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2021-11-09

1分間に200回の腹式呼吸/『火の呼吸!』小山一夫


『究極の身体(からだ)』高岡英夫
『フェルデンクライス身体訓練法 からだからこころをひらく』モーシェ・フェルデンクライス
『運動能力は筋肉ではなく骨が9割 THE内発動』川嶋佑
『ウィリアム・フォーサイス、武道家・日野晃に出会う』日野晃、押切伸一
『大野一雄 稽古の言葉』大野一雄著、大野一雄舞踏研究所編
『武学入門 武術は身体を脳化する』日野晃
『ことばが劈(ひら)かれるとき』竹内敏晴
『スーパーボディを読む ジョーダン、ウッズ、玉三郎の「胴体力」』伊藤昇
『気分爽快!身体革命 だれもが身体のプロフェッショナルになれる!』伊藤昇、飛龍会編
『棗田式 胴体トレーニング』棗田三奈子
『天才・伊藤昇と伊藤式胴体トレーニング「胴体力」入門』月刊「秘伝」編集部編

 ・1分間に200回の腹式呼吸

『ストレス、パニックを消す! 最強の呼吸法システマ・ブリージング』北川貴英
『BREATH 呼吸の科学』ジェームズ・ネスター
『釈尊の呼吸法 大安般守意経に学ぶ』村木弘昌
・『新正体法入門 一瞬でゆがみが取れる矯正の方程式』佐々木繁光監修、橋本馨
・『仙骨姿勢講座 仙骨の“コツ”はすべてに通ず』吉田始史

身体革命

【「火の呼吸」とは1分間に200~250回の激しい腹式呼吸を行い、体内のエネルギーを高めることで神経を刺激し、アドレナリンの分泌を促進していくものです。簡単にいえば、激しい呼吸によって多量の酸素を脳に送り込むわけです。それによってニューロン(脳を構成する神経細胞)の代謝が促進され、体のなかの機能が活発に働き、そうして自然治癒力が高まっていくわけです。】(中略)
 さて、「火の呼吸」の基本動作を紹介しましょう。
 胡座(あぐら)をかく状態で右足を上にして、肩の力を抜いて両手はひざの上におきます。背筋を伸ばしましょう。この姿勢で呼吸をするわけですが、腹式呼吸で鼻で息を吸い、思いっきり鼻で吐きます。吐くときは腹部の筋肉をへこませます。要領は吐くことに集中すること。思いっきり吐いて自然に息を吸うという感じです。

【『火の呼吸!』小山一夫〈こやま・かずお〉、安田拡了〈やすだ・かくりょう〉構成(KTC中央出版、2003年)以下同】

 火の呼吸は「クンダリーニ・ヨガの秘法」と紹介されている。英語だと「クンダリーニー」、サンスクリット語だと「クンダリニ」と聞こえる。クンダリーニの文字を見て尻をすぼませる人がいることだろう。私もその一人だ。少しかじった程度でも条件反射が出てしまう。

 小山一夫が伊藤昇に献本したところ、伊藤は直ちに出版社から数十冊を購入したというエピソードがある(『天才・伊藤昇と伊藤式胴体トレーニング「胴体力」入門』月刊「秘伝」編集部編)。単なるサービス精神ではあるまい。有望な弟子たちに読ませようとしたのだろう。

 小山は船木誠勝〈ふなき・まさかつ〉を指導した。それもヒクソン・グレイシー戦までの4ヶ月間である。「船木選手は私が1年以上かかったレベルの修行をわずか2か月で達成しました」と書いてある。

 クンダリーニ・ヨガというのは、日本のヨーガ教室でやっているもの(ハタ・ヨーガ)ではありません。ハタ・ヨーガというのは体を柔軟にする技法が主体で、おもに健康法として広まっています。しかし、クンダリーニ・ヨーガはヨーガのなかでも、もっとも高度な技法体系で構成されたもので、ヨーガの秘法とされ、長いあいだ公開されていませんでした。2000年以上も前からインドのさまざまな文献に名前は出てくるのですが、その実践方法が明らかにされておらず、幻のヨーガといわれていたのです。
 ところが、20世紀後半のことです。その秘法の継承者ヨギ・バジアン師(インド人)がアメリカに渡り、その全容が世界に広まっていったのです。しかし、残念ながら日本では知られておらず、私がヨギ・バジアン師から学び、ようやく日本で公開することができたのです。

