「あなた自身を助けよ」――自殺予防センター(CVV)のポスター。救いを求める自分が助ける自分へと変化している。シンメトリー的因果応報。「あ、なーんだ、自分を切り抜いてひっくり返せばいいんだ!」と思わせる発想の転換が凄い。 pic.twitter.com/F53J6IUatk
— 言動力bot (@gendoryoku) 2014年9月26日
2019-03-03
自殺予防センター(CVV)のポスター
2019-03-01
家族の目の前で首を斬り落とされる不可触民/『不可触民 もうひとつのインド』山際素男
・豊かな生命力は深い矛盾から生まれる
・家族の目の前で首を斬り落とされる不可触民
・不可触民の少女になされた仕打ち
・ガンジーはヒンズー教徒としてカースト制度を肯定
・『女盗賊プーラン』プーラン・デヴィ
・『アンベードカルの生涯』ダナンジャイ・キール
・『ガンジーの実像』ロベール・ドリエージュ
・『中国はいかにチベットを侵略したか』マイケル・ダナム
30年ほど前、不可触民はこのように扱われていた――
「この村の不可触民の一人が、地主の虐め方がひどいと抗議したのです。そのときは他の不可触民も一緒にいたので、地主も手を出さなかったのです。
2〜3日後、地主の手のもの何人かがその農夫の家へやってきて、無理矢理引っ張ってゆきました。彼等はライフルや槍で武装しているので家族や仲間も手が出せなかったのです。
そいつらは、農夫を村のホールに連れてゆき、予(あらかじ)め打ちこんであった杭(くい)にしばりつけました。
農夫は必死に大声をあげ、助けを求めました。
周りには“見物”の村人が総出でつめかけていたのです。家族は人びとの足にすがりついて助けを乞うたのに、だれも見向きもしなかったといいます。
やつらは、泣き叫ぶ家族の目の前で、鶏の首を打ち落とすように、斧(おの)で農夫の首をはねてしまいました。
しかも、その人殺し共は、屍体の始末をその農夫の家族にやらせたのです。
わたしたちが駆けつけたときには、杭はありませんでしたが、地面は血を吸ってどす黒い跡を残していました。
首のない亡骸(なきがら)を前に、わたしも男泣きに泣きました」
「警察は、どうしたのです?」
「きません」
「どうしてです?」
「通報するものがいないからです。暗くなって、われわれダリッツ支部に知らせにくるのがやっとだったのです」
「……」
「警察にはわれわれが届けました。村の不可触民は後の報復を怖れて警察にもいけないのです。
われわれは、州首相にも報告書を提出しました。
裁判にはかけられるでしょうが、地主が実刑をくらうことはまずないでしょう。その地主は大変な金持ちで、警察や政府関係者を完全に買収していますから ね。
州政府はこの事件に関して未だに返事を寄こさず、なしのつぶてです」
【『不可触民 もうひとつのインド』山際素男〈やまぎわ・もとお〉(三一書房、1981年/知恵の森文庫、2000年)】
私は生まれて初めて「戦争をすべきだ」と思った。「インドは滅ぶべきだ」とも思った。人道に関する罪に対して取り締まることのできる「国際警察組織」が必要だ。そうでなければ、いつまで経っても世界はチェ・ゲバラを必要とするだろう。
2019-02-28
「ブードゥー教の呪いで人が死ぬ」ことは科学的に立証されている/『精神疾患は脳の病気か? 向精神薬の化学と虚構』エリオット・S・ヴァレンスタイン
・精神疾患は本当に脳の病気なのか?
