2014-12-07

朝鮮併合~日本企業による開発/『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘


『日本はテロと戦えるか』アルベルト・フジモリ、菅沼光弘:2003年
『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘:2006年
『菅沼レポート・増補版 守るべき日本の国益』菅沼光弘:2009年
『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘:2010年
『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎:2010年
『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘:2011年
『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘:2012年

 ・朝鮮併合~日本企業による開発
 ・日朝国交正常化をを二度に渡って阻んだアメリカ
 ・北朝鮮は核開発の基礎を日本で学んだ

『国家非常事態緊急会議』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄:2012年
『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘:2012年
『誰も教えないこの国の歴史の真実』菅沼光弘:2012年
『この世界でいま本当に起きていること』中丸薫、菅沼光弘:2013年
『神国日本VS.ワンワールド支配者』菅沼光弘、ベンジャミン・フルフォード、飛鳥昭雄
『日本を貶めた戦後重大事件の裏側』菅沼光弘:2013年

 大韓民国は建国からわずか65年という歴史のなかで、300万人以上の韓国人が「脱南者」としてアメリカに行ってしまったと言われています。このままでいったら韓国はどんどんおかしくなっていくばかりです。

【『日本人が知らないではすまない 金王朝の機密情報』菅沼光弘(徳間書店、2012年)以下同】

 北朝鮮を脱出する脱北者は知っていても脱南者を知る人はいないだろう。私も初耳だ。ただし韓国議会の混乱や、強姦が多い(「2013年の10万人あたりのレイプ発生率」国連調べでは33.7でワースト4位/※『SAPIO』の間違い記事 「韓国の強姦は日本の40倍」も参照せよ)社会情況を思えば、モラルの低さは何となく伝わってくる。

 発展する韓国経済を牽引(けんいん)しているのは財閥企業で恐るべき格差が進行するとも聞く。しかも金融や株式の多くを外国人投資家に牛耳られているため国内に富が蓄積されない現状がある。韓国企業は他国の技術をパクり技術開発を怠ってきたので、何かの拍子で一気に崩壊へ傾くことは十分あり得る。

 私は日本の近代史に疎(うと)いため、菅沼本を読むたびに蒙(もう)が啓(ひら)かれる思いがする。韓国併合は植民地化ではなかったが事実上、日本は宗主国であったといってよい。

 教育をみてもソウル大学の前身は1924年に設立された京城帝国大学です。京城帝国大学ができて、そこの歴史学科で彼らは初めて朝鮮の歴史というものを学んだのです。李王朝の時代は歴史もなかった。年号すらなかった。あったのは中国の歴史であり、中国の年号です。

 迂闊(うかつ)にも私は知らなかったのだが韓国併合の韓国とは大韓帝国のことであり北朝鮮を含む朝鮮全域を指す。ならば「朝鮮併合」と記述した方がわかりやすいだろう。そして朝鮮を開発し、インフラを整備したのは日本企業であった。

