ラベル ユヴァル・ノア・ハラリ の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル ユヴァル・ノア・ハラリ の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2021-12-06

イデオロギーが知性を歪める/『21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考』ユヴァル・ノア・ハラリ


『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』ユヴァル・ノア・ハラリ
『ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来』ユヴァル・ノア・ハラリ

 ・イデオロギーが知性を歪める

 過去数十年の間に、神経科学や行動経済学のような領域での研究のおかげで、科学者は人間のハッキングがはかどり、とくに、人間がどのように意思決定を行なうかが、はるかによく理解できるようになった。食物から配偶者まで、私たちの選択はすべて、謎めいた自由意志ではなく、一瞬のうちに確率を計算する何十億ものニューロンによってなされることが判明した。自慢の「人間の直感(ママ)」も、実際には「パターン認識」にすぎなかったのだ。優れた運転者や銀行家や弁護士は、交通や投資や交渉についての魔法のような直感を持っているわけではなく、繰り返し現れるパターンを認識して、不注意な歩行者や支払い能力のない借り手や不正直な悪人を見抜いて避けているだけだ。また、人間の脳の生化学的なアルゴリズムは、完全には程遠いことも判明した。脳のアルゴリズムは、都会のジャングルではなくアフリカのサバンナに適応した経験則や手っ取り早い方法、時代後れの回路に頼っている。優れた運転者や銀行家や弁護士でさえ、ときどき愚かな間違いを犯すのも無理はない。
 これは、「直感」を必要とされている課題においてさえAIが人間を凌ぎうることを意味している。もしあなたが、AIは神秘的な「勘」に関して人間の魂と競う必要があると考えているのなら、AIには勝ち目はないだろう。だが、もしAIは、確率計算とパターン認識で神経ネットワークと競うだけでいいのなら、それはたいして手強い課題には思えない。
 とくに、AIは【他者についての】直感を求められる仕事では人間を凌ぎうる。歩行者がいっぱいの通りで乗り物を運転したり、見知らぬ人にお金を貸したり、ビジネスの取引の交渉をしたりといった、多くの仕事は、他者の情動や欲望を正しく評価する能力を必要とする。あの子供は今にも車道に飛び出そうとしているのか? スーツを着たあの男性は、私からお金を巻き上げて姿をくらますつもりなのか? あの弁護士は脅し文句を実行に移すつもりか、それとも、はったりをかけているだけなのか? そうした情動や欲望は非物質的な霊によって生み出されていると考えられていたときには、コンピューターが人間の運転者や銀行家や弁護士に取って代わることがありえないのは明白に思えた。というのも、神が創りたもうた人間の霊を、コンピューターが理解できるはずがないからだ。ところが、じつは情動や欲望が生化学的なアルゴリズムにすぎないのなら、コンピューターがそのアルゴリズムを解読できない理由はない。そして、それをホモ・サピエンスよりもはるかにうまくやれない道理はない。(中略)
 このようにAIは、人間をハッキングして、これまで人間ならではの技能だったもので人間を凌ぐ態勢にある。だが、それだけではない。AIは、まったく人間とは無縁の能力も享受しており、そのおかげで、AIと人間との違いは、たんに程度の問題ではなく、種類の問題になった。AIが持っている、人間とは無縁の能力のうち、とくに重要なものが二つある。接続性と更新可能性だ。
 人間は一人ひとり独立した存在なので、互いに接続したり、全員を確実に最新状態に更新したりするのが難しい。それに対してコンピューターは、それぞれが独立した存在ではないので、簡単に統合して単一の柔軟なネットワークにすることができる。だから、私たちが直面しているのは、何百万もの独立した人間に、何百万もの独立したロボットやコンピューターが取って代わるという事態ではない。個々の人間が、統合ネットワークに取って代わられる可能性が高いのだ。したがって、自動化について考えるときに、単一の人間の運転者の能力と単一の自動運転車の能力を比べたり、単一の医師の能力と単一のAI医師の能力とを比べたりするのは間違っている。人間の個人の集団の能力と、統合ネットワークの能力とを比べるべきなのだ。

【『21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考』ユヴァル・ノア・ハラリ:柴田裕之〈しばた・やすし〉訳(河出書房新社、2019年/河出文庫、2021年)】

 柴田は好きな訳者だが、かなり文章が悪い。翻訳後に編集を噛ませるべきだった。名訳は常に意訳である。文や義にとらわれれば意を見失う。今時、「コンピューター」と書いている訳者はいないだろう。

