検索キーワード「中丸薫」に一致する投稿を関連性の高い順に表示しています。 日付順 すべての投稿を表示
検索キーワード「中丸薫」に一致する投稿を関連性の高い順に表示しています。 日付順 すべての投稿を表示

2014-10-18

アメリカの穀物輸出戦略/『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年
『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘:2009年
『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘:2010年
『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年
『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘:2011年

 ・教科書問題が謝罪外交の原因
 ・アメリカの穀物輸出戦略
 ・中国の経済成長率が鈍化
 ・安倍首相辞任の真相

『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘:2012年
『国家非常事態緊急会議』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄:2012年
『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘:2012年
『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『神国日本VS.ワンワールド支配者』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘:2013年

 TPPによって日本が受ける打撃のなかでも、とりわけ農業は深刻な状況に直面することになります。ブッシュ前大統領はいみじくも「主食をよその国に依存しているような国家は独立国家とはいえない」と言いましたが、アメリカがターゲットにしている一つは、まさに日本の主食の自給率をゼロに持っていくことです。
 いま日本人の主食である米の自給率は95%以上を確保していますが、小麦は十数パーセント(ママ)の自給率でしかなく、トウモロコシは100%輸入に頼っています。そして小麦の50%以上、トウモロコシの90%以上をアメリカから輸入しています。こうした構図になったのには理由があって、これまたアメリカの食糧戦略の結果なのです。
 戦後間もない1950年代、アメリカは大量の小麦をかかえて、これをどうさばくか頭を悩ませていました。そこで目をつけたのが、まだ復興途上の敗戦国日本です。そのために何をしたかというと、まずアメリカは余剰農産物処理法という法律をつくり、アメリカの余剰農産物はドル決済ではなくて輸入国の通貨で購入できるとしたのです。当時の日本にドルの蓄えなどありませんから、円で決済できるとなればこれはありがたいと、余剰小麦の輸入に飛びつきました。しかし、アメリカの戦略のすごいところはそれからです。
 余剰農産物処理法には、売却した代金の一部を輸入国内にプールし、アメリカ農産物の宣伝および市場開拓のために使用できる、また余剰農産物の一部は無償で学校給食に供与できるとあって、本来、日本政府から支払われた輸入代金を使って、アメリカは小麦のPR活動を展開するとともに、学校給食はパン食にするというシステムをつくりあげます。当時、小学生だった人はよく憶えているでしょうが、コッペパンに脱脂粉乳というのが学校給食になったのです。もちろん脱脂粉乳もアメリカから提供されたものです。
 一方、厚生省はアメリカの意を受けて、食生活改善運動としょうして日本食生活改善協会という外郭団体を立ち上げ、キッチンカーというものを全国に巡回させて、パンを食べましょう、卵を摂(と)りましょうと小麦粉料理の講習事業を展開しました。さらにマスメディアを使って、日本人の主食である米については、「米ばかり食べていると頭が悪くなる」「脚気(かっけ)や高血圧になる」「背骨が萎縮(いしゅく)する」などとネガティブキャンペーンもやっています。もちろんこれらの活動資金はアメリカが日本国内にプールした円から支出されました。
 その結果どうなったか。1960年頃を境に日本人の食生活ががらりと変わっていきました。それまで一人辺り年間120キロ近くの米を食べていたのが、1960年以降は年々減り続け、いまや半分の60キロまで落ち込んでいます。日本人の主食が完全に様変わりしてしまったのです。国民の主食がこれほど劇的に変化した国は他にありません。
 アメリカの戦略はつねにこうなのです。決して焦らない。時間と金をかけて根底から変革していく。そしてその国の国民が気がついたときには、もはや取り返しがつかないという状態まで追い込んでいくのです。

【『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘(徳間書店、2012年)】

 アメリカの余剰小麦が給食になったのは知っていたが、円で決済ができたとは知らなかった。これこそソフトパワーだ。当時の日本政府は「アメリカの善意」を信じて疑わなかったことだろう。戦略とは物語でもある。食べることを目的にしている国家が、売ることを目的としている国家にかなうわけがない。

 私は菅沼は信用できるが、佐藤優はどうも信用できない。佐藤は鈴木宗男との人間関係を通して信義を貫いたような印象を巧みに演出しているが、該博な知識で何かを隠蔽(いんぺい)しているような疑惑を払拭することができない。きっとイスラエルのスパイだろうと私は睨(にら)んでいる。佐藤はTPP賛成で、同じく官僚上がりの江田憲司もTPPに賛成している。しかも理由が同じなのだ。「日本がアメリカブロックを選ぶか、中国ブロックを選ぶかという選択肢だ」と。

 菅沼によれば、田中角栄がロッキード事件で失脚したことによって、日本の政治家はアメリカを恐れ、尻尾を振るようになったという。ロッキード事件は日中国交回復に激怒したキッシンジャーが仕掛けたものだ。日本の首相は誰が務めようとアメリカのコントロール下にある。そもそも国家の安全保障をアメリカに委ねているのだからアメリカに頭が上がらないのも当然だ。

 エネルギーと食糧は戦略物資なのだ。しかも穀物を始めとする農産物は生産に一定期間を要する。そして市場を席巻するF1種には種がならない。一代限りの野菜なのだ。またモンサント社を始めとする巨大アグリ産業は農業を完全支配しつつある(『自殺する種子 アグロバイオ企業が食を支配する』安田節子)。そしてビル・ゲイツはスヴァールバル世界種子貯蔵庫に3000万ドルを投資している。

 そろそろアングロサクソンの誇大妄想と被害妄想が世界を混乱させている事実に我々は気づくべきだろう。



戦後アメリカの小麦戦略/『味噌をまいにち使って健康になる』渡邊敦光
赤い季節/『北朝鮮利権の真相 「コメ支援」「戦後補償」から「媚朝派報道」まで!』野村旗守編
現代の小麦は諸病の源/『小麦は食べるな!』ウイリアム・デイビス
余ったトウモロコシのために清涼飲料水が発明された/『医者が教える食事術 最強の教科書 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68』牧田善二

2014-11-23

IAEA(国際原子力機関)はアメリカの下部組織/『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年
『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘:2009年
『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘:2010年
『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年

 ・IAEA(国際原子力機関)はアメリカの下部組織
 ・日米経済戦争の宣戦布告
 ・田中角栄の失脚から日本の中枢はアメリカのコントロール下に入った

『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘:2012年
『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘:2012年
『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘:2012年
『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘:2013年

(※GEによる増殖型の原子力エンジンの開発が上手くゆかず)結局、ウェスティングハウスの加圧水型軽水炉の採用が決まって、原子力潜水艦第1号ノーチラス号として結実することになりました。1955年のことです。
 この2年前の53年12月、アイゼンハワー大統領は「平和のための原子力(アトムズ・フォー・ピース)」という有名な演説を国連で行っています。この演説でアイゼンハワーは核物質の国際管理と核エネルギーの平和利用を強い調子で訴えました。それが後のIAEA(国際原子力機関)の設立へとつながっていくのですが、もちろんアメリカの真意は原子力の平和利用などというきれい事だけにあったわけではありません。
 演説のなかでアイゼンハワーは、再三にわたってソ連の核兵器開発のすさまじい勢いについてふれています。アメリカの核の独占体制がくずれ、敵対国であるソ連の無制限の核開発について脅威を感じていたのです。
 広島・長崎に原爆を投下したという「暗い背景」(アイゼンハワーの言葉)を持つアメリカが、いまや自分たちの頭上でいつ核爆弾が炸裂してもおかしくないという恐怖のもとにさらされている。かつての加害者は「報復の女神」の復讐によっていつ被害者となっても不思議ではない、と聖書は教えている。そんな事態だけはなんとしてでも回避しなければならない。それにはソ連の核開発をなんとか抑え込まなければならない。アイゼンハワーの狙いはまさにそこにありました。そもそも彼が提唱したIAEAという組織自体が、アメリカの意向にそって核の軍事利用を制限し、査察を行うための国際機関として考え出されたものなのです。

【『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘(徳間書店、2011年)】

 原爆はダモクレスの剣と化した。


 ドイツではなく日本に原爆を投下した理由は明らかになっていない。ま、黄色人種であったためと考えてよかろう。アメリカはキリスト教の論理に則って行動し、そのドグマによって怯(おび)えているのだ。宗教とは空想や妄想を現実化する力である。

 主要な国際機関の大半はアングロサクソンが作ったもので、背後でユダヤマネーが支えている。一種のソフトパワー戦略と見なしていいだろう。IMF世界銀行もアメリカの出先機関である。

「IAEAの査察も日独核武装封じ込めが出発点」(吉田康彦)であった。


 アメリカの都合に合わせる同盟関係はそろそろ見直すべきだろう。9.11テロがその警鐘であったと思われてならない。地政学的に考えても日本は韓国・北朝鮮・中国・ロシアと上手くやっていくしかない。とにかく日本には戦略がない。戦わずして敗れているのが現実だ。例えば中国の民主化運動を密かに側面から支援する。そうすればやがて中国は四つか五つくらいに分裂してしまうだろう。そこで友好関係を強化すればいい。

この国の権力中枢を握る者は誰か
菅沼光弘
徳間書店
売り上げランキング: 133,255

2016-05-27

ヒロシマとナガサキの報復を恐れるアメリカ/『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年
『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘:2009年
『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘:2010年

 ・日本共産党はコミンテルンの日本支部
 ・ヒロシマとナガサキの報復を恐れるアメリカ

『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘:2011年
『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘:2012年
『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘:2012年
『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘:2012年
『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『神国日本VS.ワンワールド支配者』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘:2013年

菅沼●たとえば、北朝鮮やイランの核開発の問題。オバマ大統領は核廃絶を訴えてノーベル平和賞を貰いましたが、もちろんこの発言には裏がある。冷静に考えれば、ロシアも中国も北朝鮮もどんどん開発をしていて、現実的に核廃絶なんてできるわけがないというか、単なる寝言です。
 廃絶は寝言でも、不拡散と言って、アメリカがイランや北朝鮮の核開発に異常に神経質になるのは、イラン・北朝鮮が核を持つと、再び日本とドイツが核兵器を開発するという誘惑にかられることを心配しているからです。第二次世界大戦のトラウマがあるから、これはなんとしても阻止しないといけない。

【『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎(扶桑社、2010年)以下同】

 オバマ大統領が今日、広島を訪問した。原爆資料館を見学し、原爆慰霊碑に献花。アメリカの国家元首としては初めてのことである。ま、安倍首相に対するご褒美なのだろう。2014年のオバマ来日以降、安倍政権が行ってきたことといえば、特定秘密保護法の制定・施行と安全保障関連法案の改正(集団的自衛権の行使)である。

 1959年に原爆資料館を訪れたチェ・ゲバラは言った。「きみたち日本人は、アメリカにこれほど残虐な目にあわされて、腹が立たないのか」と(『チェ・ゲバラ伝』三好徹)。米軍による原爆投下は人体実験だった(『洗脳支配 日本人に富を貢がせるマインドコントロールのすべて』苫米地英人)。戦後、アメリカから広島・長崎に派遣された医療団は一切治療を行うことなくデータ収集に専念した。それは現在も尚続いているのである。

菅沼●北朝鮮の核ミサイルは、核大国である中国とロシアにとっても何の脅威でもありません。また、韓国の場合は、基本的に同胞だから核は撃ってこない。すると、本当に脅威なのは日本だけです。だから、「日本も核武装すべき」という議論が日本に出てくることがアメリカはショックなのです。
 日本の技術力からすれば、あっという間に核大国になってしまう。もし、そうなったら、必ずやニューヨークとワシントンに報復攻撃をしてくる……。

須田●アメリカはそう思っているのでしょう。

菅沼●ヒロシマとナガサキの報復をされると確信しているのです。なぜなら、アメリカ人は目には目を、歯に歯を、というのが基本的な考え方であり、アメリカが日本に原爆を落としたのは神も許した正義なのです。

須田●日本は毎年毎年、ヒロシマ、ナガサキで大々的な慰霊集会を行なって、大日本帝国の英霊を祀る靖国神社に総理大臣が毎年参列するくらいだから、アメリカ人は「日本人は原爆投下を絶対に許していない」と思っています。

菅沼●「それは考えすぎだろう」と日本人は思うかもしれないが、そうではありません。アメリカ人は「絶対に許さない」と考えるのが自然というか、当たり前だと思っている。日本人のセンスとは、ちょっと違うわけです。

