・密教の原風景
・『シャーマン・ヒーラー・賢者 南米のエネルギー・メディスンが教える自分と他人を癒す方法』アルベルト・ヴィロルド
・『植物のスピリット・メディスン 植物のもつヒーリングの叡智への旅』エリオット・コーワン
・『人類の知的遺産 53 ラーマクリシュナ』奈良康明
・『あるヨギの自叙伝』パラマハンサ・ヨガナンダ
・『クリシュナムルティの神秘体験』J・クリシュナムルティ
・悟りとは
「さて、友人たちよ」
ローリング・サンダーが口を開いた。
「私はこれからあなたがたにできるだけ明快にお話ししようと思う。私にとって、白人たちとスピリチュアルな問題についての交わりを持つのはこれが最初の機会であり、また私がここに来ることをためらった大きな理由もそこにある。われわれインディアン同士でなら、スピリチュアルなことについて一晩中でも腰をおろして語り合うことはままあることだ。しかしあらかじめここではっきりさせておきたいのだが、私はここでどんな儀礼や聖なる儀式についても、いささかたりとも明らかにするつもりはない。そうしたものは、もともと明らかにされるようなものではないからだ。当然この場でもそれを明らかにするようなことはできない。アメリカ・インディアンには、秘密とされていて一般に明らかにしてはならないようなものがたくさんあるのだ」
【『ローリング・サンダー メディスン・パワーの探究』ダグ・ボイド:北山耕平、谷山大樹訳(平河出版社、1991年)】
ローリング・サンダーの講演から幕が開く。聴衆は精神分析医、心理学者、医師である。ローリング・サンダーは鮮烈なメッセージを放ち、最後に奇蹟を一つ起こしてみせた。
「儀式」と「秘密」とくれば密教である。ローリング・サンダーはメディスンマン(呪術医)であった。
・ほんもののメディスンマン: Native Heart
物事には段階がある。どのような世界でも秘儀や奥義を初心者に教えることはない。誤解や悪用を避けるためだ。
ローリング・サンダー。 pic.twitter.com/WQQHeTUQgG
— 小野不一 (@fuitsuono) 2015, 2月 28
ローリング・サンダーの言葉から密教の原風景が浮かぶ。拈華微笑(ねんげみしょう)や以心伝心はさほど不思議なことではない。理解は一瞬にして訪れる。
秘密を権威づけたところに仏教系密教の凋落(ちょうらく)要因がある。密教僧にはメディスンマンほどの自己抑制がなかったのだろう。尚、私は以前から密教には否定的であるが、インディアンのスピリチュアリズム(密教)には惹かれるという奇妙な二面性を持っている。