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2022-02-16

鼻うがいには生理食塩水や洗浄液を使う/『つらい不調が続いたら 慢性上咽頭炎を治しなさい』堀田修


『人は口から死んでいく 人生100年時代を健康に生きるコツ!』安藤正之
『長生きは「唾液」で決まる! 「口」ストレッチで全身が健康になる』植田耕一郎
『ずっと健康でいたいなら唾液力をきたえなさい!』槻木恵一
『舌(べろ)トレ 免疫力を上げ自律神経を整える』今井一彰
『舌をみれば病気がわかる 中医学に基づく『舌診』で毎日できる健康セルフチェック』幸井俊高
『あなたの老いは舌から始まる 今日からできる口の中のケアのすべて』菊谷武
『肺炎がいやなら、のどを鍛えなさい』西山耕一郎
『誤嚥性肺炎で死にたくなければのど筋トレしなさい』西山耕一郎
『病気が治る鼻うがい健康法 体の不調は慢性上咽頭炎がつくる』堀田修

 ・鼻うがい
 ・鼻うがいには生理食塩水や洗浄液を使う

鼻うがいのやり方

身体革命

 効果はEATには及びませんが、慢性上咽頭炎の改善に有効で、かつ自分でできる方法をいくつかご紹介しましょう。
 なんらかの理由で、上咽頭擦過療法を受けられないという方は、ぜひこれらの方法を試してみてください。いずれも、毎日自宅でできるので、耳鼻科でEATを実施している人の補助療法としてもお勧めです。

 最初にお勧めするのは、【少量の生理食塩水を用いた上咽頭洗浄】です。

 まず座った状態で頭を60度以上後ろに倒すか、上向きに寝た状態で生理食塩水をそれぞれの鼻にスポイトなどの容器を用いて2cc程度入れます。
 鼻から入れた食塩水は口から出してもいいですが、少量なのでそのまま飲み込んでもかまいません。
 起床時と風呂上がりなど、1日に2回は行ってください。

 生理食塩水とは水1000ccに食塩が9g入ったものをいいます。使用する水は残留塩素が含まれている水道水ではなく、蒸留水か精製水が望ましいですが、自販機やコンビニ等で入手できるミネラルウォーターでも可能です。
 水500ccに小さじ3分の2程度の食塩を(正確に0.9%に調整する必要はありません)加えて溶液を作ったら、1回に使用する量が少ないため冷蔵庫に保存しておくとよいでしょう。

【『つらい不調が続いたら 慢性上咽頭炎を治しなさい』堀田修〈ほった・おさむ〉(あさ出版、2018年)】

 洗浄液のお勧めは以下の通りである。

・ミサトールリノローション(アダバイオ社)
・プレフィア(グローバルアイ社)
・MSMプレフィア(グローバルアイ社)

「梅肉エキスが代用になる」とのアマゾンレビューもある。

 カネのかからない生理食塩水から試すのが王道だ。

食事と自律神経の関係/『病気が治る鼻うがい健康法 体の不調は慢性上咽頭炎がつくる』堀田修


 ・食事と自律神経の関係

『つらい不調が続いたら 慢性上咽頭炎を治しなさい』堀田修
鼻うがいのやり方

 一方、食事と自律神経の関係ですが、1食を5分以内で食べ終わるほどの早食いは交感神経優位の状態で、奥歯でよく噛んで十分に時間をかけて食事をする場合は副交感神経優位の状態です。そして、消化吸収時には副交感神経が働いて消化を促進します。ところがリラックスさせる副交感神経も、活発になりすぎるとアレルギー症状をひきおこしますので、バランスが大切といえます。
 食事の内容も影響します。肉食に偏っていると交感神経優位の状態をもたらし、野菜を中心とした食事をしていると副交感神経優位の状態をつくります。なぜなら、肉類はアミノ酸からつくられる酸性食品なので消化時間が短く交感神経を活発にさせ、野菜はアルカリ食品から活性酸素を奪って副交感神経を活発にさせます。
 事実、「アデノイドが腫れている子どもは偏食である」ということは、山崎氏が活躍した1960年代以前からよく知られていたことです。偏食が自律神経に影響して免疫システムを乱れさせるため、慢性上咽頭炎の発症に関係しているだろうことは、十分に考えられます。

【『病気が治る鼻うがい健康法 体の不調は慢性上咽頭炎がつくる』堀田修〈ほった・ほさむ〉(角川マーケティング、2011年)】

 交感神経優位とは昂奮状態である。肉食人種が戦闘的なのもむべなるかな。『つらい不調』よりも少しばかり臨床的な記述が目立つ。ただし堀田は著作が多いので、やはり新刊優先で考えた方がよかろう。


 一見してわかるように上咽頭は体外と体内の接点である(※喉や腸は体外という説もあるが)。言わば体内の入り口で異物を排除しているのが鼻や口であり、もう一歩進んだところに上咽頭が鎮座する。侵入を許してしまうと白血球の出番となるわけだが、時にウイルスや最近は獅子身中の虫となる。

 自律神経失調症は症状が多岐にわたっていてドクターの所見は意外と当てにならない。通院してもよくならない場合は上咽頭炎を疑うべきだろう。

2022-01-13

窒息を知らせるチョークサインを広めよう/『誤嚥性肺炎で死にたくなければのど筋トレしなさい』西山耕一郎


『人は口から死んでいく 人生100年時代を健康に生きるコツ!』安藤正之
『長生きは「唾液」で決まる! 「口」ストレッチで全身が健康になる』植田耕一郎
『ずっと健康でいたいなら唾液力をきたえなさい!』槻木恵一
『舌(べろ)トレ 免疫力を上げ自律神経を整える』今井一彰
『舌をみれば病気がわかる 中医学に基づく『舌診』で毎日できる健康セルフチェック』幸井俊高
『あなたの老いは舌から始まる 今日からできる口の中のケアのすべて』菊谷武
『肺炎がいやなら、のどを鍛えなさい』西山耕一郎

 ・窒息を知らせるチョークサインを広めよう

『つらい不調が続いたら 慢性上咽頭炎を治しなさい』堀田修

身体革命

「声のかすれ」や「人とあまりしゃべらない」ことと同じなのですが、「声が小さくなること」も、のどの老化のサインです。
 声帯は声を大きく出すほど大きく動きます。もともと声が小さい人は、それだけのどが老化しやすい、ということになりますし、年をとって大きい声が出せなくなった場合は、のどの筋肉が衰えているサインです。
 声帯を動かす筋肉は、いくつになっても鍛えることができますし、使うほど強くなっていきます。ふだんから声が小さいと指摘される人も、大きな声を出せるように、のど筋トレを行うことをおすすめします。

【『誤嚥性肺炎で死にたくなければのど筋トレしなさい』西山耕一郎〈にしやま・こういちろう〉(幻冬舎新書、2020年)以下同】

 長らく人と話をしないと声がでにくくなる。帰国した小野田寛郎がそうだった。ガラガラ声のおばあさんも多い。「声帯は内側に筋肉(声帯筋)があり、外側を粘膜(声帯粘膜)で覆っています」(声について - 東京ボイスクリニック品川耳鼻いんこう科【公式】)。だったらトレーニングにしようもあるというものだ。

 みなさんはどんなときに幸せや喜び、楽しさを感じますか?
 答えは人それぞれだと思いますが、「おいしいもの、好きなものを食べているときが幸せ」という方は、かなりいらっしゃるのではないでしょうか。
 食欲は、性欲、睡眠欲と並び、ヒトの根源的な欲求のひとつです。「食べたい」という欲求が満たされたとき、幸福感や充足感を覚えることでしょう。おいしいものを食べたときに覚える満足感を「口福」(こうふく)と言うくらいですから、「食べる喜び」はヒトにとって最上の幸せのひとつだと私は思います。
 のどが衰えて飲み込む力が低下するということは、この食べる喜びが失われてしまうことを意味します。少しずつ食べるものが限られていって、やがて自力で飲み込むことができなくなり、「口から食事を摂ることができなくなる」ということです。
 生物にとって、「食べられないこと」は「死」に直結します。
 人間は、自分でものを食べられなくなっても、飲み込むことができれば、介助や介護によって、口から食べる器官をかなりのばすことができます。