 ユヴァル・ノア・ハラリは間違いなく現代の知性を代表する人物の一人であるが、イデオロギーが知性を歪めてしまっている。読むに堪(た)えず1/3ほどで本を閉じた。トランプ大統領を激しくこき下ろし、習近平には甘い彼のイデオロギーを真に受けるわけにはいかない。またビッグテックに寄り添った考え方も胡散臭くてしようがなかった。

 様々な問題を取り上げているが、なぜイスラエルの核保有については沈黙を保っているのか? これが最大の疑問である。

 期せずして私は反知性主義に傾きそうになった。トランプの言動を批判するのは全くの自由なんだが、ハラリやホーキングは自由主義に基づくアメリカの民意まで否定しているような節(ふし)がある。更に完全なグローバリストであるハラリは「アメリカ・ファースト」を許さない。彼が説く自由主義は彼が考える枠にはまっている条件が課せられる。

 私は頭のいい人間は尊敬するが、情緒を欠いた人物を軽蔑する。ハラリには『春宵十話』(岡潔著)を読むことを勧めておこう。

2019-12-21

21世紀の「立正安国論」/『ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来』ユヴァル・ノア・ハラリ


『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』ユヴァル・ノア・ハラリ
『文化がヒトを進化させた 人類の繁栄と〈文化-遺伝子革命〉』ジョセフ・ヘンリック
『家畜化という進化 人間はいかに動物を変えたか』リチャード・C・フランシス
『人類史のなかの定住革命』西田正規
『反穀物の人類史 国家誕生のディープヒストリー』ジェームズ・C・スコット
『動物感覚 アニマル・マインドを読み解く』テンプル・グランディン、キャサリン・ジョンソン
『神々の沈黙 意識の誕生と文明の興亡』ジュリアン・ジェインズ
『ユーザーイリュージョン 意識という幻想』トール・ノーレットランダーシュ
『ポスト・ヒューマン誕生 コンピュータが人類の知性を超えるとき』レイ・カーツワイル
『AIは人類を駆逐するのか? 自律(オートノミー)世界の到来』太田裕朗
『Beyond Human 超人類の時代へ 今、医療テクノロジーの最先端で』イブ・ヘロルド
『ビッグデータの正体 情報の産業革命が世界のすべてを変える』ビクター・マイヤー=ショーンベルガー、ケネス・クキエ

 ・21世紀の「立正安国論」

『21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考』ユヴァル・ノア・ハラリ
『われわれは仮想世界を生きている AI社会のその先の未来を描く「シミュレーション仮説」』リズワン・バーク

情報とアルゴリズム
必読書リスト その五

 3000年紀(西暦2001~3000年)の夜明けに、人類は目覚め、伸びをし、目を擦る。恐ろしい悪夢の名残が依然として頭の中を漂っている。「有刺鉄線やら巨大なキノコ雲やらが出てきたような気がするが、まあ、ただの悪い夢さ」。人類はバスルームに行き、顔を洗い、鏡で顔の皺(しわ)を点検し、コーヒーを淹(い)れ、手帳を開く。「さて、今日やるべきことは」
 その答えは、何千年にもわたって不変だった。20世紀の中国でも、中世のインドでも、古代のエジプトでも、人々は同じ三つの問題で頭がいっぱいだった。すなわち、飢饉と疫病と戦争で、これらがつねに、取り組むべきことのリストの上位を占めていた。人間は幾世代ともなく、ありとあらゆる神や天使や聖人に祈り、無数の道具や組織や社会制度を考案してきた。それにもかかわらず、飢餓や感染症や暴力のせいで厖大(ぼうだい)な数の人が命を落とし続けた。そこで多くの思想家や預言者は、飢饉と疫病と戦争は神による宇宙の構想(訳註 本書で言う「宇宙の構想」とは、全能の神あるいは自然の永遠の摂理が用意したとされる、全宇宙のための広大無辺で、人間の力の及ばない筋書きを意味する)にとって不可欠の要素である。あるいは、人間の性質と不可分のものである。したがって、この世の終わりまで私たちがそれらから解放されることはないだろう。

【『ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来』ユヴァル・ノア・ハラリ:柴田裕之〈しばた・やすし〉訳(河出書房新社、2018年)】

 冒頭のテキストである。既に紹介した通り本書はS・N・ゴエンカに捧げられている。とすれば本書は歴史や文明の研究を目的に書かれたものではないだろう。むしろそれらを俯瞰し、点に見えるほどの高い抽象度に向かう瞑想の流れを記述したに違いない。

 ホモ・デウスとは「神の人」の謂(いい)である。前作ではホモ・サピエンスの壮大な歴史を記し、本書では神へと進化する人類の様相を遠望するが、レイ・カーツワイルとは全く異なるディストピアが描かれている。

