2020-02-20

国民の血税を中国に貢ぐ沖縄/『いま沖縄で起きている大変なこと 中国による「沖縄のクリミア化」が始まる』惠隆之介


『「悪魔祓い」の戦後史 進歩的文化人の言論と責任』稲垣武
『こんな日本に誰がした 戦後民主主義の代表者・大江健三郎への告発状』谷沢永一
『悪魔の思想 「進歩的文化人」という名の国賊12人』谷沢永一
『誰が国賊か 今、「エリートの罪」を裁くとき』谷沢永一、渡部昇一

 ・中国帰化人の子孫たちが沖縄の親中政策を推進
 ・国民の血税を中国に貢ぐ沖縄

『北海道が危ない!』砂澤陣
・『なぜ彼らは北朝鮮の「チュチェ思想」に従うのか』篠原常一郎、岩田温
『これでも公共放送かNHK! 君たちに受信料徴収の資格などない』小山和伸
『ちょっと待て!!自治基本条例 まだまだ危険、よく考えよう』村田春樹
『実子誘拐ビジネスの闇』池田良子
『自治労の正体』森口朗
『戦後教育で失われたもの』森口朗
『日教組』森口朗
『愛国左派宣言』森口朗
『敵兵を救助せよ! 英国兵422名を救助した駆逐艦「雷」工藤艦長』惠隆之介

必読書リスト その四

 沖縄県と福建省との関係も深化していく。1997年(平成9)9月、沖縄福建友好県省が締結された。
 大田昌秀知事時代の94年(平成6)10月には、沖縄県と福建省政府が福州市内に建設する共同ビル「福建・沖縄友好会館」の起工式が行われた。この計画を推進したのが吉元政矩〈よしもと・まさのり〉副知事(当時)である。吉元氏は日頃、「私のルーツは福建省」と自慢げに語っていた。
 同会館建設計画書の冒頭に、こういう文言がある。
〈福建省と沖縄は過去600年にわたる長い歴史がある。かつて琉球王朝時代、我々は福建省を始め中国から幾多の恩恵を受けてきた。(中略)歴史的に得てきた恩恵、昨今の福建省の沖縄に対する特別な配慮に対する県民の感謝の気持を表す施設として建設する〉

 同会館建設の協定書によれば、「総工費2億円、全額を沖縄が負担する」、地下2階地上12階建てのビルのうち「沖縄県は1階の一部分と、4階から7階までの永久使用権を有する」となっていた。
 吉元副知事は、総工費2億円のうち5000万円は県内企業が完成時に支払い、1億5000万円を県が着工前に支払うと県議会に説明し、94年10月の県議会に突然、補正予算としてこれを計上した。
 予算審議中、野党の自民党議員から追求された県執行部は、「(もし否決されれば)」国際信義上きわめて重大な問題が惹起される」と答え、この資金の監査要求に対しても、「外国には及ばない」と否定している。この問題を追求した議員が、現在の那覇市長・翁長雄志その人である。
 県議会はこうして補正予算をやむなく可決、同会館は着工した。
 ところが福建省側は完成予定直前の96年(平成8)2月頃より、突然、インフレによる建設コストの上昇、付帯設備の増設などを理由に追加出費を迫り、6月には「沖縄が応じなければ工事を中断する」として、一方的に工事中断を宣言してきた。そして97年(平成9)8月には、総工費が当初の2億円から9億円に跳ね上がった。県庁は交渉の末、合計4億円の追加出費を余儀なくされた。
 その間、県内で2紙合計90%のシェアを占める『琉球新報』と『沖縄タイムス』は中国礼賛ムードを醸成するとともに、社説で同会館建設推進を主張した。「福建との友好県に期待」(『沖縄タイムス』97年7月9日付)、「時には理屈抜きの友好」(『琉球新報』同年7月5日付)といった具合である。
 こうして98年(平成10)7月28日、「福建・沖縄友好会館」は完成した。しかし、当初、所有権を折半すると公言していた福建省政府は、完成直後、沖縄県庁にFAXを送り、沖縄側の所有権を全面否定したのだ。この直前、中国側はビルメンテナンス会社共同設立の誘いも行っていたが、沖縄県庁が拒否したことから、両者の関係は急速に冷却化していたのである。
 高率補助に慣れた沖縄県民は、県予算の執行状況をチェックする気概を持っていない。国の沖縄振興予算は97年度から基地対策もあって、右肩上がりで急上昇しており、98年度はピークの4713億円を記録していた(平成26年度は3460億円)。
 結局、沖縄県は国民の血税、5億5000万円を中国に貢いだのだ。

