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2021-04-28

鋼の庖丁を選べ/『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』キャスリーン・フリン


 ・鋼の庖丁を選べ

『ゴースト・スナイパー』ジェフリー・ディーヴァー

【「包丁を買うときに考えるべきふたつのキーポイント。それは、“鋼”(はがね)であること、そして“フィーリング”です。あなたに必要なのは、よい状態を保つことができる鋼の包丁なんです」】すべての鋼が同じ工程で作られているわけではない。より硬い鋼のほうが研ぎやすく、それによってより鋭い包丁になってくれる。でもとんでもなく硬い鋼は砕けやすいし、メンテナンスがややこしい。
 硬さを言いだすと複雑な指針があるが、【小売りされている包丁のほとんどについて注目しなければならないのは、実はカーボンの含有量だ。】「カーボンは鋼をより強くします。“高炭素鋼”(こうたんそこう)なんて言葉を探してみたら、すぐに見つかるわ」現状では、スイスのアーミーナイフで有名なヴィクトリノックスが高炭素鋼の包丁を製造しており、万能包丁はだいたい30ドルぐらいから手に入る。

【『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』キャスリーン・フリン:村井理子〈むらい・りこ〉訳(きこ書房、2017年)以下同】

「包丁」は“同音の漢字による書きかえ”で元々は「庖丁」だ。新字体は致し方ないとしても書き換えは許し難い。漢字を平仮名扱いするような真似だろう。

 私が庖丁を意識したのはこのテキストによる(読んだのは2年前)。「硬い鋼」の代表は日本刀の材料にもなっている安来鋼(やすきはがね/登録商標:YSSヤスキハガネ)の青紙スーパーや青紙1号が広く知られている。硬度の高さは耐久性につながっており切れ味も長く続く。ただし靭性(じんせい)がないため欠けたり折れたりしやすい。最大の問題は研ぎにくいことだ(切れ味と硬度)。そして錆(さ)びる。硬度最強はセラミック庖丁である。硬すぎて砥石で研ぐことができない(高硬度の包丁は、家庭では扱いづらい)。

 炭素鋼複合材の庖丁は少し前に紹介した。

家庭用のおすすめ庖丁

「包丁が手に馴染むかどうかは“フィーリング”がすべて。包丁を多く取りそろえている調理器具のショップとか、厨房器具を売る店に行ってみて。違いや重さ、ハンドルのグリップなんかを確かめてみてほしい。【使い勝手のよい包丁というのは、人それぞれなんです】」

 非力な女性であればともかく、26cmの鉄フライパンを振る私にとって目方は問題とならない。

「30ドルから50ドルぐらいで、ちゃんとした包丁は買える。安い包丁セットを買うよりもお得なんだから」と私は言った。「【正直に言わせてもらうと、もしキッチンの中のものに投資するぐらいだったら、そのお金でよい包丁を買うほうがいい。ちゃんと使えば20年から30年はもってくれるから】」

 1万円の庖丁を20年使用すると考えれば年間500円のコストに過ぎない。

「もうひとつ覚えて欲しいことがあります。【包丁は犬と同じです。定期的なグルーミングが必要です。】1年に一度はきちんと研いであげましょう。調理用品や刃物店にはこの様なサービスがありますし、メンテナンスに持ち込める場所を知っています。包丁1本につき数ドルはかかりますけれども、その価値は絶対にあります」と私は言った。

 庖丁と犬は違う。こういう表現に白人特有のがさつさが現れる。本来であれば自分で研ぐべきだが、そんな気になれない人には貝印のダイヤモンド&セラミックシャープナーをお勧めしよう。刃の減りは早くなるが切れ味の悪いストレスは回避することができる。尚、刃物専門店で研いでもらっても1000円程度である。私に頼めば500円でやってあげるよ(笑)。