2019-12-16

もはや左傾化ではなく亡国の道を進む北海道と沖縄/『北海道が危ない!』砂澤陣


『「悪魔祓い」の戦後史 進歩的文化人の言論と責任』稲垣武
『こんな日本に誰がした 戦後民主主義の代表者・大江健三郎への告発状』谷沢永一
『悪魔の思想 「進歩的文化人」という名の国賊12人』谷沢永一
『誰が国賊か 今、「エリートの罪」を裁くとき』谷沢永一、渡部昇一
『いま沖縄で起きている大変なこと』惠隆之介

 ・もはや左傾化ではなく亡国の道を進む北海道と沖縄
 ・「アイヌ」民族は学術的に定義されていない

小野寺まさる:北海道が日本で無くなる日~中国の土地爆買いとアイヌ新法の罠[R2/5/4]
茂木誠:アイヌは樺太から避難してきた渡来人
・『なぜ彼らは北朝鮮の「チュチェ思想」に従うのか』篠原常一郎、岩田温
『これでも公共放送かNHK! 君たちに受信料徴収の資格などない』小山和伸
『ちょっと待て!!自治基本条例 まだまだ危険、よく考えよう』村田春樹
『実子誘拐ビジネスの闇』池田良子
『自治労の正体』森口朗
『戦後教育で失われたもの』森口朗
『日教組』森口朗
『左翼老人』森口朗
『愛国左派宣言』森口朗

 冒頭から北海道と沖縄の共通点の悪いところばかりを並べ立てて少し心苦しいのだが、もう一つ最悪な共通点が存在する。
 それは、「迅速、正確に報道し、公正な社論によって健全な世論を育てる」(北海道新聞編集綱領)べきマスメディアであるにもかかあらず、正論、公正とは思えない報道で、時には事実を歪曲し、一方的な主義・主張に基づいて書き立てている地元新聞社の存在である。
 最近はインターネットでも「沖縄タイムス」や「琉球新報」の記事を読むことができるので、目を通すようにしているのだが、この2紙の一面的な報道姿勢には呆れるばかりだ。地域や新聞社によって、記事に特色が出るのは当然だが、基地問題やいわゆる琉球独立論などの記事を読むたびに、「沖縄の人たちはこの新聞を読んで、どう思い、考えているのだろう?」と心配になってしまう。
 私の地元、北海道にも、朝刊約100万部、夕刊約45万部、北海道の新聞購入世帯の約4割という圧倒的なシェアを持つ北海道新聞(通称・道新)がある。その報道ぶりも沖縄に負けてはいない。詳しくは本書で述べるが、道新のアイヌを擁護する論調は果たして公正な報道と呼べるだろうか。(中略)
 時折、朝日新聞を読むが、「吉田調書」(誤報問題)と「吉田証言」(慰安婦報道問題)で、偏向報道の代名詞となった朝日新聞ですら「まとも」と感じてしまう。
 ちなみに、その道新がことのほか熱心に行っていることといえば、世界中のジャーナリストや人権団体が「報道の自由の敵」と非難している中国共産党との交流である。驚くことに、道新と中国共産党の機関紙である「人民日報」との間には人事交流もあるという。

【『北海道が危ない!』砂澤陣〈すなざわ・じん〉(育鵬社、2016年/扶桑社オンデマンド、2019年)】

 全北海道民必読の一書である。道産子の私は衝撃を受けた。

 冒頭では小中学校の学力の低さ、離婚率の高さ、地下が安いにもかかわらず持ち家率が低い、非正規雇用の割合も高く、国からの補助金が多い、にもかかわらず地域経済が上向かないなどの共通点が挙げられている。北海道は更に日教組の牙城でもある。私は義務教育の過程で「君が代」を歌ったことは一度しかない。それも音楽の授業でである。国旗に敬意を示すことも教わらなかったし、まして天皇に対する感情などこれっぽっちもなかった。東京と比べるとまず神社が少なく寺の規模も小さい。「北海道に入植した人々は受け継ぐべき畑のなかった次男、三男が多かったことだろうし、土地に対する執着が少なく、地域住民のつながりも弱い」と私は考えてきたのだが浅はかだった。

