2018-07-13

【討論】サヨクの本質-共産主義は本当に死んだか?[桜H30/2/24]


 これは勉強になった。岩田温〈いわた・あつし〉が新風を吹き込んでいる。ただし中国が簡単に滅ぶという見方は甘すぎる。アメリカが世界覇権から一歩退くのは中国が前面に出てくることが大前提となっているのだから。


「リベラル」という病 奇怪すぎる日本型反知性主義
岩田 温
彩図社 (2018-01-30)
売り上げランキング: 28,634

2018-07-12

布教インペリアリズム/『みじかい命』竹山道雄


『昭和の精神史』竹山道雄
『竹山道雄と昭和の時代』平川祐弘
『見て,感じて,考える』竹山道雄
『西洋一神教の世界 竹山道雄セレクションII』竹山道雄:平川祐弘編
『剣と十字架 ドイツの旅より』竹山道雄
『ビルマの竪琴』竹山道雄
『人間について 私の見聞と反省』竹山道雄
『竹山道雄評論集 乱世の中から』竹山道雄
『歴史的意識について』竹山道雄
・『主役としての近代 竹山道雄セレクションIV』竹山道雄

 ・×踏み絵 ○絵踏み
 ・布教インペリアリズム

『石田英一郎対談集 文化とヒューマニズム』石田英一郎

キリスト教を知るための書籍
日本の近代史を学ぶ
必読書リスト その四

 往きて宣べつたへ「天国は近づけり」と言へ――このイエズスの命令は、おそらく人々にこの世の崩壊が明日にも迫っていることを教え、すべては融けて消えてなくなると説き、その中にあってもなお永遠の生命を保つためには、ゴッドの教えをきいてゴットの国に入れ、ということであったのだろう。その教えをきかない者は呪われた者だった。
 年と共に、これが歴史の実体としては、行きて宣べて、しかもかつ略奪劫掠せよということとなったことは、疑いをいれない。宗教宣伝が領略の名目となったことはまちがいがなかった。むしろ、この両者は一体のものだったろう。12世紀の十字軍遠征を扇動した法王の言葉は他に紹介したことがある。彼はこれによって集団ヒステリーをかきたてた。西欧の方々の国の村から町から異教徒という被害妄想に憑かれた人々が、群をなし列をなしてぞろぞろと東へ征った。
 バテレンの布教は日本征服と関係がある――この結びつきは、徳川時代において日本人の固定観念だった。それが明治に布教が再開されるに及んで消えた。その間の時期に日本の指導層は合理的に物を考えるようになっていた。しかし、近頃バテレンの機密文書がぞくぞくと発表されるに及んで、やはり前の固定観念が正しかったことが明らかになった。その証拠はかぎりがない。
 大航海時代に南ヨーロッパ諸国民が世界に雄飛した動機について告白したものは、聖なる教えを奉ずる自己の利益となる行為は正しいものであるということを、表明している。じつにキリスト教徒でない者は、まだ人間であるか否かを疑われ、むしろ家畜として使役すべきものだった。

【『みじかい命』竹山道雄(新潮社、1975年)】

 40代でクリシュナムルティと出会い、50代で竹山道雄を知ったことは私の読書人生もあながち的外れではなかったことを証(あか)しているようで少しばかり自慢気になる。若い頃から抱いてた疑問の数々はすべて晴れたといっても過言ではない。

 本書は江戸時代を舞台としたキリスト教小説である。竹山は1903年(明治36年)生まれだから刊行時は72歳だ。竹山の前半生は戦争と共にあった。

日清戦争(1894-95年)
日露戦争(1904-05年)
第一次世界大戦(1914-18年)
満州事変(1931-32年)
支那事変日中戦争(1937-45年)
大東亜戦争(1941-45年)

 明治開国で日本は辛うじて植民地となることは免れたが長く不平等条約に苦しめられた。明治政府は白人帝国主義の外圧に対抗すべく富国強兵を掲げ殖産興業に邁進した。日露戦争は近代史における一大事件で初めて有色人種が白人を打ち負かした近代戦争であった。その後も半世紀近くにわたって日本はロシアの南下と戦い続ける。

 竹山は戦前にドイツとパリへ3年間留学している(※当時一高のドイツ語講師)。また鎌倉の海岸で偶然出会ったベルナルト・レーリンク(オランダの裁判官で東京裁判の判事を務めた)とも親交を重ねた。言うなれば「誰よりもヨーロッパを知る日本人」であった。彼はいち早くナチスの欺瞞を見抜いた。そしてナチスという現象の歴史的由来を探った。竹山は「キリスト教にその原因あり」と喝破した。

