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2016-03-11

東京大空襲


 この季節、きまって脳裏をよぎる五行歌がある。〈霊能者という人に/本当に霊が見えるなら/東京なんて/一歩も歩けないと/東京大空襲の生き残りの父〉(唐鎌史行、市井社『五行歌秀歌集2』)◆火炎と熱風をのがれて水辺に逃げた人の多くは酸欠死し、溺死し、凍死した。遺体からにじみ出た脂で隅田川が濁ったという。米軍機B29がおびただしい数の焼夷弾を東京上空から降らせたのは71年前のきょうである◆約10万人が…いや、命に切り捨てていい端数のあるはずがない。「東京大空襲を記録する会」の調査によれば、9万2778人が死亡した◆日本政府は戦後、無差別の大量虐殺であるこの東京大空襲を指揮したカーチス・ルメイ将軍に、勲一等旭日大綬章を贈っている。東京五輪の年、1964年(昭和39年)のことである。「自衛隊育成の功労者」という名目だが、霊は泣いただろう。〈東京なんて/一歩も歩けない…〉のは道理である。復興を成し遂げて、世紀の祭典に酔ったのか。いまもって理解しがたい◆人はときに、心弾む階段をのぼりながら堕落していく。ほろ苦い歴史の教えである。

【編集手帳 2016年3月10日】

2016-03-03

白金(しろかね)


 作家今東光は、谷崎潤一郎と話していて、うっかり「芝のしろがね町の……」と発言したために、「芝はしろかね。白金と書いてしろかねと言うんだ」「牛込のはしろがね。白銀と書いてしろがねと発音するんだ。明治になってから、田舎っぺが東京へ来るようになって、地名の発音が次第に滅茶苦茶になってきたな」と怒鳴りつけられたとのこと(『十二階崩壊』中央公論社、1978年。p.250)

Wikipedia

十二階崩壊 (1978年)

2015-08-21

われわれは将来のために貯蓄したり、投資したりしている人々を滅ぼしつつある


Q:今は普通の時代ではないのだろうか

A:現在起きていることは歴史的にも異例なことだ。過去数千年の歴史において、金利が0%だったり、マイナス圏に突入するなどということは一度もなかった。われわれは将来のために貯蓄したり、投資したりしている人々を滅ぼしつつある。そうした人々は、仕事もしていないのに4、5軒の家を頭金なしで購入した人々の犠牲となって破綻しかけている。われわれは歴史上のすべての社会が最も必要としてきた人々に大打撃を与えているのだ。

 投資をしたり貯蓄をしたりしている人々が大損害を被っているとき、その社会、経済、国には問題がある。米国はまさにそうしたことをしてきたのだ。将来のために貯蓄してきた人々のことを考えてみてほしい。彼らはバカみたいに見えるし、バカみたいだと感じてもいる。借金をした友人たちは、彼らの犠牲で救われているのだ。

ジム・ロジャーズ氏が不人気な資産を買っている理由

2014-09-05

プラハの春と朝日新聞


 そこにいた記者のほとんど全部がウオツカなどで酔っ払っていた。酔い泣きに泣いている者までいた。さほど酔っていない記者が説明してくれたという。「プラハの特派員がこの侵入と弾圧はよくない、と打電してきているのに、その正反対を書かねばならないからだ」▼「酔ってでもなければ、そんなことは書けない」。1968年、チェコスロバキアの民主化の動き「プラハの春」をソ連が戦車で蹂躙(じゅうりん)したあと、モスクワでソ連共産党機関紙プラウダの編集局を深夜ひそかに訪ねたときの光景を、作家の堀田善衛が書き残している。党機関紙であっても記者の心根に変わりはないと知った。▼朝日新聞が一度は掲載を拒んだジャーナリスト池上彰さんのコラムを、「判断は適切でなかった」という謝罪とともにきのう載せた。その間、朝日の記者たちがインターネット上に実名で意見を公にしている。「掲載拒否」に「はらわたが煮えくりかえる」、掲載後は「拒否した理由がますます分からない」というふうに。▼慰安婦報道に対する朝日の検証を、池上さんは「遅きに失した」「謝罪もすべきだ」と批判した。しかし朝日を侮辱しているようには読めない。なのに、なぜ記者の心根とかけ離れた方針になったのか。記者の不満が紙面以外のどこかに噴き出すのはいいことなのか。民主主義の国だってメディアは危うさをはらんでいる。