 小山は3歳で吃音症を発症。治したい一心で少林寺拳法や真言密教の過酷な修行にも取り組んできたが願いがかなうことはなかった。ところが、ヨギ・バジアン師と出会い、クンダリーニ・ヨガを修める中でいつの間にか治っていたという。その事実に気づいたのが27歳の時で、振り返ると25歳頃に治っていたかもしれないと綴られている。ここが凄いところだ。つまり知らず識らずのうちに吃音を治したい願望よりも、クンダリーニ・ヨガを極めることが最大の目的となったのだ。生の次元が変わったと言ってよい。視線が遠くを捉えた時、目の前の障碍(しょうがい)は小さな段差に過ぎなくなったのだ。

 だいたいヨーガの生活というのは、4時に起きるんです。それでシャワーを浴びたりして、4時半からヨーガをはじめます。まずエクササイズを30分から1時間やって、それからメディテーション(瞑想)に入るわけです。合計1時間半か2時間やって、それから食事をします。

 とすると私の場合、20~21時に寝る計算となる。ウーム、早いな。しかも二度寝る癖がついてしまっている。自然の摂理からすれば、やはり早起きするのが望ましい。

 玄米というのは体を冷やします。だから熱の代謝が悪い体質の人や風邪をひき真っ青になって寒気でガチガチしているような人が玄米を食べますと、もっと代謝が悪くなるわけです。体を温めなくてはいけないのに、体を冷やす食べ物を口にしてはいけません。

 私もアンチ玄米派である。せめて3~5分づき程度にするべきだろう。玄米が健康によいのであれば米糠(こめぬか)を食べればいい。


 マクロビオティックだと玄米は「中庸」とされている。カリウム=陰性、ナトリウム=陽性と判断するようだ。ところが、「玄米にはカリウムが多量に含まれ258.1±20.0mg%であったが, ナトリウムはきわめて少量しか含まれていない」との論文がある(CiNii 論文 -  食品中ナトリウムおよびカリウム含有量の調理による影響 (第1報):米の搗精, 洗米によるナトリウムおよびカリウム含有量の変化)。とすれば小山の指摘が正しいのだろう。

 座して10分の「火の呼吸」ができる人でも、仰向けに寝た状態だと3分も持ちません。もしも寝た状態で5分の「火の呼吸」ができるようでしたら、ものすごく呼吸筋が強くなっているということです。


 尚、小山は止息を批判しているが、これは成瀬雅春に対する批判か。横隔膜を鍛えることができるのは素晴らしい。結局、大腰筋よりも上部のインナーマッスルを刺戟(しげき)するところに目的があるのだろう。

 ヨーガの師サトワン・シン先生は、毎朝アーモンドを2粒食べれば、ガンの予防になるとおっしゃていました。

 根拠は不明である。ただし信ずるものは救われるかもね。



行間から滴り落ちる毒/『先崎学の浮いたり沈んだり』先崎学

2020-09-28

ムドラとは/『ムドラ全書 108種類のムドラの意味・効能・実践手順』ジョゼフ・ルペイジ、リリアン・ルペイジ


『ヒモトレ革命 繫がるカラダ 動けるカラダ』小関勲、甲野善紀
・『手を組むだけで幸せになる! 手印大図鑑』鮑義忠
・『“手のカタチ”で身体が変わる! ヨガ秘法“ムドラ”の不思議』類家俊明