「飢饉と疫病と戦争」の克服は日蓮が「立正安国論」に掲げたテーマだ。三災七難三災(穀貴〈こっき〉、兵革〈ひょうかく〉、疫病〈えきびょう〉)が完全に符合する。

 骨子は似ていてもハラリは「安国」との結論は提示しない。むしろ人類がデータ化される暗然たる未来を示すだけだ。先に瞑想と書いたがハラリは「見る」ことに徹している。

 ページをめくると直ぐにわかることだが日蓮が生きた鎌倉時代(13世紀)からすれば、我々が生きる世紀は既に三災を克服しつつある。核兵器が登場してから抑止力が機能し大きな戦争はなくなった。飢餓も激減し、100万単位の人々が死ぬような疫病もない(参照『FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド)。

 ハラリは本書を40歳で書き上げ、日蓮が「立正安国論」を認(したた)めた39歳とほぼ同齢であるのも興味深い一致だ。日蓮は最明寺入道(北条時頼)に「邪宗への布施を止めて正法(しょうほう/法華経)に帰依せよ」と迫った。日蓮は公場対決(こうじょうたいけつ/公開討論)を望んだが果たせなかった。その意味では対話の人といえるが鎌倉時代ゆえか政治意識がファシズムの域を出ていない。一方ハラリは人類の特長を知性に求めればデータ化されることは必然であると説く。知性が人を支配すると考えれば、実はこれもまたファシズムなのである。

 かつては政治家や学者が「社会の知性」と思われていた。いまだに学歴が重んじられるのも知性重視と考えてよかろう。結局のところ自分より有能な人物に社会の重責を担ってもらいたいと望む精神はファシズムの方向を向いていると言ってよい。民主政と選挙はセットになっているが社会において多数決で物事を決めることはまずない。誰もが民主的な運営は正しいと思いながらも全員で判断を下すことはないのだ。株式会社はやや民主政の要素を取り入れているが実態はファシズムだ。このように知性を重視すればやがてデータに行き着く。AI(人工知能)はビッグデータから相関関係を読み解く。チェスはおろか将棋や囲碁に至るまでAIは人間を打ち負かした。

 日蓮はマントラの人であり、ハラリはヴィパッサナー瞑想の実践者だ。修行の次元ではハラリが勝(まさ)る。

 ハラリの予想と前後してヒトバイクロオームが注目されるようになった。これを私は「知性から腸への回帰」と見る。「頭から肚(はら)へ」と言ってもよい。身体(しんたい)の見直しは古武術に対する脚光や、スポーツで体幹が重視されるようになった事実が雄弁に物語っている。

 私はそれほど未来を悲観していない。人類が岐路に立つ今、知性から野生へと生き方を変えてはどうか。

2019-11-16

イスラエル人歴史学者の恐るべき仏教理解/『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』ユヴァル・ノア・ハラリ


物語の本質~青木勇気『「物語」とは何であるか』への応答
『ものぐさ精神分析』岸田秀
『続 ものぐさ精神分析』岸田秀
『神々の沈黙 意識の誕生と文明の興亡』ジュリアン・ジェインズ
『ユーザーイリュージョン 意識という幻想』トール・ノーレットランダーシュ

 ・読書日記
 ・目次
 ・マクロ歴史学
 ・認知革命~虚構を語り信じる能力
 ・イスラエル人歴史学者の恐るべき仏教理解

・『ハキリアリ 農業を営む奇跡の生物』バート・ヘルドブラー、エドワード・O・ウィルソン
『身体感覚で『論語』を読みなおす。 古代中国の文字から』安田登
『文化がヒトを進化させた 人類の繁栄と〈文化-遺伝子革命〉』ジョセフ・ヘンリック
『家畜化という進化 人間はいかに動物を変えたか』リチャード・C・フランシス
『人類史のなかの定住革命』西田正規
『反穀物の人類史 国家誕生のディープヒストリー』ジェームズ・C・スコット
『文明が不幸をもたらす 病んだ社会の起源』クリストファー・ライアン
『ポスト・ヒューマン誕生 コンピュータが人類の知性を超えるとき』レイ・カーツワイル
『AIは人類を駆逐するのか? 自律(オートノミー)世界の到来』太田裕朗
『Beyond Human 超人類の時代へ 今、医療テクノロジーの最先端で』イブ・ヘロルド
『ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来』ユヴァル・ノア・ハラリ
『21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考』ユヴァル・ノア・ハラリ
『われわれは仮想世界を生きている AI社会のその先の未来を描く「シミュレーション仮説」』リズワン・バーク