 アメリカの歴史は「リメンバー」(忘れるな)というスローガンが端的に示している。「リメンバー・アラモ砦」でメキシコ戦争、「リメンバー・サムター砦」で南北戦争、「リメンバー・メイン号」でスペイン戦争、「リメンバー・ルキタニア号」で第一次世界大戦参戦、「リメンバー・パールハーバー」で第二次世界大戦参戦、そして「リメンバー・トンキン湾」でベトナム戦争、「リメンバー9.11」で対テロ・アフガン・イラク戦争へと突入してきた。

 人間も国家も相手の中に自分の似姿を見出す。「やられたらやり返す」のがアメリカの流儀だ。日本を恐れるのは当然であった。だが当の日本は平和という病に冒されていた。しかもその平和を担保していたのは駐日米軍の存在であり、アメリカの核の傘であった。ブラック・ユーモアにしては黒すぎる。

菅沼●アメリカ人には、どうしても日本的なメンタリティーが理解できない。だから、日本人が怖くて仕方ないのです。それで、常に経済的にも技術的にも軍事的にも、独り立ちできないようにしてくるわけです。

 アメリカが世界で行ってきたことはジョン・パーキンス著『エコノミック・ヒットマン 途上国を食い物にするアメリカ』、ナオミ・クライン著『ショック・ドクトリン 惨事便乗型資本主義の正体を暴く』やウィリアム・ブルム著『アメリカの国家犯罪全書』が詳細に渡って論じている。アメリカこそは世界最大のテロ国家である(『9.11 アメリカに報復する資格はない!』ノーム・チョムスキー)。

 アメリカの疑心暗鬼は自らの悪逆非道から生まれる。世界の警察官は世界の犯罪者でもあった。

 日本人はお人好しである。もちろん戦後教育が歴史から目を逸(そ)らさせてきた事実を見逃すことはできない。だが歴史に学んだところで今直ぐアメリカと手を切るわけにはいかない。そもそも自衛隊が単独で戦闘できる体制になっていないのだ。日本としては時間をかけてでもアジア諸国との信頼関係を培い、ロシアおよびインドとの関係を強化するしかない。

 中国では民主化の動きが圧力となって、中国共産党は民主化を封じ込める形で日本との戦端を開くことだろう。恐らく2020年前後には動き出すに違いない。これがアメリカの方針であり、共和党政権になっても維持されることだろう。米軍は日本から撤収する可能性が高い。

日本最後のスパイからの遺言
菅沼 光弘 須田 慎一郎
扶桑社
売り上げランキング: 491,837

2014-12-31

反日教育のきっかけとなった天安門事件/『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年
『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘:2009年
『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘:2010年
『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年
『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘:2011年
『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘:2012年
『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘:2012年
『国家非常事態緊急会議』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄:2012年
『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘:2012年
『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『神国日本VS.ワンワールド支配者』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄

 ・反日教育のきっかけとなった天安門事件
 ・60年安保闘争~樺美智子と右翼とヤクザ

『この国を呪縛する歴史問題』菅沼光弘 2014年
『日本人が知らない地政学が教えるこの国の進路』菅沼光弘 2015年

 かつて(1989年)天安門事件というのがありました。そのときに、天安門を占拠した若い学生のなかから「中国共産党打倒」のスローガンが出たのですね。これに、その当時の、鄧小平〈トウ・ショウヘイ〉を中心とする古い指導者たちは物凄くショックを受けたわけですね。そこで、鄧小平たちが考えたのは、「これでは駄目だ。若者に愛国教育ややらんといかん」ということでした。愛国教育とは、「中華人民共和国をつくるについて、中国共産党が日本軍国主義の侵略を排除するためにどれだけ苦労したか」ということを教えるということです。
 つまり彼らの言う愛国教育というのはイコール反日教育です。これを江沢民体制の10年ずっとやってきた。そして、今も続けています。その成果が今日の激しい反日運動の背景にあるわけです。中国共産党がなぜ今も独裁的に中国を支配しているのか、それを正当化する理由が二つあるわけです。一つは要するに、日本軍国主義の中国侵略からこの国を解放して中華人民共和国をつくったのは共産党だということです。もう一つは、中国共産党が存在しなければ、今日の経済発展はあり得ないということです。経済発展をするためには中国共産党独裁が必要である。こういうことでこれまでやって来たわけで、それらの信念が揺らいでくると反日というマグマが噴出する。小泉純一郎首相のときには靖国が大きな問題だったけれども、靖国の問題が収まれば、今度は尖閣の問題ということになってくる。これは尖閣でも靖国でもどちらでもよいのであって、たまたま今は尖閣を問題にしただけなのです。
 したがって、その中国共産党の権威が揺らげば揺らぐほど、国内が荒れれば荒れるほど、必ずまた出てきます。今だって、年間20万件とか30万件の暴動が起きているのです。あるいは環境汚染、汚職、こんなものが絶えることなく続いている。あの国は常に何かがあるわけです。もちろん浮き沈みはあります。今は、中国の形勢が国際的に不利になってきたこともあって、ちょっと収まってきているのです。しかし、中国共産党の政権が存在する限り、こういうことはこれからも何度でもあります。
 もっとも、これが日中戦争にまで発展することは、今のところ考えられません。現状では中国がもし戦争に踏み切れば、共産党政権は崩壊するでしょう。

【『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘(ベストセラーズ、2013年)】

 本年最後の書評も菅沼光弘で締め括る。

 中国における反日教育は「物語の上書き更新」を意味する。つまり鄧小平の読みは当たったわけだ。恐ろしい事実ではあるが、大衆の再教育(≒洗脳)が可能であることを示している。

 一方、我が日本はどうか。戦後になって東京裁判史観を引き摺ったまま何ひとつ変わっていない。アメリカが施したマインドコントロールが半世紀以上にわたって続いている。

 人間は幻想に生きる動物だ。宗教・歴史・文化・芸術など全てが幻想である。その幻想を支えるアルゴリズムが価値観であるわけだが、我々は価値観を選択することができない。まず言語の縛りがある。次に親や教員に教えられることを子供は疑うことが難しい。そもそも比較する材料がない。感情的な反発は覚えても、深い懐疑に至ることはないだろう。

 日本国の再生を思えば、やはり歴史から始めるしかないというのが私の考えだ。欧米キリスト教に対抗し得るのは、天皇陛下を中心とした一千数百年にわたる独自の文明である。中国(シナ)は日本よりも古い歴史を持つが、王朝国家の興亡が連続しているため一つの国家と見なすことはできない。

 イギリス王室はウィリアム1世から始まる。1066年のことである。ヨーロッパで日本に対抗できる歴史を有するのはローマ、ギリシャくらいだろう。

 200数十年の歴史しか持たないアメリカを筆頭に、白人は天皇陛下が目障りでしようがない。聖書に記述がないというのも重要な要素である。菅沼は皇室を貶(おとし)める記事は彼らが書かせていると指摘する。もし本物の右翼がいるなら週刊誌の発行元で街宣活動を行うべきだろう。

 アメリカは歴史の浅い国であるゆえに歴史学が弱い。だからこそ日本から発信することに意味があるのだ。西洋キリスト教に対して宗教的に対抗すれば感情的な反発を避けることが難しい上、戦争になりかねない。歴史も宗教も物語であるのは一緒だが、歴史は史実に基づいているため宗教よりは科学的だ。

「現状では中国がもし戦争に踏み切れば、共産党政権は崩壊する」――実はここにこそ日中戦争の目的があるのではないか? 青写真を描くのはもちろんアメリカだ。日本と中国はキャストにすぎない。

 アメリカのシナリオを想像してみよう。中国が尖閣諸島を武力支配-日本の軍事化および核武装化-在日米軍撤収-国際紛争に日本軍が参加、とこんな感じだろう。アメリカの国防予算削減分を日本にカバーさせようという魂胆だ。

 来年が潮目となる。円安が天井を打った時点から上記シナリオは現実味を帯びることだろう。

 それでは皆さん、よいお年を。一年間ありがとうございました。

2014-12-23

フリーメイソンの「友愛」は「同志愛」の意/『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年
『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘:2009年
『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘:2010年
『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年
『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘:2011年
『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘:2012年
『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘:2012年
『国家非常事態緊急会議』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄:2012年

 ・フリーメイソンの「友愛」は「同志愛」の意
 ・日本にとって危険なヒラリー・クリントン

『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『神国日本VS.ワンワールド支配者』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘:2013年
『この国を呪縛する歴史問題』菅沼光弘:2014年

 それに彼の祖父の鳩山一郎さんがフリーメイソンだったということもあります。フリーメイソンの標語の一つに「友愛」というのがある。それで彼は友愛精神だとか友愛外交だとかやたらに「友愛」と言っていたのです。
 戦後の日本占領を指揮した連合軍最高司令官のマッカーサーはフリーメイソンです。それで鳩山一郎さんは、日本自由党総裁として首班使命を受ける直前に公職追放されたりしたものだから、マッカーサーの歓心を買うためにフリーメイソンに入った。
 ワシントン郊外に「コリングウッド」という有名な建物がある。現在はフリーメイソンの博物館として使われています。その2階がマッカーサーなど著名な軍人のフリーメイソンの展示室になっていて、そこにフリーメイソン日本支部に関する資料があり、その中に占領時代の日米両国の指導者たちの名前が並んでいます。幣原喜重郎〈しではら・きじゅうろう〉や星島二郎などの政治家とともに、ちゃんと鳩山一郎の名前があります。
 1955年の保守合同自由民主党を結成したときに、その綱領の最初に自主憲法の制定を掲げ、それまでの吉田茂内閣の対米従属路線を転換して日ソ国交回復を成し遂げたのは鳩山一郎さんです。
 孫の鳩山由紀夫さんがフリーメイソンかどうか知りませんが、お祖父さん以来のそういう関係があるものだから、アメリカとの強いパイプがあると彼は確信していたのです。
 それでお祖父さん譲りの対米自主路線ということを言ってもうまくいくと考えたのでしょう。アメリカにはフリーメイソンの「友愛の朋」がいる、彼らが助けてくれると。ところがうまくいかなかった。お祖父さんの一郎さんですらうまくいかなかったのですから、そう簡単にいくはずがありません。
 鳩山さんが言っている「友愛」というのは、フリーメイソンが掲げる「フラタニティ」という言葉を訳したものですが、「フラタニティ」というのは本来、フリーメイソンの仲間だけの「同志愛」という意味です。それを一般的な「友愛」という日本語に置き換えて自分のスローガンにしたのです。
 中国の「国父」と呼ばれる孫文もフリーメイソンでした。南京に中山陵という孫文の墓がありますが、そこに「博愛」の文字が刻まれています。これもおそらく「フラタニティ」を日本語訳したもので、誤訳か意訳かわかりませんが、孫文はそれをそのまま自分の思想にしたわけです。

【『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘(徳間書店、2012年)】

「フランス革命のスローガンである『自由・平等・博愛』は革命前からある言葉で、もとはフリーメーソンのスローガン」だった(『エンデの遺言 「根源からお金を問うこと」』河邑厚徳〈かわむら・あつのり〉、グループ現代)。フリーメイソンについては以下のページが詳しい。

フリーメーソンの深層(PDF)

 元々は石工職人のギルド(組合)であったが、薔薇十字運動やテンプル騎士団が絡んでくるあたりから変質したのだろう(フリーメーソンとオカルティズム)。

 あるコミュニティから生まれた強い思想は伝染力をまとって外部にまで共感の輪を広げる。人々が「正しい」と認識し、心から納得すれば脳の構造まで変わる。つまり思考の枠組みに革命を起こすのだ。ナポレオンがフリーメイソンであったという証拠はないが、4人の兄弟は全員がフリーメイソンであった(フリーメイソンだった有名人一覧)。

 例えば仏教の因果応報、マルキシズムの進歩史観、ユダヤ教の契約、キリスト教の正義と愛など数え上げれば切りがない。脳は「合理」に逆らえない。たとえ錯覚であったとしても当人が「理にかなっている」と思い込んだ瞬間にアルゴリズムが変わるのだ。

 ある意味で信じることはたやすい。騙される人が多いのがその証拠だ。振り込め詐欺には引っ掛からなくても、政治家やメディアの嘘にまんまと騙される人々は多い。広告に煽られて買い物をしてしまう人は注意が必要だ。

 近頃、流布した価値観のひとつに新自由主義がある。限りない競争を是としながらも、先進国においては国が金融機関のケツを拭くというデタラメなものだった。ナオミ・クラインが『ショック・ドクトリン 惨事便乗型資本主義の正体を暴く』で徹底的に糾弾している。