 咸鏡南道(ハムギョンナムド)はどういうところかというと、道都は咸鏡で、ここは李王朝の始祖・李成桂の生れ故郷です。李王朝時代は本当にのどかで、日本でいえば奈良のような古都でした。
 その咸鏡の南に興南というところがあります。1927年、ここに日本窒素肥料株式会社の創設者である野口遵(したがう)という実業家が進出してきて、朝鮮窒素肥料という会社を設立、アンモニアや硫安などの肥料を作る東洋一の化学コンビナート造成しました。
 しかしコンビナートを稼働させるには電力がいる。ということで朝鮮水力発電という電力会社を設立し、咸鏡の北の山岳地帯の河川を堰(せ)きとめて赴戦江(プチョンガン)ダムや長津江(チャンジンガン)ダムなどの巨大なダムを建設しました。日本では当時、鋼管が作れなかったのでスウェーデンから取り寄せ、山地の地下を刳(く)り貫(ぬ)いて高低差700メートルぐらいの水力発電所を完成させたのです。その電力を興南のコンビナートに送って工場を動かしました。そこから咸興を中心に朝鮮半島の近代化が始まったのです。
 その後、野口遵は当時の満州国と朝鮮の国境を流れる鴨緑江(アムノッカン)に水豊(スプン)ダムという、琵琶湖のほぼ半部に匹敵する世界最大級のダムを建設しています。そこに当時世界最大の水力発電所が作られました。そしてその下流に位置する新義州(シニジュ)に三井金属がアルミニウムの精錬工場を建て、アルミニウムからジュラルミンを生産して、そのジュラルミンは航空機の製造にも使われました。新義州も重工業地帯でした。
 水豊ダムの建設は1937年に始まり、完成したのは44年の3月です。投じられた資金は当時の金額で約5億円と言われています。ところが45年8月にソ連軍が侵攻してきて7台の発電機のうち5台が略奪されました。さらに朝鮮戦争のときにはアメリカ軍の攻撃を受けています。しかしダムが頑丈に造られていたため決壊することもなく、その後、北朝鮮が発電機を新たに設置して現在も主要な発電所として稼働しています。
 北朝鮮の北部は山岳地帯ですが、とくに咸興北道(ブクド)は山しかありません。しかしそこに銅、鉛、亜鉛、タングステンなどの非鉄金属が眠っている。また鉄もあるし、金まで出る。それを調査したのは日本の鉱山会社です。
 日本鉱業はもともと日立銅山を開発した久原房之介という人物が創設した会社で、それを日産コンツェルンの総帥鮎川義介が譲り受けたものです。現在はいろいろ吸収合併があって、JX日鉱日石金属となっていますが、北朝鮮でどんな金属が採れるかというデータはそこが持っているはずです。
 また北東アジア最大といわれる茂山(ムサン)鉄鉱山を開発したのは三菱鉱業です。この茂山鉱山の採掘権を中国企業が取得したことが報じられましたが、もとはといえば日本が開発したものであり、北朝鮮も中国もその業績の上に乗っかっているだけなのです。

 歴史の事実を知れば、韓国や北朝鮮が日本を恨むのは筋違いであることがわかってくる。朝鮮戦争後、韓国に反日感情を埋め込んだのはアメリカであった。李承晩はアメリカの傀儡(かいらい)で反日レジスタンスでも何でもない。結局、アメリカは韓国の教育で反日憎悪を刷り込むことに成功した。見事な洗脳プログラムであり巧みなプロパガンダといえよう。

 野口遵〈のぐち・したがう〉の名前が出てきてビックリした。あの水俣病を引き起こしたチッソの野口である。現在は旭化成、積水化学工業、積水ハウス、信越化学工業、センコー、日本ガスなどの母体企業でもある。当時の公害に違法性はなかったとはいえ、石牟礼道子〈いしむれ・みちこ〉著『苦海浄土』を読んだ人であればその衝撃が理解できるだろう。これほどの大物だったとはね。公害認定に至るまでには野口の政治的な影響力への配慮もあったことと想像する。

 正真正銘の本音を書いておこう。私は再び朝鮮を併合するべきだと思う。そしてまた日本が朝鮮の歴史を教えることでしか反日憎悪を解消することができないと考えるためだ。その意味からも北朝鮮との国交回復が望まれる。で、挟み撃ちにする格好で韓国を飲み込むという寸法だ。日本の核開発が遅れて日中戦争が勃発すれば自(おの)ずからそういう方向にむかうことだろう。

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菅沼光弘
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2014-12-06

オルダス・ハクスリー、養老孟司、南伸坊、池田清彦、他


 2冊挫折、2冊読了。

データ・マフィア 米国NSAとモサドによる国際的陰謀』E・R・コッホ、J・シュペルバー:佐藤恵子訳(工作舎、1998年)/内容が古く、1980~90年台が中心となっている。インターネット自体がアメリカの軍事技術であるため、黎明期からNSAが犯罪的行動をするのも当然か。コンピュータの歴史に興味がある人なら読む価値があるかも。

やがて消えゆく我が身なら』池田清彦(角川書店、2005年/角川ソフィア文庫、2008年)/池田の合理的思考は好むところなのだが、如何せん性格に問題がある。テレビで彼を見たことがある人ならわかると思うが、口吻(こうふん)に締まりがなく、酔っ払いみたいな話し方をする。そういうデタラメさが文章にも滲み出ている。たぶん生きる姿勢の問題だろう。自己を律するところが少ない人なのだと思う。