 喉の衰えは食べる喜びを苦しみに変える。食べることが苦しみになれば、生きることもまた苦しみとなるだろう。そのストレスは生きる気力を奪い、あたかも植物のような人生を強いるに違いない。

 肥田春充〈ひだ・はるみち〉は食を断って死んだ。一つの見識だと思う。

 合わせて覚えておいていただきたいのが、のどがつまったときに知らせるための「【チョークサイン】」です。窒息すると息ができないだけでなく、しゃべれないので、ジェスチャーで知らせる必要があります。
 チョークサインはのどを親指と人差し指で挟むだけ。万国共通なので、いざというときに合図するために覚えておきましょう。
 このサインが広まれば、周囲で窒息事故が起こったとき、すぐに対処してもらえます。1分1秒を争うときだからこそ、至急の対応が必要です。
 誤嚥してのどにものがつまったときには5分が勝負です。


 不覚にも知らなかった。是非とも周囲のお年寄りに知らせて欲しい。

鼻うがい/『つらい不調が続いたら 慢性上咽頭炎を治しなさい』堀田修


『人は口から死んでいく 人生100年時代を健康に生きるコツ!』安藤正之
『長生きは「唾液」で決まる! 「口」ストレッチで全身が健康になる』植田耕一郎
『ずっと健康でいたいなら唾液力をきたえなさい!』槻木恵一
『舌(べろ)トレ 免疫力を上げ自律神経を整える』今井一彰
『舌をみれば病気がわかる 中医学に基づく『舌診』で毎日できる健康セルフチェック』幸井俊高
『あなたの老いは舌から始まる 今日からできる口の中のケアのすべて』菊谷武
『肺炎がいやなら、のどを鍛えなさい』西山耕一郎
『誤嚥性肺炎で死にたくなければのど筋トレしなさい』西山耕一郎
『病気が治る鼻うがい健康法 体の不調は慢性上咽頭炎がつくる』堀田修

 ・鼻うがい
 ・鼻うがいには生理食塩水や洗浄液を使う

鼻うがいのやり方

身体革命

 関連痛とは【障害の置きた箇所から発せられる痛みの信号を障害のない別の部位からの信号であると脳が勘違いすることによる痛み】です。
 例えば、心臓発作は、本来なら胸の左側が痛くなると考えがちですが、初期段階では左小指の痛み、左腕または首やあごが痛いと感じることがあります。また、胆石発作を右肩のこりや痛みとして感じることも知られています。

 上咽頭は刺激を伝達する神経線維が豊富な部位で、内蔵に広く分布する迷走神経(めいそうしんけい)と、主にのどに分布する舌咽神経(ぜついんしんけい)の両方がはりめぐらされているため、脳が勘違いして鼻の奥を、のどと感じるのだろうと考えられます。
 実際、のどの痛みを訴えて受診した患者さんの上咽頭を綿棒でこすると、のどには全く触れていないのに「そこです! のどの痛い場所に当たっています!」という声が返ってきます。

 では、鼻の奥の上咽頭の炎症がどうして「頭痛」「めまい」「倦怠感(けんたいかん)」「胃腸障害」「血尿」「湿疹」「関節炎」等、様々な症状と関連するのでしょうか?

【『つらい不調が続いたら 慢性上咽頭炎を治しなさい』堀田修〈ほった・おさむ〉(あさ出版、2018年)以下同】

「【心筋梗塞にかかっても4人に1人は胸の痛みがない」(『臓器の急所 生活習慣と戦う60の健康法則』吉田たかよし)。私は扁桃炎を患っているので他人事ではない。

 私は1983年に医学部を卒業して以来、腎臓内科医として当時は不治の腎臓病とされたIgA腎症(じんしょう)の根治治療の開発に取り組んできました。その過程で、今から十数年前に慢性上咽頭炎という概念を知り「IgA腎症患者が感冒(風邪)により血尿を引き起こす謎」が自分の中で解けました。
 当時は周りの耳鼻科医に慢性上咽頭炎の話をしても取り合ってもらえなかったため、1960年代、70年代に発表された山崎先生、堀口先生らの論文を取り寄せて勉強しました。そして、自らの臨床経験に照らしあわせてみて、慢性上咽頭炎が極めて重要な概念であることを革新し、内科医という門外漢でありながら慢性上咽頭炎の臨床と研究に臨みました。
 そして、臨床を日々重ねるにつれて、慢性上咽頭炎の概念の重要さを世の中に向けて再び発信しなければという思いが湧いてきました。

「慢性上咽頭炎」を知らなかったのも当然か。少々大袈裟にいえば著者の堀田修が発掘したのだ。先のテキストにもあったが、鼻の奥を喉と感じる人々が多いようだ。鼻毛というフィルターをくぐり抜けたウイルスがいかにも悪さを行いそうな場所だ。

 慢性上咽頭炎の治療である上咽頭処置は単純で診療報酬が極めて低く設定されているため、ほとんどの医師にとって魅力が乏しく、そのことが慢性上咽頭炎診療の普及を妨げる要因でもあります。

 医療や介護は保険報酬で動くから関連法や行政の差配が時に致命的な結果を生む。

 慢性上咽頭炎の対策としては生理食塩水で上咽頭洗浄を行う。上咽頭洗浄液を用いると更に効果的(「ミサトールリノローション」アダバイオ社、「プレフィア」「MSMプレフィア」グローバルアイ社)とのこと。慢性的な不調がある方は早速試してみるといいだろう。

 尚、特設サイトでは「慢性上咽頭炎治療医療機関一覧」も紹介されている。

2022-01-12

IgAの抗菌作用/『ずっと健康でいたいなら唾液力をきたえなさい!』槻木恵一


『人は口から死んでいく 人生100年時代を健康に生きるコツ!』安藤正之
『長生きは「唾液」で決まる! 「口」ストレッチで全身が健康になる』植田耕一郎

 ・IgAの抗菌作用

『舌(べろ)トレ 免疫力を上げ自律神経を整える』今井一彰
『舌をみれば病気がわかる 中医学に基づく『舌診』で毎日できる健康セルフチェック』幸井俊高
『あなたの老いは舌から始まる 今日からできる口の中のケアのすべて』菊谷武
『肺炎がいやなら、のどを鍛えなさい』西山耕一郎
『誤嚥性肺炎で死にたくなければのど筋トレしなさい』西山耕一郎
『つらい不調が続いたら 慢性上咽頭炎を治しなさい』堀田修

身体革命

 健康診断には血液検査が必須とされているように、血液はまさに「健康のバロメーター」。そして、血液と密接な関わりがある唾液にも、血液と同様に病気の兆候を知ることが出来る成分が数多く含まれていることがわかっています。実際、新たな試みとして唾液による医療検査はすでに始まっています。例えば、ストレスの度合いが判定できるストレスチェックが実用化済みのほか、がんや虫歯、歯周病、エイズなども唾液検査でわかるようになっており、とくにがん健診では、早期発見が困難なすい臓がんに対する有効な手段として注目を集めています。
 近い将来、健康診断のメインが唾液検査になる…。そんな可能性は決して低くありません。また今後、唾液検査で人の性格までわかるようになれば、「血液型」ではなく「唾液型」が一般的になるかもしれません。未知の成分に溢れた唾液なら、これからの研究次第では十分ありうる話といえそうです。

【『ずっと健康でいたいなら唾液力をきたえなさい!』槻木恵一〈つきのき・けいいち〉(扶桑社、2019年)以下同】

 意外と知られていないが、愛し合う二人が口づけを交わすのは「唾液を交換する」のが目的だ。免疫力を高めると考えられている。相性もよくわかる。頭で恋愛をすると大体不幸な結果になりがちだ。男女が惹かれ合うのは理解しやすいが、失恋や離婚のメカニズムには計算が働いているように思う。