 竹山の経験・見識を総動員して描かれた小説が本書である。SF的手法を用いた原爆投下の悪夢や、戯画的に綴られる性描写、リアリズムを追求するがゆえの残酷さなどは好みが分かれることと思われるが、私はその全てに息が止まるほどの激情を覚えた。主人公の湯浅を竹山の分身と捉えることも可能だろう。

 キリスト教小説として読めば飯嶋和一作品(『黄金旅風』以降)の底の浅さがよく見えてくる。ただし飯嶋がキリスト教を道具立てとして使っているのか、宣教を目的にしているのかは不明である。

 キリスト教ヨーロッパによる布教インペリアリズム(帝国主義)を理解せずして近代史を把握することはできない。アフリカ・アジアの殆どの国が植民地として農地同然の扱いを受けた。日本はやっとの思いで日露戦争・日清戦争に打ち勝ち、一等国として扱われた。

 第二次世界大戦の枠組みで形成される国際社会ではいまだに日本を貶める話題に事欠かない。例えば慰安婦捏造問題が挙げられよう。チャイナ・マネーとつながっているヒラリー・クリントンがセックス・スレイブ(性奴隷)と口にしたことは記憶に新しい。私は常々思っているのだが慰安所という当時の日本文化を通して反撃することが正しい。慰安所は現地での性犯罪を防ぐ目的で設置された。衛生面にも配慮がなされており、過酷な労働に対する報酬も高額なものだった。慰安婦と結婚した兵士も少なからず存在した。明治維新の志士だって遊郭の女性を妻や妾にしている例は多い。

 アメリカ兵はノルマンディーに上陸し、フランスをナチスドイツから解放すると、フランス人女性を次々と強姦した。「GIはどこでも所かまわずセックスしていた」(「解放者」米兵、ノルマンディー住民にとっては「女性に飢えた荒くれ者」)。同盟国の女性すら強姦するのだから敵国ともなると残虐の度合いが桁違いとなる。ベトナム戦争では「一人の女が赤熱した銃剣を性器にぐさりと深く突き立てられるのも見た」という米兵の証言もある(『人間の崩壊 ベトナム米兵の証言』マーク・レーン)。

 アングロサクソンも恐ろしいがもっと凄いのはロシア兵だ。イナゴの大群が作物を食い尽くすように強姦しまくる。第二次世界大戦のドイツでは少女から老人に至るまで犯された。満州では日本人女性も多数の犠牲者を出している。

 白人は自らの歴史を振り返って反省することがない。なぜなら彼らはキリスト教という正義に取り憑かれているためだ。本来であれば東洋から学問的追求をするべきなのだが、自国の歴史すらまともに知ることができない現状である。

 私が知る限りではどの宗教学者や仏教者よりも竹山はキリスト教の本質を鋭く捉え、日本文化を通して見事な鉄槌を下している。

2018-07-11

伊藤隆の藤岡信勝批判


『政治を考える指標』辻清明

 ・伊藤隆の藤岡信勝批判

『歴史と私 史料と歩んだ歴史家の回想』伊藤隆

 新しい歴史教科書をつくる会にも発足時から参加した。理事を務め、扶桑社の中学校歴史教科書執筆者の一人となった。「つくる会」でも数少ない専門の歴史研究者として重きをなした。しかし、内紛が続いた「つくる会」に嫌気がさしたとして2006年3月に理事を辞任した。辞表の中で創設メンバーの一人である藤岡信勝を激しく批判し、「私が積極的に参加していた時期にも繰り返し内紛が繰り返されていた、その際必ず藤岡信勝氏がその紛乱の中心の当事者であったこと、それがこの会の発展の阻害要因ともなってきた」と述べた。

伊藤隆 (歴史学者) - Wikipedia

2018-07-08

読み始める

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2018-07-05

アメリカに「対外貿易」は存在しない/『ボーダレス・ワールド』大前研一


『プーチン最後の聖戦  ロシア最強リーダーが企むアメリカ崩壊シナリオとは?』北野幸伯

 ・アメリカに「対外貿易」は存在しない

『超帝国主義国家アメリカの内幕』マイケル・ハドソン
『金価格は6倍になる いますぐ金を買いなさい』ジェームズ・リカーズ
『略奪者のロジック 支配を構造化する210の言葉たち』響堂雪乃