 砂澤陣はアイヌである。その砂澤が言うには「そもそもアイヌ民族の定義すら定かでない」とのこと。古くは北海道を蝦夷(えぞ/えみし、えびす、とも)と称した。蝦夷=アイヌである。彼らはアイヌ語を母語とする人々であるが、これを人種概念に結びつけると飛躍しすぎる。文化が異なるのは確かだが、縄文人の末裔(まつえい)でバラバラの部族がたまたま北海道に暮らしていたというのが真相に近い。私の幼馴染にもアイヌの兄妹がいたが特に差別意識を抱いたことはなかった。

 中国の経済的侵略と北朝鮮による思想侵略(チュチェ思想)の実態を知れば、もはや左傾化ではなく亡国の道を進む北海道と沖縄の姿が浮かび上がってくる。北海道人は鷹揚(おうよう)で、のんびりまったりしているのが常であるが、直ちに本書を読んで目を覚ませと申し上げたい。


不自然な姿勢が健康を損なう/『サピエンス異変 新たな時代「人新世」の衝撃』ヴァイバー・クリガン=リード


『悲鳴をあげる身体』鷲田清一
『ことばが劈(ひら)かれるとき』竹内敏晴

 ・不自然な姿勢が健康を損なう
 ・サンセベリアの植え替え

『病気の9割は歩くだけで治る! 歩行が人生を変える29の理由 簡単、無料で医者いらず』長尾和宏
『ウォーキングの科学 10歳若返る、本当に効果的な歩き方』能勢博
『本当のナンバ 常歩(なみあし)』木寺英史
『健康で長生きしたけりゃ、膝は伸ばさず歩きなさい。』木寺英史
『常歩(なみあし)式スポーツ上達法』常歩研究会編、小田伸午、木寺英史、小山田良治、河原敏男、森田英二
『トップアスリートに伝授した 勝利を呼び込む身体感覚の磨きかた』小山田良治、小田伸午
『間違いだらけのウォーキング 歩き方を変えれば痛みがとれる』木寺英史
『一流の頭脳』アンダース・ハンセン
『トレイルズ 「道」と歩くことの哲学』ロバート・ムーア
『脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか 生き物の「動き」と「形」の40億年』マット・ウィルキンソン
『クレイジー・ライク・アメリカ 心の病はいかに輸出されたか』イーサン・ウォッターズ
『アルツハイマー病は治る 早期から始める認知症治療』ミヒャエル・ネールス
『あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた』アランナ・コリン
『心を操る寄生生物 感情から文化・社会まで』キャスリン・マコーリフ
『土と内臓 微生物がつくる世界』デイビッド・モントゴメリー、アン・ビクレー
・『ナチュラル・ボーン・ヒーローズ 人類が失った“野生”のスキルをめぐる冒険』クリストファー・マクドゥーガル
『小麦は食べるな!』ウイリアム・デイビス
『シリコンバレー式自分を変える最強の食事』デイヴ・アスプリー
『医者が教える食事術 最強の教科書 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68』牧田善二
『医者が教える食事術2 実践バイブル 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方70』牧田善二

身体革命

 固定された姿勢で座る人は、反復運動過多損傷(RSI)、眼精疲労、座骨神経痛、そのほか座った生活や労働に関連する多数の病気のどれかに苦しむことを避けられない。
 このライフスタイルが私の腰痛の原因である。私の身体が現代生活を送るには軟弱すぎたわけではなく、人体はそもそもこのような生活を送るようにできていないのだ。現在では、どのような姿勢であれそのまま動かないことが腰痛の原因の一つであることが知られている。

【『サピエンス異変 新たな時代「人新世」の衝撃』ヴァイバー・クリガン=リード:水谷淳〈みずたに・じゅん〉、鍛原多惠子〈かじはら・たえこ〉訳(飛鳥新社、2018年)以下同】

 勝間和代が推(お)していた本だ。確かウォーキングについて検索していてヒットしたのだと記憶している。

毎日1万歩を歩くため、とりあえず、スマートウオッチを新しいのにしました。Huaweiの最新のやつ。 - 勝間和代が徹底的にマニアックな話をアップするブログ

 序盤から中盤にかけての構成が悪いのだがそれ以降は一気読みだ。現代病や生活習慣病の原因は椅子に長時間坐っていることに由来する。もちろん椅子が悪いわけではない。「動かない」生活が問題なのだ。元々義務教育は軍隊の前段階として生まれた。学校教育は児童を椅子に坐らせるところから始まる。じっとしていることが規律なのだ。