 ある時代においては魔女狩りをすることが正しかったり、インディアンを虐殺することが正しかったり、黒人を奴隷にすることが正しかった。虐殺は正義の名のもとに行われる。今、我々に必要なのは欧米の価値観を疑うことである。特に一強となったアメリカの政治的目論みに与(くみ)しないことが重要だ。彼らは国益という本音を隠しながら、世界をダシにして議論を仕掛ける。

 2015年から2016年にかけて世界経済は再び混乱することだろう。長年にわたって行われてきた金融緩和でジャブジャブになったマーケットがコントロール不能な暴走に至る。その時、世界各国で国粋主義が台頭する。キリスト教に変わる価値観が出現するまで人類は混乱を繰り返す。

2014-12-12

日朝国交正常化を二度に渡って阻んだアメリカ/『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年
『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘:2009年
『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘:2010年
『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年
『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘:2011年
『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘:2012年

 ・朝鮮併合~日本企業による開発
 ・日朝国交正常化を二度に渡って阻んだアメリカ
 ・北朝鮮は核開発の基礎を日本で学んだ

『国家非常事態緊急会議』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄:2012年
『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘:2012年
『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『神国日本VS.ワンワールド支配者』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘:2013年

アメリカが日朝国交正常化の二度の機会をつぶした

 日本が北朝鮮とのあいだの門戸を開いて独自に外交を展開しようとしたことが、過去に2回ありました。
 最初は1990年9月、金丸元副総理田辺誠日本社会党副委員長らによる金丸訪朝団です。このとき日朝代表団のあいだで数回の会議が行われ、朝鮮労働党・自民党・日本社会党の3党による共同宣言が出されました。
 この「3党共同宣言」には、日本が戦前の35年間と戦後45年間に朝鮮人民に与えた不幸に対して謝罪するとともに十分な補償をすること、できるだけ早い時期に日朝間の国交を樹立するなどのことが記されていました。
「3党共同宣言」の内容についてはいろいろな批判もありましたが、これによって日本と北朝鮮が国交正常化に向けて一歩を踏み出したことは事実です。
 また訪朝の目的の一つは、スパイ容疑で逮捕・投獄されていた第十八富士山丸の日本人船長と機関長2名の釈放・帰国でしたが、これも実施されました。
 ところがそれから間もなく、アメリカによって北朝鮮の核開発疑惑がもたらされ、さらに金丸さんの不正献金問題が浮上して失脚するなどのことが立て続けに起こって、日朝国交正常化への動きは完全に停止してしまいました。
 金日成からすれば、日本の政権与党と第一野党が一緒になって国交樹立に動くのだから期待していいだろうと思っていたはずです。それがアメリカの動きひとつであっけなくつぶれてしまった。これで金日成は、日本は自主外交ができない国だ、日本だけを相手にしてもラチが明かない、アメリカと直接対話すれば日本はそれに追随してくると、認識を改めることになります。
 2回目は2002年9月の小泉純一郎首相の訪朝です。小泉さんが訪朝の意向を示したとき、金正日はあらゆる情報を集めて分析し、小泉純一郎という人物は「変人」と呼ばれているようだが、強い意志を持った政治家であり、対米外交においても自主外交を貫ける人物だと判断して、日朝首脳会談の開催を決めました。
 ところがこの直後の10月、アメリカのケリー国務次官補が平壌を訪れて北朝鮮のウラン濃縮疑惑を指摘、米朝間の「枠組み合意」が破綻することになりました。日本構内でも拉致問題に対する対応の不満が高まり、マスコミもこぞって北朝鮮制裁を叫び始めました。
 そのため小泉首相が2004年5月に再び平壌を訪れたときは、食糧支援や医療品支援の見返りとして新たに5人の拉致被害者の帰国が約束されただけで、日朝国交正常化への動きは全く途絶えてしまいました。
 かくして日本は二度にわたってアメリカの横槍を受け、日朝国交正常化への道を閉ざされてしまったのです。ありていに言えばこれは、米朝正常化に先んじて日本が北朝鮮と国交を結ぶことなならぬということです。そしてそれに対して何一つできない日本は、骨の髄までしみこんだ対米従属姿勢をあからさまに露呈することになったわけです。これ囲以後、金正日は日本に見向きもしなくなりました。

【『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘(徳間書店、2012年)以下同】

 アメリカは日中国交正常化に激怒した。1971年、キッシンジャーがパキスタンルートで中国を電撃訪問。直後に「ニクソン大統領は中国から訪問の要請があり、それを了承したことを電撃的に発表した」(Wikipedia)。だが米中国交正常化は一筋縄ではいかなかった。台湾を支持するアメリカの政治家が多かったためだ。蒋介石夫人の宋美齢はアメリカで人気を集めた。彼女はアメリカ留学の経験があり、1975年以降はアメリカへ移住している。

 それを尻目に田中角栄はあっさりと「一つの中国」を認め、アメリカに先んじて国交正常化を果たしてしまったのだ。ロッキード事件(1976年)はキッシンジャーによる意趣返しと見て間違いない。米中の国交が正常化したのは1979年であった。

 アメリカとしては中国と同じ轍(てつ)を踏むわけにはいかない。日本と北朝鮮が国交を結べば日本企業の進出は必至だ。レアメタルにも手を付けられてしまう。そして北朝鮮が円の通貨圏となる。これだけは絶対に阻止しなくてはならなかった。

 こんな相手に安全保障を委ねて大丈夫なのだろうか? 国際舞台は国益を巡る熾烈なリングであることは私も承知している。だがそれは「他国の利益を奪う」とイコールではないだろう。ところがアメリカはそういうことを平然と行う。日本は高額なみかじめ料を強要されて今にも潰れそうなキャバレーみたいなもんだ。

 クリントン大統領が仕掛けた経済戦争以降、日本経済は凋落(ちょうらく)の一途を辿っている。今、株価が高いのは日銀が印刷しているからであって需給による株高ではない。つまり円の価値が下がった分だけ株価が上がっているのである。

 アメリカは「俺と仲良くしたいなら、あいつと仲良くしてはいけない」と言ういじめっ子と同じ論理だ。そろそろ超大国の座から降りてもらうべき時に差し掛かっていると思う。

 そのためには日本が軍事的に独立する必要がある。完全を期すのであればどうしても核武装が必要となる。もちろん情報機関も欠かせない。また長期的展望に立てば、多くの大学に歴史学部を創設し近代日本史のエリートを育てる必要がある。同時に世界の近代史において西洋が犯してきた罪を学問レベルで糾弾するべきだ。

 アメリカと西欧が世界を牛耳っている限り、平和な世界が訪れることはないだろう。

日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報
菅沼光弘
徳間書店
売り上げランキング: 249,315

赤い季節/『北朝鮮利権の真相 「コメ支援」「戦後補償」から「媚朝派報道」まで!』野村旗守編
安倍首相辞任の真相/『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘

2014-10-22

中国の経済成長率が鈍化/『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年
『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘:2009年
『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘:2010年
『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年
『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘:2011年

 ・教科書問題が謝罪外交の原因
 ・アメリカの穀物輸出戦略
 ・中国の経済成長率が鈍化
 ・安倍首相辞任の真相

『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘:2012年
『国家非常事態緊急会議』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄:2012年
『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘:2012年
『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『神国日本VS.ワンワールド支配者』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘:2013年

中国、7.3%成長に減速 5年半ぶり低水準/7~9月、住宅販売不振で

 中国国家統計局は21日、2014年7~9月期の国内総生産(GDP)が物価変動を除く実質で前年同期に比べ7.3%増えたと発表した。成長率は2四半期ぶりに縮小し、リーマン・ショック後の09年1~3月期(6.6%増)以来、5年半ぶりの低い水準となった。全国に広がる住宅販売の不振の余波で投資や生産が停滞した。中国の成長鈍化は世界経済を揺らすリスクとなる。

 成長率は1~3月は7.4%、4~6月が7.5%と推移し、今回7.3%に鈍った。

日本経済新聞Web刊 2014年10月21日

第3四半期の中国成長率は7.3%に減速、約6年ぶり低水準

 中国国家統計局の盛来運報道官は、第3・四半期のGDP伸び率が鈍化したことについて、構造改革や住宅市場の不振、比較となる前年同期のGDP水準が高かったことが原因と指摘したうえで、成長率はなお「妥当なレンジ内」にあるとの認識を示した。

 中国は今年の7.5%成長目標を達成できない見通し。ただ、李克強首相は、労働市場が持ちこたえている限り、成長率が目標を若干下回ることは容認するとの考えを繰り返し示している。

ロイター 2014年10月21日

 いま中国共産党が政権を維持できているのは、あるいは民衆が中国共産党を支持している唯一の理由は、経済が成長しているからです。経済の成長こそが中国共産党政権の存在理由になっている。しかも、なんとしてでも8%以上の経済成長を続けていかないと、毎年毎年出てくる新しい労働力を吸収できないのです。それでも大変な数の失業者が出ています。
 その8%の成長率を維持するために、中国はこれから拡大政策に走って、たとえば日本に戦争を仕掛け、尖閣諸島を占領して海底油田の利権を独り占めしようとするかもしれないという不安の声も高まっています。

【『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘(徳間書店、2012年)】

 読み終えたばかりでこのニュースだ。吃驚仰天(びっくりぎょうてん)した。しかも目標自体が既に8%を割っている。中国共産党首脳にも限界が見え始めているのだろう。

「中国文明は衰退の局面に入っている」と中西輝政が指摘している(『日本人として知っておきたい外交の授業』)。黄河の水が涸(か)れつつあり揚子江の水もコントロールを失いつつあるという。文明の基(もとい)となる水が失われ、グローバル経済の煽りを受けてバブルが弾ければ中国が国家分裂することは避けられないとの主張だ。

 中国は王朝国家であり、革命思想の波に洗われてきた歴史がある。民の怒りが天の声となった瞬間に暴動が起こる。

 中国が日本やフィリピンの領海を侵犯するのも8%の経済成長を維持するためと考えればわかりやすい。彼らが強気で行動すればするほど、中国内部で不満のガスが溜まっていると見てよさそうだ。

この国の不都合な真実―日本はなぜここまで劣化したのか?
菅沼 光弘
徳間書店
売り上げランキング: 402,741

2015-01-16

日露友好の土壌/『なぜ不死鳥のごとく蘇るのか 神国日本VS.ワンワールド支配者 バビロニア式独裁か日本式共生か 攻防正念場!』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年
『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘:2009年
『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘:2010年
『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年
『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘:2011年
『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘:2012年
『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘:2012年
『国家非常事態緊急会議』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄:2012年
『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘:2012年
『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『この国を呪縛する歴史問題』菅沼光弘:2014年

 ・日露友好の土壌

『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘:2013年

菅沼●ロシアと日本が協力できるのは単に経済的な関係だけではないんですよ。宗教的に見てもそうです。ロシア正教は一般的なキリスト教とちょっと違う。
 例えば彼らが一番愛するのがアイコン(イコン)です。それに何が描いてあるかというと、マリア様です。マリア様は女性です。日本も、伊勢神宮内宮の祭神はアマテラスです。女性に対する畏敬の念ということではロシアと日本には共通性がある。

【『なぜ不死鳥のごとく蘇るのか 神国日本VS.ワンワールド支配者 バビロニア式独裁か日本式共生か 攻防正念場!』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄(ヒカルランド、2013年)以下同】

 ベンジャミン・フルフォードの言説には慎みがない。思ったこと、感じたことをそのまま吐いている。その軽薄さが彼の言論を単なる陰謀論に貶める。部分的な真実があったとしても私は彼の言葉を信用しない。このような子供染みた人物を相手にする菅沼の意図も理解しかねる。菅沼ファンであってもベンジャミン関連は読む必要なし。

 アイコンについては小田嶋隆が秀逸な解説をしている。

アイコンとは/『コンピュータ妄語録』小田嶋隆

「偶像崇拝」という言葉にはかくの如き西洋の歴史がある。一言でいえば「シンボルは神に非ず」ということだ。これは中々奥が深いテーマで宗教や脳機能の深淵に関わる問題が潜んでいる。

 タレントとは本来「才能」を意味する言葉であるが、タレントのポスターが偶像である事実に気がつけば偶像崇拝はストンと腑に落ちる。例えば筋金入りのオタクがいたとしよう。彼は大好きなアイドルのポスターに向かって朝な夕な語りかける。ある時は悔しい思いを涙ながらに訴え、またある時は嬉しい出来事を輝く瞳で報告する。彼の脳内ではアイドルのポスターが実像と化している。幼い妹が誤ってポスターを破いてしまった事態を想定すればわかることだ。それはもう「ポスター」ではなくなっている。ご存じの人もいるだろうがアイドルとは「偶像」を意味する言葉である。