世界史の教科書
必読書リストその五

 以上のような立場から、宗教や哲学の多くは、幸福に対して自由主義とはまったく異なる探求方法をとってきた。なかでもとくに興味深いのが、仏教の立場だ。仏教はおそらく、人間の奉じる他のどんな信条と比べても、幸福の問題を重要視していると考えられる。2500年にわたって、仏教は幸福の本質と根源について、体系的に研究してきた。(中略)
 幸福に対する生物学的な探求方法から得られた基本的見解を、仏教も受け容れている。すなわち、幸せは外の世界の出来事ではなく身体の内で起こっている過程に起因するという見識だ。だが仏教は、この共通の見識を出発点としながらも、まったく異なる結論に行き着く。
 仏教によれば、たいていの人は快い感情を幸福とし、不快な感情を苦痛と考えるという。その結果、自分の感情に重要性を認め、ますます多くの喜びを経験することを渇愛し、苦痛を避けるようになる。脚を掻くことであれ、椅子で少しもじもじすることであれ、世界大戦を行なうことであれ、生涯のうちに何をしようと、私たちはただ快い感情を得ようとしているにすぎない。
 だが仏教によれば、そこには問題があるという。私たちの感情は、海の波のように刻一刻と変化する、束の間の心の揺らぎにすぎない。5分前に喜びや人生の意義を感じていても、今はそうした感情は消え去り、悲しくなって意気消沈しているかもしれない。だから快い感情を経験したければ、たえずそれを追い求めるとともに、不快な感情を追い払わなければならない。だが、仮にそれに成功したとしても、ただちに一からやり直さなければならず、自分の苦労に対する永続的な報いはけっして得られない。(中略)
 喜びを経験しているときにさえ、心は満足できない。なぜなら心は、この感情がすぐに消えてしまうことを恐れると同時に、この感情が持続し、強まることを渇愛するからだ。
 人間は、あれやこれやのはかない感情を経験したときではなく、自分の感情はすべて束の間のものであることを理解し、そうした感情を渇愛することをやめたときに初めて、苦しみから解放される。それが仏教で瞑想の修練を積む目的だ。(中略)
 このような考え方は、現代の自由主義の文化とはかけ離れているため、仏教の洞察に初めて接した西洋のニューエイジ運動は、それを自由主義の文脈に置き換え、その内容を一転させてしまった。ニューエイジの諸カルトは、しばしばこう主張する。「幸せかどうかは、外部の条件によって決まるのではない。心の中で何を感じるかによってのみ決まるのだ。富や地位のような外部の成果を追い求めるのをやめ、内なる感情に耳を傾けるべきなのだ」。簡潔に言えば、「幸せは身の内に発す」ということだ。これこそまさに生物学者の主張だが、ブッダの教えとはほぼ正反対だと言える。
 幸福が外部の条件とは無関係であるという点については、ブッダも現代の生物学やニューエイジ運動と意見を同じくしていた。とはいえ、ブッダの洞察のうち、より重要性が高く、はるかに深遠なのは、真の幸福とは私たちの内なる感情とも無関係であるというものだ。事実、自分の感情に重きを置くほど、私たちはそうした感情をいっそう強く渇愛するようになり、苦しみも増す。ブッダが教え諭したのは、外部の成果の追求のみならず、内なる感情の追求をもやめることだった。

【『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』ユヴァル・ノア・ハラリ:柴田裕之〈しばた・やすし〉訳(河出書房新社、2016年)】

 読みながら思わずタップした。少なからず30年ほど仏教を学んできたつもりであったが、私のやってきたことは他人の言葉をただなぞっていただけであったと思い知らされた。変質した日本仏教(特にマントラ系)の信徒であれば理解することさえ難しいだろう。

 たった今、Wikipediaを見たところハラリはヴィパッサナー瞑想の実践者らしい。そりゃそうだろう。歴史学者の知識だけで推し量れるほど仏教の世界は浅くない。

 ブッダは繰り返し「捨てよ」と説いた。不幸の原因である欲望や執着の虜となっている我々が一歩前進するためには自ら「つかんで放す」行動が必要となる。しかしながら実態としては、ただ「放す」「落とす」というニュアンスの方が正確だろう。肩に積もった雪を振り払うように執着を払い落とすことができれば苦悩は行き場を失う。

 本書は「21世紀の古典」であり、学問的常識に位置づけられる作品となるに違いない。

2017-05-20

認知革命~虚構を語り信じる能力/『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』ユヴァル・ノア・ハラリ


物語の本質~青木勇気『「物語」とは何であるか』への応答
『ものぐさ精神分析』岸田秀
『続 ものぐさ精神分析』岸田秀
『神々の沈黙 意識の誕生と文明の興亡』ジュリアン・ジェインズ
『ユーザーイリュージョン 意識という幻想』トール・ノーレットランダーシュ