 IgAは、風邪やインフルエンザなどの感染症のほか、さまざまな病原菌やウイルスの脅威から私たちの身体を守ってくれています。
 IgAの抗菌作用による免疫発動のメカニズムを詳しく説明しましょう。
 まず、口内で病原体などの異物を発見すると、複数のIgAがそれらにくっつき、口内の粘膜に付着させないように取り囲みます。さrない、IgAに囲まれた異物は、唾液の自浄作用によってほとんどが洗い流されてしまいます。このようにIgAは異物が体内の器官などに侵入して猛威を振るう前に、口に入ってすぐの時点でブロックするのです。

 抗菌物質IgA(免疫グロブリンA)は蟹みたいな形をしている。


 ところが、である。

 無敵を誇るIgAでも口内で活躍できない場所があります。それは、歯周ポケットといわれる歯周病菌がつくった歯と歯茎の間にできる溝の中です。歯周病菌は空気に弱いため、歯周ポケットの中にすみついて炎症を起こしますが、唾液中のIgAは、歯周ポケットの中まで行き届かないため、歯周病菌の活動を止めることができません。
 歯周病菌は口の中の常在菌で、IgAなどによってバランスが保たれていれば、増加して悪さを起こしません。しかし、IgAの分泌量が減るなどが(ママ)原因で歯周病菌が増加してしまうと、助けてくれるはずのIgAがうまく機能できなくなります。それにより、歯周病が進行してしまうのです。万一、歯周病が進行してしまうと、糖尿病や心筋梗塞、狭心症などの命に関わる病気に発展する可能性が高くなります。歯周病が糖尿病を悪化させるということはよく知られています。歯周病が進行すると炎症部分からサイトカインという物質が血中に放出されますが、これは血糖値を下げる働きをもつインスリンを効きにくくし、糖尿病の治療を妨げてしまうのです。糖尿病内科ではこれを改善させるために治療の前に口腔ケアを実行しており、かなりの効果がでています。

 歯周病の怖さがよく理解できる。歯肉を鍛える「犬用ガム」みたいなものを発明すればいいと思う。思い切り噛むと美味しいジュースが滴り落ちるといった機構が望ましい。あるいは歯茎筋トレ用肉とかさ。

 古代の人類は骨を食べていたと考えられている(『親指はなぜ太いのか 直立二足歩行の起原に迫る』島泰三)。食用骨の販売を望む。

2022-01-11

嚥下機能が衰えると喉仏が下がってくる/『肺炎がいやなら、のどを鍛えなさい』西山耕一郎


『人は口から死んでいく 人生100年時代を健康に生きるコツ!』安藤正之
『長生きは「唾液」で決まる! 「口」ストレッチで全身が健康になる』植田耕一郎
『舌(べろ)トレ 免疫力を上げ自律神経を整える』今井一彰
『舌をみれば病気がわかる 中医学に基づく『舌診』で毎日できる健康セルフチェック』幸井俊高
『あなたの老いは舌から始まる 今日からできる口の中のケアのすべて』菊谷武

 ・嚥下機能が衰えると喉仏が下がってくる

『誤嚥性肺炎で死にたくなければのど筋トレしなさい』西山耕一郎

身体革命

 突然ですが、みなさんに質問です。
 みなさんは、健康長寿を実現するために、もっとも衰えさせてはいけない体の機能は何だと思いますか?

 足腰の筋肉? たしかにそれも重要ですね。筋肉が衰えて歩行がままならなくなれば、寝たきりになる可能性が大きく高まります。
 血管の健康? もちろんこれも重要です。高血圧や高血糖で血管の機能が衰えれば、脳や心臓が重大な病気に見舞われるリスクが高まります。
 しかしみなさん、じつは、筋肉よりも血管よりも、「決して衰えさせてはいけない機能」があるのです。
 それは、【食べ物を飲み込む力】。すなわち【嚥下(えんげ)機能】です。

【『肺炎がいやなら、のどを鍛えなさい』西山耕一郎〈にしやま・こういちろう〉(飛鳥新社、2017年/文庫版、2019年)以下同】

 嚥下の読みは本来「えんか」である。「えんげ」は同音異語を回避するために医療・介護でまかり通った慣用読みだろう。嚥下とは飲み込む行為のこと。

 死はあらかじめプログラムされている。無性生殖の時代は自分のクローンを次々と作ったわけだから、死はなかったと考えることも可能だ。有性生殖は世代交代を通して進化する。その事実を踏まえれば、嚥下機能が衰えるのは「死の準備段階」なのだろう。ただし日本の場合、死ぬのに時間がかかり過ぎるのだ。ヨーロッパには寝たきり老人がいない。寝たきりになるくらいなら死を選ぶのだ。日本だと本人と社会がそれを認めていない現状がある。もちろん背景にあるのは病院の利益である。

 しかも、これは決して高齢者だけの問題ではありません。
 じつは、飲み込む力は、40代、50代あたりから徐々に低下しています。実際に、30代から誤嚥がはじまっているという報告もあります。嚥下機能は、高齢になってから急に衰えるわけではないのです。

 御意。50代半ば頃から実感できる。誤嚥とは飲み下したものが誤って肺に入ることだ。これが肺炎の原因となる。

 みなさんは、“そういえば、最近、食事中にムセることが多くなったな”と感じてはいませんか? もし心当たりがあるならば、それは、のどの力が衰えて「飲み込み力」が低下してきたという証拠。【「ムセ」は、のどの老化のもっともわかりやすいサインなのです】。

 人は喉から死んでゆくのだろう。

 なお、肺炎で死亡する人のほとんどが75歳以上の高齢者。そして、じつはこうした高齢者の肺炎の【70%以上に誤嚥が関係している】とされているのです。

 ヒトは言葉を発するために誤嚥という犠牲を払った。嚥下と呼吸が紙一重で行われているので明らかに機能としては劣っている。

 ところで、飲み込み力が落ちてくると「見た目」にも明らかなサインが現われることをみなさんはご存じでしたか?
 じつは、【「のど仏」の位置が下がってくるのです】。(中略)
 どうして、のど仏が下がってくるのか。それは、【のど仏を吊り下げている筋肉や腱が衰えてくる】からなのです。

 そいつあ知らなかった。確かに年寄りの喉仏は下がっている。だったらこれを上げればいいわけだな。というわけで簡単な運動が紹介されている。

 嚥下機能を鍛える器具を作れば一儲けできるんじゃないか? あるいは「虎の穴」的な介護施設とか。

2022-01-10

交通事故の死亡者よりも多い窒息事故/『あなたの老いは舌から始まる 今日からできる口の中のケアのすべて』菊谷武


『人は口から死んでいく 人生100年時代を健康に生きるコツ!』安藤正之
『長生きは「唾液」で決まる! 「口」ストレッチで全身が健康になる』植田耕一郎
『ずっと健康でいたいなら唾液力をきたえなさい!』槻木恵一
『免疫力を上げ自律神経を整える 舌(べろ)トレ』今井一彰
『舌をみれば病気がわかる 中医学に基づく『舌診』で毎日できる健康セルフチェック』幸井俊高

 ・交通事故の死亡者よりも多い窒息事故

『肺炎がいやなら、のどを鍛えなさい』西山耕一郎
『誤嚥性肺炎で死にたくなければのど筋トレしなさい』西山耕一郎
『つらい不調が続いたら 慢性上咽頭炎を治しなさい』堀田修

身体革命

 歯周病は世界で一番多い病気としてギネスブックにも認定されていて、歯周病にかかっている成人は、約80%ともいわれています。(中略)
 歯周病は、不治の病ともいわれています。進行を止めることはできますが、残念ながら完治はできません。しかも初期段階では自覚症状がほとんどないため、自分が歯周病だと気づいていない人も少なくありません。
 歯周病は、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)や認知症などの原因になります。さらに、重度の歯周病は、心疾患や糖尿病などのリスクも高めてしまうこともある恐ろしい病気です。

【『あなたの老いは舌から始まる 今日からできる口の中のケアのすべて』菊谷武〈きくたに・たけし〉(NHK出版、2018年)以下同】

 ゲゲッ、私が通っていたところの歯科医はそんなことを言ってなかったけどな(泣)。歯周病の治療を終えてから私は本気で歯を磨くようになった。斜め45度で歯ブラシを歯茎に当て、少し食い込み気味に細かく振動させるようにブラッシングを行う。これが基本だ。