 ここからもう一段深めるとシンボルとしての言葉に辿り着く。そこから横に移動すれば、表意文字としての漢字に込められた力、すなわち呪能が見えてくる。で、最終的には脳のアナロジー機能に行き着く。

アナロジーは死の象徴化から始まった/『カミとヒトの解剖学』養老孟司

 菅沼の指摘は「日本人とロシア人の脳が似ている」ことを示す。初耳だ。こんな話は聞いたことがない。聞いたことがないだけに鮮烈な説得力を感じる。

菅沼●ロシア人は、日本人に対して、イギリス人だとか何かみたいに人種的な偏見なんて全然ない。シベリアに抑留された人が現地のロシア人女性と一緒になって、帰ってこなかった例も随分ある。

 言われてみると確かにロシアの美人は欧米の美人よりも日本人には取っ付きやすい印象がある。ただしロシアの女性と結婚すると性行為の回数が多くて日本男児では体が持たないと佐藤優が書いていた。1日3回とか。

菅沼●今まで日露関係は、イデオロギーや、北方領土の問題とかがあって、ギクシャクしてきたけども、そういうものが薄れてくると、ロシアと日本というのは、宗教的にも、人間的にも、また経済的にも非常にくっつきやすい条件ができつつあるわけですよ。

 こういう卓見が随所にあるから菅沼本はやめられない。私は本来であればやはり東アジアを中心とした漢字文化圏が緩やかな共同体を目指すのが理想だと考えているが、中国との関係が上手くゆかない以上、日本とロシアが友好を深めることは望ましいと思う。

2018-04-27

田中角栄の失脚から日本の中枢はアメリカのコントロール下に入った/『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年
『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘:2009年
『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘:2010年
『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年

 ・IAEA(国際原子力機関)はアメリカの下部組織
 ・日米経済戦争の宣戦布告
 ・田中角栄の失脚から日本の中枢はアメリカのコントロール下に入った

『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘:2012年
『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘:2012年
『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘:2012年
『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘:2013年

 アメリカのFBIは日本との関わりのなかで、どこにどれだけのお金が流れたかなど、あらゆる情報を把握しています。ロッキード事件では、それがたまたまロッキード・丸紅ルートとして表面化したけれど、アメリカが叩こうとしたのは日本の首相であって、それ以外はどうでもよかったのです。
 アメリカには罪を認めて当局の捜査に協力すれば刑を軽減したり不起訴にするという司法取引精度がある。アメリカの刑事裁判は大部分が司法取引で行われているから、事件の証拠などいくらでも出てきます。だから贈賄側であるロッキードの副会長コーチャンも司法取引に応じて、不起訴を条件にぺらぺらとしゃべる。その証拠をアメリカ政府はポンと出して、あとは日本の検察が好きなようにおやりなさいよとやる。その証拠を東京地検特捜部がアメリカまでもらいに行った。その中心にいて田中角栄に論告求刑したのが、現在「さわやか福祉財団」で理事長をつとめている堀田力さんです。
 しかし、いまもいろいろと問題を起こしていますが、当時から検察のやり方というのは実に卑劣です。一国の総理だった人物を外為法違反などということで捕まえる。そんなことが許されていいのかどうか。結局、これもまたアメリカの意向にそって検察が動いているからです。田中角栄を見せしめに締め上げて、「今後一切、アメリカに逆らうようなことは許さない」というアメリカのお先棒をかつぐ、日本の検察はまったく地に堕(お)ちてしまいました。
 地に堕ちたのは検察ばかりではありません。アメリカに逆らえば潰されるということを身にしみて知らされた日本の総理大臣もまた、このときから地に堕ちてしまった。とりわけ中曽根康弘から竹下登へとつづく内閣はアメリカの要求を100パーセント飲みつづけ、その後の自民党政権はことごとくアメリカの言いなりという状態になりました。海部俊樹しかり、宮澤喜一しかり、橋本龍太郎しかり、小泉純一郎しかりです。

【『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘(徳間書店、2011年)】

 ロッキード事件はアメリカに先んじて中国と国交回復を成し遂げた田中角栄首相に対するキッシンジャーの報復だった。ジャーナリストの文明子〈ムン・ミョンジャ〉が菅沼に語った。「角栄さんがクビになった最大の原因は何か知ってますか。それは日中国交正常化ですよ。もっといえば台湾問題なんですよ」と。キッシンジャーは田中角栄を「アンプレディクタブル・ガイ(何をやらかすかわからない野郎)」だと罵倒し、「あんな田舎者はもう徹底的にやっつける」と言った。エアフォースワンに同乗を許された彼女が直接聞いた話である。

 大東亜戦争以来、アメリカはずっと蒋介石政権を援助してきた。夫人の宋美齢もアメリカでは大変な人気があった。アメリカが台湾の存在に苦慮する中で突然日本が中国に手を出したわけだ。キッシンジャーの目には「身の程知らずな属国」と映ったのだろう。

 橋本龍太郎もまた日歯連闇献金事件(2004年)で失脚し、2年後に亡くなった。橋本はコロンビア大学で行った講演後の質疑で「大量の米国債を売却しようとする誘惑にかられたことは、幾度かあります」と発言し、翌日のニューヨーク市場は1987年のブラックマンデー以来最大の192ドルの下げ幅を記録した。これに対する意趣返しだと囁かれた。

 我々は大東亜戦争に敗れても尚、アングロサクソンの本当の恐ろしさを理解していないのだろう。国際社会にあって人の好(よ)さは致命的なマイナスとなる。第一次安倍政権もまたアメリカによって潰された

 田中角栄が葬られた後で堀田力や立花隆がメディアや出版界で活躍したのもアメリカからのご褒美に違いない。

この国の権力中枢を握る者は誰か
菅沼光弘
徳間書店
売り上げランキング: 133,255

2014-11-18

国益を貫き独自の情報機関を作ったドイツ政府/『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年

 ・国益を貫き独自の情報機関を作ったドイツ政府
 ・アメリカからの情報に依存する日本

『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘:2010年
『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年
『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘:2011年
『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘:2012年
『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘:2012年
『国家非常事態緊急会議』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄:2012年
『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘:2012年
『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『神国日本VS.ワンワールド支配者』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘:2013年

 私がドイツにいた頃、BND関係者からは、情報機関が国家にとっていかに重要なのか、よく聞かされた。
 かつてドイツは第一世界大戦(ママ)に敗れたことで、連合国によって、軍の情報機関はすべて廃止に追い込まれた。ドイツが再び立ち上がることを阻止するためだ。
 しかし、ドイツ海軍は、その後ドイツ国防軍の情報長官になった、ヴィルヘルム・カナリス提督が若き士官だった頃、情報士官を集めて民間会社を作った。連合国から禁止されていたため、公式に情報機関は作れなかったが、民間会社を作って、そこで密かに情報活動を行った。
 ナチスが政権を握った後は、民間会社を隠れ蓑にすることもなく、堂々と情報機関が設立された。ドイツ陸軍で対ソ情報活動を行っていた部隊は、第二次世界大戦中、バルト海南岸の東プロイセンの辺りに駐在していた。その部隊の司令官が、後にBND初代長官に就いたゲーレン将軍である。
 敗戦間近になると、ゲーレン将軍らは要員とともに、資料を全部持って、スイスの山中に逃げ込んだ。なぜそういう行動に出たかというと、「我々はもう負ける。しかしいずれ我々の持てる情報を、アメリカが必要とするだろう」という読みがあったからだ。
 第一次世界大戦後に情報聞かを壊滅させられた経験があったから、「何が何でも情報機関を残さなければならない」というただ一心だったという。
 その後、CIAの前身組織であるOSS(戦略事務局)のヨーロッパ本部責任者だったアレン・ウェルシュ・ダレス氏と掛け合った。その甲斐あって、CIAの全面的な支援の下で、対ソ情報活動を専門的に行う「ゲーレン機関」が設立され、独立後に連邦の情報機関であるBNDへと発展していったのだ。
 ドイツには、国が自立するためには、情報機関が必要不可欠だという認識がある。また占領下において、つまり主権のない時期に作られた法律は、独立後はすべて見直すという強い意思があったから、日本のように改正が難しい憲法は作らなかった。ドイツ連邦共和国基本法は、必要とあらばいつでも改正できる基本法であって、憲法と呼ばれるものではない。
 日本は占領期間中に、帝国憲法の改正という形だ。日本国憲法を作ったから、60年以上も改正できないまま今日に至っている。同じ敗戦国にして、これだけの違いがある。
 憲法制定の経緯についてはいろいろなことが言われているが、つまりはアメリカが日本の自立を認めなかったということだ。逆に言うと、独自の情報を集めるシステムがないと、独立自尊の国家としての政策は展開できない。

【『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘(青志社、2012年/旧版、2009年)】

 菅沼光弘がどの書籍においても必ず触れている歴史で、日本独自の情報機関をつくることがアメリカ支配という戦後レジームを変革する第一歩であるとの主張である。

 カナリス提督やゲーレン将軍はドイツを舞台とした冒険小説やミステリで馴染みが深い。菅沼は東大法学部を卒業し公安調査庁に入庁。その後直ちにドイツのマインツ大学へ留学させられているが、これはゲーレン機関で訓練を受けるためであった。菅沼が「最後のスパイ」と呼ばれる所以(ゆえん)である。


 カナリスはアプヴェーアの責任者も務めた。知性と良心を眠らせない人物が皆そうであるように、彼もまた複雑な人物であった。カナリスはSS(ナチス親衛隊)と反目し合っていた。そして最後は部下たちが企てたヒトラー暗殺に協力する。絞首刑にされたのはナチス・ドイツが降伏する1ヶ月前であった。


 ドイツは白人国家であるがゆえに当然、日本とは占領政策が異なった。それでも尚、なぜドイツにはゲーレンがいて、日本にはいなかったかを考える必要があるだろう。小野田寛郎〈おのだ・ひろお〉の生きざま(『たった一人の30年戦争』小野田寛郎)を見れば、陸軍中野学校がそう易々(やすやす)とGHQに屈するとは思えない。


 逆に言えばゲーレンのような先見の明をもつ者が存在しなかったがゆえに日本は戦争に敗れたのだろう。ゲーレン機関は正式にBND(連邦情報局)となる。ゲーレン機関の諜報員はソ連・東欧の各地に配置され、米ソ冷戦下で活躍する。

 戦後憲法が日本のよき伝統を破壊したと菅沼は言う。その一々に説得力がある。更にアメリカは日本に情報機関を持たせないことで完全に属国とした。日本のインテリジェンスはその殆どをアメリカからの情報に頼っているのだ。しかも自民党は1950年台から60年台にかけてCIA(中央情報局)から数百万ドルの資金提供を受けている。つまり日本共産党がソ連のスパイ(『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎)で、自民党がアメリカのスパイであった可能性が強い。

 同様に朝日新聞(慰安婦問題捏造記事)と読売新聞(原発導入のシナリオ 冷戦下の対日原子力戦略)を比較することもできるだろう。正力松太郎には「ポダム」というCIAのコードネームがあった。


 晩年のゲーレン将軍と思われるが、顔つきが菅沼とよく似ている。カナリスもゲーレンも菅沼も国家・国民のためにという国益志向が一致している。彼らこそ国士と呼ばれるのに相応(ふさわ)しい人物だ。

守るべき日本の国益
守るべき日本の国益
posted with amazlet at 18.10.01
菅沼 光弘
青志社
売り上げランキング: 905,683

2014-12-13

北朝鮮は核開発の基礎を日本で学んだ/『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年
『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘:2009年
『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘:2010年
『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年
『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘:2011年
『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘:2012年

 ・朝鮮併合~日本企業による開発
 ・日朝国交正常化を二度に渡って阻んだアメリカ
 ・北朝鮮は核開発の基礎を日本で学んだ

『国家非常事態緊急会議』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄:2012年
『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘:2012年
『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『神国日本VS.ワンワールド支配者』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘:2013年