 文明の発達は身体の自由を奪った。工場労働者、タイピストからプロスポーツ選手に至るまで殆どの人々が同じ動きを繰り返すことで体の調子を狂わせている。

 この本を読んでいる方々の多くは、自然死ではなくミスマッチ病による死を迎えるはずだ。だがそれは、正しい(あるいは誤った)DNAを持って生まれてきたからではない。ミスマッチ病は、身体とその身体が置かれた昨今の環境との緊張関係によって生じると考えられている。
 これらの病気はいずれも私たちにはなじみ深い。たとえば、2型糖尿病は人類の誕生時から存在したものの、旧石器時代のヒト族(ホミニン)の環境と食事ではこの病気の遺伝子が発現することはほとんどなかった。当時、この病気につながるような加工食品も甘い食品も存在しなかった。時を200万年下ると、同じ遺伝子が有害な環境にさらされている。いまや、アボカド1個よりジャム入りドーナツを一袋買うほうが安い。
 初期人類はおそらく1年に大さじ10杯ほどの糖を摂(と)ったと思われるが、現代の欧米諸国ではこれが毎日の糖摂取量だろう。


 2型糖尿病は生活習慣病と言われるが確かな原因は判っていない。ただ、食事+運動不足+マイクロバイオームの変調は確かだろう。個人的には炭水化物に傾いた食事が最要因と考えてきたが、昔の日本人は現代人よりもずっと多くのご飯を食べていた。だとすると飽食、特に砂糖、植物油、食品添加物、防腐剤、抗生物質などが複合した結果なのだろう。

 ヒトの骨格は立つようにできている。人類の特徴として二足歩行が挙げられるが、進化を生き抜いた最大の要素は二足走法にあった。ヒトは動物の中で最も長距離を移動できるのだ。そして走ることと投擲(とうてき)能力が狩猟に生かされた。我々の祖先は肉(タンパク質)を食べることで脳が一段と大きくなった。

 一般的な歩行速度は時速4kmとされる。これが時速8kmを超えるとランニングの方がエネルギー消費量が少なくなる。土踏まずのアーチは地面からの反力を利用するためのショックアブソーバーとして働く。つまり足の構造は走るようにできているのだ。

 私は先月からランニングを開始したが早速効果があった。40歳頃から無呼吸症候群を発症し、更に寝返りを打っていないことに気づいた。朝起きると長時間クルマの運転をした時のようなダルさが腰に溜まっていた。通常は左向きの姿勢で寝るのだが最近はなぜか仰向きになっていた。2~3回走ると自然に寝返りを打つようになっていた。これは驚きだ。寝返りの仕組みがよくわからないのだが、自律神経系にスイッチが入ったのだろうと考えている。少しばかり体が目覚めたと言ってよい。


口と手の形は、その主食の種類によって決められる/『『親指はなぜ太いのか 直立二足歩行の起原に迫る』島泰三
文明の発達が国家というコミュニティを強化する/『文明が不幸をもたらす 病んだ社会の起源』クリストファー・ライアン

2019-12-15

損保ジャパンは最悪の保険会社(直ちに乗り換えを!)











玄米の解毒作用/『がん患者は玄米を食べなさい 科学が証明した「アポトーシス&免疫活性」のすごい力』伊藤悦男


 ・玄米の解毒作用

玄米菜食療法を行ったが癌が悪化
玄米毒
煎り玄米と揚げ玄米

 研究は三十数年にも及びました。
 その結果、私たちが解明したのが、玄米のうちのいわゆる米ぬかの部分に含まれるRBFという物質の作用機序です。このRBFは、がん細胞が生きていくために必要なエネルギーを熱に変えてしまい、無駄に使わせることで、エネルギーを補給できなくする機能を持っています。つまり、がん細胞を“兵糧攻(ひょうろうぜ)め”にするわけです。これによってがん細胞はDNAが断ち切られ、分裂できなくなります。こうしてがん細胞の自己死(アポトーシス)を導くプログラムが働くのです。
 また、玄米にはもうひとつ、RBAという抗がん成分が含まれていることも、私たちが解明しました。このRBAは多糖類(α-グルカン)の一種ですが、免疫系統を活性化してがんを縮小させる作用を持っています。多糖類のうち、キノコ類に多く含まれるβ-グルカンが免疫細胞を刺激し、免疫能(ママ)を向上させることはよく知られていますが、α-グルカンに同じ作用があることを初めて解明したわけです。