 あとは唾液勝負である。意外と知られていないが唾液が豊富であれば虫歯にはならない。それが証拠に虫歯になるのは大体歯の外側である。下の前歯の裏側が虫歯にならないのは唾液が溜まっているからだ。

 また、歯の欠損によって噛み合わせが失われると、全身のバランスをとることが難しくなります。結果、転びやすくなり、骨折から車椅子、寝たきりにつながりやすくなるのです。65歳以上の健康な人で歯が20本以上ある人と、19本以下で義歯未使用の人をくらべると、後者は転倒のリスクが2.5倍になるという調査結果もあります。
 歯を喪って年に何度も転んでいたお年寄りが入れ歯を入れたら、翌年は一度も転ばなかったという例もあるほどです。
 転ばないためには、入れ歯を使うことも重要です。

 これまた驚きの事実だ。体のバランスはわずかな狂いで失われることがわかる。噛み合わせと転倒は中々結びつかない。ナースやヘルパーはよく覚えておくべきだ。

 入れ歯はブラシで磨いてから洗浄液に浸け、最後は水けを拭き取り、しっかり乾燥させる。これが入れ歯の正しい手入れ法です。乾燥させることは、見落とされがちですが、菌の繁殖を防ぐには重要です。
 私たちは、通常、歯ブラシは立てて置き、乾燥させていますよね。入れ歯も同じように扱うと、覚えておきましょう。

 ウッヒョー! 一度も乾燥させたことがないよ(涙)。本書を読んでから早速実践している。実は上の左奥歯2本の入れ歯を持っている。長らく使っていなかったのだが歯科医から「食べる時と寝る時だけでも装着せよ」と言われた。他の差し歯にダメージが及ぶらしい。

「事故で亡くなる」と聞いて、みなさんはどんな事故を思い浮かべますか?
 多くの人が想像するのが、やはり交通事故ではないでしょうか。しかし、実は交通事故よりも死亡者の多い事故があるのです。それが、窒息事故です。
 不慮の事故による年間の死亡者数を見てみると、交通事故が5278件、窒息事故が9485件です(2016年「人口動態統計」厚生労働省)。
 不慮の事故による死亡者数が一番多いのは、窒息事故。しかも、その数は交通事故死の約1.8倍です。

 2006年に窒息事故の死亡者数が交通事故死を上回ったそうだ。悲惨な事故に目が向きがちなのは認知バイアスによるもの。しっかり咀嚼をする、汁物を先に飲まないことを心掛けるだけで防げる事故も多い。またお年寄りの同居家族はハイムリック法などを学んでおくべきだろう。


 余談であるが風呂場で亡くなる人はもっと多い。「厚生労働省の研究班の発表によると、風呂場での推定死亡者数は年間約1万9000人。全国の交通事故の死亡者数が2839人(2020年警察庁発表による)なので、およそ6倍になる。大半が65歳以上で、毎年12~4月に多く発生している」(ダイヤモンド・オンライン)。備えあれば憂いなしである。

中医学の舌診/『舌をみれば病気がわかる 中医学に基づく『舌診』で毎日できる健康セルフチェック』幸井俊高


『人は口から死んでいく 人生100年時代を健康に生きるコツ!』安藤正之
『長生きは「唾液」で決まる! 「口」ストレッチで全身が健康になる』植田耕一郎
『ずっと健康でいたいなら唾液力をきたえなさい!』槻木恵一
『免疫力を上げ自律神経を整える 舌(べろ)トレ』今井一彰

 ・中医学の舌診

『あなたの老いは舌から始まる 今日からできる口の中のケアのすべて』菊谷武
『肺炎がいやなら、のどを鍛えなさい』西山耕一郎
『誤嚥性肺炎で死にたくなければのど筋トレしなさい』西山耕一郎
『つらい不調が続いたら 慢性上咽頭炎を治しなさい』堀田修

身体革命

 中医学とは中国の医学のことです。中医学の医師は、ほぼこれと似たスタイルで診察をします。舌の観察に加えて脈診(脈をとって診察する)を重視する医師もいます。
 では、どうしてこれだけの診察で、的確な処方が出せるのでしょう。
 その理由のひとつは、舌の観察にあります。
 舌には、さまざまな情報が隠されています。色や形、苔の状態などを観察すると、体内の状態がみえてくるのです。
 中医学では、からだをひとつのつながった有機体としてとらえています。体内の状況は、何らかのかたちで体表にあらわれてきます。とくに舌は、表面の粘膜の新陳代謝が盛んで、3日ほどで新しいものと入れ替わります。ですから、舌には病気のサインが迅速に出ます。また、粘膜が薄いので、粘膜の舌の血管を流れる豊富な血液の状態がよくみえます。血液の色が、舌の色に反映されるのです。レントゲンも血液検査もない時代に、からだの中の様子を客観的に正確にとらえるために驚異的に発達した技術が、“舌診”(ぜっしん)です。

【『舌をみれば病気がわかる 中医学に基づく『舌診』で毎日できる健康セルフチェック』幸井俊高〈こうい・としたか〉(河出書房新社、2011年/ハンディ版、2016年)】

 様々な舌の状態と体の症状が紹介されている。口臭の原因とされる舌苔(ぜったい)についてはさほど問題視していない。「目は心の窓」と言われるが、「舌は体の鏡」なのだろう。

 一筋縄ではいかない。なぜなら多くの人々の舌を見る機会がないためだ。ま、親しい人から始めるしかあるまい。まずは自分の舌から始めよう。

ハミングがウイルスを防御/『免疫力を上げ自律神経を整える 舌(べろ)トレ』今井一彰


『人は口から死んでいく 人生100年時代を健康に生きるコツ!』安藤正之
『長生きは「唾液」で決まる! 「口」ストレッチで全身が健康になる』植田耕一郎
『ずっと健康でいたいなら唾液力をきたえなさい!』槻木恵一

 ・ハミングがウイルスを防御

『舌をみれば病気がわかる 中医学に基づく『舌診』で毎日できる健康セルフチェック』幸井俊高
『あなたの老いは舌から始まる 今日からできる口の中のケアのすべて』菊谷武
『肺炎がいやなら、のどを鍛えなさい』西山耕一郎
『誤嚥性肺炎で死にたくなければのど筋トレしなさい』西山耕一郎
『つらい不調が続いたら 慢性上咽頭炎を治しなさい』堀田修

身体革命

【鼻は、いわば「加湿器つき空気清浄機」。】鼻のなかは、新聞紙1面分の広さのフィルターになっていて、表面にびっしり生えた綿毛と粘液で、空気中の細菌やホコリ、有害物質をろ過してくれています。
 また、細菌やウイルスの繁殖の温床となる「冷え」と「乾燥」が体には大敵ですが、鼻呼吸の場合、鼻から吸い込んだ空気は鼻腔で十分に温められ、加湿されて肺に送り込まれるなど、対策はバッチリです。
 さらに、鼻呼吸すると分泌される「NO(一酸化窒素)」という物質。殺菌成分でもあり、体内では血管や気管支を拡張し、血流をアップしてくれるのです。また、免疫軍団のメンバーでもある綿毛の動きも活発にしてくれます。
 自然界では口呼吸をする生きものは、人間くらいなもの。鼻のすばらしい機能をきちんと使いたいですね。

