2018-08-02

ポリティカル・コレクトネスは白人による人種差別を覆い隠すために編み出された概念/『人種戦争 レイス・ウォー 太平洋戦争もう一つの真実』ジェラルド・ホーン


『奴隷船の世界史』布留川正博
『奴隷とは』ジュリアス・レスター
『砂糖の世界史』川北稔
『インディアスの破壊についての簡潔な報告』ラス・カサス
『ナット・ターナーの告白』ウィリアム・スタイロン
『生活の世界歴史 9 北米大陸に生きる』猿谷要
『アメリカ・インディアン悲史』藤永茂
『メンデ 奴隷にされた少女』メンデ・ナーゼル、ダミアン・ルイス
『エコノミック・ヒットマン 途上国を食い物にするアメリカ』ジョン・パーキンス
『アメリカの国家犯罪全書』ウィリアム・ブルム

 ・目次
 ・ポリティカル・コレクトネスは白人による人種差別を覆い隠すために編み出された概念

『アーロン収容所 西欧ヒューマニズムの限界』会田雄次
『人種差別から読み解く大東亜戦争』岩田温
『大東亜戦争で日本はいかに世界を変えたか』加瀬英明
『植民地残酷物語 白人優越意識を解き明かす』山口洋一

必読書リスト その四
日本の近代史を学ぶ

 アメリカにとって日本人が犯した最大の罪は、アジア主義の旗を掲げて、有色民族に誇りをいだかせることによって、白人の誇りを貶(おとし)めたことだった。
 極東国際軍事裁判は、なによりも日本が白人上位の秩序にって安定していた、世界の現状を壊した。「驕慢(きょうまん)な民族主義」を大罪として、裁いた。
 事実、日本は白人の既得権益を壊して、白人から見ておぞましい成功を収めた。

【『人種戦争 レイス・ウォー 太平洋戦争もう一つの真実』ジェラルド・ホーン:加瀬英明監修、藤田裕行訳(祥伝社、2015年)以下同】


 禁を破って読書中の本を紹介する。想像した通りジェラルド・ホーンはアフリカ系アメリカ人であった。軽く1000を超えるであろう膨大な量の証言で構成されており、行間から真正の怒りが伝わってくる。いずれにせよアメリカ本国から大東亜戦争を正しく研究する学者が登場したことは歓迎すべきで、破れかぶれになった左翼が大手を振ってデモ行進をする我が国の惨状が情けなくなってくる。著者の日本に対する心酔ぶりはやや過剰に感じるが、長らく虐げられてきた黒人の父祖たちを想えば、数百年間にわたって続いた人種差別に鉄槌を下ろした点において日本をヒーロー視することは決して的外れではないだろう。

 まだ100ページほどしか読んでないのだが90%以上のページに付箋を貼ってしまった。元気と時間があれば全部ここに書写したいくらいだ。

白人側が使った人種差別の宣伝(プロパガンダ)とは

 ところが、事実を捻(ね)じ曲げて、「日本軍がアジア人に対して、ありとあらゆる『残虐行為』に及んでいる」という、宣伝(プロパガンダ)が行なわれた。日本軍が白人に対して「残虐行為」を行なっていると報告すると、かえって「アジア人のために戦う日本」のイメージを広めかねなかったからだった。
 白人と有色人種が平等だという戦後になってからの人種政策や、「白人の優越」が否定されることは、日本軍の進攻によってすでに戦時中から明らかになっていた。
 アメリカはイギリスよりも、人種問題に敏感だった。先住民を虐殺し、黒人を奴隷(どれい)にすることによって建国したからだった。
 1942年半ばに、アメリカの心理戦争(サイコロジカル・ウォーフェアー)合同委員会は、イギリスに「太平洋戦争を『大東亜戦争』(パン・アジア・ウォー)にすり替える日本の宣伝を阻止(そし)することが、重要だ」との極秘の提案書を送った。
「アメリカの白人社会に対して、有色人種に対する激しい人種差別を和(やわ)らげる宣伝を行なうべきである。そうした宣伝は、人種偏見に直接、言及してはならないが、有色人種のよい面を伝えることで、間接的に可能だ」と提言し、「『こびと』『黄色い』『細目(ほそめ)の』『原住民』といった表現を避ける」ことや、「アメリカの黒人活動家が、白人を非難する日本の宣伝を受け売りしていること」にも言及した。
 戦争が終結に近づくにつれて、後に「ポリティカリー・コレクト」という表現が用いられるようになった戦後の人種への太陽が、形成されようとしていた。過去に人種差別を蒙(こうむ)った人々について、むしろ国際的な場で「黒人のリーダー」を前面に出すことで、黒人蔑視(ジム・クロウ)に対する批判を避けようとした。