 ・ムドラとは

身体革命

 ムドラとは、体の健康や心のバランス、そして精神的な覚醒を促してくれる、手や顔や体を使ったジェスチャーのことです。サンスクリット語の「mudora」には、「身ぶり、印、態度、特性」などの意味があります。それぞれの印相の特性に応じた、心のあり方や精神的な態度を喚起してくれるジェスチャー、それがムドラです。ムドラは「喜び」や「魅力」を意味する「mud」と、「引きだす」を意味する「rati」が組み合わさってできた言葉です。つねにそこにあり、あとはただ目覚めるのを待っている私たちの内なる喜びや魅力を、ムドラは引きだしてくれるのです。(中略)
 私たちはこうした身ぶりで、しばしば無意識に、気分や意図や態度を非言語的に伝えています。
 一方、手や顔や体のジェスチャーが、特定の精神的態度を呼び起こすために意識的に使われるとき、それはムドラと呼ばれます。統合や無限性などの微細な性質は、言葉ではうまく言い表せなくても、ムドラを使えば完璧に表現できます。霊性の最も古い様式の一つであるシャーマニズムでは、音や動作、そして手や顔や体のジェスチャーが、宇宙の深遠で聖なるエネルギーを呼びさますのに使われます。シャーマンがそのエネルギーを伝える儀式にも、健康や癒しや霊的なつながりを助けるものとして、ジェスチャーが欠かせません。世界には様々なシャーマニズムが存在しますが、インドでは、創造の聖なる源と一体化したいという強い欲求が、完成度の高い一大体系にまで進化しました。その体系の一端を担うのがムドラです。
 古代インドの偉大な聖者(リシ)たちは、瞑想を通じて、創造の源との深い精神的結合の境地を極めようとしました。その瞑想状態の一つの現れとして、自然派生的にムドラが生まれます。やがてムドラは、リシが瞑想状態を追体験し、新たに加わった門弟とも体験を分かち合うための手段として使われるようになりました。古代の聖者が瞑想体験のうちに悟った究極のち絵とは、あらゆる二元性を超越する「統合」(ユニティ)の思想です。「統合」とは、認識力、無限性、統一性、慈悲心など、様々な心の特性を経たのちに到達される至高の境地です。こうした個々の特性を呼び覚まし、統合の世界的な地平へと自然に導いてくれる手段、それがムドラなのです。

【『ムドラ全書 108種類のムドラの意味・効能・実践手順』ジョゼフ・ルペイジ、リリアン・ルペイジ:小浜杳〈こはま・はるか〉訳、長谷江利子〈はせ・えりこ〉編集協力(ガイアブックス、2019年)】

ひもトレ革命』で虎拉(ひし)ぎを知った。指の形をつくることで脚に力が入るという秘技だ。私は普段から階段を使うよう心掛けているので直ぐさま効果を実感した。その時、「ハハーン、これは印相だな」と妙に得心がいった。忍術使いが手を組んで形をつくるアレだ。元々は仏教の密教から生まれたもので、日本だと天台系(台密)よりは真言系(東密)で重視されている。

 ヒトの進化を推進したのは高度な知能もさることながら、細やかな手の動きによるところが大きい。きっと知能と手は連動しているのだろう。匠の技とされているのも大方手の運動である。それが行き着いた最終形が私は楽器演奏だと考える。鍵盤を叩いたり、弦を爪弾く指の動きは、ヒトの進化の最も高い位置にあると思われる。

 ランニング初心者の私は少しでも楽に走れるよう指の形を工夫している。普通に走っているとピストル型の形になるのだが、意識的に虎拉ぎをやってみたり、親指だけ曲げて他の指を真っ直ぐに伸ばしたり、中指で親指を抑え込んだり、手をだらりと下げて走ったりしている。効果のほどは定かでないが変化をつけることで意識が脚の疲労から指の形に向かうので気分転換にはなる。

 ムドラは印相の原型である。「手のヨガ」と言っていいかもしれない。数冊しか読んでいないが本書は決定版と断言して差し支えないだろう。齢を重ね、体力が衰えるに連れて、体を鍛えるよう努めているが、個人的には瞑想の前段階として体の声に耳を傾けているつもりだ。正直に言えばじっと坐っていることに私の惰弱な精神は耐えられない。むしろ動くことで心の揺れを止める方途を探っているところである。フル回転するコマのような心的状態が望ましい。

 ムドラは高齢者でも実践可能だ。ムドラから入ってヨガへと進み、運動やトレーニングに至るのが理想的だと思う。「治に居て乱を忘れず」である。いざ病気になったり、不当逮捕されたり、捕虜になるようなことがあれば、不自由な苦境と対峙できるのは瞑想と運動だけというのが私の持論だ。