【『免疫力を上げ自律神経を整える 舌(べろ)トレ』今井一彰〈いまい・かずあき〉(かんき出版、2019年)以下同】

「NO力」を高める/『「血管を鍛える」と超健康になる! 血液の流れがよくなり細胞まで元気』池谷敏郎

 昔は田舎者が上京すると鼻毛が伸びるという話があった。札幌から出てきた私も何となくそう感じた。だって故郷にいた頃は鼻毛を抜いた覚えはないもんね。

 鼻呼吸でNOが分泌されるのは匂いと関係があるのかもしれない。

 口のなかで舌が下がると、筋肉のかたまりが下あごの上にどーんと乗った状態となって、二重あごになり、首が短くなります。ほおと口角も下がり、ほうれい線が目立つように。どんどん老け顔になってしまうのです。【舌が衰えると、顔の筋肉もどんどん衰えますから、顔全体がだらんと垂れ下がってきます。】
 二重あご(ブルドックのようなブルあご)は年齢のせい、太っているせいと思いがちですが、あごがたるむのは、「落ちベロ」が原因です。
 ベロトレはほおのたるみを引き上げるだけでなく、顔の温度を上げるため、むくみがなく血色のよいツヤ肌にしてくれる効果も。
 舌の位置と動きで、顔の形や表情まで変わってくるのですね。

 舌(べろ)トレとは大したトレーニングではない。だからといって効果を軽んじるわけにはいかない。小事を軽んじて体は衰え、やがて嚥下障害を迎えるのだから。粘膜の痛みは独特のもので我慢できるようなタイプの痛みではない。外界と直接接していることもあってダメージを受けやすい部位だ。

 アメリカ胸部学会の学術誌では、ハミングで鼻腔のNO濃度が上昇したという研究が発表されています。
 普通に鼻呼吸しているときと比べて、ハミングを行った被験者たちは、鼻腔内のNO濃度が15倍に上昇しました。
 NOには鼻腔と副鼻腔をつなぐ粘膜表面の綿毛運動を促進する作用があるため、【ハミングをするだけで細菌やウイルスの侵入を防ぎ、炎症を予防できる可能性がある】ということです。
 楽しくハミングしていれば、風邪も引きにくくなりますよ。

 英語の「Hummm」(日本語だと「うん」「ふむ」)を長く伸ばすとマントラっぽくなる。インドだと「Aum/Om」(オーム)、日本語だと「阿吽」(あうん)。有無の音も近い。あるいは南無(サンスクリット語のナマステ由来)。声帯の震えが鼻で増幅され、体全体に振動が伝わる。

同調ハミング/『心身を浄化する瞑想「倍音声明」CDブック 声を出すと深い瞑想が簡単にできる』成瀬雅春

 よい香りがする様を「鼻孔をくすぐる」と表現する。匂い分子から嗅細胞が受ける刺戟を「くすぐる」と言うのだから振動として受け止めているわけだ。

 新型コロナウイルスも鼻歌には勝てない。

2021-12-19

基準値を下げて病人を製造する日本高血圧学会/『長生きは「唾液」で決まる! 「口」ストレッチで全身が健康になる』植田耕一郎


『人は口から死んでいく 人生100年時代を健康に生きるコツ!』安藤正之

 ・基準値を下げて病人を製造する日本高血圧学会

『ずっと健康でいたいなら唾液力をきたえなさい!』槻木恵一
『免疫力を上げ自律神経を整える 舌(べろ)トレ』今井一彰
『舌をみれば病気がわかる 中医学に基づく『舌診』で毎日できる健康セルフチェック』幸井俊高
『あなたの老いは舌から始まる 今日からできる口の中のケアのすべて』菊谷武
『肺炎がいやなら、のどを鍛えなさい』西山耕一郎
『誤嚥性肺炎で死にたくなければのど筋トレしなさい』西山耕一郎
『つらい不調が続いたら 慢性上咽頭炎を治しなさい』堀田修

身体革命
必読書リスト その二

 とくに標準血圧のガイドラインは、目に余るものがありました。
 2000年まで、最高血圧160以上の患者さんが高血圧症として降圧剤が処方されており、その数は1800万人といわれていました。
 2000年に、日本高血圧学会が高血圧治療ガイドラインを発表し、高齢者については最高血圧140以上が高血圧症となり、患者さんは3700万人に増えたといわれます。
 さらに2008年のメタボ健診に便乗して、高血圧症は最高血圧130以上という基準が示され、今日、私の推測では、6500万人が高血圧症を患う病人となっています。
 今や、65歳以上の高齢者を集めたら、降圧剤を服用していない人を探すのは難しいと思います。
 いったい、これは誰が臨んだ結果でしょうか。少なくとも、けっして患者さん自身が望んだ結果ではないと思います。
 また、このように基準値を少し下げるだけで、一気に何千万人と患者が増えるわけです。
 現状として、最高血圧130以上の人のほうが多いのであれば、統計学的にはむしろ、最高血圧130以上の高血圧の人が正常で、それ未満の人のほうが正規分布から外れた異常である、と考えるべきではないでしょうか。
 わかりやすくいえば、ふたりにひとりは薬を飲んでいる場合、それはもはや異常な現象としての「病気」とは呼べないのではないか、ということです。
 糖尿病の基準である血糖値、高脂血症のコレステロール基準値も、しかりです。

【『長生きは「唾液」で決まる! 「口」ストレッチで全身が健康になる』植田耕一郎〈うえだ・こういちろう〉(講談社+α新書、2014年)】

 降圧剤は1兆円市場である。武田邦彦は「降圧剤の投与によって認知症患者が増大した」と指摘している。こうなるとまるで麻薬や覚醒剤の売買と変わらないように見えてくる。私は酒をやめてから血圧がずっと180台だったが自分で少し低くした。今は多分140台である。

 植田は現場の感覚を重んじる歯科医である。リハビリ現場で目撃した高齢患者に衝撃を受ける。そこから唾液に着目したオーラルケアを編み出す。口ストレッチはいずれも簡単な動きで、「エ、たったこれだけ?」と思う程度の運動である。ところがどっこい実に重要なストレッチで、死命を分かつといっても過言ではない。

 私は最近、嚥下(えんげ)機能が衰えてきているのでよくわかる。もともと扁桃炎持ちで、睡眠時無高級症候群もあり、口を開けて寝る悪い癖がある。近頃はセロテープを貼って寝ている。更に年をとってから寝返りの数が極端に減っていて、仰向けで寝ていると腰に疲労感が残る。長時間にわたってクルマを運転した後のようなずっしりとした疲労感だ。というわけで横を向いて寝るようにしている。

 ここ数年間で、筋トレを始めとする運動~ウォーキング~ストレッチ~ヨガなどの本を読んできた。そして血管マッサージ~自律神経から口に至った。自然な流れではあったが、きちんと外側から内側に向かっている。で、最後は呼吸である。まだまだ本の選球眼は衰えていない。

2021-12-15

歯周病菌が心筋梗塞を招く/『人は口から死んでいく 人生100年時代を健康に生きるコツ!』安藤正之


『実践「免疫革命」爪もみ療法 がん・アトピー・リウマチ・糖尿病も治る』福田稔
『新健康法 クエン酸で医者いらず』長田正松、小島徹
『あなたの人生を変えるスウェーデン式歯みがき 1日3分・ワンタフトブラシでお口から全身が健康になる!』梅田龍弘

 ・歯周病菌が心筋梗塞を招く

『長生きは「唾液」で決まる! 「口」ストレッチで全身が健康になる』植田耕一郎
『ずっと健康でいたいなら唾液力をきたえなさい!』槻木恵一
『免疫力を上げ自律神経を整える 舌(べろ)トレ』今井一彰
『舌をみれば病気がわかる 中医学に基づく『舌診』で毎日できる健康セルフチェック』幸井俊高
『あなたの老いは舌から始まる 今日からできる口の中のケアのすべて』菊谷武
『肺炎がいやなら、のどを鍛えなさい』西山耕一郎
『誤嚥性肺炎で死にたくなければのど筋トレしなさい』西山耕一郎
『つらい不調が続いたら 慢性上咽頭炎を治しなさい』堀田修

身体革命
必読書リスト その二

 1gの「歯垢」(デンタルプラーク)の中にいるバイ菌は、1000億個あまり。
 大便1g中のバイ菌の数倍だと言われています。
 つまり、歯を磨かないということは、口の中でバイ菌を育てるようなもの。
 だから、1日1回はしっかりブラッシングして歯垢を落とすことが大切なのです。