【『がん患者は玄米を食べなさい 科学が証明した「アポトーシス&免疫活性」のすごい力』伊藤悦男〈いとう・えつお〉(現代書林、2009年)】

 友人が肺癌になった。腫瘍の大きさは3cmほどだという。50代という年齢も腫瘍の大きさも微妙だ。早速本書を贈った。

 癌が厄介なのは自分で作った細胞のためで免疫が機能しない。健康な人でも日に3000~5000個の癌細胞が作らているという。これが増殖し始めると手をつけられなくなる。恐るべきスピードでコピーされ、やがて死に至る。最も不可解なのは癌が生き延びられないことである。なぜ敢えて生存に不利な増え方をするのかが判明していない。

 著者は琉球大学の名誉教授である。上記テキストを読めば明らかだがとにかく文章が酷くて説明能力が劣っている。特に「免疫系統を活性化してがんを縮小させる作用」というのは滅茶苦茶な話だ。なぜ自分の細胞に免疫が働くのか? 「私たちが解明した」を三度も書くのは浅はかさを通り越して愚かにさえ見える。

 というわけで私はこの著者を全く信用していない。だが玄米の解毒作用が癌に働く可能性は高いと考えている。植物は移動できないため外敵から身を守るために毒物を発する。この毒性が病気や患部に対して薬となる。毒をもって毒を制するわけだ。野菜を煮て食べるのは毒(灰汁〈あく〉)を抜くためだ。毒は味覚を通して苦味と認識される。良薬口に苦しとはよくいったものである。

歯の構造に適した食べ物/『好きなものを食っても呑んでも一生太らず健康でいられる寝かせ玄米生活』荻野芳隆

 上のページでも紹介したが、玄米食と癌については以下のブログが参考になる。

5年以上再発なしのガン患者が明かす!玄米食のデメリットとは?

 健常者が玄米を食べると解毒作用が強すぎて健康被害が出る可能性が高い。

脇役が光る/『許されざる者』レイフ・GW・ペーション


 ・脇役が光る

ミステリ&SF

「いや、平手です」マックスは、ヨハンソンの親友よりもまだ大きい右手を広げてみせた。
「鼻を平手打ちしただけで。だって、やつはその前におれのことを車で轢いたんですよ?」
「鼻だって?」こいつ、前にもやっているな――。平手と拳では処分がちがうのを知っていやがる。
「殺さずに出血させるにはいちばんいい場所ですから」マックスは肩をすくめた。「顎や額を殴ったら、死なせてしまうかもしれない。おれは、血を流さずに頭蓋骨を割ることもできますから」
「それだけか」どうやら優しい心ももちあわせているようだ。
「はい。あとはその場を去っただけです」
「やつが生きているといいが」
「もちろん生きてますよ。ちょっと鼻血を出したくらいで死ぬやつはいないでしょう」
「そうだな。他に方法はなかったんだな?」
「ええ。レストランに入って殴ることもできたけど、そんなことしたらたくさんの人に見られてしまう。長官、おれのこと怒ってますか」
「大丈夫だ。お前の言うとおりだとしたら、怒るに怒れない状況だからな」それに、今この瞬間にお前を養子にしたいと名乗り出るやつらを、少なくとも二人は知っている。
「長官、安心してください。おれは嘘はつきません。嘘をつくのは悪いやつだけだ。おれは今まで嘘をつく必要などなかった」

【『許されざる者』レイフ・GW・ペーション:久山葉子〈くやま・ようこ〉訳(創元推理文庫、2018年)】

 元国家犯罪捜査局長官が脳塞栓(心臓由来の脳梗塞)で倒れた。入院先の病院で女性主治医から25年前の未解決事件を聞かされる。9歳の少女を強姦した犯人は捕まっていなかった。ラーシュ・マッティン・ヨハンソンは車椅子生活を余儀なくされながらも非公式の捜査に取り掛かる。昨今話題の北欧ミステリだがスウェーデンの微妙な地政学が伺えて興味深い。

 ヨハンソンは主役だから人物造形が優れていて当然だが、介護人のマティルダと用心棒役のマックスが秀逸なキャラクターだ。マティルダはピアスまみれだが実は賢い。マックスはロシア生まれ。養護施設で悲惨な目に遭いながら育った。無口だが腕っ節は滅法強い。形を変えた親と子の物語だ。

 ラストの賛否が分かれるところだが作者は読者のカタルシスを優先したのだろう。個人的にはマックスを主役にしたシリーズを待望する。