2021-09-14

創造モードとサバイバルモード/『あなたという習慣を断つ 脳科学が教える新しい自分になる方法』ジョー・ディスペンザ


『「言葉」があなたの人生を決める』苫米地英人
『アファメーション』ルー・タイス
『「原因」と「結果」の法則』ジェームズ・アレン
『「原因」と「結果」の法則2 幸福への道』ジェームズ・アレン
『新板 マーフィー世界一かんたんな自己実現法』ジョセフ・マーフィー
『未来は、えらべる!』バシャール、本田健
『潜在意識をとことん使いこなす』C・ジェームス・ジェンセン
『こうして、思考は現実になる』パム・グラウト
『こうして、思考は現実になる 2』パム・グラウト
『自動的に夢がかなっていく ブレイン・プログラミング』アラン・ピーズ、バーバラ・ピーズ

 ・創造モードとサバイバルモード

『無(最高の状態)』鈴木祐
『ゆだねるということ あなたの人生に奇跡を起こす法』ディーパック・チョプラ
『ソース あなたの人生の源はワクワクすることにある。』マイク・マクナマス
『未処理の感情に気付けば、問題の8割は解決する』城ノ石ゆかり
『ザ・メンタルモデル 痛みの分離から統合へ向かう人の進化のテクノロジー』由佐美加子、天外伺朗
『無意識がわかれば人生が変わる 「現実」は4つのメンタルモデルからつくり出される』前野隆司、由佐美加子
『ザ・メンタルモデル ワークブック 自分を「観る」から始まる生きやすさへのパラダイムシフト』由佐美加子、中村伸也
『あなたはプラシーボ 思考を物質に変える』ジョー・ディスペンザ
『宇宙一美しい奇跡の数式 0=∞=1』ノ・ジェス

必読書リスト その五

 創造モードにあるとき、私たちは完全に創作に没頭し、大いなる宇宙の流れに沿っているため、環境、身体、時間の存在がなくなり、意識に入らなくなる。
 創造モードで生きることとは、誰でもない人として生きることである。何かを夢中で創っているとき、我を忘れていることに気づいたことがあるだろうか? そのときあなたは自分の知っている世界から逸脱している。そのときあなたは、自分の所有物、帰属する人々や集団、職業、住所によって自らを定義する「客観的人物」ではない。創造モードにあるときのあなたは、あなたという習慣を忘れていると言ってもいいだろう。そのときあなたは自己中心的な自分を横に置いて、無我の境地に入る。

【『あなたという習慣を断つ 脳科学が教える新しい自分になる方法』ジョー・ディスペンザ:東川恭子〈ひがしかわ・きょうこ〉訳(ナチュラルスピリット、2015年)】

 創造モードの反対がサバイバルモードである。動物的・本能的な状態といってよい。バブル景気が崩壊した後、「サバイバル」という言葉がよく使われた。多くの企業が倒産し、社員はリストラされ、就職は氷河期を迎えた。他人を蹴落としてでも生き延びる。受験戦争はそんな生き方を密かに奨励してきたのだろう。

 私は長らくテレビを持たない生活をしているのだが、出掛けた先で東京オリンピック・パラリンピックの模様を何度か見た。強靭な身体(しんたい)が躍動する様は美しくもあり、畏敬の念に打たれる。ただし、勝者のガッツポーズが見苦しい。みっともない。相手がいるからこそゲームが成り立つわけだから、勝ったことよりもプレイできたことを喜ぶべきだろう。これがサバイバルモードと創造モードのわかりやすい違いである。

「これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず」(『論語』)。俗に好きこそものの上手なれと言うが、楽しむ者には及ばない。「知る」はサバイバルモードで、「楽しむ」が創造モードだ。「努める」(あるいは務める、勤める、勉める)姿勢と無縁なところに創造の輝きがある。