【『いま沖縄で起きている大変なこと 中国による「沖縄のクリミア化」が始まる』惠隆之介〈めぐみ・りゅうのすけ〉(PHP研究所、2014年)】

 洗脳とマインドコントロールの違いは強制性にある。洗脳は閉ざされた環境、体力や睡眠を奪うといった身体操作、何度も繰り返す質問などに特徴がある。朝鮮戦争の際に中国共産党が米兵に対して行ったのが嚆矢(こうし)とされる。洗脳のハードパワーに対してマインドコントロールはソフトパワーである。自主的に従わせるのがマインドコントロールで最新技術を広告業界が積極的に採り入れている。

 中国や韓国で行われている反日教育が洗脳かマインドコントロールかは意外と難しい問題だ。学校を閉ざされた環境と見ることも可能だし、中国の場合は国家ですら閉ざされている。教育現場で嘘を教え込まれた時に児童は反証できる材料を持たない。まして韓国は最高裁が嘘の歴史に基づく判決を下した(徴用工訴訟問題)のだから社会全体が嘘を基底にして成り立っている。そもそも中国と韓国は日本と戦争をしていないのだ。戦争をしたのは中華民国で現在の台湾である(戦時中の台湾は日本領土であった)。

 人間の脳は物語に支配される。人は合理性があるから納得するのではない。納得した論理に対して合理性を感じるのである。それゆえ納得してしまえば心から正しいと信じて魔女狩りを行い、黒人を奴隷にし、インディアンを虐殺するのだ。ま、白人の合理性なんぞその程度の代物だ。

哲学は神学の婢(はしため)」であり、その婢の子がマルクス主義といってよい。もちろんルーツはユダヤ教にあるわけだが一神教由来の絶対性が吹かせた風は知識人をなぎ倒し、今も尚やむことがない。リベラルとは仮面をつけた左翼を表す言葉と心得るのが正しい。

 振り返れば第二次世界大戦でソ連に手を貸し、1970年代に入ると中国に歩み寄ったアメリカの罪は決して軽くない。21世紀前後の世界的混乱はアメリカの脇の甘さが招いたものだ。オバマ政権が一時的にせよG2構想に乗ったとすれば多極化の一翼を担うのは中国と認めたも同然だ。つまり日本は切って捨てられる運命にある。中韓による史実を捻じ曲げた歴史攻勢や、北朝鮮チュチェ思想が沖縄と北海道に浸透している実態がその証拠である。

2020-02-18

「自由・平等・博愛」はフリーメイソンのスローガン/『エンデの遺言 「根源からお金を問うこと」』河邑厚徳、グループ現代


『金持ち父さん 貧乏父さん アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学』ロバート・キヨサキ、シャロン・レクター
『国債は買ってはいけない! 誰でもわかるお金の話』武田邦彦
『平成経済20年史』紺谷典子
『税金を払わない奴ら なぜトヨタは税金を払っていなかったのか?』大村大次郎

 ・貨幣経済が環境を破壊する
 ・紙幣とは何か?
 ・「自由・平等・博愛」はフリーメイソンのスローガン
 ・ミヒャエル・エンデの社会主義的傾向
 ・世界金融システムが貧しい国から富を奪う
 ・利子、配当は富裕層に集中する

・『税金を払う奴はバカ! 搾取され続けている日本人に告ぐ』大村大次郎
・『無税国家のつくり方 税金を払う奴はバカ!2』大村大次郎
『デジタル・ゴールド ビットコイン、その知られざる物語』ナサニエル・ポッパー