・「ブードゥー教の呪いで人が死ぬ」ことは科学的に立証されている
・相関関係=因果関係ではない
・『迷惑な進化 病気の遺伝子はどこから来たのか』シャロン・モアレム、ジョナサン・プリンス
・『〈正常〉を救え 精神医学を混乱させるDSM-5への警告』アレン・フランセス
・『クレイジー・ライク・アメリカ 心の病はいかに輸出されたか』イーサン・ウォッターズ
・『コレステロール 嘘とプロパガンダ』ミッシェル・ド・ロルジュリル
・『身体はトラウマを記録する 脳・心・体のつながりと回復のための手法』べッセル・ヴァン・デア・コーク
・『うつ消しごはん タンパク質と鉄をたっぷり摂れば心と体はみるみる軽くなる!』藤川徳美
・『心と体を強くする! メガビタミン健康法』藤川徳美
・『最強の栄養療法「オーソモレキュラー」入門』溝口徹
・『食事で治す心の病 心・脳・栄養――新しい医学の潮流』大沢博
・『オーソモレキュラー医学入門』エイブラハム・ホッファー、アンドリュー・W・ソウル
・『闇の脳科学 「完全な人間」をつくる』ローン・フランク
・必読書リスト その二
生理的変化の原因として、心理社会的要因も重要であることを認めない人は、次のような例をどう説明するのか。ユダヤ教徒(あるいはイスラム教徒)たちは豚肉を食べることが禁じられている。敬虔なユダヤ教徒(あるいはイスラム教徒)が知らずに豚肉を食べ、何時間もたってから、それがなんと禁じられている豚肉だったと知らされると、身体に激しい異変が生じるという。また、「ブードゥー教の呪いで人が死ぬ」ことも、立証されている。ハーバード大学の著名な生理学者ウォルター・キャノンがこれを研究し、のちにジョンズ・ホプキンズ大学の心理生物学者のカート・リクターも調査した。ブードゥー教の信仰が行われている国では、いたって健康な人でさえ、呪いが自分にかけられたことを知ると、衰弱して死に至るということが実際に起きる。
【『精神疾患は脳の病気か? 向精神薬の化学と虚構』エリオット・S・ヴァレンスタイン:功刀浩〈くぬぎ・ひろし〉監訳、中塚公子訳(みすず書房、2008年/新装版、2018年)】
これは脳機能によるものと個人的に考えている。多分、「これ以上生きてはいけない」というスイッチが遺伝子レベルで入ってしまうのだろう。時に思想が人を殺すという例証である。
「文をもって化す」ことで同じ物語が共有される。それが死に至る場合もあることは武士の切腹を思えば不思議なことではない。ただ呪いと恥の違いがあるだけだ。どちらも物理的な実体があるわけではなく、ユヴァル・ノア・ハラリ流に言えば「虚構」である。もっとわかりやすい例を挙げよう。
99年12月、タンクローリーが交差点で軽トラックと激突する交通事故が起こった。軽トラックは大破し、乗っている人が出てこなかったことからタンクローリー運転手は死亡事故を起こしたと思い込み、動転して約200メートル離れた鉄塔に上ってそこから飛び降り自殺した。しかし、実際には軽トラックの運転手に怪我はなく、無免許運転だったためその発覚を恐れて車外に出てこなかっただけのことだった。(※後に事故のショックによる急性ストレス反応の発病が認められ労災認定された)
【『自殺のコスト』雨宮処凛〈あまみや・かりん〉(太田出版、2002年)】
この運転手は勘違いによって死んだわけだ。嘲笑ってしまえばそれまでである。よくよく考えてみよう。思想・哲学・宗教は勘違いを体系化したものだろう。飛行機はおろかロケットや人工衛星が飛び交う時代になっても「天にまします我らの父」を見た人はいない。にもかかわらずそんな物語を信じている人々が世界には20億人以上もいるのである。脳とは五感情報を統合して虚構(=勘違い)を作り出す装置なのだろう。
もう一つ紹介しよう。
