古本屋の殴り書き(旧)
「ただ独り、不確かな道を歩め」エリアス・カネッティ
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2020-05-08
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目が醒めると喉が痛んだ。まずい。無呼吸症候群があるため仰向けで寝ていると口が開いてしまう。で、慢性化した扁桃腺炎がぶり返す。痛みが酷くなると喉にカミソリが入っているような症状に至る。取り敢えず薬が欲しかったので咽喉科を探した。どこもかしこも休みだ。近所の総合病院はやっていたが...
2019-07-01
目撃された人々 73
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失敗した過去、行き詰まる現在を赤裸々に語ることができるのは心が開かれている人に限られる。四十、五十と年を重ねるごとにこれができる人は少なくなる。資本主義の哲学は成功だ。大人はあたかも自分が成功したように見せ掛ける技能を磨く。 「あたしさ……」と彼女が言った。「そうか」と私...
2018-07-18
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午前9時、気温は33℃を超えていた。 駐車場に停めたバイクにまたがろうとすると、フェンスの向こうに植木屋がいた。「おはようございます」と私が声を掛けると、「おはようございます。今日は暖かいですね」と返してきた。「暖かいとは普通言わねーわな」と言って二人で大笑いした。颯と風...
2016-12-03
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1938年(昭和13年)、場所は浅草。日陰で一休みしている子供たちです。姉弟でしょうか。 pic.twitter.com/fGA1dSB1sT — 戦前~戦後のレトロ写真 (@oldpicture1900) 2016年12月3日 弟妹の世話をする中で学ぶことは多い。私には弟...
2016-11-25
目撃された人々 70
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夏の出来事である。集合住宅の玄関に七夕の笹竹が飾られていた。何気なく短冊に目をやると、金釘流の文字で「なるべくおかいものにいきます。たまにはおちゃとかもしたいです」と書いてあった。胸に痛みが走った。リハビリ中のお年寄りなのだろう。やっとの思いで綴った筆跡に違いない。 — 小野不一...
2016-06-29
目撃された人々 69
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年老いた男が打ちひしがれた姿で歩いていた。猫背が背負っていたリュックには大小様々な罪が入っていたのかもしれない。とぼとぼと歩く足が止まった。男は鉢植えの桔梗に目を留め、じっと見入った。 pic.twitter.com/5rSU6aBVrH — 小野不一 (@fuitsuono) ...
2016-05-31
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濡れ縁に二人の老婆が腰掛けていた。話すこともなく身動(じろ)ぎもせず。二人は物凄い速度で流れ去る時間をじっと見つめていた。 — 小野不一 (@fuitsuono) 2016年5月31日
2016-04-16
目撃された人々 67
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太り肉(じし)の中年女性が右に左に体を揺さぶりながら歩いていた。全身から怠惰のオーラ。首をぐるりと回して立ち止まった。方向を鋭角に転じると、そこには自動販売機があった。飲み物が落ちてくるまでに30秒ほど要した。その後ろを8歳くらいの少女が縛った長い髪を宙に舞わせながら駆け抜けた。...
2016-03-06
目撃された人々 66
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ショッピングカートを引きながらゆっくりと歩く白髪の老婆と、猛然と大きなストライドで走る若い男性が路上で擦れ違う。生と死が一瞬の内に交錯する。私が見たものは時間と速度の相対性だ。 — 小野不一 (@fuitsuono) 2016年3月6日
2015-07-22
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昨日からセミが鳴き出した。関東ではアジサイが梅雨入りを知らせ、サルスベリが梅雨明けを伝え、ムクゲが夏の到来を告げ、セミが夏の盛りへといざなう。もう52回も経験しているのだが、やはり夏はいい。 — 小野不一 (@fuitsuono) 2015, 7月 22
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ベランダから見下ろすと中学生の女の子が空に向かってスマートフォンをかざしていた。空には大きな虹がかかっていた。少女はアングルを思案しているようで前後に移動した。数枚の写真を撮ると早速メールを送っていたようだった。それから彼女は二度と虹を見つめることがなかった。 — 小野不一 (@...
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小学2年生くらいの男児が自転車に乗りながら「良い子は真似しないでね」と後ろの仲間に向かって叫んでいた。悪い子確定。 — 小野不一 (@fuitsuono) 2015, 7月 19
2015-03-13
目撃された人々 62
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少し前のことだが、時々見かける学校帰りの少女(たぶん小2)に「お帰り!」と声をかけると、消え入りそうな声で「あ、ただいま」と言った。次に会った時は、手を胸のあたりまで持ち上げたが振らなかった(笑)。それが今じゃどうだ。両手を振って「じゃあねー、バイバーイ」とか言ってやがるよ。 —...
2015-02-04
目撃された人々 61
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何ということか。そこにいる人々は全員が病人であった――病院のロビー。 — 小野不一 (@fuitsuono) 2015, 2月 3
2015-01-15
目撃された人々 60
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老夫婦と幼子が線路沿いの道を歩いていた。祖父が女児の手を、祖母が男児の手を引いていた。「あ!」と思った瞬間、私の目にはまざまざと十数年後の姿が見えた。中学生、高校生となった二人が祖父母の手を引いていた。同じ温もりを通わせながら。 — 小野不一 (@fuitsuono) 2015,...
2014-08-17
目撃された人々 59
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今朝拾い上げた蝉は、まるで電池切れの携帯電話のようにブーンと一度だけ振動して息絶えた。最後の力を振り絞ったのであろうが鳴き声を発することはかなわなかった。やつのバイブレーションはまだ私の魂を震わせている。生きるとは魂を震わせることなのだ。そんなメッセージを確かに受け取った。 — ...
2014-07-24
目撃された人々 58
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猛暑の中100メートルを10分くらいで歩くおばあさんがいた。「お母さん、家は近いの?」と訊くと、「ここから15分くらいです」と。「そこにドラッグストアがあるから涼んでいきなよ」と伝えた。自宅に戻り、どうしても気になったのでクルマで送ってあげた。クルマで15分かかる距離だった。 —...
2014-03-29
目撃された人々 57
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昨日道を歩いていたところ、小学1年くらいの男の子が車の下を覗いて何かを取ろうとしていた。「どうした? オジサンが手伝おうか?」と声を掛けると、「ううん、大丈夫」と。少し先には兄と思しき少年が立っていた。私が歩き出すと兄が「あ、すいま…」と言った時、私のケツにゴムボールが当たった。...
2014-03-23
目撃された人々 56
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近所に臆病な犬がいる。触れようとすると尻込みをして逃げるのだ。虐待された可能性がある。実に半年間をかけて少しずつ近寄り、一昨日接触に成功した。毎朝声を掛け、褒めちぎり、「ハイ、お手!」と言ったところ、目を逸らしながらも片足を上げた。が、私の手には乗せない。それを私が握った。 — ...
2014-03-04
目撃された人々 55
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ヘルパーとクロネコヤマトの制服が物干し竿で揺れていた。冬の光がその清潔を照らす。私の手にギターがあったならば直ぐにでも歌ができたことだろう。 — 小野不一 (@fuitsuono) 2014, 3月 4
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