2015-05-23
FRB利上げの行方
6月利上げの観測は後退した。影響が大きいだけに日本の官僚みたいな言葉づかいが目につく。今のところ「口先だけ」のレベルで上げるとも上げないとも言っていない情況が続く。
各所のニュースもデタラメ振りが目立つ。
ロイターは見出しで「米FRB議長、年内利上げ強く示唆 景気先行きに自信」(5月23日)と謳っているが、イエレン議長の発言は「景気回復が想定通り継続すれば、年内のいずれかの時点でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標の引き上げを開始することが適切になると予想している」というもの。
「当局者は先月、労働市場のさらなる改善が確認され、インフレ率が中期的に2%の目標に戻っていくとの『合理的な確信』を持てれば、利上げに踏み切る意向であることを重ねて表明した」とブルームバーグの記事(5月21日)は「条件付き」。3月の「年内にフェデラルファンド(FF)金利誘導目標の引き上げが正当化されるような状況になると私はみている」というイエレン発言からはかなり後退している。
「年初来のドル円相場のレンジは115.85円から122.04の5%強の間に収まっている」(佐々木融)。過去25年間で最小レンジは2006年の10%というのだから極小レンジといってよい。
「米金融政策の行方について不透明感が高まっている。政策の正常化、利上げ開始の看板は掲げ続けるが、実際の行動に移れるかが定かではなくなっている」(鈴木敏之)との指摘が一番ピンと来る。
通常、利上げを行うとその国の通貨は買われる傾向が強い。つまり9月にFRBが利上げをすれば更なるドル高に向かうと考えられる。しかも日本がゼロ金利を続けるとなれば長期的なドル高円安を目指す。
現在のドル高をアメリカが容認しているのは原油安でカバーできているためだ。クルマ社会のアメリカでは原油価格が経済に直結する。
米国債2年ものの金利に目立った上昇はない。
これから中国の元が強くなる(ソロス氏:中国経済の衰退が悲劇を招く)ことを想定すれば、ドルが強くなるとは思えない。むしろ紙くず同然になると予想すべきだろう。
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