのも重要な要素である。菅沼は皇室を貶(おとし)める記事は彼らが書かせていると指摘する。もし本物の右翼がいるなら週刊誌の発行元で街宣活動を行うべきだろう。

 アメリカは歴史の浅い国であるゆえに歴史学が弱い。だからこそ日本から発信することに意味があるのだ。西洋キリスト教に対して宗教的に対抗すれば感情的な反発を避けることが難しい上、戦争になりかねない。歴史も宗教も物語であるのは一緒だが、歴史は史実に基づいているため宗教よりは科学的だ。

「現状では中国がもし戦争に踏み切れば、共産党政権は崩壊する」――実はここにこそ日中戦争の目的があるのではないか? 青写真を描くのはもちろんアメリカだ。日本と中国はキャストにすぎない。

 アメリカのシナリオを想像してみよう。中国が尖閣諸島を武力支配-日本の軍事化および核武装化-在日米軍撤収-国際紛争に日本軍が参加、とこんな感じだろう。アメリカの国防予算削減分を日本にカバーさせようという魂胆だ。

 来年が潮目となる。円安が天井を打った時点から上記シナリオは現実味を帯びることだろう。

 それでは皆さん、よいお年を。一年間ありがとうございました。

2014-12-30

渡部昇一、谷沢永一、小室直樹、菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄


 2冊読了。

 99冊目『新世紀への英知 われわれは、何を考え何をなすべきか』渡部昇一〈わたなべ・しょういち〉、谷沢永一〈たにざわ・えいいち〉、小室直樹(祥伝社、2001年)/BS放送(BOOK TV)の鼎談を編んだもの。やや散漫なのは致し方あるまい。博覧強記で知られる3人であるゆえ、近代史の細部を語ってあますところがない。私が谷沢の『紙つぶて(全)』を読んだのは30年以上前になる。1990年代から谷沢は右傾化する。当時はそんな風に思っていた。私の世代だと圧倒的に本多勝一を読む者の方が多かった。再び谷沢の著書を手に取るまでに20年を経過している。これ自体が東京裁判史観に毒されていた証拠といえよう。渡部や谷沢は先駆者であった。ここにミスター合理主義の小室が加わっているのだから、単純なイデオロギーに基づく議論でないことは明らかだ。晩年の谷沢はうつ病に苦しんだが、私の知る編集者によく電話をかけていた。ふとそんなことが記憶から蘇る。

 100冊目『なぜ不死鳥のごとく蘇るのか 神国日本VS.ワンワールド支配者 バビロニア式独裁か日本式共生か 攻防正念場!』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄〈あすか・あきお〉(ヒカルランド、2013年)/今まで読んできた菅沼本で最低の内容。しかも前著とかなり内容が被っている。ヒカルランドという出版社の底の浅さが露呈。個人的にはベンジャミン・フルフォードや中丸薫の言説は全く信用していない。彼らが何のために言論活動を行っているのかも理解できない。一種のエンターテイメントなのだろう。よほどの菅沼ファンでない限り、読む必要なし。

2014-12-29

米中国交回復のためにアメリカは沖縄を返還した/『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年
『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘:2009年
『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘:2010年
『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年
『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘:2011年
『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘:2012年
『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘:2012年
『国家非常事態緊急会議』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄:2012年
『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘:2012年
『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年

 ・米中国交回復のためにアメリカは沖縄を返還した

『神国日本VS.ワンワールド支配者』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘:2013年
『この国を呪縛する歴史問題』菅沼光弘:2014年
『日本人が知らない地政学が教えるこの国の進路』菅沼光弘 2015年

 ところが、ここには隠されている問題があるのです。尖閣諸島に関しての論争は、実は沖縄全体の問題でもあるのです。キッシンジャー元国務長官は、沖縄が変換になった1972年の前から、中国へ密かに行って、米中関係を構築しようとしていたのです。当時、国際社会で何が大きな問題だったか。アメリカは当時、ベトナム戦争を戦っており、米ソの関係が悪化していたことが問題でした。ソ連と中国の関係も芳しくありませんでした。中ソで国境紛争が起こっていたのです。1969年3月にアムール川の支流、ウスリー川の中洲で、その領有権を巡って大規模な軍事衝突が発生したのです。また同じ年、新疆ウイグル自治区で軍事衝突が起こって、中ソの全面戦争や核戦争にエスカレートしそうだったのです。
 同じ共産党独裁政権で、かつては仲のよかった中ソが対立するようになった。時代を変える事件が起こったわけです。ベトナム戦争も泥沼化。そういう状況のなかで、キッシンジャーは何とかして中国と手を結び、ソ連に対抗しようとしたのです。要するに米ソ代理戦争となっていたベトナム戦争を解決しようとしたというわけです。
 そのときは国家安全保障担当補佐官だったはずですが、当時のキッシンジャーの相手は中国の周恩来です。彼は名うての戦略家です。そして毛沢東がいる。彼らは簡単に交渉をまとめられるような相手ではありません。キッシンジャー氏と、ニクソン大統領も加わって、いろいろな形で交渉します。当時そのときに中国に対して、交渉をまとめるためのお土産、外交カードを持っていくわけですが、それが実は沖縄だったのです。
 沖縄の米軍基地は、かねてから中国に対するアメリカの抑止力でした。地理的にももちろんそうですが、ソ連というよりは中国に対する軍事力なのです。当然ながら、中国にとっては沖縄の米軍基地は大変な脅威です。外交カードは「その脅威を削減します」というものだったのです。その前提として、我々アメリカは日本に沖縄を返しましょう、というお土産だったのです。
 そして、米軍は徐々に撤退していきましょうということを言ったのです。このときに残したのが尖閣の問題でした。

