2020-12-02

日本経済を崩壊に導いた日本銀行/『円の支配者 誰が日本経済を崩壊させたのか』リチャード・A・ヴェルナー


『ギャンブルトレーダー ポーカーで分かる相場と金融の心理学』アーロン・ブラウン
『洗脳支配 日本人に富を貢がせるマインドコントロールのすべて』苫米地英人
『税金を払う奴はバカ! 搾取され続けている日本人に告ぐ』大村大次郎
『国債は買ってはいけない! 誰でも儲かるお金の話』武田邦彦
『平成経済20年史』紺谷典子
『独りファシズム つまり生命は資本に翻弄され続けるのか?』響堂雪乃

 ・日本経済を崩壊に導いた日本銀行

必読書リスト その二

 日本は1990年代を通じて高度成長できたはずだ。日銀がそう望みさえすれば、である。しかし、日銀幹部の見方によれば、「大事なことは、一時的な経済成長率の引き上げをめざすのではなく、腰をすえて構造的課題の解決に取り組むことではないかと思います」

【『円の支配者 誰が日本経済を崩壊させたのか』リチャード・A・ヴェルナー:吉田利子訳(草思社、2001年)以下同】

 日本銀行(にっぽんぎんこう)は財務省所管の認可法人である。政府の子会社といってよい。にも関わらず勝手な真似をすることが「日銀の独立性」として長く容認されてきた。まともな経済論議が見受けられるようになったのは「失われた10年」を経た後のことと記憶している。その先鞭をつけたのが元財務官僚の高橋洋一であった。続いて三橋貴明渡邉哲也上念司ら1969年生まれが綺羅星の如く登場した。彼らの功績は決して小さなものではない。それまでの経済学者が日銀に対してどのような見解を述べたかは知らないが、国民に届くような声を発してこなかったのは確かだろう。

 経済的な知識が弱いため、この手の書評を記すとなると膨大な量の検索を迫られる。場末ブロガーである私ですら公開する文章だとそれほどの慎重さが求められるのだ。フェイクニュースという代物は明らかに何らかの意図に基づいて書かれたものだろう。

 リチャード・ヴェルナーはドイツ人学者で日本にも留学した経験がある。世界経済が低迷する中で量的緩和を主導した大物である。

 だが、(※日銀法改正)法案は通った。そのために、政府は現在、最も重要な政策である金融政策をコントロールできなくなっている。2001年はじめに株価が下がったあと、多くの政治家は日銀総裁の退陣を求めた。だが速水総裁は以前にこう述べていた。「雇用調整、人員の再配備など、いずれも、これまでの経済や社会の仕組みの見直しを迫るものであります。その過程ではさまざまな痛みが伴うことは避けられません」。つまり、日本人は終身雇用をあきらめ、雇用の不安定化という現実に直面すべきだというのだ。ただし彼の雇用の安定は保証されていた。本人が自発的に辞任しないかぎり、政府には彼をクビにする術がない。また新しい日銀法に照らせば、彼は何ら悪いことをしえちない。中央銀行は健やかな経済成長を達成すべきだとは記されていないからである。
 政治家が意志を実現するメカニズムはない。政府代表は日銀に立ち入って帳簿を監査したり、適切に運営されているかどうかをチェックすることさえできない。日銀は法律を超越し、民主的機関を超越している。景気がよくなるか悪くなるかを決定するのは政府ではなく、日銀だ。

 日銀は大蔵省ですらコントロール不能に陥っていた。大蔵省出身者が日銀総裁になると実権は副総裁が握ったという。独立性というよりも通貨発行権に基づく権力強化を目的にしたと考えてよさそうだ。

 敗戦でも変わらなかったものがあるとすれば、それは官僚支配である。官僚は昆虫を操る寄生虫(『したたかな寄生 脳と体を乗っ取り巧みに操る生物たち』成田聡子)のように国家を操る。

 この国に真のジャーナリズムは存在しない。それゆえ彼らはテロの犠牲となることがないのだろう。

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