 ・読書日記
 ・目次
 ・マクロ歴史学
 ・認知革命~虚構を語り信じる能力
 ・イスラエル人歴史学者の恐るべき仏教理解

・『ハキリアリ 農業を営む奇跡の生物』バート・ヘルドブラー、エドワード・O・ウィルソン
『身体感覚で『論語』を読みなおす。 古代中国の文字から』安田登
『文化がヒトを進化させた 人類の繁栄と〈文化-遺伝子革命〉』ジョセフ・ヘンリック
『家畜化という進化 人間はいかに動物を変えたか』リチャード・C・フランシス
『人類史のなかの定住革命』西田正規
『反穀物の人類史 国家誕生のディープヒストリー』ジェームズ・C・スコット
『文明が不幸をもたらす 病んだ社会の起源』クリストファー・ライアン
『ポスト・ヒューマン誕生 コンピュータが人類の知性を超えるとき』レイ・カーツワイル
『AIは人類を駆逐するのか? 自律(オートノミー)世界の到来』太田裕朗
『Beyond Human 超人類の時代へ 今、医療テクノロジーの最先端で』イブ・ヘロルド
『ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来』ユヴァル・ノア・ハラリ
『21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考』ユヴァル・ノア・ハラリ
『われわれは仮想世界を生きている AI社会のその先の未来を描く「シミュレーション仮説」』リズワン・バーク

世界史の教科書
必読書リストその五

 今からおよそ135億年前、いわゆる「ビッグバン」によって、物質、エネルギー、時間、空間が誕生した。私たちの宇宙の根本を成すこれらの要素の物語を「物理学」という。
 物質とエネルギーは、この世に現れてから30万年ほど後に融合し始め、原子と呼ばれる複雑な構造体を成し、やがてその原子が統合して分子ができた。原子と分子とそれらの相互作用の物語を「化学」という。
 およそ38億年前、地球と呼ばれる惑星の上で特定の分子が結合し、格別大きく入り組んだ構造体、すなわち有機体(生物)を形作った。有機体の物語を「生物学」という。
 そしておよそ7万年前、ホモ・サピエンスという種に属する生き物が、なおさら精巧な構造体、すなわち文化を形成し始めた。そうした人間文化のその後の発展を「歴史」という。
 歴史の道筋は、三つの重要な革命が決めた。約7万年前に歴史を始動させた認知革命、約1万2000年前に歴史の流れを加速させた農業革命、そしてわずか500年前に始まった科学革命だ。三つ目の科学革命は、歴史に終止符を打ち、何かまったく異なる展開を引き起こす可能性が十分ある。本書ではこれら三つの革命が、人類をはじめ、この地上の生きとし生けるものにどのような影響を与えてきたのかという物語を綴っていく。

【『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』(上下)ユヴァル・ノア・ハラリ:柴田裕之〈しばた・やすし〉訳(河出書房新社、2016年)以下同】

 高い視点が抽象度を上げる(『心の操縦術 真実のリーダーとマインドオペレーション』苫米地英人)。しゃがんだ位置から見える世界と高層ビルから見下ろす世界は異なる。宇宙空間から俯瞰すれば全くの別世界が開ける。

 約7万年前から約3万年前にかけて、人類は舟やランプ、弓矢、針(暖かい服を縫うのに不可欠)を発明した。芸術と呼んで差し支えない最初の品々も、この時期にさかのぼるし、宗教や交易、社会的階層化の最初の明白な証拠にしても同じだ。
 ほとんどの研究者は、こられの前例のない偉業は、サピエンスの認知的能力に起こった革命の産物だと考えている。(中略)
 このように7万年前から3万年前にかけて見られた、新しい思考と意思疎通の方法の登場のことを「認知革命」という。


 歴史の痕跡が人類における革命を物語っている。認知革命とは言葉の獲得によって虚構(フィクション)を想像し、虚構を共有することで集団の協力が可能となったことを意味する。言語-社会化という図式は誰もが何となく気づくことだが、実は言語そのものが虚構である。

 共同が協働に結びつき、その過程で表現する力が養われたのだろう。「見てくれる人」がいなければ表現という欲求は生まれない。そして新たな表現が言葉をより豊かに発展させ神話や宗教が生まれる。