春秋/日本経済新聞 2014年9月5日

2014-08-25

ジョー・オダネルと日本人の交流


 昭和20年の夏も盛りを過ぎたころ。占領軍の一員として日本に上陸した米国の従軍写真家ジョー・オダネルさんは福岡の農村で、ある墓を見る。木で手作りした十字架に、「米機搭乗員之墓」とある。墜落した米軍機の搭乗員を、地主夫妻が手厚く葬ったものだと知る。▼「墜落した飛行士も気の毒な死者のひとりですよ」と地主の妻は語った。別の日、ある市の市長宅でごちそうを振る舞われる。奥さんが作ったのだと考え「奥様にお会いしたい」と請うと、市長は穏やかに答えた。「1カ月前の爆撃で亡くなりました」。オダネルさんは動揺し、おわびを述べ、逃げるように宿舎に帰った。▼敵国日本を憎み軍に入ったオダネルさんは、こうして現実の日本人と交流を重ねる。教会で仲良く並ぶ米兵の靴と日本人の草履を見て、このように皆が平和に暮らせればいいと思うようになった。撮影された写真と体験記は「トランクの中の日本」という題で出版され、2007年の没後も増刷されるロングセラーになる。▼日本の最大の資産は誠意、寛容、潔さを備えた日本人だとの説がある。戦後、政府と占領軍の交渉でも日本側の誠意が米側の好意を引き出したと、五百旗頭真氏は「占領期」に書いている。オダネルさんの場合も市井の日本人が元敵兵の価値観を変えた例だ。毎年この時期、混乱の中で礼節を失わなかった先人たちを思う。

【春秋/日本経済新聞 2014-08-25】

トランクの中の日本―米従軍カメラマンの非公式記録

アメリカ人の良心を目覚めさせた原爆の惨禍/『トランクの中の日本 米従軍カメラマンの非公式記録』ジョー・オダネル
米軍カメラマンが見た長崎

2014-03-06

ロシアを罵倒したケリー米国務長官の背後には国有財産を私有化し、国民をIMFへ差し出す富豪たち


 ある国の反政府勢力を経済的に支援し、その国のファシスト集団を軍事訓練、さらに国外から傭兵を送り込んで争乱を演出、選挙で成立した政権を倒し、自分たちに都合の良い「暫定政権」を作ること、つまりクーデターを容認、しかもそのクーデターに対抗するために軍隊を使おうとする国に「軍事介入の中止」を求める人たちがいる。

櫻井ジャーナル

2013-12-25

「女性は男性より将棋が弱い」


 ・「女性は男性より将棋が弱い」

『将棋の子』大崎善生
『傑作将棋アンソロジー 棋士という人生』大崎善生編

 世の中には、なぜという理由がきちんと説明できない事実というものがある。たとえば「女性は男性より将棋が弱い」という事実。もちろん、ヘボ将棋を指す男など苦もなくやっつける女性はいくらもいるのだが、頂点を比べれば、男女の力の差は厳然として存在する。▼いま女性で一番強いといわれる里見香奈さん(21)は一方で女流棋士として活躍し、一方では奨励会という名の棋士養成機関でプロの卵の少年にまじってしのぎを削っている。女性だけが少々甘い基準でなれる「女流棋士」は、男であれ女であれ奨励会を突破しなければなることができない「棋士」とは格がまったく違う。▼その里見さんが奨励会で一番上の三段に昇段し、棋士までもう一歩に迫った。棋士はおろか奨励会三段になった女性すらこれまで一人もいなかったのだから、快挙である。つぎは三段の40人ほどが戦う半年ごとのリーグ戦が待っている。上位2人に入れば、「女流最強棋士兼棋士の卵」から晴れて「女性初の棋士」である。▼とはいえ三段から棋士になれるのは半数以下という。「奨励会員なんてのは、虫ケラみたいなものなんだ」。奨励会の厳しさを描いた「将棋の子」(大崎善生著)にそんな一言がある。棋士を目指す貪欲な少年たちとどう戦うのか。里見さんのこれからは、大げさにいえば「将棋における男と女」の常識に一撃を加えうる。