必読書リスト その二

 フランス革命のスローガンである『自由・平等・博愛』は革命前からある言葉で、もとはフリーメーソンのスローガンにほかなりません。

【『エンデの遺言 「根源からお金を問うこと」』河邑厚徳〈かわむら・あつのり〉、グループ現代(NHK出版、2000年/講談社+α文庫、2011年)】

 悪夢の民主党政権で鳩山由紀夫首相は「友愛」を掲げた。祖父の鳩山一郎はフリーメイソンのメンバーだった(Wikipedia)。「フリーメイソンは、中世ヨーロッパの石工職人組合を祖にして生まれた秘密結社だが、その後、政財界や知識階級などのエリート達が集う、世界的な巨大組織に発展した」(ユダヤ=フリーメイソン説)。このくらいは大勢の人が知っていることだろう。

 フリーメイソンと陰謀がセットになっているのはその影響力の大きさによる。アメリカ合衆国大統領はジョージ・ワシントンを始めとする14人が会員だった。日本に縁のある人物だと黒船のマシュー・ペリーやダグラス・マッカーサーもフリーメイソンである。音楽界だとモーツァルト、バッハ、ベートーヴェン、ブラームス、メンデルスゾーンなど。ボーイスカウトやロータリークラブ、ライオンズクラブなども派生団体である。

 プロビデンスの目や原型であるホルスの目などを調べてゆくと、キリスト教が古代宗教の寄せ集めであることまで見えてくる。


【ホルスの左目】プロビデンスの目とは?由来と解説、さらに企業ロゴや身の回りに隠されているものをまとめてご紹介【万物を見通す目】 – Gossip Repository

 かつてのフリーメイソンから宗教色を取り除いたのはフランス大東社で、石工(いしく)の職人団体から知識人の友愛団体へと変貌を遂げた。実は歴史の潮流がここから変わるのだ。ピーター・F・ドラッカーが唱えた「知識社会」の源流を見出すこともできよう(ドラッカーの父親はフリーメイソンのグランド・マスターだった:『傍観者の時代』)。

 つまりだ、友愛団体となったフリーメイソンは超国家組織となって潰されたテンプル騎士団の生まれ変わりなのだろう。彼らは科学革命を背景に理神論を唱え、啓蒙思想を牽引し、フランス革命で近代の扉を大きく開いた。ナポレオン・ボナパルトもフリーメイソンの会員だった。

 国民国家となったフランスでユダヤ人は初めて国民として認められた。プロテスタントとは異なる第三の道が示されたわけだ。

フランス市民革命におけるメイソンとユダヤ人解放令

 フランス市民革命は、アメリカ独立革命の影響が旧大陸に波及したものである。ユダヤ人にとっては、アメリカにユダヤ人も自由に活動できる「自由の国」ができた後、フランスで市民革命を通じて、ユダヤ人の解放がされることになった。
 フランスでは、早くからロックの思想が摂取され、急進化していた。また、18世紀後半のフランスでは、フリーメイソンが活動していた。絶対王政やカトリック教会を批判した啓蒙主義者、百科全書の編纂者等には、メイソンがいた。また市民革命の指導者には、多くのメイソンがいた。
 フランス啓蒙思想は、イギリス啓蒙思想を源流として発達した。その発達には、フリーメイソンの組織と活動が関係している。
 フランス啓蒙思想の成果の一つが、『百科全書』である。1751年に第1巻が刊行された『百科全書』は、イギリスのチェインバーズ百科事典のフランス語訳を、ドゥニ・ディドロが行ったことを契機とする。チェインバーズ百科事典は、編纂者も版元もフリーメイソンだった。ディドロは不明だが、盟友のジャン・ル・ロン・ダランベールはメイソンだった。百科全書派は、総じてメイソンの影響を強く受けている。

ユダヤ42~フランス市民革命におけるメイソンとユダヤ人解放令 - ほそかわ・かずひこの BLOG

 ぶったまげた。こんなことは岡崎勝世ですら書いていない。近代の本質は「知識とマネー、そしてネットワーク」にあるのだろう。

「自由・平等・博愛」はフランスからカトリック色を漂白するための仕掛けか。この流れはアメリカに受け継がれ「民主政こそ正義」という概念に飛躍する。その後、フランスではドレフュス事件(1894年)が起こるのだがこれまた再考が必要だ。



