2013-12-30
小室直樹、米原万里、稲瀬吉雄、J・H・ブルック、磯前順一、他
10冊挫折、1冊読了。
『首切り』ミシェル・クレスピ:山中芳美訳(ハヤカワ文庫、2002年)/スピード感に欠ける。
『チャップ・ブックの世界 近代イギリス庶民と廉価本』小林章夫(講談社学術文庫、2007年)/サブカルっぽいノリで書くべきではなかったか。硬すぎる。
『千の輝く太陽』カーレド・ホッセイニ:土屋政雄訳(ハヤカワepiブック・プラネット、2008年)/出だしが弱い。あるいは私が酒を呑み過ぎていた可能性も。
『あらためて教養とは』村上陽一郎(新潮文庫、2009年)/雑誌への寄稿を「戯(ざ)れ文」と表現する気取りにうんざり。ま、文系なんてえのあこんなものか。直ぐ本を閉じた。
『科学と宗教』Thomas Dixon:中村圭志訳(サイエンス・パレット、2013年)/鋭さを欠く。丸善のサイエンス・パレットというシリーズはなぜこんな不親切な表紙にしたのか?
『科学と宗教 合理的自然観のパラドクス』J・H・ブルック:田中靖夫訳(工作舎、2005年)/前掲書でも紹介されている一冊。宗教と科学の互恵的関係を証明しようという試み。その意図に私は賛同できない。都合のよい事実を集めればどんな物語も可能だろうよ。
『宗教概念あるいは宗教学の死』磯前順一(東京大学出版会、2012年)/哲学用語が多すぎて読む気がしない。
『鳥が教えてくれた空』三宮麻由子〈さんのみや・まゆこ〉(NHK出版、1998年/集英社文庫、2004年)/4歳で失明した著者が鳥の鳴き声によって世界を広げるエッセイ。飛ばし読み。少女趣味の精神世界が肌に合わず。
『クリシュナムルティ その対話的精神のダイナミズム』稲瀬吉雄(コスモス・ライブラリー、2013年)/考えることに酔っているような節が窺える。開いた直後に閉じた。それくらい文体が肌に合わない。
『打ちのめされるようなすごい本』米原万里〈よねはら・まり〉(文藝春秋、2006年/文春文庫、2009年)/最初は読んだことを後悔した。読みたい本が陸続と増えてしまったためだ。150ページほど読んで宗教関連が少ないことに気づいた。巻末の書名索引を辿って『お笑い創価学会 信じる者は救われない 池田大作って、そんなにエライ?』( 佐高信〈さたか・まこと〉、テリー伊藤:光文社、2000年/知恵の森文庫、2002年)の書評を発見。何と「意外に真面目な本だ」と評価していた。共産党代議士の娘はやはり左翼だったのね。瑕疵(かし)では済まされない致命傷となっている。
65冊目『危機の構造 日本社会崩壊のモデル』小室直樹(ダイヤモンド現代選書、1976年/中公文庫、1991年)/学問の王道を往く傑作。小室直樹の処女作。社会学ではなくして社会科学。経済学と心理学をも駆使して戦前戦後の日本が同じ行動様式に貫かれている事実を暴く。学生運動の件(くだり)はオウム真理教にもそのまま当てはまる。科学とは原理を示すものだ。この泰斗(たいと)を日本は厚遇しただろうか? 否である。しかし彼の数多い弟子たちが学問の花を開かせている。日本型組織の思考モデルを見事に抽出しており、今読んでも古さをまったく感じさせない。
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