【「春秋」/日本経済新聞 2013-12-25】

2013-11-17

時代の風:「集落丸山」に学ぶ国づくり=元世界銀行副総裁・西水美恵子


未来を切り開く結束力

 兵庫県篠山市の一角に、稀有(けう)なリーダーシップを発揮する人々がいる。リスクを直視し、危機感を持って受けとめ、新しい未来を築こうと力を合わせる「集落丸山」の女衆と男衆だ。

 丹波高原の山々に抱かれる篠山市は、谷沿いに深く入り込む大小さまざまな集落に、ぐるりと囲まれている。京都北西の要塞(ようさい)という地政的な性格から、中世には山城が林立し、根城と枝城が戦略的な網状組織を成していた。集落の多くは、城の出入り口や、逃げ口、水源などを守る命を受けた兼農武家地だったと聞く。

 そのひとつである丸山の歴史は「丹波篠山では新しい」そうで、城が平野に下りた江戸時代に始まった。1794年、篠山城外堀の役目を持つ黒岡川の水源を守るために、配置された。

 今日も篠山市の中心である篠山城跡から、黒岡川沿いに北北東へ5キロほど行くと、多紀連山の懐に入る。連山の主峰御嶽の登山口へ続く谷筋が急に狭まるあたり、手入れの行き届いた田畑と里山の緑を背景に、そこには不似合いと感じるほど重厚な古民家の集落、丸山が、現れる。

 その姿を初めて目にした時、築150年以上の古民家群が醸し出すカリスマに息を呑(の)み、鳥肌さえ立った。

 入母屋造りのどっしりとした屋根線が、母屋と蔵の白壁をちらちら覗(のぞ)かせながら重なり合い、山裾の斜面から平地へと流れる。屋根の合掌が作る「破風(はふ)」と呼ぶ側面は、そこだけ柿渋色の漆喰(しっくい)に塗られ、白く大きく描かれた家紋を遠目にも際立たせている。石積みの垣や生け垣に沿って客を迎え入れる脇門を持つ家が多いなか、長者の住居だったのか、堂々たる長屋門を構えた家もある。

「集落丸山」は、丸山の人々が運営する、集落まるごとの宿。2009年10月に開業した。宿泊施設は、空き家になっていた古民家2棟。生活の「近代化」が残したさまざまな厚化粧が取り除かれ、水回りの他は本来の姿に戻された。その贅沢(ぜいたく)な空間の要所要所に、和風モダンな家具や照明が配されて、いにしえの優れたデザイン感覚をより一層引き立てている。

 食事処(どころ)は、地元の豊富な食材や甘露水、人の結いなどに魅せられ丸山にIターンした、料理の達人2人による。古民家続きの蔵と納屋を改造した小さなフランス料理店は、神戸にある名店のオーナーシェフが構えた。集落奥に佇(たたず)む蕎麦(そば)懐石の店は、「関西の至宝」とさえ呼ばれる蕎麦通の聖地。彼らの指南を受けた丸山の女衆が受け持つ朝食は素人の域を超え、地産地消の絶品がずらりと並ぶ。

「おかみさん」と呼ぶには若すぎる丸山の次世代ホープが、女将役を見事に切り回し、客が知らず知らずに集落住民となるよう導いてくれる。「集落丸山」は、宿より高級プチリゾートと呼ぶほうがふさわしい。

 丸山は、限界集落だった。住民5世帯19人の過半数が高齢者のうえ、民家12軒中7軒が空き家になっていた。小さな集落にとって、共同体機能が消滅する可能性は、リスクというより不可避な現実に近く、住民は強い危機感を抱いていた。

 しかし、丸山には、得難い財産があった。厳しい自然を相手に生き永らえた極小社会が培った、住民一人一人のリーダーシップ精神と、「集落は家族である」と言い切る結束だ。

 古民家「発見」が、その財産に情熱の火をつけた。07年、長屋門の古民家診断と改修をきっかけに、専門家が集落全体を調査した結果だった。男衆の一人は、「古い家に価値があるとは知らなかった。『立派な家』に建て替える財力のないことが幸運でした」と笑う。

