2019-07-04

潮目


 有本香vs.橋下徹の論争に百田尚樹足立康史が参戦して、案の定足立が炎上させて終了しつつある。

 かつて見えなかった戦後史の真相が輪郭をくっきりと現し、長い影まで見晴かすことができるようになった現在、この論争は新しい歴史教科書をつくる会の内紛以上に大きな影響を及ぼす可能性がある。twitter上での些細な混乱が示したのは、国際社会の反応を恐れる古い政治家と祖国に誇りを抱こうとする国民の間に越え難い確執があることだった。

 4月に行われた大阪W選挙で日本維新の会は圧勝した。その驕(おご)りがあったとすれば維新は所詮ローカル政党の域を出ることはない。DHCテレビ文化人放送局は二大ネット保守放送局であるが、これまで手を携えて安倍政権と維新を支持し続けてきた。そこに亀裂が入ったわけだから保守は統合から分裂へ向かい、憲法改正にブレーキが掛かることとなろう。

 橋下徹に関してはメディアとの対決姿勢を国民に広く知らしめた一点を私は評価している。ただしその礼儀知らず振りは様々な波紋を広げ、大阪維新の会と旧太陽の党が合流する際に露見した(平沼赳夫「次世代の党」党首が傲岸不遜な橋下徹・大阪市長の非礼を告発)。今となっては平沼赳夫〈ひらぬま・たけお〉の見方が正しかったように思える(「日本維新の会」と「石原新党」―なぜ橋下徹は平沼赳夫を排除するのか)。


 橋下と足立の言動には拭い難いエリート意識がにじみ出て腐臭を放っている。まるで「お前ら国民に政治家の苦労がわかってたまるか」と言うような姿勢が透けて見える。彼らの態度は逆圧迫面接と名づけるのが相応しい。小選挙区で落選して比例復活を遂げた足立はもっと自重して然るべきだろう。

 小さな論争が意外と大きな潮目になるかもしれない。政界再編のためには分裂が必要だ。















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