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2020-12-23

インナーマッスルを鍛える/『1週間で腹を凹ます体幹力トレーニング 1日5分誰でもラクラク即効!』木場克己


・『長友佑都体幹トレーニング20』長友佑都

 ・インナーマッスルを鍛える

 見た目が面白いくらい変わるから、【9割の人は、それがうれしくてアウターマッスルばかり鍛えてしまう】。
【だが実は、あなたの奥底に秘められた潜在力を目覚めさせてくれるのは、インナーマッスルだ】。深奥に筋肉がたっぷりバランスよくついていれば、骨格がコルセットに支えられた状態になり、真に安定した幹になる。鍛えあげられたインナーマッスルに包まれた体幹は、空気が十分に入ったボールのように「ピン!」とハリがある。【投げる、蹴る、跳ぶ……どんな動きも、弾むボールのように速く、力強くなる】。

【『1週間で腹を凹ます体幹力トレーニング 1日5分誰でもラクラク即効!』木場克己〈こば・かつみ〉(三笠書房、2016年)】

 インナーマッスルとは深層筋のことで体の奥に位置する筋肉の総称である。意識することが難しく、筋トレで鍛えることができるのはいずれも表層筋である。加齢に伴い猫背、ガニ股、腰の曲がりなどが表立ってくるが、インナーマッスルを一言にすれば「姿勢を支える筋肉群」である。

 我々が普段楽だと思っている姿勢は筋肉がダラリとなっている状態で、実は骨に負担が掛かっている。椅子に浅く腰掛けてだらしなく坐るのが典型で腰痛の原因となる。腰に負担が少ないのは真っ直ぐに背骨を伸ばした姿勢なのだ。つまり骨の硬さを利用するのである。

 体幹という言葉を知ったのは長友本による。一読した時は殆ど意味が理解できなかった。低負荷の体操と思い込んだほどだ。多少なりともスポーツをしてきた私ですら、その概念を掴むことが容易ではなかった。体幹とは胴体のことである。

 それほどお薦めできる本ではないがストレット法が多数紹介されているのが目を引く。


 私は今まで首のストレッチを軽視してきたのだがこれを見て瞬時に誤りを悟った。頭部を支える首の柔軟性が失われると思考そのものも凝り固まってしまうことだろう。


漢字でおすすめと書く場合「お勧め」「お薦め」「お奨め」のどれが正しい? 【ビジネス用語】 | マイナビニュース

2019-02-22

腕は後ろに振る/『「体幹」ウォーキング』金哲彦


『脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか 生き物の「動き」と「形」の40億年』マット・ウィルキンソン
『ウォーキングの科学 10歳若返る、本当に効果的な歩き方』能勢博

 ・腕は後ろに振る

『高岡英夫の歩き革命』、『高岡英夫のゆるウォーク 自然の力を呼び戻す』高岡英夫:小松美冬構成
『すごい!ナンバ歩き 歩くほど健康になる』矢野龍彦
『本当のナンバ 常歩(なみあし)』木寺英史
『健康で長生きしたけりゃ、膝は伸ばさず歩きなさい。』木寺英史
『常歩(なみあし)式スポーツ上達法』常歩研究会編、小田伸午、木寺英史、小山田良治、河原敏男、森田英二
『トップアスリートに伝授した 勝利を呼び込む身体感覚の磨きかた』小山田良治、小田伸午
『間違いだらけのウォーキング 歩き方を変えれば痛みがとれる』木寺英史

 黄色人種である日本人は、骨格的に大きなハンディがあります。
 黒人選手の骨格で特徴的なのは、骨盤がしっかり前傾していることです。そのため、骨盤が動きやすく、骨盤を動かすインナーマッスルの腸腰筋も非常に発達しています。つまり、生まれつき体幹が機能しやすいのです。黒人アスリートの、パワフルでダイナミックなフォームは、骨格からくる体幹の力によるものなのです。
 これに対し、日本人をはじめとする黄色人種は、骨盤がもともと後継ぎみ。そのため、腸腰筋やお尻の筋肉が発達しにくく、油断すると体幹がすぐに眠った状態になってしまいます。黄色人種の私たちが黒人に対抗するには、トレーニングによって強靭な体幹を作り上げることが必須条件なのです。

【『「体幹」ウォーキング』金哲彦〈きん・てつひこ〉(講談社、2010年)】

 実に危うい記述である。人種の違いを指摘することすら差別と受け止められかねない時代情況を思えば編集が甘すぎる。著者の視野も狭い。「骨格的に大きなハンディ」としているが、日本人の骨盤は稲作や山歩き(峠越え)に応じて進化したものと私は考える。江戸時代は「男十里、女九里」と言われた。男性なら40km、女性でも36km程度歩くのが普通だった。健脚の飛脚であれば100km以上の距離を移動したという。