 ポリティカル・コレクトネス(政治的に正しい言葉遣い)は自分たちの悪行を覆い隠す狙いがあったというのだから驚きを通り越してあまりの欺瞞に尊敬の念すら覚える。もちろん皮肉であるが。日本人であれば常識と良識にそれほどの差異を感じないが、アメリカ人の古い常識は「白人が奴隷を所有するのは当然の権利」であったがゆえに新しい常識を必要としたのだ。神の名の下に虐殺を繰り返してきた白人にやっと道徳心が絵芽生えたわけではない。飽くまでも戦略として道徳を扱っているだけだ。

 アメリカは広島・長崎における原爆ホロコーストから目を逸らさせるために南京大虐殺を編み出した。わざわざ死者数も同数に揃えている(約30万人)。大東亜戦争という言葉が使えるようになったのはここ数年のことだろう。私自身、数年前まで嫌悪感を抱いていた。ところがアメリカの心理戦争合同委員会は日本の意図を正しく理解していたのだ。だからこそ叩き潰しておく必要があった。彼らの狙いは見事に成功した。我々日本人は半世紀以上に渡って大東亜戦争という言葉を使わなかったのだから。

「1990年代に入ってアメリカで大きく注目された考え方で『偏見・差別のない表現は政治的に妥当である』『偏見や差別の用語を撤廃し、中立な表現を利用しよう』との運動から始まり、差別是正に関する社会運動を内包する場合が多い」〈ニコニコ大百科(仮)〉とされているが、現代のポリコレはフェミニズム論やジェンダー論が推進してきた経緯があり、左派系概念となってしまった。日本ではヘイトスピーチに対する攻撃目的で市民派を名乗る左翼が振りかざしていて逆ヘイトと化しつつある。

 この部分を読んで、ノーマン・G・フィンケルスタイン著『ホロコースト産業 同胞の苦しみを「売り物」にするユダヤ人エリートたち』のカラクリがわかった。ヒトラーが行ったユダヤ人を中心とする大量虐殺は明白な犯罪であるが、これをテコにしてそれまでヨーロッパ中で殺され続けてきたユダヤ人は彼らなりのポリコレを編み出したのだろう。第二次世界大戦後、サイモン・ウィーゼンタール・センターなどのユダヤ人右翼団体は差別言論を取り締まる検閲役を務めた。日本でも文藝春秋社が発行する『マルコポーロ』が廃刊に追い込まれたことは記憶に新しい(マルコポーロ事件、1995年)。

 スポーツの世界ではオリンピックや国際大会で日本人が好成績を残すとルールを変更するという手法が露骨に行われている。「統治するのは白人だ」と言わんばかりのやり方である。こうした動きに対抗し得る学問的なバックボーンが日本にはない。戦後教育は自虐史観で覆われ、大学教育は官僚輩出システムに堕してしまった。幕末の私塾にすら到底及ばぬ現状である。

 本書を読めば、大東亜戦争に立ち上がった日本が世界中の有色人種に与えた衝撃の度合いと感激の深さが理解できよう。我々の父祖が戦った本当の相手は「白人による人種差別」であった。日本の近代史は「黄禍論~アメリカの排日移民法~大東亜戦争」を中心に学校教育で教えるのが筋である。



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