 まずこの動画を見てもらおう。知識がなければ理解できないことは多い。


 また北朝鮮といえば核開発が大きな問題となっていますが、北朝鮮の核開発を最初に手がけたのは誰かというと、戦時中に日本でも原子爆弾の研究をしていて、仁科芳雄博士の研究所などで極秘に進められていました。そして技術的には原爆を作るのは可能であるとなったのですが、残念ながら日本には原爆の材料となるウラニウムがなかった。
 そのとき仁科研究所で日本国民として研究に携わっていた朝鮮人科学者や技術者たちが北朝鮮に帰って、核開発の基礎を築きました。仁科研究所で学んだ人たちが、さらにソ連のドブナー科学センターという原子力研究所に行ってソ連の核技術を習得し、ソ連の支援によって1980年代に寧辺に実験炉を作ったのです。しかも北朝鮮にはかなりのウラニウム鉱山がある。だからウラニウム鉱石を掘り出して濃縮することが自前でできるのです。
 繰り返しますが、このように人材においても資源の開発においても、また技術や設備についても、北朝鮮の近代工業の基礎はことごとく日本がつくったのです。あの国の経済は日本がつくった遺産から出発しています。口では言いませんが、彼らはそのことをよくわかっています。

【『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘(徳間書店、2012年)】

 吃驚仰天(びっくりぎょうてん)した。衝撃の歴史である。また別の角度から見れば日本人に朝鮮人を差別する意識がなかった証左であると思う。菅沼によれば特攻隊に志願した朝鮮人も多かったという。

 親切は日本人の美徳であるが、国際社会では仇になることが多い。企業が開発した技術をアジア諸国に教え、結果的にマーケットを奪われてきた苦い過去がある。日本人の島国根性を批判する声が多いが、実際はお人好しで損をしている。

 恩を仇で返すような国々に対して日本の政治家は抗議の声を上げるどころか、平身低頭して謝罪を繰り返してきた。1982年の教科書問題(『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘)に始まり、歴代政権は謝罪外交一色に染まった。東京裁判史観に基づく戦後教育が効果を発揮し、日本の世論も右傾化を警戒していた。

 失われた20年にあって少しずつではあるが目を覚ます日本人が増えてきた。少し振り返ってみよう。

 教科書誤報事件に異を唱えたのは渡部昇一であった。GHQによる日本人洗脳プログラム「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」を明らかにした『閉された言語空間 占領軍の検閲と戦後日本』(江藤淳)が刊行されたのが1989年。1996年には「新しい歴史教科書をつくる会」が結成された。

 この頃はまだ右方向に風は吹いていなかった。コミュニストである本多勝一が1993年に『週刊金曜日』を創刊し、1995~97年まで編集長を務めた。

 潮目が少し変わったのは長野冬季オリンピック(1998年)で行われたフリーチベット運動であったと私は考えている。中国がチベットで虐殺をしている事実が少しずつ伝えられるようになった。人権問題というよりは、単なる殺人、暴力、強姦である。軍事力を持たない国の悲惨さを私は思い知らされた。

 そして潮流が完全に変わったのは2002年の小泉首相訪朝で5人の拉致被害者が北朝鮮から帰国した時であった。日本の政治と軍事はあまりにも無力すぎた。

 2008年に田母神俊雄の論文「日本は侵略国家であったのか」が『「真の近現代史観」懸賞論文』の最優秀藤誠志賞を受賞。1990年代であれば右翼の戯言(たわごと)と一蹴されたであろう論文が予想外の脚光を浴びた。

 本多勝一が見捨てられ、山本七平が読まれている事実がこの間の世論の変化を示している。

 正しい日本の近代史を世界に向けて発信し、デタラメなプロパガンダを徹底的に糾弾する必要がある。特に欧米に向けた情報発信が重要だ。組織的かつシステマティックに行わなければ、東京裁判史観は事実として世界史に記されてしまうだろう。

日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報
菅沼光弘
徳間書店
売り上げランキング: 630,231

2015-04-29

日本にとって危険なヒラリー・クリントン/『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年
『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘:2009年
『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘:2010年
『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年
『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘:2011年
『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘:2012年
『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘:2012年
『国家非常事態緊急会議』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄:2012年

 ・フリーメイソンの「友愛」は「同志愛」の意
 ・日本にとって危険なヒラリー・クリントン

『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『神国日本VS.ワンワールド支配者』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘:2013年

 売国奴という言葉がありますが、国家観を持たない人間は平気で国を売ります。自分では国を売るという意識もないまま、「親米」だの「親中」だのと体(てい)のいい言葉の裏で、国を売って平然としています。私はこれまでどれほどそういう政治家を見てきたか。本当に嫌になるくらい見てきました。

【『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘(徳間書店、2012年)以下同】

 今から30年ほど前までは「愛国心」という言葉が右翼を示すキーワードであった。この国は戦争に敗れて以来、「国を愛すること」すら許されなかった。

 本多勝一〈ほんだ・かついち〉の「菊池寛賞を改めて拒否しなおす」(『潮』1983年11月号)に感激した私は、当然のように彼が批判する山本七平からは遠ざかった(『殺す側の論理』すずさわ書店、1972年)。浅見定雄の『にせユダヤ人と日本人』(朝日文庫、1986年)にも私は手を伸ばした。時代の風は左側から吹いていた。それに断固として異を唱えたのが渡部昇一〈わたなべ・しょういち〉や谷沢永一〈たにざわ・えいいち〉であった。彼らは「右翼」と目された。

 菅沼の指摘は右左の問題ではない。政治家が国益よりも私益を重んじたとの一点にある。新聞・テレビ・企業がこれに続くのは当然であろう。祖国は売り物と貶められた。

 日韓関係についてもそうです。例の従軍慰安婦の問題について、ヒラリー・クリントン国務長官が従来の「コンフォート・ウーマン(慰安婦)」という英語の呼称を「セックス・スレイブ(性奴隷)」にするしかないと言いはじめています。
 これは韓国の圧力によるもので、アメリカのニュージャージー州とニューヨーク州の2ヵ所には、旧日本軍従軍慰安婦の記念碑が建てられています。いずれも公共施設の中です。そこには「20万人の韓国の若い女性が日本帝国政府に拉致されてセックス・スレイブになった」と書かれている。せいぜい数万人とされていたのがいまや20万人になっているのです。
 日本政府はこれを撤去するように申し入れていますが、アメリカはまったく撤去しようとしません。
 この記念碑を見たアメリカ人は、これはひどい、日本は許せないとなるでしょう。それを受けてヒラリー・クリントンはセックス・スレイブと言い出した。
 李明博大統領は来年2月で任期は終りですが、韓国というのは政権の末期になると必ず反日の気運を高めることになります。まして李明博政権は身内の収賄事件などが発覚してボロボロですから、世論を反日に向けさせて自分に矛先が向かないようにしています。それにアメリカも加担しているわけです。


「米国は,アメリカ合衆国下院121号決議の成立と,ヒラリークリントンやバラクオバマの声明によって,韓国の売春婦(政府と売春婦の両方)をサポートした」(アメリカ人ジャーナリストのマイケル・ヨンさんの日本語のブログ)。

 バブル景気に酔い痴れる日本に対して「経済戦争」を仕掛けたのが夫君のビル・クリントンであった(『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘)。その妻女が親日家であるとは考えにくい。夫婦揃って左派的要素が強いことでも知られる。

 慰安婦問題を歴史的事実としないためにも、「いわゆる慰安婦問題」と表記することが望ましい。結果的に見ればアメリカにおける韓国のロビー活動に我が国が敗れたということだ。

 本来であれば朝日新聞の慰安婦虚報が明らかになった時点で、これをテコに全国民的な歴史検証を開始すべきであった。アメリカ議会に対するロビー活動も必要だとは思うが、まずきちんとした英語情報を書籍やウェブサイトの形で日本から発信すべきである。

渡部昇一の考える、いわゆる慰安婦問題について

 そもそもなぜ慰安婦が必要になったか? 兵士に強姦させないためである。こんな簡単な理屈もわからなくなっている。欧米やロシアの場合は徹底的な強姦を行う。ノルマンディー上陸作戦に参加した米軍兵士たちはフランス人女性を思う存分犯した(AFP 2013-05-27)。ヒトラー率いるナチス・ドイツを破ったロシア軍も手当たり次第にドイツ人女性をレイプした。老女までもが犠牲となった。

 東京裁判史観を完全に払拭することなしに戦後レジームからの脱却はあり得ない。現段階では正確な自国の歴史を述べる機会すら与えられていないのが日本の現状である。

この国はいつから米中の奴隷国家になったのか
菅沼光弘
徳間書店
売り上げランキング: 750,065

2014-11-22

中丸薫、菅沼光弘


 1冊読了。

 93冊目『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘(徳間書店、2013年)/中丸の部分はすっ飛ばした。ヒカルランドのは二人の話が章立てとなっているが、こちらはもっと短くて対話っぽい雰囲気を出している。中丸は自慢話と霊言が多すぎて辟易させられる。菅沼は宗教についても詳しい。大統領候補であったロムニーがモルモン教徒であったことに触れ、モルモン教が教団として社会的地位を上げる目的で信者を米軍に送り込んでいるそうだ。矢吹一夫、児玉誉士夫、大西瀧治郎〈おおにし・たきじろう〉中将にまつわるエピソードが出てくる。松下政経塾がダメな理由。安部首相もダメだと切り捨てている。亀井静香も「CIAから命を狙われている」とビビりまくっているとのこと。命を捨てる覚悟の政治家は一人もいないようだ。

2014-12-30

渡部昇一、谷沢永一、小室直樹、菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄


 2冊読了。

 99冊目『新世紀への英知 われわれは、何を考え何をなすべきか』渡部昇一〈わたなべ・しょういち〉、谷沢永一〈たにざわ・えいいち〉、小室直樹(祥伝社、2001年)/BS放送(BOOK TV)の鼎談を編んだもの。やや散漫なのは致し方あるまい。博覧強記で知られる3人であるゆえ、近代史の細部を語ってあますところがない。私が谷沢の『紙つぶて(全)』を読んだのは30年以上前になる。1990年代から谷沢は右傾化する。当時はそんな風に思っていた。私の世代だと圧倒的に本多勝一を読む者の方が多かった。再び谷沢の著書を手に取るまでに20年を経過している。これ自体が東京裁判史観に毒されていた証拠といえよう。渡部や谷沢は先駆者であった。ここにミスター合理主義の小室が加わっているのだから、単純なイデオロギーに基づく議論でないことは明らかだ。晩年の谷沢はうつ病に苦しんだが、私の知る編集者によく電話をかけていた。ふとそんなことが記憶から蘇る。

 100冊目『なぜ不死鳥のごとく蘇るのか 神国日本VS.ワンワールド支配者 バビロニア式独裁か日本式共生か 攻防正念場!』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄〈あすか・あきお〉(ヒカルランド、2013年)/今まで読んできた菅沼本で最低の内容。しかも前著とかなり内容が被っている。ヒカルランドという出版社の底の浅さが露呈。個人的にはベンジャミン・フルフォードや中丸薫の言説は全く信用していない。彼らが何のために言論活動を行っているのかも理解できない。一種のエンターテイメントなのだろう。よほどの菅沼ファンでない限り、読む必要なし。

2021-10-18

戦死の法律的定義/『日本人が知らない地政学が教えるこの国の進路』菅沼光弘


『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘 2013年
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘 2013年
『この国を呪縛する歴史問題』菅沼光弘 2014年