 96冊目『解剖学個人授業』養老孟司、南伸坊(新潮社、1998年/新潮文庫、2001年/河出文庫、2014年)/刊行当時から知っていたが読むのを躊躇(ためら)ってきた。失敗。養老はいかにも「鎌倉」ってな感じがしますな。そのくせ無頼なところがあって、このアンバランスにどうも馴染めない。軽い読み物であるが考えるヒントが山ほどある。「システムは形からは出てこない」という指摘に目から鱗が落ちる。つまり形は象徴であるがシステムの部分を示すことはあっても全体を表しているわけではない。その意味で手相占いは誤っている。

 97冊目『すばらしい新世界』オルダス・ハクスリー:黒原敏行訳(光文社古典新訳文庫、2013年/『みごとな新世界』渡邉二三郎訳、改造社、1933年/「すばらしい新世界」松村達雄訳、『世界SF全集』第10巻、早川書房、1968年/『すばらしい新世界』 高畠文夫訳、角川文庫、1971年)/ちょうど昨年の今頃読んだのだが、画像ファイルを消失したため再読。二度目はもっと面白かった。あと3回くらい読むことになるだろう。バーナードがインテリの弱さを表しているのがよくわかった。それを際立たせるのがヘルムホルツの役割なのだろう。ハクスリーはユートピア的ディストピアを描いた。野蛮人世界で生まれ育ったジョンはインディアンの文化を受け継ぐ青年だ。受難なきユートピアでジョンは自らを鞭打つ。そしてジョンは十字架を背負う。こうしてジョンは使徒ヨハネと化したのだろう。

2014-12-03

徳には盛衰がない/『奇貨居くべし 天命篇』宮城谷昌光


『天空の舟 小説・伊尹伝』宮城谷昌光
・『太公望』宮城谷昌光
『管仲』宮城谷昌光
『重耳』宮城谷昌光
『介子推』宮城谷昌光
・『沙中の回廊』宮城谷昌光
『晏子』宮城谷昌光
・『子産』宮城谷昌光
『湖底の城 呉越春秋』宮城谷昌光
『孟嘗君』宮城谷昌光
『楽毅』宮城谷昌光
『青雲はるかに』宮城谷昌光

 ・戦争を問う
 ・学びて問い、生きて答える
 ・和氏の璧
 ・荀子との出会い
 ・侈傲(しごう)の者は亡ぶ
 ・孟嘗君の境地
 ・「蔽(おお)われた者」
 ・楚国の長城
 ・深谿に臨まざれば地の厚きことを知らず
 ・徳には盛衰がない

『香乱記』宮城谷昌光
・『草原の風』宮城谷昌光
・『三国志』宮城谷昌光
・『劉邦』宮城谷昌光


 鮮乙〈せんいつ〉のおどろきは深く、
「主(しゅ)の強運は比類がない」
 と、しきりにいった。が、呂不韋〈りょふい〉はゆるやかに首をふり、
「運には盛衰がある。しかし徳には盛衰がない。徳はかたちのない財だ。その財を積むにしかず、だ」
 と、誨(おし)えた。

【『奇貨居くべし 天命篇』宮城谷昌光(中央公論新社、2001年/中公文庫、2002年/中公文庫新装版、2020年)】

 光を放つ言葉がある。その光が自分の内側の柔らかな部分に射(さ)し込む。心は瞬時に反応し躍り上がる。

 運とは風のようなものであろう。風向きは季節によって異なる。いつも背中を押してくれるとは限らない。人生には嵐のような逆風を真正面から受けることが必ずある。時に風が進路を妨げることもあるだろう。そこで環境を嘆くのか、自分の内部を見つめるかで人生は二つに分かれる。

 呂不韋は順境にあって「徳には盛衰がない」と自らを戒めた。彼の心には旅で巡り会った大人物たちの影がくっきりと残っていた。成功に酔うと人は足元が見えなくなる。

 諸子百家は六家に分類されるが、現在の大学教育で採用されているのは法家のみである。せめて道徳学科(儒家)や無為学科(道家)はあって然るべきだと思う。法律と経済で回る社会は人々の欲望を認めるため最終的には戦争に向かう。徳が得に置き換えられたのが大衆消費社会だ。