 それから開業までの2年間、丸山の人々の行動は目覚ましかった。類は友を呼び、列挙が不可能なほど大勢の有志と団体組織が、専門知識や、出資、補助金を提供。丸山の夢とビジョンを現実にと動いた。住民は、集落を離れた人たちと共にNPO法人「集落丸山」を設立し、中間支援組織として道を共にする一般社団法人「ノオト」と、有限責任事業組合「丸山プロジェクト」を結成。所有者から空き家と農地を10年間無償で借り受け、日本の暮らしを体験する宿を作り上げた。

 開業から4年。「集落丸山」は黒字経営を持続し、若者のUターンさえ始まった。一丸となって未来を切り開く丸山の人々を思うつど、国づくりかくあれと、心より願う。

毎日新聞 2013年11月17日 東京朝刊

国をつくるという仕事あなたの中のリーダーへ貧困に立ち向かう仕事

世界銀行の副総裁を務めた日本人女性/『国をつくるという仕事』西水美恵子
古民家の宿 集落丸山【築150年の丹波篠山の宿】
築150年の古民家と丸山集落の再生
集落まるごと一軒の宿 「集落丸山」(丹波篠山)

特定秘密保護法案に対する白土三平の懸念


 少年忍者を主人公にした漫画「ワタリ」に「死の掟(おきて)」という話が出てくる。下層の忍者たちは掟を破ると支配者から殺されてしまう。ところがその掟の中身とは何なのか、支配者以外は誰も知らないのだ▲「その掟を知らねば掟の守りようがないではござりませぬか」。忍者たちは見えない掟に恐れおののき、疑心暗鬼になり、支配者に服従するしかない。実は掟とは支配者が衆人を都合よく統制するために編み出した秘密のことで、その秘密を知った者は消されていくのだ▲ならば現代の「死の掟」となりはしないのか。国会で審議が進む特定秘密保護法案のことである。情報を行政機関だけの判断で特定秘密に指定し、その秘密の中身が何かを国民は一切知ることができない。秘密を知ろうと近づけば、場合によっては逮捕され、処罰される▲作者は「カムイ伝」「サスケ」などで知られる漫画家の白土三平(しらと・さんぺい)さん(81)。プロレタリア画家だった父や軍国主義教育を受けた自身の体験を踏まえ、権力支配の有りように鋭い批判の目を向けた作品が多い。彼の目に法案はどう映るのか▲「(特定秘密という)わからないもののために罰せられるというのは理不尽。背景にはこの法案を作り上げた精神や雰囲気のようなものがあるはずで、それが広がっていくようであれば大きな問題です」。白土さんはそう懸念する▲「ワタリ」では、忍者たちが最後に団結して支配者を捕らえ、掟の呪縛(じゅばく)から解き放たれる。「理不尽なことを押しつけてくるものに対して、我々国民の側は正当に防衛する権利を行使できるはずです」。白土さんは世論の高まりに期待する。

「余録」/毎日新聞 2013年11月17日

 1面トップの「比台風 高潮の恐怖/ボトルにつかまり濁流に3時間」という見出しが目を惹(ひ)いた。偶然買った新聞に秀逸なコラムがあると130円の値段も安く思えてくるから不思議だ。西水美恵子〈にしみず・みえこ〉の寄稿(集落丸山について)もあってお得感は倍増した。

白土三平選集 13 ワタリ 1 (白土三平選集 新装版 13)白土三平選集 14 ワタリ 2 (白土三平選集 新装版 14)白土三平選集 15 ワタリ 3 (白土三平選集 新装版 15)

ワタリ
ワタリ
カムイ伝と日置藩の池に住む亀の秘密=大阪W選挙の週刊誌紙爆弾
世界銀行の副総裁を務めた日本人女性/『国をつくるという仕事』西水美恵子

2013-03-09

『孫子』の意義


兵とは詭道なり/『新訂 孫子』金谷治訳注
孫子の兵法/『孟嘗君』宮城谷昌光

2012-12-16

【北朝鮮ミサイル】韓国国防相、解体情報「確認したことない」


127 名前:<丶`∀´>(´・ω・`)(`ハ´  )さん[] 投稿日:2012/12/13(木) 07:21:20.04 ID:Fffli0Da [1/2]