エピジェネティック効果や母性効果の不思議について、ニューヨークの世界貿易センターとワシントン近郊で起きた9.11テロ後の数か月のことを眺めてみよう。このころ、後期流産の件数は跳ね上がった――カリフォルニア州で調べた数字だが。この現象を、強いストレスがかかった一部の妊婦は自己管理がおろそかになったからだ、と説明するのは簡単だ。しかし、流産が増えたのは男の胎児ばかりだったという事実はどう説明すればいいのだろう。
カリフォルニア州では2001年の10月と11月に、男児の流産率が25パーセントも増加した。母親のエピジェネティックな構造の、あるいは遺伝子的な構造の何かが、胎内にいるのは男の子だと感じとり、流産を誘発したのではないだろうか。
そう推測することはできても、真実については皆目わからない。たしかに、生まれる前も生まれたあとも、女児より男児のほうが死亡しやすい。飢餓が発生したときも、男の子から先に死ぬ。これは人類が進化させてきた、危機のときに始動する自動資源保護システムのようなものなのかもしれない。多数の女性と少数の強い男性という人口構成集団のほうが、その逆よりも生存と種の保存が確実だろうから。(1995年の阪神大震災後も同様の傾向が出ている)
【『迷惑な進化 病気の遺伝子はどこから来たのか』シャロン・モアレム、ジョナサン・プリンス:矢野真千子訳(NHK出版、2007年)】
私は「自殺」だと考える。母親の体を通して伝わるストレスを胎児は「戦争」と認識したのだろう。男児であればゆくゆく兵士となるのは確実だ。兵士とは国家のために死ぬ存在である。どうせ生まれても死ぬ運命にあるのならば、さっさと死んで無駄な養育コストを回避することが親のためになる。もっと言ってしまえば、生まれて生きるほどの価値もない世界だから胎児は自ら死ぬのだろう。
「それは、あんたが勝手に思い描いた物語だろう?」――その通り。この世は人の数だけ物語が存在する摩訶不思議な世界なのだ。
・『ガン食事療法全書』マックス・ゲルソン
・『べてるの家の「当事者研究」』浦河べてるの家
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文藝春秋
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パーキンソン病、始まりは腸から? 虫垂切除で発症リスク19~25%減
2018年11月1日 14:11 発信地:タンパ/米国 [ 米国 北米 ]
【11月1日 AFP】これまで脳の病気と考えられてきたパーキンソン病は、腸内、特に虫垂から始まる可能性がある。成人早期に虫垂を切除すると、パーキンソン病の発症リスクが大幅に下がることを、米国の研究者らが突き止めた。論文は10月31日、米医学誌「サイエンス・トランスレーショナル・メディシン(Science Translational Medicine)」に発表された。
盲腸の下部にある虫垂は、不要な臓器と言われることも多いが、腸内細菌の貯蔵場所で、免疫反応と関連があるとされる。さらに、パーキンソン病に関連する主要たんぱく質「αシヌクレイン」が蓄積する場所ともみられている。
研究チームは今回、スウェーデンと米国の患者データベースを調査。その結果、成人早期に虫垂を切除した人のパーキンソン病発症リスクが、切除していない人よりも19%低いことを突き止めた。
スウェーデンの農村部ではその効果が特に顕著で、リスクは25%も低かった。農村部では、パーキンソン病の一因とされる農薬への暴露量が多いとされる。
論文の共著者、米バンアンデル研究所(Van Andel Research Institute、ミシガン州)のビビアン・ラブリー(Viviane Labrie)助教は電話会見で「パーキンソン病を発症した人では、虫垂切除によって発症年齢が平均3.6年遅れていた」と話した。