 無我夢中は三昧(サマディ)に通じる。たぶん大脳新皮質(理性)と大脳辺縁系(感情)が調和しているのだろう。脳におけるノンデュアリティ(非二元)である。

 人々が音楽や芸術を愛するのも日常からの「逸脱」を心地よく感じるためか。なぜ逸脱が心地よいのか? それはサバイバルモードが理性と感情の分裂を促進し、ストレスが蓄積されるためだ。特に産業革命以降、資本主義経済は労働=賃金に換算してしまった。多くの人々は「食うために働く」。「働かざる者食うべからず」は新約聖書の言葉だが、キリスト教において労働は神が人間に与えた罰であった。日本では元々「働く=傍(はた)にいる人を楽にする」という価値観であったが、高度経済成長で職人仕事が激減すると、やはり西洋と同じ道を辿った。ヒトの特長が手で道具を作ることにあるとすれば手仕事の復権が望まれる。

「あなたという習慣を断つ」とは絶妙なタイトルである。自我は記憶と習慣から成る。繰り返しに自我の本質があり、それこそが業(ごう)の正体なのだろう。

自動化(オートマチック)、手順自動化(オートメーション)、自律(オートノミー)


 ・自動化(オートマチック)、手順自動化(オートメーション)、自律(オートノミー)
 ・自律型兵器の特徴は知能ではなく自由であること

 機械の知能の変動範囲(スペクトル)をいい表すのに、“自動化”(オートマチック)、“手順自動化”(オートメーション)、“自律”(オートノミー)という言葉がよく使われる。
 自動システムは、“意思決定”の面ではあまり能力を示さない単純な機械だ。環境を感知し、行動するだけだ。感知と行動が、直線的にじかに結び付いている。人間ユーザーにとっては、予想しやすい。古い機械式サーモスタットは、自動システムの典型だ。ユーザーが望む温度に設定すると、温度がそれよりも高くなるか低くなったときに、サーモスタットは暖房やエアコンを作動させる。
 オートメーション・システムはもっと複雑で、行動を起こす前に複数の入力情報を検討し、実行可能な選択肢を比較考量する。それにもかかわらず、基本的には、機械内部の認識プロセスを人間ユーザーが追跡しやすい。現在のデジタル・プログラミングが可能なサーモスタットは、オートメーション・システムの典型だ。暖房やエアコンを、屋内の気温だけではなく日にちや時間に応じて作動させることができる。システムに入力された情報やプログラミングされたデータがわかっていれば、練度の高いユーザーはシステムの挙動(ビヘイヴィア)を予測できるはずだ。
“自律”はしばしば、システムが精巧で、内部の認識プロセスがユーザーに理解できないシステムに言及するときに使われる。システムがやることになっているタスクについては理解していても、そのタスクをシステムがどう行なうかを理解しているとは限らない。研究者はしばしば自律システムは“目標重視”であるという。つまり、人間ユーザーは目標を指定するが、自律システムは目標を達成するやり方については柔軟なのだ。
 その一例が自動運転車だ。ユーザーは目的地や、事故を避けるといったその他の目標を具体的に示すが、自動運転車がやらなければならない行動をすべて示すことは不可能だ。道路状況や障害物があるかどうかを、ユーザーは知らない。信号がいつ変わるか、他の車や歩行者がなにをするかということは、予測できない。したがって、目標を達成するために、いつ停止し、発信し、車線を変えるかを決める柔軟性を備えるように、プログラミングされている。
 現実には、自動、オートメーション、自律の境界線は、いまなおはっきりしない。“自律”はまだ創られていない未来のシステムを指すことも多いが、実現したらそれも“オートメーション”システムと呼ばれるかもしれない。これはAIを取り巻く流れとよく似ている。いまの機械にはできないようなタスクをひっくるめて、AIと見なされることが多い。機械がタスクを克服すると、それは単なる“ソフトウェア”になる。
 自律は、システムが自由意志を発揮したり、プログラミングに従わなかったりすることではない。自律は、オートマチック・システムが感知から行動へと単純に直線的に結び付いているのとはことなり、いかなる状況でも最善の行動を編み出せるように、幅広い変化を考慮する。制御できない環境に置かれた自律システムには、目標重視の姿勢が不可欠なのだ。

