・『脳から見たリハビリ治療 脳卒中の麻痺を治す新しいリハビリの考え方』久保田競、宮井一郎編著
・『リハビリテーション 新しい生き方を創る医学』上田敏
・『脳のなかの身体 認知運動療法の挑戦』宮本省三
・『リハビリテーション・ルネサンス 心と脳と身体の回復 認知運動療法の挑戦』宮本省三
・杖歩行は二動作で行う
・『わたしのリハビリ闘争 最弱者の生存権は守られたか』多田富雄
川平法では、下肢にマヒが残った人には、歩く時は杖と下肢装具を必ず使用すること、そして、「二動作」での歩行をすすめています。なぜなら「二動作」歩行のほうがスムーズに歩くことができ、マヒ足にかかる負担が少ないからです。
なかには、再発作後の両側のマヒや運動失調のために立位バランスが悪いなどの理由から「①杖をつく→②マヒ足を振り出し着地させる→③健足を蹴り出す」の「三動作」歩行のほうが、適している人もいますが、多くの「三動作」歩行では、健足でしっかり立ってマヒ足を浮かすことが不十分になり、また健足で蹴り出す力も弱くなります。そのため、マヒ足を引きずったり、遠心力で外側へ振り回したり、かえってマヒが目立つような歩き方になるのです。
「三動作」歩行に慣れてしまうと「二動作」への移行が難しくなりますから、先のような特別な理由がない限りは、「川平法」のリハビリテーションでは、はじめから「二動作」でのトレーニングを行います。
【『やさしい図解 「川平法」歩行編 楽に立ち、なめらかに歩く 決定版!家庭でできる脳卒中片マヒのリハビリ』川平和美〈かわひら・かずみ〉監修(小学館、2014年)】
川平法(促通反復療法)についてはよくわからないが、本書を読む限りでは一定の効果があると思われる。テキストではわかりにくいので図を引用する。
左脳にダメージがあれば右半身が麻痺し、右脳だと逆になる。右麻痺には失語症が伴い、左麻痺だと半側空間無視を伴うケースが多い。症状が軽ければ杖歩行が可能だ。
麻痺側(まひそく)の体の重さは健常者には理解し難い。「重い砂袋がぶら下がっているような感じ」という表現をよく聞く。バランスを取るためには健側(けんそく)側に傾かざるを得ず、体を真っ直ぐにすることができなくなる。
健康を害した時、人は「動く意味」「動ける可能性」に気づくのだろう。時折、体の不自由なお年寄りが歩いているのを見掛けることがある。外へ向かうバイタリティこそ健康の証である。五体満足でも動かない人々は既に病人といってよい。
リハビリには技術と知恵が必要だ。理学療法士や作業療法士・言語聴覚士の言いなりになることがリハビリではない。体の声に耳を傾けながら新たな運動能力を開拓してゆくのがリハビリであり、千差万別の症状を自分で読み解きながら工夫を凝らし改良を加えてゆくのが王道だ。
俗に「同病相哀れむ」と言うが、同じ症状の人々が情報交換できるコミュニティがあれば医療依存・介護任せの現状を打開できることだろう。