ミサイル、ミサイルとは言うけれど
別に日本やアメリカに撃ち込んでやろうと
開発しているわけじゃないからね
開発したミサイルをイランを始めとした反米諸国に売り込む

その為には『これだけ飛びます』という実演が必要
イランにミサイルを売られるとイスラエルまで届くのでアメリカは必死w
日本に撃ち込まれるぞ!!と嘘をついてまで巻き込もうとしている

日本はとっくの昔に射程圏内で これほどの飛距離は必要ないんだわ

丁寧語とか、礼儀正しく書いてみる日記2

2012-11-23

鹿野武一の沈黙


 鹿野武一はつねに列の外に立っていた。もっと正確に言うなら、彼はみずから進んでいつも、いちばん外側の列に身を置いていた。

 囚人たちが作業現場の行き帰りに組まされる隊列は五列。行進中にもし一歩でも隊伍を離れる者がいれば、逃亡と見なしその場で射殺してよい規則になっている。囚人たちがしばしば射殺されたのは、逃亡を試みたからではなく、その大部分は、氷のように固く凍てついた雪の上を行進していて蹟くか足を滑らせて列外へよろめいたからにすぎない。ことに、実戦の経験の少ないことに劣等感を持っている少年兵が警備に当たっている場合、彼らは「きっかけさえあれば、ほとんど犬を射つ程度の衝動で発砲」した。

松浦寿輝〈まつうら・ひさき〉


「鹿野武一」関連資料集
菅季治、鹿野武一、石原吉郎
究極のペシミスト・鹿野武一/『石原吉郎詩文集』~「ペシミストの勇気について」
ナット・ターナーと鹿野武一の共通点/『ナット・ターナーの告白』ウィリアム・スタイロン
言葉を紡ぐ力/『石原吉郎詩文集』石原吉郎
「棒をのんだ話 Vot tak!(そんなことだと思った)」/『石原吉郎詩文集』石原吉郎

2012-10-13

スリランカ仏教と神智学協会


 このように,スリランカ仏教と神智協会(※神智学協会)との関わりは,イギリス植民地支配のもとで,キリスト教への反発から仏教王権が回顧されていた時期に生まれた。仏基論争に触発されたオールコット(※ヘンリー・スティール・オルコット)とブラヴァツキーの2人は,1880年5月に,1人のイギリス人,5人のインド人とともにスリランカを訪れた。オールコットは,すでに1879年より教義論争の主役であったグナーナンダ師やスマンガラ師と親交を結んでいた。そのため,スリランカの側からも,その来島が待望されており,いわば,西洋の仏教理解者のチャンピオンとして歓迎されたのである。

「儀礼の受難 楞伽島綺談」杉本良男、P48(PDF)/一部に注(※)を施した】

「比較による真理の追求 マックス・ミュラーとマダム・ブラヴァツキー」杉本良男(PDF)

 下記リンクの論文では、スワミ・ヴィヴェーカーナンダが神智学協会を批判した事実にも触れている。

2012-09-16

戦争絶滅受合法案


 20世紀の初めごろ、デンマークの陸軍大将が、こんな法律があれば、戦争をなくせると考えて起草した法案がある。題して「戦争絶滅受合(うけあい)法案」▼戦争の開始から10時間以内に、敵の砲火が飛ぶ最前線に一兵卒を送り込む。順序はまず国家元首、次にその親族の男性、3番目は総理、国務大臣、各省の次官、そして国会議員(戦争に反対した議員を除く)、戦争に反対しなかった宗教界の指導者…▼妻や娘は従軍看護師として招集し、最前線の野戦病院で働く。権力を持つ者から犠牲になるなら、自らは安全地帯にいてナショナリズムをあおる政治家は姿を消すだろう▼思想家の内田樹(たつる)さんは戦争を車の運転に例える。政府は「行き先」を決め、将軍たちは「運転」をする。「国民」の任務は「憎悪と敵意」をエネルギー源として、「戦争機械」に供給することだという(『ためらいの倫理学 戦争・性・物語』)▼その「憎悪と敵意」が高い水位まで満ちてきた感がある。尖閣諸島の日本国有化に抗議する反日デモが、過去最大規模で中国全土に広がった。一部は暴徒化し日系企業を破壊。上海では、日本人が相次いで暴行を受けた。中国にいる日本人は不安でたまらないだろう▼「戦争も辞さない」と書いた横断幕が掲げられていたのが目を引いた。小さな無人島の領有をめぐって、戦争を始めるほど、両国の政府も国民も愚かではない。

