2012-10-27

都税を湯水のように使った挙句、都政を放り出した石原慎太郎


宮城谷昌光


 61、62冊目『奇貨居くべし 黄河篇』(中央公論新社、1999年/中公文庫、2002年)、『奇貨居くべし 飛翔篇』(中央公論新社、2000年/中公文庫、2002年)/第3~4巻。1日1冊ペースだ。他の本がまったく読めない。『中央公論』誌に連載されたようで、サービス精神からか時折冗長な文章が紛れ込んでいる。やはり、『重耳』『介子推』『晏子』『孟嘗君』『楽毅』、そして本書の順で読むのが好ましい。『奇貨居くべし』は一つの山頂ともいえる傑作だ。宮城谷作品の特徴は、言葉の力、人と人との出会い、生きる所作を晴朗に描き出すところにある。さながら青空に白雲で景色を描くような趣がある。『史記』に対する眼差しも鋭く、ときおり厳しい批評を加えている。『孟嘗君』の続篇ともいえる内容だが、呂不韋の物語というよりは「筍子の思想」を表すところに著者の意図があったと見る。