2012-06-23

ドン・ウィンズロウ


 1冊読了。

 33冊目『犬の力(下)』ドン・ウィンズロウ:東江一紀〈あがりえ・かずき〉訳(角川文庫、2009年)/上巻で受けた印象は変わらず。物語の展開は明らかに失速している。ミステリにおけるプロパガンダ本は意外と多い。私が長らくユダヤ人に肩入れしてきたのも、モサドものを始めとするミステリの影響が大きい。ま、半世紀近くも生きていれば、もう簡単には騙されないけどね。

Where the Hell is Matt? 2012


 マットが帰ってきた。自分たちの正義を振りかざす宗教よりも、よっぽど立派な行動だと思う。歌やダンスには一定の規則性はあるものの、人間にとって本源的な自由と歓びが横溢(おういつ)している。


◎Where the Hell is Matt? (2008)

2012-06-22

ドン・ウィンズロウ


 1冊読了。

 32冊目『犬の力(上)』ドン・ウィンズロウ:東江一紀〈あがりえ・かずき〉訳(角川文庫、2009年)/これは「文章巧者が描く邪悪なプロパガンダ本」である。評価の高いミステリだけに私は満を持して読んだ。手法としてはテレビドラマ『24 -TWENTY FOUR-』と同じで、部分的に真実を盛り込んで、アメリカの正義を体現する人物に共感させるような筋書きとなっている。ドン・ウィンズロウの『ストリート・キッズ』を読んだのは20年前のこと。警句のように引き締まった文章を散りばめながらも、登場人物は一様に平板だ。何といっても主役のアート・ケラーが最悪である。大体、「アート」って名前をつけるセンスを疑いたくなる。ま、出来損ないの劉備玄徳みたいな性格だ。メキシコのドラッグ戦争をギャングの抗争に矮小化する意図を感じた。中南米の暴力には全てアメリカが関与している。その事実から目を逸(そ)らさせる効果が本書にはある。

東祥三「増税は公約になく、それをやろうとする方が造反ではないか」

2012-06-21

安全ではないものを安全だと言いくるめた男たちが原発を再稼働する


 まだ何も終わっていない福島第一原発の事故を「収束した」と口先だけで発言し、安全の根拠もまったくないまま大飯原発3、4号機を再稼働させる。

 そんな人間が首相の座にいる。いったい何という国だろうか。

 安全ではないものを安全だと言いくるめた男たちが、また原発を再稼働するというのだから、それ自体が犯罪だ。

鈴木傾城〈すずき・けいせい〉

2012-06-20

森功、鎌田茂雄、鴻上尚史、エリック・ホッファー、香月泰男、谷川俊太郎、立花隆


 6冊挫折。

許永中 日本の闇を背負い続けた男』森功(講談社、2008年/講談社+α文庫、2010年)/立場の違いを殊更強調しているところを見ると、少なからず後ろ暗い思いがあるのだろう。文章が滑らかなので騙されやすいが、何となく卑劣な匂いを感じる。

華厳の思想』鎌田茂雄(講談社、1983年/講談社学術文庫、1988年)/古い。葬式仏教的な手法だと思う。仏教を説明することに意味はないだろう。

「空気」と「世間」』鴻上尚史〈こうかみ・しょうじ〉(講談社現代新書、2009年)/文体が講演調で締まりがない。パラパラとめくって、直ちにやめた。

エリック・ホッファー自伝 構想された真実』エリック・ホッファー:中本義彦訳(作品社、2002年)/アフォリズムを読んだ後ではどうしても冗長に感じる。いい本だとは思うが。

春夏秋冬』絵と文 香月泰男、谷川俊太郎編(新潮社、1993年)/タイトルは「はるなつあきふゆ」と読む。ホッファー同様、シベリア・シリーズを見た後ではまるでインパクトに欠ける。石原吉郎もそうだが、一度地獄を味わった者は生涯にわたって闇を見続けることを運命づけられる。

シベリア鎮魂歌 香月泰男の世界』立花隆(文藝春秋、2004年)/1970年、文藝春秋社刊『私のシベリヤ』のテキストが収録されている。これを読むだけでも買う価値がある。まだ20代だった立花が、香月からの聞き書きをまとめたものだ。『夜と霧』に匹敵するほどの価値があると思う。

生活保護の「申請拒否」は違法



騰奔静想~司法書士とくたけさとこの「つれづれ日記」
生活保護