ラブリー氏は研究成果について「虫垂がパーキンソン病の初期症状、または発症に影響を及ぼす組織部位の一つであることを示唆している」と指摘した。
パーキンソン病は難病の神経変性疾患で、世界に大勢の患者がいる。著名人でも米俳優のマイケル・J・フォックス(Michael J. Fox)さん、アラン・アルダ(Alan Alda)さん、米歌手のニール・ダイアモンド(Neil Diamond)さん、ボクシングの故モハメド・アリ(Muhammad Ali)さんらがこの病気を患っている。(c)AFP/Kerry SHERIDAN
曲がった背骨を伸ばす/『ベッドの上でもできる 実用介護ヨーガ』成瀬雅春
・『足裏を鍛えれば死ぬまで歩ける!』松尾タカシ、前田慶明監修
・曲がった背骨を伸ばす
・『5秒 ひざ裏のばしですべて解決 壁ドン!壁ピタ!ストレッチ』川村明
・『心身を浄化する瞑想「倍音声明」CDブック 声を出すと深い瞑想が簡単にできる』成瀬雅春
ヨーガのポーズのことをサンスクリット語でアーサナといいますが、この意味は「坐り方」ということです。ヨーガは本来、解脱に至るための瞑想法として生み出されました。瞑想のために長時間坐っていても疲れない快適な坐り方が必要となり、さまざまな坐法が生まれ、同時に瞑想に専念できるように、健康を保つためのさまざまなポーズが生み出されたのです。このように、「坐る」ことはヨーガの基本であり、その重要性をいろいろなアプローチで説いています。
寝たままの生活をしている人のなかには、本人の気力が衰え「寝たまま」になっている場合や、周囲が「寝かせたまま」になってしまっているケースがあります。そうした人たちは、本人や周囲が坐らせる努力をすれば坐れるようになるケースが多いです。
寝たままと坐れることの間には雲泥の差があります。寝たままの生活で大きな問題となる床ずれは、坐ることができるようになれば治ります。また坐ることで排便も用意になり、食事も楽にできるようになります。寝たままの食事と坐っての食事では、同じものを食べても味も違います。
坐ることで深い呼吸ができるようになり、換気量も増えます。坐っている時間が増えるだけで、呼吸が深くなるものです。呼吸が深くなれば、当然血液の還流もよくなり、血圧も安定します。単に坐るだけですが、それでも筋力トレーニングになっているのです。身体を起こした状態を維持することで首の筋肉が鍛えられ、咀嚼がしっかりとできるようになり、誤飲も防げます。
【『ベッドの上でもできる 実用介護ヨーガ』成瀬雅春〈なるせ・まさはる〉(中央アート出版社、2007年)】
背中の曲がったオバアサンを何とかしようと思って読んだ本である。当の本人は「九十近いんだから無理」と言ったが、我が辞書に不可能という項目はない。身体障碍者の運動に関する書籍では私が知る限り本書がベストである。特に冒頭の足指・手指の運動は認知症にも十分な効果を発揮することだろう。
私がヨガに注目したのは以下の記事による。
・背中が曲がったおばあちゃん、よくある健康法で…ここまで変わる!? – grape [グレイプ]
腰痛の原因は頭の重さにある。背骨が曲がってしまえば下がった頭を抑えるべく腰の位置が後傾せざるを得ない。その結果腰はどんどん曲がってゆくという悪循環に陥る。アフリカ人の姿勢がいいのは頭に物を載せて運ぶためだ。スマホ首(ストレートネック)も頭の重量を無視した悪い姿勢の結果である(いま日本人の8割がスマホ首!? テニスボールで改善できる治し方とは? - モバレコ)。
私が試そうとしたのは次のポーズであった。
背中の曲がったオバアサンは仰向けで寝ることができない。うつ伏せになることもできない。曲がった背中を逆方向へ引っ張るためには背筋が必要だ。厳密にはこのポーズはできなかったが近い姿勢にはなった。現在、ボール投げとチューブトレーニングも組み合わせて背筋を鍛えている。