 ・アメリカの軍事予算削減を補う目的で平和安全法制が制定された
 ・戦死の法律的定義
 ・後藤健二氏殺害の真相

 安倍内閣のやったことは、集団的自衛権の行使は憲法違反ではないとしたことですが、その集団的自衛柄件というのを具体化した場合、どうなるでしょうか。
 例えばいまの自衛隊員が、仮に中国が尖閣に攻めて来たときに、国を守るというようなことになれば、後顧の憂いなく立ち上がって中国に立ち向かっていく。これはまさに個別的自衛権の発動ということになります。だから、それについては何の問題もありません。
 しかし、ではアメリカの艦船がミサイル攻撃を受けるかもしれないという段階のときに、日本の自衛隊が、中国のミサイル艦を攻撃する。そして、中国の反撃を受けて、自衛隊員が戦死することもある。こういう事態を、日本の自衛隊の人たちは受け入れることができるだろうか。現に、その形で戦死したときに、これまでそれについての具体的な法律は何もできていなかった。その戦死した自衛官は靖国神社に祀(まつ)られるのか。いま、防衛省の中に慰霊碑があって、毎年慰霊祭をやっています。それは災害出動で亡くなった方とか、演習中に命を落とした方とか、そういう人たちがみな祀られている。それらの方々は靖国神社とは関係ない。戦争ではないのだから。これは「戦死」ではないのだから。
 自衛隊員が国のために戦って撃たれる。これは本望だ。だから、国のためにお亡くなりになったのだから、国がその慰霊をやる。遺族に補償をする。これは当然です。
 しかし、アメリカのために戦ってやられたという場合、どのように遺族に説明をして、どのように処理をしていくか。例えば遺族への補償はどうするか。遺族年金があるのか。いままでそういう事態をまったく想定していないから、それに備えた法律は何もできていないのです。
 そして、さらにもっと言えば、自衛隊は憲法上では軍隊ではないので、 軍隊ならば、当然の権利・義務みたいなものも揃っていないのです。
 それから、個別的自衛権の場合は、正当防衛という論理を使う。例えば自衛艦が砲撃されるという場合、攻めて来た中国の軍艦に向かって自衛隊が発砲する。この場合、これは正当防衛の論理で考える。
 しかし、アメリカの軍艦のために、中国の兵員を自衛隊員が撃ち殺した場合、これは日本の法制の中にどう位置づけられるのか。一番細かいことから言うと、違法性は阻却されるのか。そんなことから始まって何も決められていないのです。
 だから、集団的自衛権の行使だけ認めても、さまざまな以前の法律が矛盾したまままだ生きている。自衛隊が発砲する法的根拠というのは、警察何職務執行法ですよ。それに準じているのです。だから、警察官がピストルを撃ったとき、過剰防衛ではない、正当防衛であった、という弁明をしますね。正当防衛というのは、急迫不正の侵害に対し、やむをえないやり方でやらないと、違法性が阻却されない。阻却されない場合、警察官は逮捕されることになります。
 法整備なしに集団的自衛権を行使したら、苦労するのは自衛隊員だということは目に見えている。だから、そういう自衛隊の人たちのための法整備をやらないことにはどうしようもない。これが「安保法制」ということの本当の問題点です。

【『日本人が知らない地政学が教えるこの国の進路』菅沼光弘〈すがぬま・みつひろ〉(KKベストセラーズ、2015年)】

 新聞やテレビはこうしたことを報じたのだろうか? 政治的なテーマを国民が理解しているようには思えないし、政治家自らがきちんと伝えているとも思えない。自衛隊もしっかりと発信するべきだろう。

 日本国民は日米安保というサンタクロースを信じて国防意識を眠らせている。中国が尖閣諸島の上陸すれば米軍が攻撃するだろうか? 異国の無人島のために彼らは自らの生命を犠牲にするだろうか? しかも当事者は指をくわえて眺めているだけにも関わらず。あり得ない。米軍の軍事行動には議会の採決が必要なのだ。アメリカ国民がそれを支持することは断じてないだろう。

 戦後の日本は致命的な過ちを二度犯した。一つは北朝鮮拉致問題(1988年、梶山答弁)で、国民の生命と財産を守る国家の義務を思えば、戦争をしてでも取り返すべきだった。もう一つは地下鉄サリン事件(1995年)に対して破防法適用しなかったことである。バブル景気が日本人を狂わせてしまったのだろう。

 既に法律のテクニカルな問題を論じても徒労感につきまとわれる。日本国民の意思で憲法改正を行っておかなければ、軍事行動が先んじてなし崩し的に突入した満州事変と同じ轍を踏む羽目となることだろう。

 政治に期待できなければ、石原莞爾〈いしわら・かんじ〉か海江田四郎の登場を待つ他ない。

後藤健二氏殺害の真相/『日本人が知らない地政学が教えるこの国の進路』菅沼光弘


『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘 2013年
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘 2013年
『この国を呪縛する歴史問題』菅沼光弘 2014年

 ・アメリカの軍事予算削減を補う目的で平和安全法制が制定された
 ・戦死の法律的定義
 ・後藤健二氏殺害の真相

 今度の後藤(健二)さんの殺害をめぐって最大の謎はそこなのです。なぜ、ヨルダン政府は、1月27日に、すでに1月3日に殺されていたパイロットの釈放を取り引きの条件にしたのか。
 それを弁明して、「我々も誰かが殺されていたことは把握していたが、それがパイロットであるという確証は得ていなかった」とヨルダン政府は言ったのですが、この弁明はあまり説得力がない。いまの偵察衛星の精度から言えば、顔かたちまでみんなわかるはずです。
 それから、もうひとつ。このパイロットの父親は、昔からヨルダン王国と関係が深かったある遊牧民族の族長なのです。遊牧民というのは、昔から聴覚とか視覚とかがものすごく発達しています。肉眼では見えないような砂漠の遥か彼方にわずかな砂煙がちょっと立っただけで、敵が来るとわかる。そうでないと生きていけないのです。それと部族間の情報は、ものすごく早く回る。ヨルダンとイラクの距離はそんなにない。当然、この父親は部族の情報網を通じて、息子は殺されたことを知っていたはずです。この父親の元へ何度もヨルダン政府の人間が行っている。ヨルダン政府もすべて知っていたはずです。にもかかわらず、なぜすでに死んだ者の釈放を条件に挙げたのか。
 無理難題を出して交換できないようにしたわけです。後藤さんを釈放させないようにさせたのです。そこに英国の情報機関の介在が疑われる。かねて、英国は、第2次世界大戦のとき、1941年の12月8日に真珠湾攻撃があり、その二日後に、マレー沖海戦があった。この海戦で、日本海軍の航空隊によって、英国のロイヤル・ネーヴィーが誇る作戦行動中の戦艦プリンス・オブ・ウェールズ、重巡洋艦レパルスが撃沈された。真珠湾は泊まっている艦めがけての攻撃です。こちらは反撃もする作戦行動中の戦艦です。それを日本の海軍の、ベトナムから飛んで行った航空隊が、撃沈したのです。
 このニュースは日本でも大きく取り上げられたのですが、ヨーロッパ、とくに中東にものすごいショックを与えたのです。これが、英国の歴史家も書いていますが、中東の歴史を替えた。このことに刺激されて、当時英国の信託統治下にあったイスラエルのエルサレムで、いまでも現存している最高級のホテル、キング・デイヴィッド・ホテルに、当時の英国政府の代表部と、パレスチナ駐在の英国軍の司令部があったのですが、そこへ、イスラエルの秘密機関の命令で、そこのコックがホテルの地下に爆弾を仕掛けて、爆破させてしまった。それで、英国はほうほうの体でイスラエルから逃げることになった。それがイスラエルの独立につながっていったのです。
 当時、英国は世界最強の国だった。英国の海軍は七つの海を支配していた。こんな強い英国に抵抗するなどということは、当時ユダヤ人にも、もちろんアラブ人にも考えられなかったことなのです。
 ところが、イエロー・モンキーと呼ばれた日本人がやってしまった。だから、これは世界史的に見ても大変なことだったのです。
 先ほどから何度も言っているように、アラブ人を2級市民として扱い、くそみそに言っている英国を、同じアジア人がやっつけてくれた。本当にみんな喜んじゃったのです。
 以後、アラブの人たちは親日派になった。特に知識人がそうです。
 しかし、逆に、英国にとっては頭に来ることだった。当然ですね。結果的に、日本によって、英国は中東から放り出されたということになるわけですから。
 したがって、英国にとっては、もう二度と再び、中東に日本の進出させるのは御免蒙(こうむ)るということです。

 ところが、昨年12月に安倍さんがイスラエルに行って演説しました。「イスラム国」に抵抗する中東の国々に日本は援助を惜しまない、と演説したのです。そして、後藤さん救出のための本部をヨルダンのアンマンに置いた。本来、これは民間人の問題だったのだから、外務省の領事部あたりでこそこそやればいいものを、わざわざ副大臣を本部長としてアンマンに駐在させて、救出活動を大々的に宣伝した。
 しかし、そのときに英国は、これを逆用して、日本人の中に「反イスラム」の空気を醸成しようと考えたはずです。要するに、イスラムを日本人の敵にさせよう。世界の情報機関というのはこういうことを考えるのです。日本が「親イスラム」では困るのです。(中略)

 それはその後の展開を見ればわかる。後藤さん、湯川遥菜さんが殺されてしまって、日本人はみんな「『イスラム国』はなんということをしてくれたんだ」となった。
 そして、日本の国民が「反アラブ」「反イスラム」なんてことになってくると、向こうもますますもって「反日」となっていく。そして、その流れの中で、2020年の東京オリンピックが行われることになると、日本を標的にしたテロが怖い。
 後藤さん殺害のときに「イスラム国」は「これから、日本および日本人をテロの標的にする」と宣言しました。だから、東京オリンピックでの「イスラム国」によるテロの可能性も排除できない。本来、その可能性は限りなくゼロに近かったのに、です。
 そういうことをイギリスの情報機関はやった可能性があるのです。
 しかし、あの人たちはものすごく巧い。この事件の直前に、初めてロンドンで、日本の防衛大臣、外務大臣、英国の国防大臣、外務大臣の「2+2」の会談を行ったのです。
 そして、そのときに、お互いに安全保障の問題について意見を交換したのです。まさにこの時期だから、「イスラム国」の問題について、ロンドンのほうが情報が多いというので、情報の共有をもちかけたはずです。そのとき、英国側は日本は何も知らないということを確信したのですね。だからできたのです。いま言ったような形で騙(だま)せた。日本の人はそんなことは夢にも思わない。
 また、その後、追い打ちをかけるように、イギリスのプリンス、ウィリアムが日本の東北に来ました。イギリスはそんなに悪い国だと、私みたいな人間が言っても、いやいやそんなことはない、わざわざプリンスが来日して、東北のお見舞いをしてくれた、ああイギリスはいい国だ、ということになるでしょう。こんな私みたいな見立てをする人間は、誰もないですよ。
 しかし、インテリジェンスの世界というのはそんなものなのです。よその国のことなんか考えてくれません。みんな自分の国の国益だけを考えて行動する。それが情報機関というものです。
 そして、後藤さんの首を斬ったジハーディスト・ジョン。あの英語はロンドン訛(なま)りの英語だという。あの男、しばらくしてから、自分がなぜ「イスラム国」に参加しているか、手記を出したのです。それによると、イギリスでMI5につかまってしまって、MI5がいろいろなことを要求するから頭に来て「イスラム国」に来たと書いてある。そういう話を聞くと、プロは、あのMI5が逃がすようなことはしない。「我々に協力するか、それとも死ぬか、二つに一つ」、どちらかしかない。あそこへ行ったということは、MI5の手先として行っているのです。MI5の手先が「イスラム国」の中に浸透しているということです。(中略)
 MI5の連中はもっと狡猾(こうかつ)です。命令されて、あるいは自ら進んでかもしれないけど、ナイフで捕虜の首を斬る。そういう映像をぱーんと出す。「そうか、お前信用できるな」となる。MI5のやり方はそれなんです。(中略)
 ただ、後藤さんが殺されたひとつの理由は、彼がキリスト教徒だったからだろうと思います。彼がもし仏教徒だったら、あるいは殺されなかったかもしれません。イスラムの人にとってはキリスト教徒は敵なのですから。

【『日本人が知らない地政学が教えるこの国の進路』菅沼光弘〈すがぬま・みつひろ〉(KKベストセラーズ、2015年)】

『ダイヤモンドより平和がほしい 子ども兵士・ムリアの告白』後藤健二

 省略したのだが、日本赤軍は中東で英雄視されているとも書かれている。テルアビブ空港乱射事件(1972年)が自爆テロの呼び水になったとのこと。

 歴史の恩讐(おんしゅう)はかくも根深い。特に植民地を失ったイギリス・フランス・オランダは帝国の位置から叩き落されたわけだから恨み骨髄である。

 プリンス・オブ・ウェールズの撃沈の報告を聞いたイギリスのチャーチル首相は絶句し「戦争全体でその報告以上に私に直接的な衝撃を与えたことはなかった」と著書の『第二次世界大戦回顧録』で語っている。

Wikipedia

 日本人捕虜の犠牲をお膳立てし、その価値を最大限にまで高める。所謂「最適化」だ。バイブルを台本とする彼らであればこそ、かような演出が可能なのだ。シェイクスピアも墓場で目を白黒させているに違いない。

 日本人はあまりにも恵まれている。まず水や食料に困ることがない。気候も温暖で雪国を除けば雨露さえ凌ぐことができれば死ぬこともない。何にも増して異民族から支配されたことが一度もない。ヨーロッパのように権謀術数が必要な場面も少なく、腹を切ってしまえば後は水に流してもらえる。「水に流せる」のは水が豊富だからだ。砂漠の民族の苛烈さは水の乏しさに依るものか。