【『人は口から死んでいく 人生100年時代を健康に生きるコツ!』安藤正之〈あんどう・まさゆき〉(自由国民社、2018年)以下同】


 内容は薄いのだが必読書に入れた。意外と知られていない大事なことが書かれているためだ。ブラッシングのコツはペンと同じ握り方で力を込めず、細かく振動するように磨く。歯茎の際(きわ)は少し差し込むようにして斜めにブラシを向ける。

 安藤は微生物・生理学・解剖学・生化学などの基礎研究も行ってきたと書かれているが、「バイ菌」という言葉遣いが感心しない。もっと言ってしまえば不真面目だと思う。細菌のことをバイ菌と呼んだのは私が子供の時代だ。

 虫歯や歯周病が悪化して「虫歯菌」や「歯周病菌」が大増殖すると、
 粘膜による生体防御バリアを突き破って毛細血管の中に入り、
 全身を巡ってさまざまな不調や病気の原因になることがわかっています。

 たとえば、虫歯菌の多くは、抜歯など出血をともなう治療の際に血液と一緒に
 体内に侵入し、全身にたまって「絨毯爆撃」をしかけてきます。

 一方、歯周病菌は、死んだ後に悪さをする「内毒素」を持っている「自爆テロ」タイプ。
 比較的毒性は弱いのですが、長期に亘って体のあちこちで悪影響を及ぼし、
 心筋梗塞などを招くこともあります。


 吃驚仰天(びっくりぎょうてん)だわな。果糖は唾液や食物で流されてしまうので単体だと虫歯になりくいという(果物と虫歯 | 我孫子の歯医者さん|なかむら歯科)。するってえと、やっぱり砂糖(ショ糖)が問題なわけだよ。もっと凄い話がある。

 実際、歯周病菌や虫歯菌が心臓や腎臓にたまりやすいことはよく知られています。

 また、切迫早産妊婦の30%の羊水から、
 歯周病菌が見つかったという研究報告もあります。

 妊娠34週より前に破水した場合は自発呼吸ができない赤ちゃんもいるそうだ(早産・切迫早産|公益社団法人 日本産科婦人科学会)。妊婦の皆さんは速やかに歯周病の確認を願いたい。

 また、アマルガム(銀歯の詰め物)の悪影響についても詳しく紹介されている。アトピーの原因となることもあるという。安藤はセラミックを推奨しているが高価であることに留意(セラミック歯の種類・値段・相場価格)。保険は適用できない。増え続ける社会保障費を思えば、厚生労働省は保険適用にするべきだろう。

2021-11-24

ヒマラヤ産クリスタル岩塩/『医療マフィアは【伝統療法】を知って隠す なぜ《塩と水》だけであらゆる病気が癒え、若返るのか!? ローコスト&ハイクオリティな養生法の超実践ガイド!』ユージェル・アイデミール


『医学常識はウソだらけ 分子生物学が明かす「生命の法則」』三石巌
『日本人には塩が足りない! ミネラルバランスと心身の健康』村上譲顕
『「塩」をしっかり摂れば、病気は治る 病気の因を断つクスリ不要の治療法』石原結實

 ・ヒマラヤ産クリスタル岩塩

・『病気を治す飲水法 万病を予防し治す水の力を総解説!』F・バトマンゲリジ

 なぜ高血圧の人は天然塩、特にヒマラヤ産クリスタル岩塩を摂取しなければならないのでしょうか? なぜならば、水は塩なしには体や細胞膜の内部に入り込むことができないからです。水だけではなく、体内のほとんどの物質交換は浸透圧によって可能となり、この浸透圧は塩によって生み出されます。塩がないと細胞の物質交換は止まり、生命が失われます。病気の原因となる体内の乾燥を止め血液中の水分量を増やしたいのであれば、【水を飲む必要があるのと同じく、水を体の隅々に届ける役割を果たす「天然塩」を摂らなくてはならない】のです。

【『医療マフィアは【伝統療法】を知って隠す なぜ《塩と水》だけであらゆる病気が癒え、若返るのか!? ローコスト&ハイクオリティな養生法の超実践ガイド!』ユージェル・アイデミール:斎藤いづみ訳(ヒカルランド、2017年)以下同】

 タイトルからしてトンデモ系である。表紙に内海聡〈うつみ・さとし〉。トンデモ系医師だ。で、出版社はヒカルランド。トンデモ系が見事に三拍子揃った。

 何ひとつ根拠やデータが示されておらず、小説あるいはエッセイとして読むのが正しい。吃驚したのだがamazonレビューの評価が高い。今日現在、275の平均評価が星四つ半となっている。お前ら、大丈夫か?

 我々日本人にとって岩塩は馴染みがない。せいぜい、クレイジーソルトかステーキ屋でお目にかかる程度だろう。しかし世界に目を転じると流通量は岩塩の方が多い。もう一つ大事なことを書いておこう。岩塩はミネラルが極めて少ない。成分的には99%が食塩と同じである。ま、残り1%に何かが隠されている可能性もあるが、何も隠されていない可能性の方が高いと思うよ、俺は。

【高血圧の人に対する塩水療法は、毎朝小さじ1杯の塩水をコップ1杯に混ぜるのではなく、2.5リットルの水に混ぜて、1日のうちに分けて飲むことによって効果が確認できます】。

 本書で紹介されているのは源気商会のヒマラヤ岩塩である。著者とは友人のようだ(土井聡 | 日本ソルトコーディネーター協会)。ひょっとしてタイアップ企画なのか? そうかもしれない。

 ただしマルチ商法と違って、さほど高価なものでもないから、信者になってしまうという手もある。それで健康が取り戻せるなら安いもんだろう。「ヒマラヤまで行って、岩塩を採掘することを思えば格安ですよ、旦那!」という声が聞こえてきそうだ。家にある海塩がなくなったら私も買ってみるつもりだ。

   

2021-11-23

サラリーの語源は塩/『「塩」をしっかり摂れば、病気は治る 病気の因を断つクスリ不要の治療法』石原結實


『医学常識はウソだらけ 分子生物学が明かす「生命の法則」』三石巌
『日本人には塩が足りない! ミネラルバランスと心身の健康』村上譲顕

 ・サラリーの語源は塩

食塩摂取量と高血圧の因果関係
『「食べない」健康法 』石原結實

 サラリー(salary)は給料を意味します。salはラテン語で「塩」の意味です。
 古代ローマ時代、兵士の給料の一部が塩で支払われていたことから来ていて、英語の熟語にもworth one's salt.(給料に見合った働きのこと)という表現がありますし、Business is the salt life.(仕事は生活の塩である=仕事は大切である)という言いまわしもあります。
 当時、奴隷の売買も塩で行なわれていたといいますし、塩100kgで、家が1軒買えたといいます。
 日本でも、平安時代の官吏の給料が「塩」で支払われていたという史実が木簡から発見されています。つまり塩は、昔は東西を問わず貴重品であったわけです。
 このように「塩」は文明生活にとって欠かせないものであるために、塩の専売制度が始まったのでしょう。
 世界ではじめて「塩税」をとったのは、シシリーのサラセン人だったようです。革命以前のフランスでは、原価の20倍もの塩税をとったので、民衆の不満をかい、フランス革命の引き金の一要因になったという話もあります。
 日本では、日露戦争の資金調達のために、1905(明治38)年に塩の専売制度ができ、1997(平成9)年に廃止されるまで、長きにわたって存続しました。塩の専売制度とは、当然のことですが、「勝手に塩を作ったらいけない」ということです。
 その間、1971(昭和46)年に「塩業近代化臨時措置法」が施行され、食塩はすべて、イオン交換樹脂膜法によって作られることになり、純粋にNaCl(ナトリウムと塩素)だけからなる食塩が販売されるようになりました。
 そのため、自然塩が自由に手に入るようになったのは、1997年以降のことです。

【『「塩」をしっかり摂れば、病気は治る 病気の因を断つクスリ不要の治療法』石原結實〈いしはら・ゆうみ〉(経済界、2004年)】

 読んだのは5年前である。相関関係を持ち出して因果関係と決めつける記述が多い。健康本の著者は多作が目立つ。たぶん出版社が寄ってたかって二匹目、三匹目のドジョウを狙うのだろう。結果的に粗製濫造(そせいらんぞう)となって文章も編集も手抜きが目立つ。石原結實もその一人だ。

