2014-09-25

孫崎享


 1冊読了。

 67冊目『戦後史の正体 1945-2012』孫崎享〈まごさき・うける〉(創元社、2012年)/朝日新聞の書評欄で佐々木俊尚が「陰謀論」と切り捨てた。それに対して郷原信郎〈ごうはら・のぶろう〉が反論。ネット上では「トンデモ本」とかまびすしい。ラジオで佐藤優が孫崎の言論活動に対して「日本の国益を損なう」と発言したのを聞いて、これは読まねばと思った次第である。佐藤優の著作を数冊読んだ限りでは、どうも肝心なことを書いていないような気がする。むしろ該博な知識をもって何かを隠しているようにすら見える。著者は対米追随派と対米自主派という枠組みで歴代首相を捉え、アメリカとの綱引きによって日本がどのように動いてきたかを検証する。陰謀論・トンデモ本と一言で片付けるわけにはいかない労作である。本書は既に20万部以上売れている。売れれば売れた分だけ批判が出ることは避けようがない。でもまあ、ナオミ・クラインの『ショック・ドクトリン』を読めば、孫崎の主張がそれほどおかしいとは思えない。いずれにせよ日本人がGHQによる占領の意味を考える上で重要なテキストだと思う。この分量で1620円は破格の値段だ。

天木直人:孫崎享氏と対談した事について書く
「孫崎亨氏の解釈間違」佐藤優

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