筆洗/東京新聞 2012年9月16日

デンマーク陸軍大将フリッツ・ホルムが起草した「戦争絶滅受合法案」
デンマークのフリッツ・ホルム陸軍大将が起草し、日本のジャーナリスト長谷川如是閑が昭和4年(1929年)に紹介発表した【戦争絶滅受合法案】

2012-08-07

ドゥドゥ・ニジャエ・ローズ


「全ては音楽だ。あらゆるものが持っているリズム。それが私には聞こえるんだ。リズムは、私の情熱であり、愛であり、信ずるものなのだ。毎日の暮らしも、リズムに満ちている。油のはねる音、鍋を混ぜる音、野菜の煮える音。ぼんやりしていれば、どの音もどの声もただ騒がしいだけだろう。しかし、私には全てがリズム、全てが音楽に聞こえてくる」

打楽器の神様・タムタムの王者 ドゥドゥ・ニジャエ・ローズ

ドゥドゥ・ニジャエ・ローズ、インタビュー






リズム、呪文(マントラ)、押韻の共通性

OM / AUM / オーム


 西洋のクラシックに匹敵し得るのは東洋のマントラであろう。就寝前に聴くとリラックスできる。オームはアルファベットならA-Zに該当し、日本では阿吽(あうん)と訳す。尚、オーム以外のマントラも含む。

「オウムはA、U、Mの三つの音で成り立っている。サンスクリットでは、Aはアルファベットの最初の音、Mは最後の音であり、Uはその間のすべての文字を表している。だから、オウムというマントラには、サンスクリットの言語構造すべてが込められている。それは、すべての言葉とすべての存在の本質なのだよ。我々の古代からの伝統によれば、存在そのものが『オウム』という音から生まれた、とされている」

【『君あり、故に我あり 依存の宣言』サティシュ・クマール:尾関修、尾関沢人〈おぜき・さわと〉(講談社学術文庫、2005年)】


Magical Healing Mantras Embrace

グリーンターラ・マントラ~Mantra of the Green Tara (チベット語) マントラ~オーム・マニ・ペメ・フン~Om Mani Padme Hum(チベット語)

色んな南無妙法蓮華経を集めてみた


 我ながら力作だと思う。いや、ホントに。

 本門宗要抄は、清澄に帰った聖人は建長5年4月22日より17日間禅定に入り、成満して28日、朝日に向かって南無妙法蓮華経と唱えたという。

【『日蓮とその弟子』宮崎英修〈みやざき・えいしゅう〉(毎日新聞社、1971年/平楽寺書店、1997年)】

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2012-06-21

安全ではないものを安全だと言いくるめた男たちが原発を再稼働する


 まだ何も終わっていない福島第一原発の事故を「収束した」と口先だけで発言し、安全の根拠もまったくないまま大飯原発3、4号機を再稼働させる。

 そんな人間が首相の座にいる。いったい何という国だろうか。

 安全ではないものを安全だと言いくるめた男たちが、また原発を再稼働するというのだから、それ自体が犯罪だ。

鈴木傾城〈すずき・けいせい〉

2012-05-30

ホロコースト詐欺事件 アメリカで5500人が賠償金不正受給


 ホロコーストの犠牲者にまだ補償金が分配されていない段階で、残余分が「おそらく数十億ドル」になることがどうして分かるのか、誰が考えても不思議だ。さらに言えば、どれだけの人数が受給資格を満たしているかさえ、まだ分かってはいないのである。それともホロコースト産業は、初めから「おそらく数十億ドル」が残るのを知っていて、「困窮するホロコースト犠牲者」の名で補償金を集めたのだろうか。ホロコースト産業は、ドイツやスイスの和解案が生還者にごくわずかな額しか割り振っていないとして、強い不満を訴えた。しかし、なぜ残余分の「おそらく数十億ドル」を使って分配金の不足分を補填しないのかは、明らかにしていない。  予想されたことだが、これにホロコースト生還者たちは激怒した。