フリーメイソンの「友愛」は「同志愛」の意/『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘
私の政治哲学 祖父・一郎に学んだ「友愛」という戦いの旗印:鳩山由紀夫
歴史という名の虚実/『龍馬の黒幕 明治維新と英国諜報部、そしてフリーメーソン』加治将一
ネオコンのルーツはトロツキスト/『「米中激突」の地政学』茂木誠

2020-02-16

結社〜協会・講・組合・サロン・党・サークル・団・アソシエーション・会・ソサエティ/『結社のイギリス史 クラブから帝国まで』綾部恒雄監修、川北稔編


『砂糖の世界史』川北稔

 ・結社〜協会・講・組合・サロン・党・サークル・団・アソシエーション・会・ソサエティ
 ・人間のもっとも原初的な社会は母子社会

『世界システム論講義 ヨーロッパと近代世界』川北稔

 血縁や地縁集団から離れ、都市社会をかたちづくる「個」となった人間は、自己実現のためにいくつもの組織体への帰属をよぎなくされる。クラブ・協会・講・組合・サロン・党・サークル・団・アソシエーション・会・ソサエティなどとさまざまに表現される結社は、そのなかで、自己と関心や利害を同じくした同志とともに、自己の目的を実現しようとする集団であり、個人が生きていくうえでもっとも重要なアイデンティティの拠点となっていった。(「刊行にあたって」綾部恒雄)

【『結社のイギリス史 クラブから帝国まで』綾部恒雄〈あやべ・つねお〉監修、川北稔〈かわきた・みのる〉編(山川出版社、2005年)】

 はてなダイアリーが消滅し、はてなブログとなってしまったため自分が書いた記事を探すのも一苦労である。やはり無料サービスは結果的に高くつく。

 individual(個人)の思想的背景については柳父章〈やなぶ・あきら〉の指摘が参考になる(『翻訳語成立事情』)。近代とは「神と向き合う個人」から「国家を構成する国民」への変貌と見ることができよう。

 イギリスはヘンリー8世の離婚問題に絡んでカトリック教会と縁を切った。その後イングランド国教会を立ち上げる(1534年)。イギリスは非嫡出子を王位継承者として認めなかった。この一点をとってみても日本の先進性が窺える(※側室が産む子供は非嫡出子である)。ま、大雑把な理解でプロテスタントと考えていいだろう。

 プロテスタントはローマ教皇に挑み、教会の権威と闘った。その志向性は自ずから国家~政治へと向かう。アメリカのリベラル派が宣揚するポリティカル・コレクトネスもプロテスタントの土壌から生まれたものだ(『アメリカはなぜ日本を見下すのか? 間違いだらけの「対日歴史観」を正す』ジェイソン・モーガン)。

 秘密結社についてはG・K・チェスタトン著『木曜の男』を参照せよ。私の世代だと秘密結社と聞けばショッカー死ね死ね団をイメージするが、これは騎士修道会(騎士団)の影響もあるのだろう。

 日本人だと「結社の自由」と言われてもピンと来ないが、柔らかな身分制度だけで、ヨーロッパのような大虐殺を伴う弾圧がほぼなかったためと思われる。尖鋭的な政治結社以外だと会社や宗教団体しか見当たらない。

 民主政成熟のためには祭りに代わる小規模なイベントが必要だ。



戦争が向社会的行動を促す/『文化がヒトを進化させた 人類の繁栄と〈文化-遺伝子革命〉』ジョセフ・ヘンリック

いい急須とは/『日本茶の基本』


高血圧にプーアル茶

 ・いい急須とは

「いい急須とは、柄や注ぎ口が短くて軽いこと。形は平丸型が理想的です。茶葉が急須の中でよく動き、香りも味もやわらかいお茶になるんです」(岡本直也)

【『日本茶の基本』(エイ出版社、2011年)以下同】

 インスタントコーヒーを飲み過ぎて胸がむかついた。喫煙者はコーヒーを愛用するが如何せん体を冷ます作用がある。煎茶も体を冷ますようだがコーヒーよりは体に優しい。何と言っても口中がすっきりする。

 ルイボスティーと紅茶を飲んでみた。ま、決して悪くはない。安物なので香りは乏しいが温度が下がると食事にも合う。「世界!ニッポン行きたい人応援団」で日本茶を愛好する若者が登場した。彼は鉄瓶の効果まで知っていた。ふと、大東亜戦争末期に倒れつつあった兵士たちが日本茶を懐かしむエピソードが思い出された。早速、パック入りの緑茶を買ってきた。