【『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘(徳間書店、2013年)以下同】

この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』(中丸薫、菅沼光弘)で菅沼は周恩来のことを「スパイマスター」とも表現している。最高の賛辞といっていいだろう。

 ヘンリー・キッシンジャーは元々ハーバード大学の政治学教授で、ニクソン政権誕生とともに国家安全保障問題担当大統領補佐官として政権中枢に入り、国務長官・国防長官も務めた。ただし学者だからと侮ってはならない。1970年代において中ソにはデタント政策(対話中心で和平を探る)で臨みながらも、チリではCIA主導のクーデターでサルバドール・アジェンダ政権を転覆させてピノチェト政権が誕生した。またカンボジアでは米軍の爆撃によって大量殺戮を行ない、更にバングラデシュでも大量虐殺に手を染めている。いずれもキッシンジャーが関与しているとされる。ま、「20世紀の巨悪」ともいうべき人物だ。

 それ以前、アメリカは中国と秘密会議でどのようなやり取りをしていたのか。日本軍国主義脅威論をネタにしていたのです。かねてから、「日本の軍国主義はけしからん、日米安保条約はけしからん」と周恩来は言っていた。その周恩来が手の平を返すように、日本と国交正常化します。周恩来とキッシンジャーでは器が全然違っていました。周恩来首相の方が二枚も三枚も上手だったのです。本当のところを言えば、キッシンジャーは周恩来にしてやられたということです。アメリカと交渉しながら、実は日本と組むことでアメリカを牽制する構図を固めたのです。アメリカにとっては、日中国交正常化によって、アジアに新しい形の脅威が立ちはだかるということになったわけです。
 ちなみに、キッシンジャーは中国に対して沖縄を外交カードにする際、沖縄を日本に返還すること、基地の規模を縮小していくことのほかに、沖縄の米軍基地は日本が軍国化しないように嵌めた「ビンのふた」でもあるのですよ、などと言っています。実際、アメリカ自身が日本による報復を恐れていますから、本音でもあるわけです。
 そして、紛争の種を残すのです。日本に尖閣を含む沖縄の施政権は返還したけれども、資源があることなどをほのめかして、領有権についてはどうぞ日本と紛争してくださいと言っているようなものなのです。日本はいま、資源の問題だけで中国が領有権の主張を始めたと言っていますが、それは表面的なことで、その裏にはアメリカがアジアに紛争の種を残したという事実があることを認識しておかなければならないのです。もっと言えば、アメリカは自分のために、日本が本来持つ利益を中国に差し出す形で紛争の種を残し、中国もまた中国で、しばらくは日本からなるべく多くの援助を引き出したいと考えていましたから、尖閣の領土問題には言及しなかったのです。鄧小平〈トウ・ショウヘイ〉も、尖閣諸島に絡む論争は延ばしましょうと言いました。日中関係が領有権問題で混乱することは避け、その解決を次の世代ではなく、三代先まで延ばすとしたのです。いまはこの鄧小平の発言は非難されています。
 考えてもみれば、元々日本の領土なのに、「領土問題」となって紛争の種と化していること自体がおかしいのです。台湾の領土になったことすら一度もないのですから。先駆諸島は南西諸島と同じで、澎湖列島ではありません。ちなみに日本はサンフランシスコ講和条約で台湾と澎湖列島は放棄しています。