【『無人の兵団 AI、ロボット、自律型兵器と未来の戦争』ポール・シャーレ:伏見威蕃〈ふしみ・いわん〉訳(早川書房、2019年)】

新彊とは


 ここは戦略上の要衝の地で、非公式ではあるが中国は“西洋への出口”と見なしてきた。毛沢東はここを新疆ウイグル自治区(「新彊」とは「新たに加わった領域」の意)と名づけたが、私たちにとってこの土地はいまだに東トルキスタンであり、先祖からの故郷の地である。

【『重要証人 ウイグルの強制収容所を逃れて』サイラグル・サウトバイ、アレクサンドラ・カヴェーリウス:秋山勝〈あきやま・まさる〉訳(草思社、2021年)】

2021-09-13

サインペン、ボールPentel vs. Vコーン、エナージェル、トラディオ・プラマン


『あなたを天才にするスマートノート』岡田斗司夫

 ・サインペン、ボールPentel vs. Vコーン、エナージェル、トラディオ・プラマン

 仕事ではジェットストリーム0.7mm(三菱鉛筆)を使うことが多いのだが、如何せんインクがあっという間になくなる。かなりコストパフォーマンスが悪い。自宅ではコクヨの0.9mmシャープを使ってきたが、どうも書き味がしっくり来ない。

 私はメモ魔であるが、最終的にタイトルの5種が残り、右3種を愛用するに至った。

 まずはサインペンとボールPentelだが誰もが一度は使ったことがあるだろう。何を隠そう私が最も多用しているのはサインペンで、あと10年分くらいの在庫が自宅にある。黒・赤・青の3色。風呂やトイレで思索に耽る時は必携である。でね、最近ようやくわかったのだが、サインペンとボールPentelはペンを立てて使うものなのだ。私はやや寝かせる癖があるのでどうしても筆触がよくない。ただし、ボールPentelの青色には捨て難い味わいがある。

 

 で、私のようにペンを寝かせ気味にする人にはVコーン、エナージェル、トラディオ・プラマンをお奨めする。Vコーンの軽い書き味、エナージェル0.7mmのヌルっとした筆触、トラディオ・プラマンのカチッとした硬質さが、寝かせ具合とマッチする。画像は飽くまでも参考情報で、1本だとヨドバシ・ドット・コムの方が安いのでよく吟味されたし。エナージェルには替え芯が、トラディオ・プラマンにはカートリッジがある。

  

 こうして見ると、私は明らかにぺんてるファンのようだ。検索していたところ、「筆タッチサインペン」なるものを発見した。フーム、これは食指が動く。更に検索したところ「バレットジャーナル」というノート術に行き合った。簡単に紹介しておく。

 






【追記】甘薯丸氏が奨めてくれたサラサ1.0と、エナージェル1.0は必ず試してみたい。

新しい信念と古い信念が拮抗する/『ゾーン 最終章 トレーダーで成功するためのマーク・ダグラスからの最後のアドバイス』マーク・ダグラス、ポーラ・T・ウエッブ


『マーケットの魔術師 米トップトレーダーが語る成功の秘訣』ジャック・D・シュワッガー
『実践 生き残りのディーリング 変わりゆく市場に適応するための100のアプローチ』矢口新
『先物市場のテクニカル分析』ジョン・J・マーフィー
『一目均衡表の研究』佐々木英信
『デイトレード マーケットで勝ち続けるための発想術』オリバー・ベレス、グレッグ・カプラ

