2019-07-10

レッドからグリーンへ/『環境と文明の世界史 人類史20万年の興亡を環境史から学ぶ』石弘之、安田喜憲、湯浅赳男


『人類史のなかの定住革命』西田正規
『砂糖の世界史』川北稔
『砂の文明・石の文明・泥の文明』松本健一

 ・動物文明と植物文明という世界史の構図
 ・黒船ペリーが開国を迫ったのは捕鯨船の補給地を確保するためだった
 ・中東が砂漠になった理由
 ・レッドからグリーンへ

『文化がヒトを進化させた 人類の繁栄と〈文化-遺伝子革命〉』ジョセフ・ヘンリック
『家畜化という進化 人間はいかに動物を変えたか』リチャード・C・フランシス
『反穀物の人類史 国家誕生のディープヒストリー』ジェームズ・C・スコット
『文明が不幸をもたらす 病んだ社会の起源』クリストファー・ライアン
『人類の起源、宗教の誕生 ホモ・サピエンスの「信じる心」が生まれたとき』山極寿一、小原克博
『一神教の闇 アニミズムの復権』安田喜憲
『石田英一郎対談集 文化とヒューマニズム』石田英一郎
『人類の起源、宗教の誕生 ホモ・サピエンスの「信じる心」がうまれたとき』山極寿一、小原克博
『人類と感染症の歴史 未知なる恐怖を超えて』加藤茂孝
『感染症の世界史』石弘之

必読書リスト その四

石●「レッドからグリーンへ」というのが、最近の皮肉をこめたスローガンとなっているぐらいです。つまりマルキシズムの居城を失った思想家たちの一部が、環境に生きる道を見出したわけです。

【『環境と文明の世界史 人類史20万年の興亡を環境史から学ぶ』石弘之〈いし・ひろゆき〉、安田喜憲〈やすだ・よしのり〉、湯浅赳男〈ゆあさ・たけお〉(洋泉社新書y、2001年/新版、2013年)】

 第二次世界大戦中におけるマルキストの浸透については以下の書評に書いた。

大衆運動という接点/『折伏 創価学会の思想と行動』鶴見俊輔、森秀人、柳田邦夫、しまねきよし

 ソビエトスパイの暗号解読文書「ヴェノナ」(Wikipedia/『ヴェノナ』ジョン・アール・ヘインズ、ハーヴェイ・クレア)は公開されたものの歴史を修正するところにまでは至っていないのが現状だ。

 学生運動や安保闘争が高まる昭和30年代、左翼は公害病にもコミットしていた。石牟礼道子〈いしむれ・みちこ〉の言葉はあまりにも有名だ。「極端な言い方かもしれませんが、水俣を体験することによって、私たちがいままで知っていた宗教はすべて滅びたという感じを受けました」(水俣病事件と「もうひとつのこの世」:萩原修子)。

 左翼勢力は更に空港(三里塚闘争)やダム建設の反対運動にも関わる。

 公害問題は環境意識への芽生えではあったが、企業vs.被害者というレベルの意識に留(とど)まっていた。1962年(昭和37年)にレイチェル・カーソンの『沈黙の春』が、そして1972年(昭和47年)にドネラ・H・メドウズの『成長の限界 ローマ・クラブ「人類の危機」レポート』が刊行された。日本では1974年(昭和49年)から有吉佐和子が朝日新聞に『複合汚染』の連載を開始した。

 人々の概念が少しずつ変化する中でオゾン層破壊が明らかとなる(1974年)。1985年にオゾン層の保護のためのウィーン条約が採択され、日本も1988年に加わった。これが環境問題のハシリだろう。その後1990年代から家庭ゴミの分別が始まる(「環境問題の歴史」を参照した)。

 環境問題は左翼にとっては渡りに舟であった。「地球に優しい」という標語には誰一人逆らえない。「レッドからグリーンへ」運動表現を変えた赤組はその後、人権~性差解消~ポリティカル・コレクトネスと看板を掛け替える。

 この間、進歩的文化人は良心的勢力・リベラルと仮面を付け替えた(進歩的文化人については谷沢永一著『こんな日本に誰がした 戦後民主主義の代表者・大江健三郎への告発状』『悪魔の思想 「進歩的文化人」という名の国賊12人』『誰が国賊か 今、「エリートの罪」を裁くとき』が詳しい)。



金儲けのための策略/『正義で地球は救えない』池田清彦、養老孟司

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