 陰謀は欧米の伝家の宝刀である。「陰謀論」という言葉は、もちろん陰謀を隠すために編み出されたキーワードである。王朝がくるくると変遷するチャイナもまた謀(はかりごと)の国である。孫子の兵法はナポレオンも愛読していた。そんな世界にあって我々日本人はまるで中学生のように陰謀を「卑怯」と憎む性質から脱却できていない。それどころか「敵を知る」努力すら敗戦後怠ってきた。

 中国を肥え太らせたのは日本である。小さかった座敷犬は既に猛獣と変貌した。彼らは日清戦争の恨みを忘れなかった。習近平は中華思想に息を吹き込み、かつての朝貢国を再び従えようと目論んでいる。

 いざ戦争となれば日本人は強い。グルカ兵ですら恐れた日本人である。戦闘状態に入ればDNAが目覚めることだろう。だが、起つの遅くなれば被害が大きくなってしまう。犠牲になるのは老人と婦女子である。それを最小限に抑えるためには「備え」が欠かせないのだ。憲法改正が急務である。

2021-10-17

アメリカの軍事予算削減を補う目的で平和安全法制が制定された/『日本人が知らない地政学が教えるこの国の進路』菅沼光弘


『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘 2013年
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘 2013年
『この国を呪縛する歴史問題』菅沼光弘 2014年

 ・アメリカの軍事予算削減を補う目的で平和安全法制が制定された
 ・戦死の法律的定義
 ・後藤健二氏殺害の真相

 対米関係で一番大事なことは何か。いま、アメリカの現状をつらつら考えるに、アメリカはイラク戦争をやったり、あるいはアフガニスタンに兵を出したりして、膨大な軍事費を使ってしまった。その結果、アメリカの財政が逼迫(ひっぱく)したことです。アメリカはドルさえ刷ればお金はつくれるのだけけれども、それにも限界があるわけです。あまりやり過ぎると、強烈なインフレが起きてにっちもさっちもいかなくなる。したがって、そこで締めなければいけない。軍事予算も緊縮しなければいけない。オバマ大統領は3年前から、今後10年間、国防予算を毎年10%、機械的に削減していくことにした。それは国際情勢いかんにかかわらず、そうするという方針を出したのです。アメリカの国防予算の10%というのは、日本の自衛隊の予算よりも多いのです。それだけの額を目標に毎年カットしていくというわけです。これはたいへんなことです。
 そのために、その削減分を、日本に、特に太平洋においては自衛隊に肩代わりしてほしいというのが、アメリカの最大の要望なのです。
 それに応え、アメリカに協力できるような法制をつくる。それが、2015年7月18日に衆議院を通った安保法制なのです。その中核は何かというと、集団的自衛権の行使を現憲法の下でも認めるということです。そこで、内閣法制局長官の首を切ってまで(2013年8月8日山本庸幸小松一郎)、安倍さんは、「解釈」を変更することで、集団的自衛権の行使を認めることにしたのです。
 そして、その法的根拠は、昭和32、33年の砂川闘争というのがあったわけですが、そのときの裁判で、最高裁は初めて「日本には自衛権がある」ことを認めた。その砂川判決に依ったのです。最高裁が自衛権を認めたことは、個別的自衛権の他に集団的自衛権もあると認めたことだ、という解釈で、歴代の内閣が慎重に「憲法違反」としてきた集団的自衛権を、内閣の一存で認めさせたのです。
 そのことによって、アメリカの軍事予算削減に起因する、軍事力の弱体化を日本の自衛隊が具体的に補えるようにしたのです。
 こういうことで「もう安倍内閣は大丈夫だ」というところまで見届けて、岡崎(久彦)さんは安心してお亡くなりになったと言われています。
 安保法制を、そんな具合にして政府はここまで押し通してきたわけです。ところが、国会が始まって、参考人として呼んだ憲法学者がみんな「集団的自衛権は憲法9条違反だ」と言った。与党が呼んだ参考人までが憲法違反だと言いました。それで国会審議の雰囲気はまたおかしくなったけれども、その流れの中で、しかし衆院を通したわけですから、これから安倍内閣自体が国内的にどうなるかはわかいませんが、アメリカは満足したでしょう。
 アメリカにしてみれば、これで中国に対してかなり大きな抑止力を構築できたということになります。

【『日本人が知らない地政学が教えるこの国の進路』菅沼光弘〈すがぬま・みつひろ〉(KKベストセラーズ、2015年)】

 久方振りの菅沼本である。語り下ろしであるが、やはり老いた感が否めない。

砂川裁判が日本の法体系を変えた/『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』矢部宏治

 上記リンクは狡猾(こうかつ)な左翼本であるが一読の価値はある。

 平和安全法制制定の事情と背景はわかった。それにしても、なぜ日本政府はいつも受けばかりに回って、攻めに転じないのか? 吉田茂が経済を優先して軍事を後回しにしたのはそれなりの見識に基づいた政策であった。しかし吉田はその後変節する。

日米安保条約と吉田茂の思惑/『重要事件で振り返る戦後日本史 日本を揺るがしたあの事件の真相』佐々淳行
憲法9条に対する吉田茂の変節/『平和の敵 偽りの立憲主義』岩田温
マッカーサーの深慮遠謀~天皇制維持のために作られた平和憲法/『吉田茂とその時代 敗戦とは』岡崎久彦

 岸信介が行った日米安保条約改定も極めて正当なものだった。とすれば池田勇人以降の首相責任が重いと考えざるを得ない。

 アメリカが日本に何かを肩代わりさせようと近づいてきた時に、なぜこれを梃子(てこ)にして攻勢に打って出ないのか。本書によればEUはドイツを封じ込める目的で結成されたとあるが、そのEUでドイツは見事に経済的な主導権を確立したのである。日本政府はアメリカを利用して自主憲法を制定するのが当然ではなかったか。

 あまりにも馬鹿馬鹿しい戦後の歴史を思えば、日本の官僚制度がアメリカに牛耳られているような錯覚すら覚える。

 規制緩和も遅々として進まない現状を鑑みれば、一定程度の独裁政権が誕生しない限り、この国が変わることはなさそうだ。

2015-11-12

ロシア革命の実態はユダヤ革命/『世界を操る支配者の正体』馬渕睦夫


『日本の敵 グローバリズムの正体』渡部昇一、馬渕睦夫
『国難の正体 世界最終戦争へのカウントダウン』馬渕睦夫

 ・ロシア革命の実態はユダヤ革命

 ロシア革命について、もちろん私たちは歴史の教科書で学んだわけですが、残念ながら真実は隠されていました。そもそもロシア革命という名称自体が誤解を招く元です。ロシア革命はロシア皇帝の圧政に苦しむロシア人が蜂起して帝政を転覆した革命では決してありません。ロシアの少数民族ユダヤ人を解放するために、国外に亡命していたユダヤ人がロンドン・シティやニューヨークのユダヤ系国際金融勢力の支援を受けて起こした革命であったのです。その意味で、ロシア革命ではなく「ユダヤ革命」と言うのが正しいのです。

【『世界を操る支配者の正体』馬渕睦夫〈まぶち・むつお〉(講談社、2014年)以下同】

 アメリカのウッドロー・ウィルソン大統領は新生ソ連に対して「素晴らしい民主主義国家が誕生した」と賛美した。ウィルソンといえばパリ講和会議(1919年)で日本が提案した人種的差別撤廃提案に対して、唐突に「全会一致が望ましい」と言い出し、国際連盟の議長権限で否決した人物である。さしずめ有色人種の人権は軽くユダヤ人の人権は重いといったところか。

「ユダヤ系国際金融」と聞けば陰謀論めいているが、キリスト教が利息を禁じていたため金融業はユダヤ人が行ってきたヨーロッパの歴史がある。信用創造や株式による投資を編み出したのも彼らであった。

 では、ウィルソン大統領はなぜロシア革命を礼賛したのでしょうか。その理由は、彼の周囲を固めていた側近たちが皆社会主義者であったということです。ウィルソン大統領が第二の自分とまで呼んで信頼していたエドワード・マンデル・ハウス大佐は社会主義者でした。ハウス大佐は一介のユダヤ系民間人にすぎませんが、ホワイトハウス内に執務室を与えられていました。ウィルソン大統領の側近中の側近の補佐官であったのです。このように、議会の承認を必要としない、いわば令外官(りょうげのかん)がアメリカ大統領に最も影響を与える地位に就くことができるのです。
 この方程式は現在まで続いています。有名なヘンリー・キッシンジャー大統領補佐官(1923年~)は、私人の身分でニクソン大統領の外交政策を牛耳りました。カーター大統領の安全保障担当補佐官であったズビグニュー・ブレジンスキー(1928年~)は、オバマ大統領の外交顧問を務めたほど、長期にわたり民主党の外交政策に影響を与え続けました。


「エドワード・マンデル・ハウス」で検索したところこの動画を見つけた。どうやら社会主義よりも国際主義に重きがあるようだ。

 当時の米ソを理解するために欠かせないのはアーマンド・ハマー(1898-1990年)だろう。共産主義のシンボルである「鎌とトンカチ」がそのまんま名前となっている(アーム・アンド・ハンマー)。



「ハマーの父親ジュリアスはロシアから移住してきたユダヤ人医師で、アメリカで最初に『共産党』を組織した男だった」(石油王Dr.ハマー 米ソ貿易で巨利を得たユダヤ大富豪)。正確には「アメリカ共産党の元となった社会主義労働党の創設者」である。「冷戦時代に東西両陣営を股にかけて活躍し、米ソ外交の“影の主役”として歴史に名を残した」(アメリカで活躍するユダヤ人)。更に中国への出入りも自由であった。彼は自家用ジェット機で晩年に至るまで世界を飛び回った。

 ソ連建国が1922年。ウッドロー・ウィルソン政権下でFRB(連邦準備制度)の設立が1913年である。「J・P・モルガンが所有するジキル島クラブで秘密会議が開かれ」「多くの上院議員が休暇で不在の隙を突いて12月23日にワシントンD.C.に駐在する連邦準備制度理事会と12地区に分割された連邦準備銀行により構成される連邦準備制度が成立した」(Wikipedia)。きな臭い匂いがプンプンする。

 後にソ連のスパイであったハリー・デクスター・ホワイトによってIMFが設立された(『秘密のファイル CIAの対日工作』春名幹男、2000年)ことを考えると、FRB設立はユダヤ人によるアメリカ乗っ取りシステムの構築と考えていいだろう。ハマーの資金が投じられたという説もあるが年齢を踏まえると父親によるものか。

 アーマンド・ハマーは池田大作中丸薫とも親交を重ねた。まったくユダヤ人は恐ろしいものだ。



元ソ連外交官が語る「ロシア-ユダヤ闘争史」の全貌
ロシアとウクライナのユダヤ人の悲史
ロシア・ユダヤ人実業家の興亡
歴史という名の虚実/『龍馬の黒幕 明治維新と英国諜報部、そしてフリーメーソン』加治将一
ネオコンのルーツはトロツキスト/『「米中激突」の地政学』茂木誠

2020-07-06

日本の伝統の徹底的な否定論者・竹内好への告発状 その正体は、北京政府の忠実な代理人(エージェント)/『悪魔の思想 「進歩的文化人」という名の国賊12人』谷沢永一


・『書斎のポ・ト・フ』開高健、谷沢永一、向井敏
・『紙つぶて(全) 谷沢永一書評コラム』谷沢永一
『「悪魔祓い」の戦後史 進歩的文化人の言論と責任』稲垣武
『こんな日本に誰がした 戦後民主主義の代表者・大江健三郎への告発状』谷沢永一

 ・進歩的文化人の正体は売国奴
 ・日本罪悪論の海外宣伝マン・鶴見俊輔への告発状 「ソ連はすべて善、日本はすべて悪」の扇動者(デマゴーグ)
 ・日本の伝統の徹底的な否定論者・竹内好(たけうち・よしみ)への告発状 その正体は、北京政府の忠実な代理人(エージェント)

『誰が国賊か 今、「エリートの罪」を裁くとき』谷沢永一、渡部昇一
『いま沖縄で起きている大変なこと 中国による「沖縄のクリミア化」が始まる』惠隆之介
『北海道が危ない!』砂澤陣
『これでも公共放送かNHK! 君たちに受信料徴収の資格などない』小山和伸
『ちょっと待て!!自治基本条例 まだまだ危険、よく考えよう』村田春樹
『自治労の正体』森口朗
『戦後教育で失われたもの』森口朗
『日教組』森口朗
『左翼老人』森口朗
・『売国保守』森口朗
『愛国左派宣言』森口朗