 ・「正しい分析」が身を滅ぼす
 ・スロットマシンプレーヤーの視点
 ・新しい信念と古い信念が拮抗する

『規律とトレーダー 相場心理分析入門』マーク・ダグラス
『ゾーン 「勝つ」相場心理学入門』マーク・ダグラス
『伝説のトレーダー集団 タートル流投資の魔術』カーティス・フェイス
『ワイルダーのアダムセオリー 未来の値動きがわかる究極の再帰理論』J・ウエルズ・ワイルダー・ジュニア
『フルタイムトレーダー完全マニュアル』ジョン・F・カーター
『タープ博士のトレード学校 ポジションサイジング入門 スーパートレーダーになるための自己改造計画』バン・K・タープ
『週末投資家のためのカバード・コール』KAPPA
『なぜ専門家の為替予想は外れるのか プロが教える外国為替市場の不都合な真実』富田公彦
『なぜ投資のプロはサルに負けるのか? あるいは、お金持ちになれるたったひとつのクールなやり方』藤沢数希

【私たちが信念として採り入れる新しい考えや概念は、それまで本当だと思っていた考えや概念のうちで、新しいものと対立や矛盾をするもののエネルギーが減った程度に応じてしか、機能しない。】(中略)
 採り入れようとしている新しい信念が十分に機能するためには、それと対立している信念が完全に働かなくなる必要がある。それがまったく機能しないと確信するためには、エネルギーがすべて放出されて、その信念が崩れる必要がある。私が話していることを分かりやすく説明するために、薪で考えよう。薪は木という物質を構成する原子や分子から成り立っている。これを原子以下のレベルで見ると、木はエネルギーとして存在する。薪に火をつけたら、木のエネルギーは放出されて、薪は灰と化す。木は灰になったが、いまだに存在する。しかし、灰となってしまっては、薪のようなエネルギーはもはやない。
 私たちはもう自分の目的には役立たないと考えた信念を打ち壊す場合も、まったく同じことが当てはまる。

【『ゾーン 最終章 トレーダーで成功するためのマーク・ダグラスからの最後のアドバイス』マーク・ダグラス、ポーラ・T・ウエッブ:長尾慎太郎〈ながお・しんたろう〉監修、山口雅裕〈やまぐち・まさひろ〉訳(パンローリング、2017年)以下同】

 思考には人を動かし人を縛るほどのエネルギーがある。ソ連を支配してきた共産主義の呪縛を解いたのもミハイル・ゴルバチョフ大統領が掲げた新思考外交ペレストロイカグラスノスチであった。

 大衆は潮位のような変化しか感じないが、最初の一波はドラスティックな飛沫を散らす。人々の抑圧された精神に亀裂を入れるのは一人の人間に他ならない。常識は少しずつ変わりゆくが、古い思考の鎖を断ち切るのはたった一つのユニークなアイディアだ。

 それにしても冒頭の一節が凄い。ビジネスマンでこれほどの哲学性を有する人物が果たして何人いるか。ゾーン三部作は明らかに唯識を志向している。

合理性を阻む宗教的信念/『思想の自由の歴史』J・B・ビュァリ:森島恒雄訳

【私たちは信念を初めから存在しなかったかのように消し去ることはできない。だが、情報の受け止め方や行動の仕方に何の影響も及ぼさないように、信念から十分なエネルギーを奪い取ることはできる。つまり、信念のエネルギーが非常に小さくなれば、事実上、存在しないのとおなじになる。】

 新しい信念と古い信念が拮抗(きっこう)する。例えばこうだ。投資で利益を出し続ける人は数%に過ぎない。なぜか? 多くの人々は「容易に金儲けができることをよしとしない」からだ。それは幼い頃から労働と対価について刷り込まれているためだ。あるいは「カネは汚いもの」という日本特有の文化もあろう。更には意図的に「自分を罰する」場合すらある。無意識や深層心理がトレードを支配するのだ。

 ここまでくると業(ごう)の概念そのものである。つまり業もまたエネルギーなのだ。新しい信念は過去の否定から生まれる。歴史は学ぶべき対象であって信じるものではない。思い込みを一掃すれば、心の中に新しい風が吹き流れる。その空隙(スペース)を確保できるかどうかが問われる。