 化粧品や健康食品ではないが、「病気は治る」と謳っている以上、治らなかったら薬事法違反で取り締まるべきだろう。



高血圧の原因を塩分としたネズミ実験のデタラメ/『日本人には塩が足りない! ミネラルバランスと心身の健康』村上譲顕


『医学常識はウソだらけ 分子生物学が明かす「生命の法則」』三石巌

 ・高血圧の原因を塩分としたネズミ実験のデタラメ

『「塩」をしっかり摂れば、病気は治る 病気の因を断つクスリ不要の治療法』石原結實
食塩摂取量と高血圧の因果関係
『シリコンバレー式 自分を変える最強の食事』デイヴ・アスプリー
『医者が教える食事術 最強の教科書 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68』牧田善二
『医者が教える食事術2 実践バイブル 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方70』牧田善二

 古今東西、塩は世界中で大切にされてきました。
 給料を意味する「サラリー(salary)」という言葉は「塩」に由来しています。
 日本でも、生活を立てるのに必要な費用のことをさす「米塩(べいえん)の資(し)」という言葉があります。

【『日本人には塩が足りない! ミネラルバランスと心身の健康』村上譲顕〈むらかみ・よしあき〉(東洋経済新報社、2009年/オンデマンド、2019年)以下同】

 村上は海の精株式会社の代表で、マクロビオティックの信奉者である。若い頃に玄米と塩で健康状態が改善したとのこと。

サラリーマン/salaryman - 語源由来辞典

 なぜ、塩が高血圧の原因とされたのか、かんたんに説明しておきましょう。
 塩が高血圧症を引きおこすという説の発端になったのは、1953年、アメリカの高血圧学者のメーネリーが行ったネズミを使った実験によります。
 メーネリーはネズミに6ヶ月間、毎日、通常の20倍にあたる20~30グラムもの食塩を与え、さらに飲み水にも1%の食塩を加えて飲ませました。人間でいえば、1日200グラムもの食塩を40年間にわたって食べさせた計算になります。
 この結果、10匹のうち4匹が高血圧になったというのです。
 この実験結果が、「塩が高血圧の犯人説」のそもそものきっかけです。
 しかし、この実験結果をよく見てください。
 通常では考えられない極端な高塩分食を食べさせられた10匹のうち、4匹が高血圧になった。しかし、残りの6匹の血圧は変化しなかったのです。つまり、血圧が変化しなかったネズミのほうが多かったのです。(中略)
「塩はどうやら体に悪いようだ」と世界中が認識しはじめるなか、それに追いうちをかけるように、新たな発表がなされました。
 1960年、アメリカの高名な高血圧学者のグループが発表した論文です。
 アメリカ軍の将校であったダールは、日本に高血圧症が多いことに注目し、東北地方と南日本を対象に、食塩の摂取量と高血圧症の発生率を調べたのです。
 その結果、1日平均27~28グラムをとっていた東北地方は、1日平均14グラムの南日本より高血圧が多いと結論づけました。
 しかし、この調査にはいくつかの問題点があります。
 まず東北地方はいうまでもなく寒い場所です。寒いということはそれだけで高血圧の原因となります。人間は寒い環境に置かれると、血圧を上げて血液循環をよくすることによって、寒さに打ち勝とうとするのです。
 また、ダールのこの調査では、同じように塩をとっていても、高血圧の人が多い地域と少ない地域があったことが見逃されています。これでは平均値は意味をなしません。
 そもそも当時は、塩の摂取量を正確に測ることができませんでした。
 にもかかわらず、「塩をとると高血圧になる」という理論はひとり歩きをはじめ、世界中の研究者が注目するようになっていったのです。
 本当は「塩の摂取量と高血圧は無関係」との報告も多数あるにもかかわらず、日本の「減塩神話」は現在なお健在です。

 青木久蔵が追試験を行った。その結果から得られた知見は、

1.遺伝性の高血圧のネズミには、食塩の摂取と血圧には関係がないこと
2.かなりの高塩分食でも水を十分に飲み、尿を排泄できる能力があれば、血圧は上昇しないこと

 の二点であった。ただし反論もある。

食塩説反論(親ページ→Salt and Health

 ま、誰かの言葉を鵜呑みにするよりも、自分自身で確かめるのが一番だ。いい塩は結構高いので安い塩から試せばよい。「赤穂の天塩5kg」、「カンホアの塩【石臼挽き】500g」は求めやすい。私が実際に食べたところでは、「沖縄の海水塩 青い海500g」「ぬちまーす 250g×2パック」がお勧めできる。

 

2021-11-22

高血圧と食塩摂取とのあいだにはほとんど因果関係がない/『医学常識はウソだらけ 分子生物学が明かす「生命の法則」』三石巌


『医者が教える食事術 最強の教科書 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68』牧田善二
『医者が教える食事術2 実践バイブル 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方70』牧田善二
『コレステロール値が高いほうがずっと長生きできる』浜崎智仁

 ・医原病
 ・高血圧と食塩摂取とのあいだにはほとんど因果関係がない

『日本人には塩が足りない! ミネラルバランスと心身の健康』村上譲顕
『「塩」をしっかり摂れば、病気は治る 病気の因を断つクスリ不要の治療法』石原結實
『免疫力が10割 腸内環境と自律神経を整えれば病気知らず』小林弘幸、玉谷卓也監修
『心と体を強くする! メガビタミン健康法』藤川徳美
『最強の栄養療法「オーソモレキュラー」入門』溝口徹
『食事で治す心の病 心・脳・栄養――新しい医学の潮流』大沢博
『オーソモレキュラー医学入門』エイブラハム・ホッファー、アンドリュー・W・ソウル

身体革命
必読書リスト その一

 基本的に、高血圧と食塩摂取とのあいだにはほとんど因果関係がない。(中略)
 たしかに、食塩の過剰摂取が原因で高血圧になる人はいる。ただし、それが原因になっているケースは、高血圧患者100人のうちたった一人か二人という割合なのである。明らかに少数派なのである。食塩に含まれるナトリウムは、体内に水分を保持させる働きをしている。その濃度が高くなると体液が増え、その結果、血管を通る血液の量も増えて血圧が高くなるのは事実である。しかし、高血圧の原因はけっしてそれだけではない。
 にもかかわらず、画一的なマニュアルに沿った治療しかしようとしない医者は、すべての高血圧患者に減塩を指示する。しかし、そのマニュアルが有効な患者は全体の1~2パーセントにすぎない。残りの98~99パーセントには効果がないどころか、逆に必要な塩分が不足して健康を損(そこ)ねてしまう恐れまである。こんな愚かなマニュアルが「常識」として“日本の医師全般”に通用しているから、私は医者を信用できないでいる。

【『医学常識はウソだらけ 分子生物学が明かす「生命の法則」』三石巌〈みついし・いわお〉(祥伝社黄金文庫、2009年)以下同】

 で、確かマウスで行った実験だったと記憶している。だからといって、ジャンジャン塩を摂って構わないと考えるのも早合点だ。医療のデタラメさを弁えることが大切なのだ。日本人の塩分摂取量が多いのは確かだが、それよりも問題なのは「汗をかかなくなった生活」にあると私は考えている。