【『ホロコースト産業 同胞の苦しみを「売り物」にするユダヤ人エリートたち』ノーマン・G・フィンケルスタイン:立木勝〈たちき・まさる〉訳(三交社、2004年)以下同】

(スイスからの和解金12億5000万ドルの内)8億ドルから正当な請求をすべて処理した後に残る金額、すなわち和解金の「残余分」は、直接ホロコースト生還者にか、またはホロコースト関連の活動に携わる各ユダヤ人組織に分配されることになっている。しかし現実には、残余金はほぼ間違いなくユダヤ人組織に流れる。決定権を持っているのがホロコースト産業だということもあるが、当分の間は分配が行なわれないというのもその理由だ。実際に分配が行なわれる頃には、本当のホロコースト生還者はほとんど生きていないだろう。

◎ノーマン・G・フィンケルスタイン

ホロコースト産業―同胞の苦しみを「売り物」にするユダヤ人エリートたち

2012-05-27

海堂尊〈かいどう・たける〉が語る仕事「一点突破の足場を作る」


人は打たれ強くなれる

何を言われても死にはしない

 今の日本があちこちで停滞していると言われることに、僕は憤りを感じます。年かさの人間が、「若い人材がいない」と嘆くことも同じようにやり切れない。僕が医療の世界に居ながら小説を書いたことも、アカデミズムの世界では眉をひそめられる行為です。本当にそれでいいのかと思いますね。

 戦国時代や明治維新などの激動の時に、日本は素晴らしい若い人材が輩出していますが、あの時代が異常だったのかと言えばそうではない。もともと私たちは進取の気性に富んだ国民なのです。しかし安定した時代が続く日本では、力を持った年配者が自分の権限にしがみつき、未来の子孫の時間や、伸びていく可能性や、彼らに投入すべき資金を食い潰してはいないでしょうか。権限を持っている人間が自分の力を10割行使するのではなく、せめて8割くらいまでにとどめ、残る2割を若い人にすっかり預けてみる度量は発揮できないものでしょうか。仕事はそうやって、若い人間が思い切って実行することで飛躍点を見つけてきたと思うのです。

 逆に、行き詰まりを感じている若い人は、正しいと思うなら周囲の顔色をうかがわずにやんちゃをしてみてください。本当に社会のためになることなら、組織の中に反対者が大多数であっても、見ている人はちゃんと見ている。現代では、どんな発言や行動をしても命まで狙われることはないでしょう。自分の信じることを見つける、それを必死で主張する。それくらい面白い仕事の仕方はないと思いますよ。

攻撃してくる人には習性がある

 たたかれている時には、人から疎まれている事実だけで精神的にへとへとになります。僕も気持ちが真っ暗になることもありました。でもいろんな方面からたたかれているうちに、それが正しい理論で発言されているのではなく、個人の立場を守るための保守的な見解だったり、組織の役割を維持するための後ろ向きな態度からだったりするのだと見えてきました。結局、攻撃してくる人は、自分の足元が脅かされるのが怖いんですよね。

 もしあなたが多くの部下を持つ人なら、押さえつけ守っている自分の領域に、若い人が呼吸できる場所を与えて上げて欲しい。やるべきことを見定めている若い人なら、攻撃してくる人の気持ちの底を見てください。そして慣れていくこと、タフになっていくことです。

 僕が続けていた剣道で教えられたことは二つ。「集中力」と「今一時(いっとき)」ということです。相手と相対して面を打つ。決まればこちらの勝ちで、返されれば向こうの勝ち。剣道ほどの瞬時の決断を迫られることは、人生の局面ではそうはないと思うけれど、打たれても型が分かる。打たれ強くなりながら、自分の目的に近づいていけばいいのです。(談)

朝日求人 2012-05-27

チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599) チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600) 救命―東日本大震災、医師たちの奮闘 死因不明社会―Aiが拓く新しい医療 (ブルーバックス)