    

2014-12-02

リスクマネジメントを学ぶ/『伝説のトレーダー集団 タートル流 投資の黄金律』カーティス・フェイス


『伝説のトレーダー集団 タートル流投資の魔術』カーティス・フェイス

 ・リスクマネジメントを学ぶ

【不確実性】はリスクの源だ。われわれがもし、未来のありようを的確に見定めるすべを知っていたら、差し出されたリスクを引き受けるかどうかを、つねに潜在的な利得の見積もりだけで決めることができる。事の成否が予測可能であったり、確実であったりしたら、リスクなど存在しない。
 しかし、“妥当”な決断を下すのにじゅうぶんな情報が手もとにない場合もある。また、どんなに周到に調べても、あるいはどれだけの数の代案をどんなにくわしく検討しても、込み入った要素が多すぎて、未来の出来事を予測しかねる場合もある。1週間以上先の天気は、予測できない。一国の経済の変動は、予測できない。原油価格は、予測できない。ドルのレートは、予測できない。住宅市場の勢いは、予測できない。2カ月後のS&P500種株価指数の値は、予測できない。
 以上の例を整理すると、ふたつのタイプの不確実性が浮かび上がってくる。

【1 情報の不確実性……情報が不足していることによる不確実性】
【2 無秩序の不確実性……複雑すぎることによる不確実性】

【『伝説のトレーダー集団 タートル流 投資の黄金律』カーティス・フェイス:飯尾博信+常盤洋二監修、楡井浩一〈にれい・こういち〉訳(徳間書店、2009年)】

 アマゾンの評価が低いのは読者が投資手法を求めたことによるものだろう。それほど前著と内容が懸け離れている。まずタイトルに難あり。徳間書店が下劣な商魂を逞しくしたために読者をミスリードする結果となっている。内容は決して悪くない。

 一寸先は闇というのが仏教の立場で、「未来」という言葉は「未だ来(きた)らず」の謂(いい)である。ここに願望や計画が紛れ込むと「将来」(将〈まさ〉に来〈きた〉る)と表現する。仏典に将来という語は出てこない。

 未来のことはわからない。この事実が肚に据えられていないと不測の事態に翻弄される羽目となる。事故・病気・怪我・失業など不慮の出来事と遭遇するたびに嘆き悲しみ、人生を恨んでも仕方がない。正しい判断と迅速な対処が求められる。ただそれだけのことだ。

 投資もギャンブルも不確実性(リスク)に賭けるゲームだ。本質的には競争相手ではなく時間との勝負になる。つまり、より長くゲームに参加できれば必然的に勝ちを収めることができる。そこで問われているのがリスクマネジメントであり、ポジションサイズと損切りが命運を分かつ。含み損を強い意志で切ることができないプレイヤーはあっと言う間に退場させられる。

 不確実な世界においては、生起事象は既定のものとして扱われる。未来に何が起こるかを正確に予測することなどできない。精いっぱいの推測をするしかないが、それでさえはずれることが多い。【現われた結果に対処する最善の方法は、それを悪いこととしてではなく、“避けられない現実”として見ることだ】。つまるところ、それが結果というものなのだから。

 我々は不運な出来事に遭遇すると「予測できなかったこと」を悔やむ。そこに愚かさがあるのだろう。一切が予測可能であれば、人生もゲームも全くつまらないものに変わってしまうだろう。人生とは不確実性を生きることである。運命も因果も及ばぬダイナミズムを私は不確実性と呼ぶ。

 最後に小林秀雄の言葉を紹介しよう。

小林●ぼくら考えていると、だんだんわからなくなって来るようなことがありますね。現代人には考えることは、かならずわかることだと思っている傾向があるな。つまり考えることと計算することが同じになって来る傾向だな。計算というものはかならず答えがでる。だから考えれば答えは出(ママ)るのだ。答えが出なければ承知しない。

【『人間の建設』小林秀雄(新潮社、1965年、『小林秀雄全作品 25』2004年/新潮文庫、2010年)】

伝説のトレーダー集団 タートル流 投資の黄金律人間の建設 (新潮文庫)

個性が普遍に通ずる/『小林秀雄全作品 25 人間の建設』小林秀雄