 最近の若者を見ると日本人の脚もずいぶんと長くなった。床から椅子に坐るようになった生活スタイルの変化が影響しているのだろう。胴長・短足・眼鏡・出っ歯・首からカメラという日本人のイメージは既に過去のものだ。

 ウォーキングで大きく手を振ることには意味がないと書かれている。肩甲骨を動かすために腕は後ろに振るのが基本で、「肩甲骨に羽がある」というイメージを持つ。これは読んでから直ぐに実践した。

2019-01-03

体幹の奥に背骨あり/『究極の身体(からだ)』高岡英夫


『だれでも「達人」になれる! ゆる体操の極意』高岡英夫
『高岡英夫の歩き革命』、『高岡英夫のゆるウォーク 自然の力を呼び戻す』高岡英夫:小松美冬構成
『人生、ゆるむが勝ち』高岡英夫

 ・体幹の奥に背骨あり

『フェルデンクライス身体訓練法 からだからこころをひらく』モーシェ・フェルデンクライス
『心をひらく体のレッスン フェルデンクライスの自己開発法』モーシェ・フェルデンクライス
『運動能力は筋肉ではなく骨が9割 THE内発動』川嶋佑
『ウィリアム・フォーサイス、武道家・日野晃に出会う』日野晃、押切伸一
『武学入門 武術は身体を脳化する』日野晃
『月刊「秘伝」特別編集 天才・伊藤昇と伊藤式胴体トレーニング「胴体力」入門』月刊「秘伝」編集部編
『身体構造力 日本人のからだと思考の関係論』伊東義晃

身体革命
必読書リスト その二

 私の「運動化理論」の考え方で言うと、人間の身体というのは実は「魚類」なのだ。

【『究極の身体(からだ)』高岡英夫(講談社、2006年/講談社+α文庫、2009)以下同】

「!」――頭の中で電球が灯(とも)った。背骨が重要なのだ。腸腰筋や体幹が注目されるようになったのは最近のことである。体幹の奥に背骨あり。つまりはトレーニングの方向が背骨に向かっていたのだろう。私がピンと来たのは介護の視点からである。

 魚の動きをよく観察してみると、やはり全身の中間から後方の尾ひれ側のほうがよく動いている。魚の後半身の波動運動はまさに鞭のような動きだ。
 その魚類の鞭の動きを体現する二本足の人魚が、「究極の身体」の下半身なのだ。
「究極の身体」では、立ったり歩いたり走ったりジャンプしたりした時に、魚類の身体運動と同じように、胸椎の下端を中心に、足先までを鞭打たせる運動をしている。しかもその運動は、決して魚類と同じレベルではない。
 人間が鞭のような下半身の扱い方をできるようになった時は、魚類よりもはるかにハイレベルな運動になる。なぜかというと、人間の下半身の運動は交互運動だからだ。人間は身体をX・Y平面で割って左右交互に鞭打つことができるのだ。それに対し、魚類の鞭は一本だ。左右二本の鞭を振り回せる人類の運動のほうが、はるかに複雑な運動なのである。(中略)
 つまり「究極の身体」というのは、魚が尾ひれで立っている状態なのだ。

 スピードは失ったが複雑な動きに対応できるという意味なのだろう。我々は木登りができる。

 私は今、歩行困難なおばあさんを歩かせる計画を進行中で、まず第一段階として曲がった背中を伸ばすために鋭意努力をしているところである。背筋を鍛える運動を中心に行ってきたが、本書を読んで腰をひねる運動を取り入れることにした。90近い年齢のせいもあり可動域が狭いため、チューブやゴムまりを使って負荷を掛ける。

 ちょっと小馬鹿にしていたゆる体操を本気で15分ほどやってみた。ひたすら魚が泳ぐようにゆらゆらと体を揺らしただけである。次の日、背筋が筋肉痛になっていた。水泳が健康にいい理由もたぶん背骨の運動にある。フラダンスやフラフープは腰の動きに特徴があるが、背骨を中心とした肩甲骨~骨盤の運動が理想的だと思う。水泳、ダンス、木登り、ロッククライミング、スキーなど。

「丹田を意識する」というのも多分背骨の動きに関係しているのだろう。まったくの素人考えだが背筋を伸ばすというよりは肩甲骨を引き上げることによって胸骨を開く意味合いがあるのではないか。

 高岡英夫は東大卒だけあって説明能力が極めて高い。ただし書籍は重複した内容が多く粗製乱造気味でマーケティング目的が透けて見える。更に「ゆる体操指導員」になるためには数多くの著作やDVDを購入しなくてはならない。こうなると形を変えた代理店商法といってよい。よもや高岡教を目指しているとまでは思わないが、宗教やマルチ商法の臭いが漂ってくる。

 また我が田に水を引くように有名人を「ゆる理論」に利用する悪癖があり、誇大広告紛いの危うい記述が少なくない。読むに値するものは今のところ3~4冊ほどか。