 さて、「食塩原因説」である。この説の有力な根拠として引用されたのが、日本の東北地方で高血圧が多いという調査結果だった。(中略)
 食塩の平均摂取量が多い地域で高血圧が多いという統計があれば、とりあえず食塩と高血圧を結びつける仮設は成立するだろう。だが、それだけで結論を引き出すのはあまりに性急すぎる。実際、このときの調査では「食塩原因説」と矛盾する事実も出ていたと聞く。個別に調べてみると、食塩の摂取量が少ないのに血圧が高い人もいれば、食塩摂取量が多いのに血圧が低い人もいたという。一人ひとりの個体差から目を逸(そ)らしがちになるのも、疫学の抱える大きな問題点の一つである。また、同じ東北地方でもリンゴの生産地では高血圧が少なかった。こうした事実は、いずれも研究者にとって都合が悪いために、「例外」として切り捨てられたのである。
 リンゴをたくさん食べている人が高血圧になりにくいことは、栄養学的にも裏付けられている。血圧を平常に保(たも)つためには、食塩により摂取されるナトリウムと、カリウムというミネラルの比率が重要である。健康な体内になるナトリウムのカリウムに対する比率は0.6である。よって食物から摂取されるナトリウムとカリウムの比も、ほぼこの数値に近いことが望ましい。
 カリウムはリンゴ、メロン、スイカ、バナナといった果物や野菜などに多く含まれている。食塩を平均より多く摂取する地域でも、リンゴを日常的によく食べる地域では高血圧が少なかったのは、これで説明がつく。したがって、高血圧の一つの原因は、食塩の過剰摂取ではなく、カリウムの不足といったほうが正しいわけである。

 私は酒を断ってから血圧が高くなった。もともと好きな方ではなかったのだが、あると呑んでしまう。最後に呑んだ宴会では胸が悪くなって真っ先に退席し、家路につく途中で道路に横たわり、ほうほうの体で帰宅し、吐き気があるのに吐けない情況でトイレの床に坐り込んだ。

 で、血圧である。高血圧の利点は目覚めがいいことに尽きる。テレビの電源を入れるようにパッと目が覚める。ボーッとすることがこれっぽっちもない。それくらいかな。

 数年間にわたって180前後の血圧を維持してきたが、時折200を超えることがあった。血圧をコントロールするのはさほど難しくない、と私は考えていた。色々調べた。そして方針を定めた。運動はウォーキングのみ。食事は酢納豆とサバ缶玉ねぎで攻めた。1週間で140台まで下がった。ま、こんなもんだよ。

 カリウムは知らなかった。


 サツマイモとピーナッツはかなり食べているのでドンピシャリである。人体に最も必要なミネラルは塩である。古来、塩は貴重品であった。世界中で税をかけられ、専売制で国家が管理をした。「敵に塩を送る」という俚諺(りげん)は、敵を高血圧にするという意味ではない。

 高血圧治療薬(降圧剤)が認知症の原因となっていることは予(かね)てから指摘されている。


 血の巡りを悪くさせるわけだから惚けるのも当然だろう。因みに降圧剤は5500億円市場となっている(【降圧薬】市場は5500億円 ジェネリックのシェアは1.6%|日刊ゲンダイヘルスケア)。映画の市場規模が2600億円で、地方競馬が1750億円である(市場規模マップ | visualizing.info)。で、認知症患者が増えれば、またぞろ薬漬けにできるわけだよ。お前らはドラッグマフィアか?

  

医原病/『医学常識はウソだらけ 分子生物学が明かす「生命の法則」』三石巌


『医者が教える食事術 最強の教科書 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68』牧田善二
『医者が教える食事術2 実践バイブル 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方70』牧田善二
『コレステロール値が高いほうがずっと長生きできる』浜崎智仁

 ・医原病
 ・高血圧と食塩摂取とのあいだにはほとんど因果関係がない

『免疫力が10割 腸内環境と自律神経を整えれば病気知らず』小林弘幸、玉谷卓也監修
『心と体を強くする! メガビタミン健康法』藤川徳美
『最強の栄養療法「オーソモレキュラー」入門』溝口徹
『食事で治す心の病 心・脳・栄養――新しい医学の潮流』大沢博
『オーソモレキュラー医学入門』エイブラハム・ホッファー、アンドリュー・W・ソウル

身体革命
必読書リスト その一

 一方では、製薬会社や医療機器メーカーと結託して私腹を肥(こ)やしているような医者もいる。患者の命や健康を守ることより、自分たちの利権を守ることを最優先に考えているのである。多くの血友病患者に深刻な被害を与えた薬害エイズ事件も、おそらくはそういう構造によって惹(ひ)き起こされたものだと考えてよい。
 患者に無闇やたらと薬を出す医者も、似たような体質を持っているといえるだろう。医療費の大半が健康保険で賄(まかな)われていることを考えれば、効(き)きもしない薬を出す医者を野放しにしておくのは、国家的な損失だといえる。
 いずれにしても、そんな医者に自分の体を委(ゆだ)ねていたのでは、治る病気も治らなくなってしまう。それどころか、不勉強な医者にかかったために、かえって深刻な病状に悩みつづけている患者も多い。これを私は「医原病」――医学の無知によって惹き起こされる病気――と呼んでいる。ウェルニッケ脳症という「医原病」で苦しんでいる人たちの痛ましい話も知った。

【『医学常識はウソだらけ 分子生物学が明かす「生命の法則」』三石巌〈みついし・いわお〉(祥伝社黄金文庫、2009年)】

必読書リスト その一」は読みやすさと、命に関わることを重視している。後はジャンル~関連書で括っている。大雑把に言えば科学~歴史~宗教の順番である。私の個人的興味で網羅しているわけだが、順を追って読めば意図するところが理解できよう。ま、古本屋だからね、並べるのは得意なわけよ。ただし古典はほぼ入っていない。私の知性が及ばぬゆえに。

 高度経済成長が神聖な職業を卑俗なものに変えてしまったのだろう。医師、教師、僧侶など。入れ替わりで台頭してきたのが学者、ジャーナリスト、タレントであった。ま、左翼の巣窟といってよい。媒体(メディア)は活字から映像へシフトした。

 どんな仕事でも一流と二流、あるいは平均とそれ以下の多数が存在する。難しいのは患者にとっては痛みや不調が問題であり、まずはそこを理解する医師かどうかを見る。つまり、コミュニケーション能力だ。次に来るのが説明能力だ。症状から原因を類推し、いかなる処置をするのか。どういうリスクとリターンがあるのか。特にリスクの説明が不可欠だ。私は病院へゆく機会が少ないこともあるが、かつて優れていると思った医師は一人しかいない。他は勉強不足の「仕事だからやってます」みたいな手合いばかりだった。一時期、仕事の関係で複数の医師と接することがあったのだが、「人間のクズ」の標本かと思った。それくらい酷い。

 医師の仕事は自分の古い知識に照らして、判例に沿った判断をする裁判官みたいなものだ。現在にあっては薬を処方するのが主な仕事となっている。彼らが自ら実験することはない。治験を行うのは製薬会社である。つまり、他人の知識で相撲を取っているわけだ。

 その集大成ともいうべき動向が新型コロナ騒動である。効果があるとされたヒドロキシクロロキンとイベルメクチンは完全に封殺された。




 医療の中でも特に精神科・心療内科が酷い。医師の知遇はないのだが、苦しみ喘ぐ患者をたくさん見てきた。奴らの仕事は患者を薬漬けにすることだ。まして、診断の国際基準とされる「精神障害の診断と統計マニュアル」の第5版(DSM-5)が製薬会社の利益に寄り添った内容に改変されているのだ(『〈正常〉を救え 精神医学を混乱させるDSM-5への警告』アレン・フランセス)。更に多剤併用(ポリファーマシー)の害すら説明していない。

 日本医師会は開業医(町医者)の団体である。彼らは政府に散々難癖をつけながらも、自らがコロナ患者を診ることはなかった。

【新型コロナウイルス】尾身会長「系列病院」にコロナ患者受け入れ“後ろ向き”疑惑|日刊ゲンダイDIGITAL

 最前線で格闘する医師と看護師は特攻隊を思わせるほど奮闘している。開業医の利権を潰す絶好の機会であったが、政府も自民党もあっさりとスルーした。

 大体だな、病気ってえのあ、生活に原因がある(遺伝子やウイルス由来もあるが)。その人の数十年に及ぶ生活の問題を数分の問診で見抜くことは無理だろう。しかも、それを薬で治そうなんて料簡(りょうけん)が気に入らない。医学を恃(たの)むよりも体の声に耳を傾けるのが正しい。食事と運動こそ最高の良薬(ろうやく)である。それで駄目なら寿命と割り切るまでだ。