 ところで、近代シナ文学の研究者に竹内好(よしみ)という魁偉(かいい)な人物がいました。この人はシナ学を志したくせに、肝心なシナの古典については無学であり、無関心でしたが、それはともかくとして、自分の専攻である近代シナ文学に執着するあまり、近代シナが格別に秀でた国であると信じるようになりました。これまた一向に珍しくもない、ありふれた自然な経過です。
 ところが竹内好の場合は、近代現代のシナを崇敬し高く持ちあげるにとどまらないで、現代シナを尊重し称賛する思い入れを梃(てこ)に用いて、ひたすら、わが国を罵倒する放言に熱意を燃やしました。なにがなんでも、常に悉(ことごと)くシナは正しく清らかであり、そのご立派な尊敬すべきシナに較べて、なにがなんでも、すべて、必ず日本は劣っており間違っている、という結論が一律に導きだされました。
 その生涯を通じて竹内好は、日本に対して肯定的な評価を下したことがなく、彼にとって日本はあらゆる面において否定と非難の対象にしかすぎませんでした。反日的日本人という言葉ができるより遙(はる)か遙か昔、半世紀以上も前から、竹内好は筋金入りの反日的日本人でありました。

【『悪魔の思想 「進歩的文化人」という名の国賊12人』谷沢永一〈たにざわ・えいいち〉(クレスト社、1996年/改題『反日的日本人の思想 国民を誤導した12人への告発状』PHP文庫、1999年/改題『自虐史観もうやめたい! 反日的日本人への告発状』ワック、2005年)】

 私はつくづくこの12人の著作を読んでこなかったことを感謝した。加藤周一の「夕陽妄語」(せきようもうご/朝日新聞連載)に目を通した程度である。とにかく掴みどころのない文章で後に谷沢と向井敏が腐していたのを読んで溜飲を下げた憶えがある。丸山眞男の『現代政治の思想と行動』を読まねばと思ったのは30代になった頃だ。マルティン・ニーメラー牧師の言葉が引用された「現代における人間と政治」は避けて通れないと感じた。が、ついぞ読む機会がなかった。丸山については進歩的文化人の代表であることは動かないが、小室直樹が師事しており政治学者としては優れた見識の持ち主なのだろう。最後は学生運動に愛想を尽かした

 他人の悪口を読むのは後味の悪いものである。感情を一旦突き放して見つめる冷静さを欠くと醜悪な文章になりやすい。「この人はシナ学を志したくせに」は書き過ぎだ。抑制が利いていない。それでも本書が教科書本であるのは確かで、彼らの正体を知らずに著書と親しんでいる人も多いことと思われる。

 竹内好の本は何冊か持っていた。あまり記憶にないので多分売れたのだろう。悪い印象は持っていなかったので本書を読んで吃驚仰天(びっくりぎょうてん)した。中国人は客をもてなすのが巧い。たとえそれがカネや女であったとしても、誰に何を与えればどう動くかをきちんと読んでいる。毛沢東や周恩来が生き抜いてきた政争は日本の比ではない。周恩来の養女・孫維世〈そん・いせい〉は留置所で惨殺されている。

 文化大革命時代には、女優としての名声の高さと毛沢東との男女関係から江青の嫉妬を買い、迫害を受けた。孫維世は養父である周恩来が署名した逮捕状を以って、北京公安局の留置場に送られ、1968年10月14日に獄中で死亡した。遺体は一対の手枷と足枷のみ身に付けた全裸の状態であった。一説には江青が刑事犯たちに孫維世の衣服を剥ぎ取らせて輪姦させ、輪姦に参加した受刑者は減刑を受けたと言う。また、遺体の頭頂部には一本の長い釘が打ち込まれていたのが見つかった。これらの状況から検死を要求した周恩来に対し、「遺体はとうに焼却された」という回答のみがなされた。

Wikipedia

 周恩来には表の顔と裏の顔があったが、そうでもしなければとっくに失脚していたことだろう。

 アメリカと中国は、表面的には対立していても裏の情報世界ではもともとツーカーなんです。そもそもCIAの前身OSS時代には、長官ドノバンの命令でOSS要員が延安の共産党根拠地に出向いて、対日抗戦を支援していた。60年代の中ソ対立時代も米中はあらゆる場面で結託してソ連に対抗していたし、79年のソ連アフガニスタン侵攻で、ムジャヒディンを支援しタリバン政権を後押ししたのも、米中の情報機関です。スパイマスター周恩来によって育まれた中国共産党の情報機関、中央委員会調査部は胡耀邦総書記の時代、公安部の一部と合併、国家安全部として、現在では、かつてのソ連のKGBをしのぐ巨大組織になっています。

【『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘(徳間書店、2006年)】

 中国の手に掛かれば政治家はもとより作家・ジャーナリスト・学者などはイチコロだろう。子供に飴を与えるようなものだ。中国へ渡ると親中派になって帰国する人が多いのも当然だ。細君を伴わない政治家は確実に女を充てがわれていると見てよい。

 左翼は国家の伝統を破壊し漂白した後に社会主義の樹立を目論む。人権・平等・ジェンダーといった綺麗事に騙されてはならない。彼らは単なる破壊者なのだ。

2020-01-16

進歩的文化人の正体は売国奴/『悪魔の思想 「進歩的文化人」という名の国賊12人』谷沢永一


・『書斎のポ・ト・フ』開高健、谷沢永一、向井敏
・『紙つぶて(全) 谷沢永一書評コラム』谷沢永一
『「悪魔祓い」の戦後史 進歩的文化人の言論と責任』稲垣武
『こんな日本に誰がした 戦後民主主義の代表者・大江健三郎への告発状』谷沢永一

 ・進歩的文化人の正体は売国奴
 ・日本罪悪論の海外宣伝マン・鶴見俊輔への告発状 「ソ連はすべて善、日本はすべて悪」の扇動者(デマゴーグ)
 ・日本の伝統の徹底的な否定論者・竹内好への告発状 その正体は、北京政府の忠実な代理人(エージェント)

『誰が国賊か 今、「エリートの罪」を裁くとき』谷沢永一、渡部昇一
『いま沖縄で起きている大変なこと 中国による「沖縄のクリミア化」が始まる』惠隆之介
『北海道が危ない!』砂澤陣
『これでも公共放送かNHK! 君たちに受信料徴収の資格などない』小山和伸
『ちょっと待て!!自治基本条例 まだまだ危険、よく考えよう』村田春樹
『自治労の正体』森口朗
『戦後教育で失われたもの』森口朗
『日教組』森口朗
『左翼老人』森口朗
・『売国保守』森口朗
『愛国左派宣言』森口朗

〈戦後の学界、言論界の大ボス・大内兵衛(おおうち・ひょうえ)への告発状〉
第二章 「日本は第二次大戦の主犯」と言う歴史の偽造家

〈日本罪悪論の海外宣伝マン・鶴見俊輔(つるみしゅんすけ)への告発状〉
第三章 「ソ連はすべて善、日本はすべて悪」の扇動者(デマゴーグ)

〈戦後民主主義の理論的指導者(リーダー)・丸山眞男(まるやま・まさお)への告発状〉
第四章 国民を冷酷に二分する差別意識の権化(ごんげ)

〈反日的日本人の第一号・横田喜三郎(よこた・きさぶろう)への告発状〉
第五章 栄達のため、法の精神を蹂躙(じゅうりん)した男

〈進歩的文化人の差配人・安江良介(やすえ・りょうすけ)への告発状〉
第六章 金日成に無条件降伏の似非(えせ)出版人

〈「進歩的インテリ」を自称する道化・久野収(くの・おさむ)への告発状〉
第七章 恫喝(どうかつ)が得意な権力意識の化身

〈進歩的文化人の麻酔担当医・加藤周一(かとう・しゅういち)への告発状〉
第八章 祖国をソ連に売り渡す“A級戦犯”

〈日本の伝統の徹底的な否定論者・竹内好(たけうち・よしみ)への告発状〉
第九章 その正体は、北京政府の忠実な代理人(エージェント)

〈マスコミを左傾化させた放言家・向坂逸郎〈さきさか・いつろう)への告発状〉
第十章 最も無責任な左翼・教条主義者

〈現代の魔女狩り裁判人・坂本義和(さかもと・よしかず)への告発状〉
第十一章 日本を経済的侵略国家と断定する詭弁家(きべんか)

〈ユスリ、タカリの共犯者・大江健三郎(おおえ・けんざぶろう)への告発状〉
第十二章 国家間の原理を弁(わきま)えない謝罪補償論者

〈進歩的文化人の原型・大塚久雄(おおつか・ひさお)への告発状〉
第十三章 近代日本を全否定した国賊

【『悪魔の思想 「進歩的文化人」という名の国賊12人』谷沢永一〈たにざわ・えいいち〉(クレスト社、1996年/改題『反日的日本人の思想 国民を誤導した12人への告発状』PHP文庫、1999年/改題『自虐史観もうやめたい! 反日的日本人への告発状』ワック、2005年)】

 錚々(そうそう)たる顔ぶれで谷沢永一の本気が伝わってくる。1990年代は戦後教育の毒がまだ抜けていなかった。小泉訪朝で北朝鮮が拉致(らち)を認めた2002年から東日本大震災(2011年)までの10年間で日本人はようやく目覚めた。この時、民主党政権であったことが国民にとっては二重の不幸であった。菅直人は国旗・国歌に反対する真性の左翼で「君が代」を絶対に歌わない政治家だった。2009年に政権をとった民主党は2012年の暮れに下野する。国民が寄せた期待は無残かつ最悪の形で潰(つい)えた。

 冒頭の一文を紹介しよう。

 戦後50年です。その間、総体として言えば、日本の社会的な風潮は、先の大東亜戦争のため、多大の罪悪感を持つように、国民を引きずり回してきました。
 しかも、この傾向が一段と高まったのは、時間が進むにつれての“押しつけ”だったのです。すなわち、日韓基本条約昭和40年)と日中平和条約昭和53年)によって、国際関係の諸問題が解決し、国交がきちんと正常化したそのあとから、京城政府および北京政府に、平身低頭すべきであるという時流が強まったのです。まことに、おかしな根拠のない思い込みでした。
 そのため、中華人民共和国や大韓民国などアジアの諸国が、先の大戦にまつわるさまざまな言い掛かりを突きつけてきたとき、その言い分を無条件に受け入れるという習慣が生まれました。それも、正規の外交ルートを通じての公式な申し入れではないのです。一方的な放言として、わが国を攻撃したり、いわゆる不快の意を憎々しげに表明したり、新聞の論調で喚(わめ)きたてたり、という手口でした。すべて、近代国家としての正式な手続きを経ない非公式な恫喝(どうかつ)だったのです。
 それにもかかわらず、わが国のその時その時の政府は、それこそ無条件で頭を下げ、相手側の言い分を全面的に認めて、拝跪(はいき)する姿勢を通してきました。政府よりもっとひどかったのは、新聞とテレビによるわが国の言論界だったのです。本来なら、国民の意向を反映すべきはずの言論界が、一部の国を売る輩(やから)に乗っ取られてしまいました。
 これら言論界を牛耳(ぎゅうじ)っている連中が、北京政府や京城政府の立場に立って、彼らの言い分を増幅してがなりたてる代理人となり、日本にだけ非があると囃(はや)し立てたのです。彼らは日本の国益を代弁するという、当然そうあるべき使命を投げ捨て、その逆に、相手側の国の利益になるように言論を組み立てました。
 他国の利益を重んじて他国の代弁者となり、自分の国の大切な国益を損なう行為に突き進む者、これを「売国奴」と呼ぶのが正当でありましょう。

 日中共同声明(1972年)はよく憶えている。私は小学校3年生だった。担任の先生が昂奮した面持ちで教室に入ってくるなり、「今凄いニュースがあった。中国と日本が仲直りした」と告げた。

 今振り返ると中国は実に巧妙であった。左派政党ではなく公明党を使って国交回復を打診したのだ。キッシンジャーの極秘訪中(1971年)という呼び水もあった。田中角栄首相は飛びついた。「ビンのふた」論も知らずに。

米中国交回復のためにアメリカは沖縄を返還した/『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘
李承晩の反日政策はアメリカによる分割統治/『この国を呪縛する歴史問題』菅沼光弘

 日本人は近代史を学ぶことを禁じられたも同然だった。戦後教育は東京裁判史観に染まっていた。結局のところGHQの蒔(ま)いた種が中国・韓国という花を咲かせたということなのだろう。

 そして中韓の反日運動が日本人にとって目覚まし時計の役割を果たすのだから歴史というものは一筋縄ではゆかないものである。



中国の核実験を礼賛した大江健三郎/『脱原発は中共の罠 現代版「トロイの木馬」』高田純