こうした営みを通して見えてきたのは背筋・体幹・股関節周りの重要性であり、健常者にとっても鍛えるべき急所はここにある。日本の文化でいえば所謂(いわゆる)「肚」(はら)の周りだ。背骨と骨盤の間に鍵が潜んでいるように思う。
次のステップは肩甲骨周りである。
みんな知ってる? 肩甲骨って翼の名残りなんだぜ。俺たちの先祖は空を飛んでいたのだ。肩甲骨をグルグル回して先祖の記憶を想像してみよう。
— 小野不一 (@fuitsuono) 2013年11月13日
肩甲骨を自由に動かすことができれば空を飛んでいた祖先の記憶が蘇るに違いない。例えば水泳、木登り、ロッククライミングやスポーツクライミングは「飛ぶ」感覚に近いのではないか。
体には動くことへの衝動がある。姿勢を正して動け。跳び、遊べ。
2019-02-24
ウォーキングの極意/『高岡英夫の歩き革命』、『高岡英夫のゆるウォーク 自然の力を呼び戻す』高岡英夫:小松美冬構成
・『脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか 生き物の「動き」と「形」の40億年』マット・ウィルキンソン
・『だれでも「達人」になれる! ゆる体操の極意』高岡英夫
・『病気の9割は歩くだけで治る! 歩行が人生を変える29の理由 簡単、無料で医者いらず』長尾和宏
・『ウォーキングの科学 10歳若返る、本当に効果的な歩き方』能勢博
・『「体幹」ウォーキング』金哲彦
・ウォーキングの極意
・『あらゆる不調が解決する 最高の歩き方』園原健弘
・『あなたの歩き方が劇的に変わる! 驚異の大転子ウォーキング』みやすのんき
・ナンバ歩きと古の歩術
・『すごい!ナンバ歩き 歩くほど健康になる』矢野龍彦
・『本当のナンバ 常歩(なみあし)』木寺英史
・『健康で長生きしたけりゃ、膝は伸ばさず歩きなさい。』木寺英史
・『常歩(なみあし)式スポーツ上達法』常歩研究会編、小田伸午、木寺英史、小山田良治、河原敏男、森田英二
・『スポーツ選手なら知っておきたい「からだ」のこと』小田伸午
・『トップアスリートに伝授した 勝利を呼び込む身体感覚の磨きかた』小山田良治、小田伸午
・『間違いだらけのウォーキング 歩き方を変えれば痛みがとれる』木寺英史
・『寝たきり老人になりたくないなら大腰筋を鍛えなさい』久野譜也
・『人生、ゆるむが勝ち』高岡英夫
・『究極の身体(からだ)』高岡英夫
・身体革命
私は2004年に、『高岡英夫の歩き革命』(弊社刊)を舞台に、人の理想の歩きとして、「ゆるウォーク」を提示した。
ゆるウォークとは、体をゆるめて、コリやムダな力を取り除き、もって生まれた自然の力を取り戻し、快適に歩くことである。つまり、この本は、観念的に正しいとされる歩き方に人の体をはめ込むという、これまでなされてきたすべての歩き方の理論と指導に、警鐘を鳴らす本でもあった。
そして「この本は、とても奥の深い内容を、懇切丁寧に、わかりやすく説いている。これこそ、快適な歩きをものにするためのバイブルだ」との声を、数多くいただいた。
しかし、ゆるウォークを、どこまでも正確に理解していただきたいという思いが強すぎたのか、その内容は少々ヘビーなものになってしまった。そこで、このヘビーな本を手にした多く(ママ)方々から、今度は、もっと気軽に取り組めるやさしい本を出版してほしいというご希望をいただき、本書は生まれた。
【『高岡英夫のゆるウォーク 自然の力を呼び戻す』高岡英夫:小松美冬〈こまつ・みふゆ〉構成(学習研究社、2006年)】