 キッシンジャーと周恩来の器が違うのは当然である。周恩来は文化大革命を生き延びた人物だ。その渦中で毛沢東夫人の江青に養女・孫維世〈ソン・イセイ〉を殺されている。しかも、「江青が刑事犯たちに孫維世の衣服を剥ぎ取らせて輪姦させ、輪姦に参加した受刑者は減刑を受けたと言う。また、遺体の頭頂部には一本の長い釘が打ち込まれていたのが見つかった」(Wikipedia)という凄惨極まるものだった。稀有(けう)な政治的才覚がなければ凌(しの)ぐことは難しかったはずだ。私みたいに単純な男であったならば、直ちに報復行動に出て殺されていたことだろう。

 キッシンジャーという一人のアメリカ人に沖縄を自由に扱うことができる権力が与えられている事実に驚愕する。国家のパワーバランスは人間を無視したところで成り立っているのだろう。あのユダヤ人なら「殺されないだけマシだろう」くらいのことを言いかねない。

 そろそろ「ビンのふた」を外してもいい時期ではないだろうか? 日本を他国に売るような国に安全保障を委ねるのは泥棒に警備を頼むような真似だ。ただし安倍首相ではちょっと心許ない。もっと肚(はら)の据わった大物役者が必要だ。


安倍首相辞任の真相/『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘

2014-12-26

福島原発の爆発直後、第7艦隊はフィリピン沖まで逃げた/『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年
『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘:2009年
『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘:2010年
『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年
『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘:2011年
『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘:2012年
『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘:2012年
『国家非常事態緊急会議』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄:2012年
『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘:2012年

 ・福島原発の爆発直後、第7艦隊はフィリピン沖まで逃げた

『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『神国日本VS.ワンワールド支配者』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘:2013年
『この国を呪縛する歴史問題』菅沼光弘:2014年

 そういうことがわかっていれば、米国の行動はもっと冷静に観察する必要があります。
 福島の原発が爆発事故を起こしたときに、東北沖にいたアメリカの空母「ロナルド・レーガン」は本当はどこに行ったか。知っていますか。日本近海にいたアメリカの全艦艇とともに逃げてしまった。横須賀港から1隻もいなくなってしまった。日本が一番危険だった3月17日、第7艦隊の11隻の艦船はすべて姿を消しました。フィリピン沖まで逃げてしまったのです。米韓合同演習のために来ていた原子力空母「ロナルド・レーガン」も、東北沖に姿は見せましたが、福島原発から230キロ以内の海域には入らなかった。では、「トモダチ作戦」の本当の目的は何だったのか。それを考えれば、例えば、中国に尖閣諸島が占領されたらアメリカは助けてくれるのか。助けてくれるわけがないでしょう。自分が核攻撃の被害を受けてまで他国を助けてくれるはずがない。中国は核大国ですから、戦争になれば米本土が核攻撃を受ける。そういうことを前提に日本を助けて中国と戦ってくれるか。ノーですよ。

【『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘(ベストセラーズ、2012年)】

 日本人なら誰もがアメリカの核の傘に守られていると思い込んでいる。そのために高額な対価を支払っているのだ。2013年の在日米軍関係経費は6452億円にも上る(※赤旗試算による。尚、防衛省が発表している在日米軍駐留経費負担は2000億円弱となっている)。

 それが幻想かもしれないというのだから驚かずにはいられようか。よくよく考えれば単純なことなのだろう。日米安保によって米軍が日本に駐留することはアメリカにとっての国益ではあるが、実際に戦争となれば話は別だ。そもそも米軍が戦闘するには議会の議決が必要だ。なぜ日本人のためにアメリカ人が血を流さなければならないのか? 説得力をもって示すことは難しいに決まっている。

 もう一つは、米軍が逃げ出すほどの危険に日本がさらされていた事実を我々は直視する必要があろう。日本政府は「ただちに人体、あるいは健康に影響がない」(枝野官房長官〈当時〉)と繰り返しアナウンスした。民主党政権はSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の情報を隠蔽(いんぺい)してまで福島県民を被曝の危険にさらす一方で、米軍には情報を渡していた。挙げ句の果てには「食べて応援」などと言い出す始末だ。

 国民の失望は深かった。政府も新聞も原子力安全委員会も原子力安全・保安院も東京電力も信じられなかった。半世紀前に敗戦してから溜まりに溜まってきて澱(おり)のようなものが露呈した。国家の機能不全という悪夢のような状況が出現したのだ。

 そして震災のどさくさに紛(まぎ)れてTPPに向かって日本は動き出した。タイミングを合わせる格好で先日、日本郵政3社の来秋上場(東証)が報じられた。いよいよ、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険のマネーが動く。米国債購入を防げるような人物はいないだろう。

 日本は敗戦によって軍事的独立を奪われた。そしてバブル景気の利益を20年(失われた20年)にも渡って奪われた。今後は預金と保険金が奪われる。我々は緩やかに、だが確実にアメリカ・インディアンと同じ目に遭わされようとしている。