 まず、アメリカに「対外貿易」はない。アメリカは外国から物を買うための「外貨」を稼いだためしがない。ただ国内経済を拡大し、貿易相手国をのみ込んでしまえばすむからである。アメリカが海外から品物を購入すると、それは「輸入品」として記録される。貿易統計は結局のところ「国と国との境を通過する商品」を測定するものだからである。しかし、外国商品の購入に使われる資金は依然としてドル建てなので、そうした取引は、たとえばカリフォルニア産のオレンジやテキサス産のパソコンを買うのと、いささかも変わりがない。

【『ボーダレス・ワールド』大前研一:田口統吾訳(プレジデント社、1990年)以下同】

 北野本で紹介されていた一冊。後半だけ読んだ。驚くべき指摘であるが米ドルを基軸通貨とするブレトンウッズ体制(1944-71年)を思えばストンと腑に落ちる。むしろ気づかなかった自分の不明に恥ずかしさを覚える。

 アメリカは案外、大雑把でデタラメなところがある。例えば第二次世界大戦が終わる直前にソ連を引きずり込んだことが挙げられよう。その後の冷戦の種を自ら蒔(ま)いたようなものだ。ベトナム戦争もずるずると長引かせたし、湾岸戦争・アフガニスタン戦争・イラク戦争も賢明な判断とは思えない。特に湾岸戦争以降は国際資本が政治を振り回しているように見える。

 アメリカが受け取る外国からの投資についても、これはアメリカの国としての統計上は対外債務として計上されるが、その大半は利子など払う必要もなく、たとえ払ったとしても、国内の債権者に払うのと同じドル建てであり、「対外」債務とはいいがたい。
 とすれば、貿易の不均衡を「是正」する目的でドルの価値を調整するのは、無意味といわなければならない。同じ量の商品を買うのに、わざわざドル紙幣の増刷を行なうようなものだ。アメリカ国内に外国商品を買おうとするニーズが存在するかぎり、ドルの価値の調整で得られる効果はただ、輸入品の統計上の金額(ドル建て)を膨らませるだけだ。アメリカ国内に自由にこれらの商品が出回っている以上、輸入の勢いが減速することはない。
 くどいようだが、外国との貿易にドルが「決済通貨」として用いられているかぎり、アメリカには原理的に「対外貿易」が存在しないのである。それなのに政策担当者は「ドルを安くすれば貿易競争力が高まる」と信じて、ドルの価値を下げている。これでは遅かれ早かれ、ドルがアメリカの貿易相手国に決済通貨として受け入れられなくなる日が、必ずやってくる。これは大問題だ。そうるなるとアメリカは、輸入超過分の代金支払いに外国通貨を借りなければならなくなる。したがってドルを強くしておくことが、最もアメリカの利益になるのだ。「弱い通貨で輸出が伸びなくなるものなら、アルゼンチンはいまごろ世界最強の貿易国になっているはずだ」と、ベア・スターンのある研究員も首をかしげている。

 発展途上国がなぜ外貨を必要とするのか。私が理解したのはちょうど40歳になった頃だった。増田俊男の著作を片っ端から読んで初めて理解できた。詐欺師からでも学べることは多い。特に頭のいい詐欺師からは。

 アメリカの鷹揚なデタラメさを思えば当初は国力の強さから世界経済の立て直しを引き受ける気持ちでブレトンウッズ体制は始まったのかもしれない。ところがアングロサクソン特有の悪知恵(戦略)が働いた。「どれほど貿易赤字になろうともドルを印刷すりゃチャラになるわな」と。ただし経済はそれほど単純なものではないため、折に触れて広がりすぎたドルをアメリカに還流させる必要がある。で、ダウ銘柄を中心とする米株相場を意図的に釣り上げ、世界各国の資金をアメリカ市場に流れさせ、定期的にでかい会社を潰すのだ。すると流れ込んだ資金はアメリカ国内から出ることはなくなる。エンロン、ワールドコム、リーマン・ブラザースなど。

 そもそも「貿易赤字の何が問題なんだ?」という指摘もある。我々の消費を考えてみればわかるだろう。消費はすべて赤字行為である。たとえ貿易赤字でもGDPが成長することは十分可能だ。

 大前の最後の指摘は意味深である。ニクソン・ショック(1971年)以降ドルの価値が低下しているのは紛れもない事実である。そこに経済合理性だけでは推し量ることのできないアメリカの深慮遠謀があるのだろう。2020年以降になると、米ドル・ユーロ・人民元の三国志時代がくるかもね。通貨戦争は静かに始まっている。

ボーダレス・ワールド
大前 研一
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