 横手型急須は、世界で日本と韓国だけにしかない。中国から伝わった急須が、畳文化の生活様式に合わせて発展。現在は左利き用も。

 やはり餅は餅屋である。たった今気づいたのだが横手形急須でお茶を注ぐのが回内運動だ(『基礎からのバドミントン』中田稔監修)。

 前半はいいのだが後半との構成がちぐはぐで編集がまずい。興味のある人は図書館で借りればいいだろう。

踵着地が膝を壊す/『最速で身につく 最新ミッドフットランメソッド』高岡尚司、金城みどり


『56歳でフルマラソン、62歳で100キロマラソン』江上剛
『ランニングする前に読む本 最短で結果を出す科学的トレーニング』田中宏暁

 ・踵着地が膝を壊す

『ランニング・サイエンス』ジョン・ブルーワー
『ランニング王国を生きる 文化人類学者がエチオピアで走りながら考えたこと』マイケル・クローリー

 走り方の種類といえば、一般的に前足部を接地させる「フォアフット走法」、中足部を接地させる「ミッドフット走法」、踵(かかと)部分を接地させる「ヒールストライク走法」の3つに分けられます。
 今、注目されているのが、TVドラマでも話題となったミッドフット走法です。【ミッドフット走法は、中足部から足裏全体で地面をとらえて走るため、体への負担が軽くエネルギーロスの少ない走りが可能になるといわれています】。ところが、間違ったミッドフット走法で、ケガをしてしまう人が多いのも事実です。
 その原因は、【接地だけにフォーカスしすぎるあまり、足首に力が入り胴体の使い方が伴わず、重心移動がスムーズにできていないこと】にあります。
 とくに足の外側で接地後、拇指球(ぼしきゅう)に乗るタイミングが早すぎるため、姿勢がブレて筋肉を無駄使いする走り方になっているのです。
【正しいミッドフット走法は、中足部全体で接地した後、重心を踵から拇指球へと移動させていきます。】

【『最速で身につく 最新ミッドフットランメソッド』高岡尚司〈たかおか・しょうじ〉、金城みどり〈かねしろ・みどり〉(主婦の友社、2018年)】


 私は走る以前にウォーキングからしてミッドフットであったので、よもやランニングで踵着地をするつもりはなかった。アスリートの故障で一番多いのは腰痛と膝痛だろう。その原因は踵着地にある。

 室内で歩く時に踵を着けることはない。フォアフットが普通だ。踵が着く人は運動神経に問題がある。元々人類は裸足だったわけだから、踵着地をするようになったのは靴を履くようになってからのことだろう。ソール(靴底)の薄い地下足袋などであればやはり踵は着かない。

 少し前に足の不自由なお年寄りと立ち話をしたことがあった。聞けば学生時代は駅伝選手だったという。1年生からレギューラーを務めたとのこと。「駅伝なんか、やらなきゃよかった」と吐き捨てるように語った。「若い頃に走っていたから、この程度で済んでるじゃないんですか」と言ったが、私の励ましは宙に漂い風に飛ばされてしまった。

 もっとわかりやすく説明しよう。縄跳びをする時に踵から着地することはない。断じてない。ランニングの着地時には体重の3~4倍もの力が掛かる(宮地力)。それを10km、20kmと続けていけば膝がダメージを受けるのは当然だろう。

 クリストファー・マクドゥーガル著『BORN TO RUN 走るために生まれた ウルトラランナーVS人類最強の“走る民族”』がベストセラーとなりベアフット(裸足)ランニングが注目された。ララムリことタラフマラ族は走るために生まれてきたような人々だ。老若男女がワラーチという手作りのサンダルで山野を駆け巡る。

 我が家の周りも坂道が多いのだが坂道を走っていると自然にミッドフットとなる。ちょっと考えればわかることだが階段を降りる時に踵から着くことはない。衝撃を吸収するべくフォアフット(前方着地)になる。

 脳は妄想(概念)にまみれているが体は自然である。自然であるがゆえに思い通りにならないのだ。だからこそ、せめて賢い使い方を身に着けたい。