臆面もなく自画自賛を綴(つづ)る神経が図太い。病的といってもいいほどだ。自己愛性人格障害か、もしくは自分を高く売りつけようとする詐欺師のどちらかだろう。『高岡英夫の歩き革命』の焼き直しにすらなっていない著作で、半分ほどの量を費やしてゆる体操を紹介している。かえって手の内を隠すような体裁となっているのが疑問である。2008年には同じく学研から『楽しくなるゆるウォーク DVD付き』を刊行しており、著者と出版社にとっては「一粒で三度おいしい」マルチ出版となっている。
理想の歩きでは、脚に重みが感じられるものの、軽く動くようになる。脚に重みを感じるというのは、脚の脱力が進んだ証拠。軽く感じるのは、股関節のまわりの筋肉がゆるんできたということで、大腿骨がパッとスムーズに前に振り出されるようになってきた証拠である。
さらに股関節まわりの筋肉の脱力が進むと、腸腰筋(ちょうようきん)が使われ始めてくる。腸腰筋(下図)は、股関節と骨盤及び背骨をつなぎ、大腿骨をポンと前に振り出す働きのある筋肉なので、さらに脚は軽く感じられるようになる。
【『高岡英夫の歩き革命』高岡英夫:小松美冬〈こまつ・みふゆ〉構成(学習研究社、2004年)】
大腰筋+腸骨筋=腸腰筋/腸腰筋の鍛え方なら「フロントランジ」が効果的 | StartHome https://t.co/TCZ4uStEwd
— 小野不一 (@fuitsuono) 2019年2月23日
人品が卑(いや)しくとも理論が優(すぐ)れているのは確かだ。ただし体に関することは本書に限らず鵜呑みにするのは危険である。飽くまでも参考にしながら自分自身で創造的な手法を編み出すのが正しい。体も心も千差万別なのだから。注意深く体の声に耳を傾けることだ。
腸腰筋を使うというのは要は振り子の原理である。もともとウォーキングに関心はあったのだが、近所のおばあさんの歩行訓練を手伝うことになり真剣の度合いが一気に増した。歩けない人が歩けるようになる課程に私は歩行の合理性を見出した。
次に「Lesson 4 のおもなワーク」を紹介する。
歩行障害があるとどうしても足先に意識が向かう。これが躓(つまづ)きの原因となる。介護の場合はまず「膝を高く上げる」ことを促し、少しずつ腿(もも)から腸腰筋を意識させるのがいいだろう。腸腰筋を使うには膝を曲げずに歩いてみればよい。
続いてウォーキングに関する私の試行錯誤をいくつか紹介しよう。
人・モノ・情報が目まぐるしく動くスピード社会にあって、書くこと、歩くことは「止まる」に等しい行為だ。走っている人の景色はただ流れ去るだけだ。止まらなければ見えない。あやふやな方向に走り出すよりも、立ち止まって自分を見直す時間に豊かな何かがある。
— 小野不一 (@fuitsuono) 2016年2月13日
色々試してきたが、やはり一番効果を感じるのはウォーキングである。1日に5km以上歩くようにしている。ウォーキングは骨盤を上に持ち上げることを意識し、腕をしっかりと後ろに振る。前には振らなくてよし。
— 小野不一 (@fuitsuono) 2017年4月1日
最近心掛けているのは歩幅を広くしないこと。爪先を少し内向きにして足指で地面をつかむ感覚を意識することの二つ。腕は少し後ろに振るくらいでいい。
— 小野不一 (@fuitsuono) 2018年7月21日
階段を降りる時、爪先から着地することに気づいた。スローピングといっても坂道と階段では動きが異なる。ハイヒールは足を痛めるので履くのは避けた方がよいが、少なからず効能があるのは爪先で歩くためだろう。
— 小野不一 (@fuitsuono) 2018年12月17日
今までは上に伸び上がるような歩き方をしてきた。要は体全体でリズムをつけて楽しそうに歩くのだ。これは山男の太郎先輩を真似たもの。今日考えたのは母子球から力を抜いて踵を残す歩き方である。肩は開いて少し前屈みになる。腕は最低限だけ振る。
— 小野不一 (@fuitsuono) 2018年12月31日
