2021-07-29

小山田ウォーク/『トップアスリートに伝授した 勝利を呼び込む身体感覚の磨きかた』小山田良治、小田伸午


『病気の9割は歩くだけで治る! 歩行が人生を変える29の理由 簡単、無料で医者いらず』長尾和宏
『病気の9割は歩くだけで治る!PART2 体と心の病に効く最強の治療法』長尾和宏
『ウォーキングの科学 10歳若返る、本当に効果的な歩き方』能勢博
『ランニングする前に読む本 最短で結果を出す科学的トレーニング』田中宏暁
『サピエンス異変 新たな時代「人新世」の衝撃』ヴァイバー・クリガン=リード
『脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか 生き物の「動き」と「形」の40億年』マット・ウィルキンソン
『アルツハイマー病は治る 早期から始める認知症治療』ミヒャエル・ネールス
『一流の頭脳』アンダース・ハンセン
『ウォークス 歩くことの精神史』レベッカ・ソルニット
『トレイルズ 「道」と歩くことの哲学』ロバート・ムーア
『「体幹」ウォーキング』金哲彦
『高岡英夫の歩き革命』、『高岡英夫のゆるウォーク 自然の力を呼び戻す』高岡英夫:小松美冬構成
『あらゆる不調が解決する 最高の歩き方』園原健弘
『あなたの歩き方が劇的に変わる! 驚異の大転子ウォーキング』みやすのんき
ナンバ歩きと古の歩術
『表の体育・裏の体育』甲野善紀
『「筋肉」よりも「骨」を使え!』甲野善紀、松村卓
『ナンバ走り 古武術の動きを実践する』矢野龍彦、金田伸夫、織田淳太郎
『ナンバの身体論 体が喜ぶ動きを探求する』矢野龍彦、金田伸夫、長谷川智、古谷一郎
『ナンバ式!元気生活 疲れを知らない生活術』矢野龍彦、長谷川智
『本当のナンバ 常歩(なみあし)』木寺英史
『健康で長生きしたけりゃ、膝は伸ばさず歩きなさい。』木寺英史
『常歩(なみあし)式スポーツ上達法』常歩研究会編、小田伸午、木寺英史、小山田良治、河原敏男、森田英二
『スポーツ選手なら知っておきたい「からだ」のこと』小田伸午

 ・小山田ウォーク

『間違いだらけのウォーキング 歩き方を変えれば痛みがとれる』木寺英史
『身体構造力 日本人のからだと思考の関係論』伊東義晃
『「疲れない身体」をいっきに手に入れる本 目・耳・口・鼻の使い方を変えるだけで身体の芯から楽になる!』藤本靖

身体革命
必読書リスト その二

小田●じゃあいこうか。LSD。Long Slow Distance。良ちゃん(小山田)と出会ってもう20年たつけど、昔、小山田ウォークってありましたね。このなかで、やれる人いる? ちょっと小山田ウォークやってみて。ターンオーバーの一番いい練習なんだよ。

小山田●あ、浅井ができます。足関節の動きを抑えて、股関節の伸展と膝関節の伸展を同時にやるヤツ。後ろで膝が伸びて、前方では膝が曲がって着地する。前方は膝伸ばさなくて、後方で膝伸ばす(図166)。
小田●これがLSDの走り?

小山田●ハムストリングを一番効率よく使うトレーニングということで入ったのが小山田ウォークです。

小田●今回の本でハムストリングの話が出てくるけど、20年前にハムストリングから入ってるの。

小山田●はい。あの時から頭にあったことを、今回は細かく書きました。

小田●LSDの Slow に一番意味があるんですね。

小山田●そうです。 Slow に。

小田●何で Slow を考えたの?

小山田●雑に運動するんじゃなくて、一番低速で丁寧な動きをすることで、高速でもその丁寧な動きを維持できるんじゃないかというところが始まりなんです。

小田●浅井さん、山内さん、最初に小山田さんからLSDをどういう言葉で聞いた? 代々変わっていって、人によって聞いた言葉がちょっと違うと思うよ。

浅井●僕は12年前かな。この治療院へ来だした時ですね。まず前脛骨筋にテンションを入れながら、長い距離をゆっくり乗りなさいって言われました。

小田●これこれ。この「ゆっくり」が大事なんだ。

浅井●50kmの距離を3時間、4時間かけて載るぐらいの感じ。ふつうなら1時間半、2時間くらいでいけますよね。

小田●それはかえって難しいことなの?

浅井●難しいっていうか、スタートして10分くらいでもう足がつってきます。当時は脛のあたりと足の裏がつってましたね。

小田●脛骨筋と足底か。この話は、普通わからないよねえ。ゆっくりやる練習が一番楽なのかなって思いますよね。

小山田●ゆっくりやっていますが、その分、力を入れたものが抜けないじゃないですか。抜けない状態を長く続けなきゃいけないから、そこがまずはもう持久力ですよね。

小田●力を入れておくところと、入れておかないところがある。

小山田●そうですそうです。脱力と入力ですよね。

小田●入力は脛骨筋?

小山田●脛骨筋はずっと出力を掛けてなきゃいけないので。

小田●これも世間では珍しい話なんだよね。

【『トップアスリートに伝授した 勝利を呼び込む身体感覚の磨きかた』小山田良治〈おやまだ・りょうじ〉、小田伸午〈おだ・しんご〉(創元社、2019年)】

 競輪選手の山内卓也〈やまうち・たくや〉、浅井康太〈あさい・こうた〉を交えた座談会から。あちこちに火花を放つ言葉が出てくる。プロスポーツ選手の高い意識が高山の冠雪を思わせる。

 3ヶ月ほど要して私の常歩(なみあし)アプローチは、腿に手を置き、右足を前に出すタイミングで右肩甲骨を中央に寄せる(内旋)というやり方に落ち着いた。最初は矢野式ナンバで右胸骨を上げていた。肩甲骨を外旋するやり方もあるのだが、どうも歩きにくかった。

 そしてこのテキストに遭遇した。頭の中で電球が灯(とも)った。思わず「これだよ、これ!」と欣喜雀躍した。実践する前から得心した。疑問を手放さなければ答えは必ず見つかるものだ。

 BABジャパンで「小山田ウォーク」の本を企画してもらいたい。

 慣れるまでは少し難しく感じるが、実は当たり前のように行っていることに気づいた。我々は坂道の上り下りや、砂浜を歩く時、自然に小山田ウォークとなっているのだ。それゆえ平坦な道では膝抜きを大袈裟にやるくらいでいい。実際は階段を下りる時の足使いなのだが、腰を落として歩く意識で行えば感覚がつかめる。

 少し時間ができたので駆け足で紹介してきた。今となっては金哲彦~みやすのんきは読まなくてもいいように思うが、ナンバや常歩(なみあし)を理解するためには通っておくべき必要な道である。上記リンクで紹介した書籍は、ウォーキングを勧める医師ですら知らない情報である。政府が社会保障費の抑制を本気で考えているのであれば、常歩研究会に多額の助成金を出し、彼らが活躍できる場を用意するのが一番の近道である。

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