2019-02-28

曲がった背骨を伸ばす/『ベッドの上でもできる 実用介護ヨーガ』成瀬雅春


『足裏を鍛えれば死ぬまで歩ける!』松尾タカシ、前田慶明監修

 ・曲がった背骨を伸ばす

『5秒 ひざ裏のばしですべて解決 壁ドン!壁ピタ!ストレッチ』川村明
『心身を浄化する瞑想「倍音声明」CDブック 声を出すと深い瞑想が簡単にできる』成瀬雅春

 ヨーガのポーズのことをサンスクリット語でアーサナといいますが、この意味は「坐り方」ということです。ヨーガは本来、解脱に至るための瞑想法として生み出されました。瞑想のために長時間坐っていても疲れない快適な坐り方が必要となり、さまざまな坐法が生まれ、同時に瞑想に専念できるように、健康を保つためのさまざまなポーズが生み出されたのです。このように、「坐る」ことはヨーガの基本であり、その重要性をいろいろなアプローチで説いています。
 寝たままの生活をしている人のなかには、本人の気力が衰え「寝たまま」になっている場合や、周囲が「寝かせたまま」になってしまっているケースがあります。そうした人たちは、本人や周囲が坐らせる努力をすれば坐れるようになるケースが多いです。
 寝たままと坐れることの間には雲泥の差があります。寝たままの生活で大きな問題となる床ずれは、坐ることができるようになれば治ります。また坐ることで排便も用意になり、食事も楽にできるようになります。寝たままの食事と坐っての食事では、同じものを食べても味も違います。
 坐ることで深い呼吸ができるようになり、換気量も増えます。坐っている時間が増えるだけで、呼吸が深くなるものです。呼吸が深くなれば、当然血液の還流もよくなり、血圧も安定します。単に坐るだけですが、それでも筋力トレーニングになっているのです。身体を起こした状態を維持することで首の筋肉が鍛えられ、咀嚼がしっかりとできるようになり、誤飲も防げます。

【『ベッドの上でもできる 実用介護ヨーガ』成瀬雅春〈なるせ・まさはる〉(中央アート出版社、2007年)】

 背中の曲がったオバアサンを何とかしようと思って読んだ本である。当の本人は「九十近いんだから無理」と言ったが、我が辞書に不可能という項目はない。身体障碍者の運動に関する書籍では私が知る限り本書がベストである。特に冒頭の足指・手指の運動は認知症にも十分な効果を発揮することだろう。

 私がヨガに注目したのは以下の記事による。

背中が曲がったおばあちゃん、よくある健康法で…ここまで変わる!? – grape [グレイプ]

 腰痛の原因は頭の重さにある。背骨が曲がってしまえば下がった頭を抑えるべく腰の位置が後傾せざるを得ない。その結果腰はどんどん曲がってゆくという悪循環に陥る。アフリカ人の姿勢がいいのは頭に物を載せて運ぶためだ。スマホ首(ストレートネック)も頭の重量を無視した悪い姿勢の結果である(いま日本人の8割がスマホ首!? テニスボールで改善できる治し方とは? - モバレコ)。

 私が試そうとしたのは次のポーズであった。



 背中の曲がったオバアサンは仰向けで寝ることができない。うつ伏せになることもできない。曲がった背中を逆方向へ引っ張るためには背筋が必要だ。厳密にはこのポーズはできなかったが近い姿勢にはなった。現在、ボール投げとチューブトレーニングも組み合わせて背筋を鍛えている。

 こうした営みを通して見えてきたのは背筋・体幹・股関節周りの重要性であり、健常者にとっても鍛えるべき急所はここにある。日本の文化でいえば所謂(いわゆる)「肚」(はら)の周りだ。背骨と骨盤の間に鍵が潜んでいるように思う。

 次のステップは肩甲骨周りである。


 肩甲骨を自由に動かすことができれば空を飛んでいた祖先の記憶が蘇るに違いない。例えば水泳、木登り、ロッククライミングやスポーツクライミングは「飛ぶ」感覚に近いのではないか。

 体には動くことへの衝動がある。姿勢を正して動け。跳び、遊べ。

ベッドの上でもできる実用介護ヨーガ
成瀬 雅春
中央アート出版社
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