 伝説や神話、神々、宗教は、認知革命に伴って初めて現れた。それまでも、「気をつけろ! ライオンだ!」と言える動物や人類種は多くいた。だがホモ・サピエンスは認知革命のおかげで、「ライオンはわが部族の守護霊だ」と言う能力を獲得した。虚構、すなわち架空の事物について語るこの能力こそが、サピエンスの言語の特徴として異彩を放っている。
 現実には存在しないものについて語り、『鏡の国のアリス』ではないけれど、ありえないことを朝食前に六つも信じられるのはホモ・サピエンスだけであるという点には、比較的容易に同意してもらえるだろう。(中略)
 だが虚構のおかげで、私たちはたんに物事を想像するだけではなく、【集団】でそうできるようになった。聖書の天地創造の物語や、オーストラリア先住民の「夢の時代(天地創造の時代)」の神話、近代国家の国民主義の神話のような、共通の神話を私たちは紡ぎ出すことができる。そのような神話は、大勢で柔軟に協力するという空前の能力をサピエンスに与える。アリやミツバチも大勢でいっしょに働けるが、彼らのやり方は融通が利かず、近親者としかうまくいかない。オオカミやチンパンジーはアリよりもはるかに柔軟な形で力を合わせるが、少数のごく親密な個体とでなければ駄目だ。ところがサピエンスは、無数の赤の他人と著しく柔軟な形で協力できる。だからこそサピエンスが世界を支配し、アリは私たちの残り物を食べ、チンパンジーは動物園や研究室に閉じ込められているのだ。

 たぶん宗教は天候不良や災害の説明から始まったのだろう。雷を「天(神)の怒り」と想像するのはそれほど難しいことではない。日本では稲妻(元は稲夫〈いなづま〉)が受精して米という実りをもたらすと考えられてきた。

 岸田秀が語った「共同幻想」をユヴァル・ノア・ハラリはより学術的に精緻な検証を試みる。信仰や政治、そして恋愛や戦争もフィクションなのだろうか? そうだとすれば我々が感じる幸不幸は妄想である可能性が高い。

 我々は何となく言葉の虚構性に気づいている。だからこそスポーツに熱狂し、歌詞のない音楽の虜(とりこ)となり、性行為に溺れるのだろう。本来であれば言葉はコミュニケーションの道具に過ぎないのだが、言葉以外のコミュニケーションを失ってしまった。

「理解というものは、私たち、つまり私とあなたが、同時に、同じレベルで出会うときに生まれてきます」(『自我の終焉 絶対自由への道』J・クリシュナムーティ)。人間と人間の出会いを言葉が妨げている。知識はあっても知性を欠き、語られる愛情は欲望に基づいている。

 虚構は国家という大きさにまで拡張した。更に大きな虚構を人類は手にすることができるのだろうか? それとも虚構を捨て去って全く新しい生き方に目覚めるのだろうか?



信じることと騙されること/『日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか』内山節
現代の華厳経/『アファメーション』ルー・タイス
人種差別というバイアス/『隠れた脳 好み、道徳、市場、集団を操る無意識の科学』シャンカール・ヴェダンタム

2017-04-10

マクロ歴史学/『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』ユヴァル・ノア・ハラリ


物語の本質~青木勇気『「物語」とは何であるか』への応答
『ものぐさ精神分析』岸田秀
『続 ものぐさ精神分析』岸田秀
『神々の沈黙 意識の誕生と文明の興亡』ジュリアン・ジェインズ
『ユーザーイリュージョン 意識という幻想』トール・ノーレットランダーシュ

 ・読書日記
 ・目次
 ・マクロ歴史学
 ・認知革命~虚構を語り信じる能力
 ・イスラエル人歴史学者の恐るべき仏教理解

・『ハキリアリ 農業を営む奇跡の生物』バート・ヘルドブラー、エドワード・O・ウィルソン
『身体感覚で『論語』を読みなおす。 古代中国の文字から』安田登
『文化がヒトを進化させた 人類の繁栄と〈文化-遺伝子革命〉』ジョセフ・ヘンリック
『家畜化という進化 人間はいかに動物を変えたか』リチャード・C・フランシス
『人類史のなかの定住革命』西田正規
『反穀物の人類史 国家誕生のディープヒストリー』ジェームズ・C・スコット
『文明が不幸をもたらす 病んだ社会の起源』クリストファー・ライアン
『ポスト・ヒューマン誕生 コンピュータが人類の知性を超えるとき』レイ・カーツワイル
『AIは人類を駆逐するのか? 自律(オートノミー)世界の到来』太田裕朗
『Beyond Human 超人類の時代へ 今、医療テクノロジーの最先端で』イブ・ヘロルド
『ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来』ユヴァル・ノア・ハラリ
『21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考』ユヴァル・ノア・ハラリ
『われわれは仮想世界を生きている AI社会のその先の未来を描く「シミュレーション仮説」』リズワン・バーク