つまり踵をできるだけ水平に移動する。昔の日本人は土の上を草鞋で歩いていたわけだから、蹴る動きはなかったはずだ。実際に靴で歩いてもわかるが砂利道や土の道路は蹴ると滑る。
— 小野不一 (@fuitsuono) 2018年12月31日
能や狂言の歩き方に近い。
— 小野不一 (@fuitsuono) 2018年12月31日
5kmほど歩いてきたが、いやはや難しいものだ。考えれば考えるほど足が出なくなる。面倒臭くなったので思い切り爪先で歩くようにした。ふくらはぎの筋肉がパンパンである。
— 小野不一 (@fuitsuono) 2019年2月18日
「大股で歩くことにまったく意味はない」(田中尚喜)という。また「時速8kmを超えたら、歩いた方がエネルギー消費量が大きく」なるそうだ(園原健弘)。とすれば高速小股歩行は最強の運動となる。
色々と調べているうちに踵(かかと)への衝撃がダメージを蓄積することがわかってきた。クリストファー・マクドゥーガル(近藤隆文訳、NHK出版、2010年)のベストセラー『BORN TO RUN 走るために生まれた ウルトラランナーVS人類最強の“走る民族"』でヒール・ストライク(踵着地)走法が怪我の要因となることが広く認知された。またララムリ(タラフマラ族)のサンダル(ワラーチ)ランニングが世界のランナーに衝撃を与えた。
フォアフット走法とミッドフット走法については判断するほどの材料を私は持たないが、足の形状が縦長であることを踏まえるとミッドフットに動力性の軍配が上がると思われる(正しくは「ミッドフット」 - Great Life)。
検索したところ『「つま先歩き」で腰の痛みが消える』(宮崎義憲)との記事を見つけた。試しに5kmほど歩いてみた。何と寝る前から筋肉痛が出た。ふくらはぎから太腿に至るまで足全体が鈍い痛みに包まれた。
実際にやってみると直ぐにわかることだがスニーカーだと歩きにくい。ギョサンも踵部分が高いので向いていない。ソール(靴底)は薄い方がよさそうだ、と気づいた瞬間に地下足袋が思い浮かんだ。案の定同じ考えの人がいた。
・地下足袋ウォーキング ~正しい足運びを身に付けよう 『それいいな!』の山道具
ワラーチの作成もそれほど難しくはなさそうだ(コルクマットワラーチがすごすぎるので作り方教えます! - 裸足と瞑想の日々)。また足型をファックスやメールで送るオーダーサービスもある(2700円:ランニングサンダル・ワラーチを作ります!! - クローズアップ源内)。
では今日現在でのウォーキングの極意を開陳しよう。家の中を歩く時の動きをよくよく吟味すれば踵をつけていないことがわかる(踵をついている人はよほど運動神経が鈍いか、体のバランスが狂っている)。裸足の動きを再現するためにはソールの薄い履物(←シューズとは書かないぞ)が望ましい。イメージとしては足袋(たび)や草鞋(わらじ)である。
爪先ウォーキングの肝は指の付け根部分を後ろから前に向かって半回転運動をさせるところにある。現実には土踏まずから着地することはできないわけだから、これがミッドフット歩行ということになる。
で、ここからが問題なのだが、腸腰筋を使って脚を動かすと爪先から着地するのが極めて難しい。慣れないうちは小股で爪先を内側へ向けると歩きやすい。そう、和服姿の女性の歩き方だ。
これをマスターすれば「歩くスローステップ運動」が完成する。筋肉に負荷が掛かる分だけ関節や骨のダメージは軽減されるはずだ。
ヒトと猿とを分けるのは二足歩行である。だったらきちんと歩きたいものである。
・疲れない、きれいな歩き方は、腰から歩く、フラットに着地する | 笛吹きおじさんの、中高年が健康で快適に生きるための情報
・その2「大転子を引き上げるイメージ」|にぎりこぷし|note
・X脚、O脚の子を救う 歩き方&立ち方 | プレジデントオンライン