・『あなたの歩き方が劇的に変わる! 驚異の大転子ウォーキング』みやすのんき
・バウンディング
・シザース動作とプライオメトリクストレーニング
・『ランニング王国を生きる 文化人類学者がエチオピアで走りながら考えたこと』マイケル・クローリー
・身体革命
・必読書リスト その二
足の回転を速くする「シザース動作」
以前、全国高校駅伝の名門、豊川工業のグラウンドに「接地前に反対足をまたぎ越せ!」という木の看板がある写真を見ました。みなさんはどういう意味かわかりますか? 私は最初、何を意味しているのかわかりませんでした。
陸上競技の世界でよく使われる言葉で「シザース動作」というものがあります。簡単にいうと、前の足が着地する前に後ろの足が前の足を追い越す、といった動作です。
先ほどのA図のような間延びした走りにならないために、必ず身につけなくてはならない動きなのです。足は常に身体の前で回転させる意識です。例えていうならば、ママチャリでのペダリング動作に似ています。着地した足のキックと空中スイングして前に戻る足のパワー出力のタイミングをシンクロさせると、相互作用でより効率的に足が回転します。
【『走れ!マンガ家 ひぃこらサブスリー 運動オンチで85kg 52歳フルマラソン挑戦記!』みやすのんき(実業之日本社、2015年)】
「バウンディング」で私が注目したのは腸腰筋の動きだが、本来の目的はシザース動作にある。読んだだけではピンと来ないと思うので動画を紹介しよう。
【シザース1】シザースについて説明します。陸上競技用語で「前足が着地する前に後ろ足の膝が追い越す」動作。私の本ではお馴染みですよね。どうやっていいのかわからない?いえいえ、その場で駆け足してみて下さい。必ずシザース動作になるはず。短距離走は必須、長距離走でも大切。レッツトライ! pic.twitter.com/i2Sgpe6IeJ
— みやすのんき@RUN垢 (@MiyasuNonki) March 5, 2019
【シザース2】腿上げというより意識するのは足を回すタイミング。シザース動作がないと、着地する足の膝や足首が一旦沈みこんでから、ハムストやお尻でキックする無駄な上下動が入ります。シザース動作を入れると股関節のみを回す動きになります。接地時間が短くなり、足の回転がとても速くなります。 pic.twitter.com/t0oXQrrfbY
— みやすのんき@RUN垢 (@MiyasuNonki) March 6, 2019
「シザースのイメージが湧きません。どうしたら出来るようになりますか?」こんな感じの練習すれば一発で身に付きます。この動画ほど速く走らなくてもおそらく勝手にシザースになります。大切なのは体が覚えたイメージを普段のジョグでも再現できるかどうか。そこは忘れないように反復ですね。 pic.twitter.com/roGsWuhEx1
— みやすのんき@RUN垢 (@MiyasuNonki) May 6, 2019
上記テキストの直後に書かれているのだが着地は体の真下で行う。そりゃそうだわな。両脚を体より前に出すことはできないから。そして地面からの反力を使うためにはプライオメトリクストレーニングが効果的だ。
昨日、20kmのウォーキングをしたのだが10kmのランニングよりも疲れた。やはりウォーキングだと地面からの反力を使えないためだろう。バスケットボールを持って歩くのとドリブルしながら歩く違いのようなものか。
身体のメカニズムを合理的に動かすことはもちろん大切だが、もっと重要なことは体の内なる声に耳を傾けることである。私は走りながら「果たして江戸時代の飛脚がシザース動作を知っていただろうか?」と問う。今に伝わるのは上半身を捻(ひね)らないナンバ走りだけだ。安藤友香〈あんどう・ゆか〉の忍者走りがナンバである。飛脚は三尺(91cm)の棒を担いで走っているため上半身を捻らないのは当然である。武道の動きにも捻る動作はない。骨盤と体幹は同じ方向に動くのが基本である。
身体の合理性とは力を抜くことだ。つまり少し疲れた頃から体は自然な動きを始める。理窟(りくつ)だけだと体が縛られてしまう。体が本来持っている知恵のようなものを解き放つところに運動の目的はある。