世界史の教科書
必読書リストその五

歴史年表

 135億年前 物質とエネルギーが現れる。物理現象の始まり。
       原子と分子が現れる。化学的現象の始まり。
 45億年前 地球という惑星が形成される。
 38億年前 有機体(生物)が出現する。生物学的現象の始まり。
 600万年前 ヒトとチンパンジーの最後の共通の祖先。
 250万年前 アフリカでホモ(ヒト)属が進化する。最初の石器。
(中略)
 30万年前 火が日常的に使われるようになる。
(中略)
 7万年前 認知革命が起こる。虚構の言語が出現する。
      歴史的現象の始まり。(中略)
 1万2000年前 農業革命が起こる。植物の栽培化と動物の家畜化。永続的な定住。
 5000年前 最初の王国、書紀体系、貨幣。多神教。
 4250年前 最初の帝国――サルゴンのアッカド帝国。
 2500年前 硬貨の発明――普遍的な貨幣。
       ペルシア帝国――「全人類のため」の普遍的な政治的秩序。
       インドの仏教――「衆生を苦しみから解放するため」の普遍的な真理。
 2000年前 中国の漢帝国。地中海のローマ帝国。キリスト教。
 1400年前 イスラム教。
 500年前 科学革命が起こる。
      人類は自らの無知を認め、空前の力を獲得し始める。
      ヨーロッパ人がアメリカ大陸と各海洋を征服し始める。
      地球全体が単一の歴史的領域となる。
      資本主義が台頭する。
 200年前 産業革命が起こる。
      家族とコミュニティが国家と市場に取って代わられる。
      動植物の大規模な絶滅が起こる。
 今日 人類が地球という惑星の境界を超越する。
    核兵器が人類の生存を脅かす。
    生物が自然選択ではなく知的設計によって形作られることがしだいに多くなる。
 未来 知的設計が生命の基本原理となるか?
    ホモ・サピエンスが超人たちに取って代わられるか?

【『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』(上下)ユヴァル・ノア・ハラリ:柴田裕之〈しばた・やすし〉訳(河出書房新社、2016年)】

 致し方なくラベルを「世界史」にしてあるが正確には「人類史」である。恐ろしく抽象度の高い視点で人類の歴史を振り返っても見通せる未来は短い。科学革命~産業革命を経て情報革命に至ると技術進化の速度は限界に近づく。シンギュラリティ(技術的特異点/※想定では2045年)を超えればヒトは主役の座から引きずり降ろされるに違いない。

 ユヴァル・ノア・ハラリが示すマクロ歴史学の視点は人類史を生老病死にまで圧縮する。人生において「虚構の言語が出現する」のは3歳前後であり、「歴史的現象」としての人の一生が始まる。それぞれの革命期は青壮年時代といってよい。今後のイノベーション(技術革新)は老化する肉体を補い、脳を生き永らえさせることが重視される。ヒトは情報として扱われダウンロードやアップロードさえ可能となる。

 人類の進化とは環境への適応だけにとどまるものではない。農業革命、都市革命、精神革命、科学革命という変遷は【むしろ環境をヒトに適応させる営みであった】。ポスト・ヒューマン(人間以後)の時代に到来するのは宇宙革命である。知性とコンピュータを融合し宇宙全体を地球化する壮大な営みが開始されることだろう。

 マクロ歴史学という壮大な時間スケールが自分の存在を一つの点にまで押し縮める。数百億の人々が生まれては死に、歴史は断続的に切り取り線上を進んでゆくのだろう。個々の動きはブラウン運動のようにバラバラでも少し離れて見れば一定の方向に流れているのがわかる。

 原子のような存在でありながらも歴史を自覚し得るのは人間だけである。

2017-03-20

目次/『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』ユヴァル・ノア・ハラリ


物語の本質~青木勇気『「物語」とは何であるか』への応答
『ものぐさ精神分析』岸田秀
『続 ものぐさ精神分析』岸田秀
『神々の沈黙 意識の誕生と文明の興亡』ジュリアン・ジェインズ
『ユーザーイリュージョン 意識という幻想』トール・ノーレットランダーシュ
『AIは人類を駆逐するのか? 自律(オートノミー)世界の到来』太田裕朗

 ・読書日記
 ・目次
 ・マクロ歴史学
 ・認知革命~虚構を語り信じる能力
 ・イスラエル人歴史学者の恐るべき仏教理解

・『ハキリアリ 農業を営む奇跡の生物』バート・ヘルドブラー、エドワード・O・ウィルソン
『身体感覚で『論語』を読みなおす。 古代中国の文字から』安田登
『ポスト・ヒューマン誕生 コンピュータが人類の知性を超えるとき』レイ・カーツワイル
『Beyond Human 超人類の時代へ 今、医療テクノロジーの最先端で』イブ・ヘロルド
『遺伝子 親密なる人類史』シッダールタ・ムカジー
『ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来』ユヴァル・ノア・ハラリ
『21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考』ユヴァル・ノア・ハラリ
『われわれは仮想世界を生きている AI社会のその先の未来を描く「シミュレーション仮説」』リズワン・バーク

世界史の教科書
必読書リストその五

 第1部 認知革命

  第1章 唯一生き延びた人類種
      不真面目な秘密/思考力の代償/調理をする動物/兄弟たちはどうなったか?

