2016-05-01
高野和明、福岡伸一、他
4冊挫折、3冊読了。
『わたし8歳、カカオ畑で働きつづけて。 児童労働者とよばれる2億1800万人の子どもたち』児童労働を考えるNGO=ACE、岩附由香、白木朋子、水寄僚子(合同出版、2007年)/素人の書いた文章。読むに堪えず。
『「塩」をしっかり摂れば、病気は治る 病気の因を断つクスリ不要の治療法』石原結實〈いしはら・ゆうみ〉(経済界、2004年)/相変わらず支離滅裂な文章で一片の合理性もない。
『死の家の記録』ドストエフスキー:望月哲男訳(光文社古典新訳文庫、2013年)/体力のある時に再チャレンジ。
『まんが新ランチェスター戦略 1 新ランチェスター戦略とは』矢野新一、まんが:佐藤けんいち(ワコー、1995年)/漫画だと侮ることなかれ。オペレーションズ・リサーチを学ぼうと思ったのだが数式で挫ける。飛ばし読み。
51冊目『動的平衡2 生命は自由になれるのか』福岡伸一(木楽舎、2011年)/相変わらず文章に綾(あや)がある。好みの分かれるところでもある。私は嫌いじゃない。ドーキンス批判が鋭い。福岡の科学エッセイにはまず外れがないと考えてよい。
52、53冊目『ジェノサイド(上)』『ジェノサイド(下)』高野和明(角川書店、2011年/角川文庫、2013年)/一気読み。2日間で読了した。玉に瑕のある傑作。反日傾向が顕著で東京裁判史観に基づく歴史観の持ち主である。プロットが秀逸なだけに惜しまれる。翻訳しても十分に世界で通用するレベルの作品だ。映画化・アニメ化を待望する人々も多いことだろう。私と同じ所感を抱いた人はやはり多いようだ。取り敢えずは一切の情報を遮断して本書を開くことをお勧めしよう。ロバート・ラドラムやデイヴィッド・マレルに連なる系譜でありながらもそこにとどまっていない。途中から近未来SFに色彩を変える。本書は反日リトマス試験紙として有用である。これほどの知識がありながら、これほどの物語巧者でありながら、これほどの筆力を持ちながら、歴史認識を誤る――留保すべき点を留保せずに決めつけている――ことがあるのだから人間というものはわからない。小説にイデオロギーを持ち込むのは危険だ。
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