  第2章 虚構が協力を可能にした
      プジョー伝説/ゲノムを迂回する/歴史と生物学

  第3章 狩猟採集民の豊かな暮らし
      原初の豊かな社会/口を利く死者の霊/平和か戦争か?/沈黙の帳

  第4章 市場最も危険な種
      告発のとおり有罪/オオナマケモノの最期/ノアの方舟

 第2部 農業革命

  第5章 農耕がもたらした繁栄と悲劇
      贅沢の罠/聖なる介入/革命の犠牲者たち

  第6章 神話による社会の拡大
      未来に関する懸念/想像上の秩序/真の信奉者たち/脱出不能の監獄

  第7章 書記体系の発明
      「クシム」という署名/官僚制の脅威/数の言語

  第8章 想像上のヒエラルキーと差別
      悪循環/アメリカ大陸における清浄/男女間の格差/生物学的な性別と社会的・文化的性別/男性のどこがそれほど優れているのか?/能力/攻撃性/家父長制の遺伝子

 第3部 人類の統一

  第9章 統一へ向かう世界
      歴史は統一に向かって進み続ける/グローバルなビジョン

  第10章 最強の征服者、貨幣
      物々交換の限界/貝殻とタバコ/貨幣はどのように機能するのか?/金の福音/貨幣の代償

  第11章 グローバル化を進める帝国のビジョン
      帝国とは何か?/悪の帝国?/これはお前たちのためなのだ/「彼ら」が「私たち」になるとき/歴史の中の前任と悪人/新しいグローバル帝国
  第12章 宗教という超人間的秩序
      神々の台頭と人類の地位/偶像崇拝の恩恵/神は一つ/善と悪の戦い/自然の法則/人間の崇拝

  第13章 歴史の必然と謎めいた選択
      1 後知恵の誤謬/2 盲目のクレイオ

 第4部 科学革命

  第14章 無知の発見と近代科学の成立
      無知な人/科学界の教義/知は力/進歩の理想/ギルガメシュ・プロジェクト/科学を気前良く援助する人々

  第15章 科学と帝国の融合
      なぜヨーロッパなのか?/征服の精神構造/空白のある地図/宇宙からの侵略/帝国が支援した近代科学

  第16章 拡大するパイという資本主義のマジック
      拡大するパイ/コロンブス、投資家を探す/資本の名の下に/自由市場というカルト/資本主義の地獄

  第17章 産業の推進力
      熱を運動に変換する/エネルギーの大洋/ベルトコンベヤー上の命/ショッピングの時代

  第18章 国家と市場経済がもたらした世界平和
      近代の時間/家族とコミュニティの崩壊/想像上のコミュニティ/変化し続ける近代社会/現代の平和/帝国の撤退/原子の平和

  第19章 文明は人間を幸福にしたのか
      幸福度を測る/化学から見た幸福/人生の意義/汝自身を知れ

  第20章 超ホモ・サピエンスの時代へ
      マウスとヒトの合成/ネアンデルタール人の復活/バイオニック生命体/別の生命/特異点(シンギュラリティ)/フランケンシュタインの予言

      あとがき――神になった動物

【『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』(上下)ユヴァル・ノア・ハラリ:柴田裕之〈しばた・やすし〉訳(河出書房新社、2016年)】

 2016年に読んだ本第1位である。ユヴァル・ノア・ハラリはイスラエルの歴史学者。まあ凄いのが出てきたもんだ。しかもまだ41歳という若さ。

 今、入力し終えてから気づいたのだが目次はamazonにも掲載されていた。大失敗。当ブログに目次を書くのは飽くまでも自分用で、調べ物があった際の手掛かりとして残すのが目的である。頭の中の空いた抽斗(ひきだし)がかなり少なくなっているため。

 ま、村上春樹の新作なんぞどうでもいいから本書を読むこった。


高砂族にはフィクションという概念がなかった/『台湾高砂族の音楽』黒沢隆朝
『カミの人類学 不思議の場所をめぐって』岩田慶治