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2021-09-23

竹田恒泰がXcoinを語る


 但し、金融はGAFAMが担うようになるという説もある。







2020-07-04

法定通貨が政府の「信用」で成り立っているという誤解/『今だからこそ、知りたい「仮想通貨」の真実』渡邉哲也


『ギャンブルトレーダー ポーカーで分かる相場と金融の心理学』アーロン・ブラウン
『サヨナラ!操作された「お金と民主主義」 なるほど!「マネーの構造」がよーく分かった』天野統康
『マネーの正体 金融資産を守るためにわれわれが知っておくべきこと』吉田繁治
『デジタル・ゴールド ビットコイン、その知られざる物語』ナサニエル・ポッパー

 ・法定通貨が政府の「信用」で成り立っているという誤解

 インターネット上で流通し、お金のように取引されている「仮想通貨」は、中郷銀行や金融機関を経由せずに取引されるデジタルデータで「紙幣」も「貨幣」もなく、国家による価値の保証もありません。しかし、専門の取引所(仮想通貨取引所)で円やドルなどの法定通貨に交換可能で、価格が大きく値上がりし、億単位の利益を得た「億(おく)り人(びと)」も登場したことで話題になり、仮想通貨の取引を始める人が増えました。

【『今だからこそ、知りたい「仮想通貨」の真実』渡邉哲也〈わたなべ・てつや〉(WAC BUNKO、2018年)】

 正確には暗号通貨(crypto currency)である。仮想通貨という言葉は現代のマネーシステムが仮想である事実を見失わせるので好ましくない。渡邉の著書は粗製乱造気味で食指が伸びない。本書もさほど期待せずに読んだのだが暗号通貨の取引をやめる契機になった。専門家はおしなべてブロックチェーン技術は優れているが暗号通貨そのものは危ういと説く。渡邉の主張は中央銀行がブロックチェーンを導入すれば現在流通しているデジタル通貨は吹き飛ばされるというものだ。確かに一定の説得力はある。

 今回紹介したいのは以下のテキストである。

 かつては紙幣は金や銀などと交換することができた。しかし現在流通しているドルや円は政府が何とも交換することのない不換紙幣である。「何もしない」ということが不換貨幣のそもそもの意味である。保証も何もあるはずがない。政府は逆に紙幣印刷でそれを暴落させることはするだろう。

 法定通貨が政府の「信用」で成り立っていると主張する人々もいるがこれも完全な間違いである。信用とは基本的に将来何かしてくれるかどうかという意味である。したがって紙幣における信用とは「紙幣を持っていけば政府が何か(例えばゴールド)と交換してくれる」信用があるという意味であり、何とも交換してはくれない不換紙幣にはそもそも信用という概念さえ存在しない。

 円やドルはファンダメンタルズで考えれば金本位制を廃止した時点で価値がゼロになっていなければおかしいのである。(あるいは紙としての価値は残るだろう。)現在の法定通貨は信用ではなく、単に完全なバブルによって成り立っている。

ジム・ロジャーズ氏: 仮想通貨の価値はゼロになる | グローバルマクロ・リサーチ・インスティテュート

 これは難しい問題だ。ペイオフ解禁で預金の最低保証は1000万円までとなった。預金保険機構による保証は政府保証と考えてよい。ニクソン・ショック(1971年)でドルはゴールドの裏づけを失ったが、これは通貨の価値を変動相場制に委ねたことを意味する。現実にはアメリカ政府がドルとゴールドを交換することはないわけだが、マーケットや販売所にゆけば交換(トレード)できる。つまり国民がドルの価値を信用することで経済活動が成り立っているのだ。一方のゴールドを支えているのはその稀少性で、現在までの採掘量はオリンピックプール4杯分に満たない(3.8杯分)。マネーの価値はインフレ率分だけ年々下がっていくが、ゴールドは更なる高値を目指すことだろう。なぜなら中国がゴールドを買いまくっているためだ。そして世界各国の通貨の信用が剥げ落ちた時、ゴールド価格は想像を超える高値をつけるに違いない。

「信用という概念さえ存在しない」との指摘はどうか? 銀行が信用創造をしていることを踏まえれば「信用は機能している」と言えよう。ではニクソン・ショックをどう考えるべきなのか? アメリカ政府は1オンス35ドルの兌換(だかん)をやめたわけだが、現在ゴールドの価格は1オンス1800ドルとなっている。約半世紀でゴールド価格は51倍になった。逆に考えればドルの価値が1/51になったとも言える。対円だと360円から107.5円(今現在)に下がっている。円の価値は米ドルに対して3.35倍の価値が上がったわけだ。

 リーマン・ショック(2008年)以降、世界各国の中央銀行は量的緩和を行ってきた。わかりやすく言えば紙幣を刷りまくったわけだ(実際に印刷しているわけではない)。通貨の供給量が増えるわけだからコモディティ(商品)の相対的価値が上がる。ところがインフレ傾向にあるのは株価だけだ。デフレ後の経済は奇々怪々な状況を呈しており、ヘリコプターマネーは富豪の資産や大企業の内部留保となってとどまっている。川の流れが途絶えれば緑野は砂漠と化し、人体の血流が悪くなると冷え性が生じ、やがては動脈硬化・脳梗塞などを起こす。

 政治が格差を是正できなければ低所得者は社会主義になびくことだろう。左翼にとっては好機到来である。ソ連の崩壊で自由主義・資本主義が勝利したものと思い込んでいたが、もう少し長いスパンで見なければ本当の勝敗はわからない。

2019-06-20

マネーによる民主政/『デジタル・ゴールド ビットコイン、その知られざる物語』ナサニエル・ポッパー


『エンデの遺言 「根源からお金を問うこと」』河邑厚徳、グループ現代

 ・マネーによる民主政

・『今だからこそ、知りたい「仮想通貨」の真実』渡邉哲也
『次のテクノロジーで世界はどう変わるのか』山本康正
『ビッグデータの正体 情報の産業革命が世界のすべてを変える』ビクター・マイヤー=ショーンベルガー、ケネス・クキエ
『パーソナルデータの衝撃 一生を丸裸にされる「情報経済」が始まった』城田真琴
『マインド・ハッキング あなたの感情を支配し行動を操るソーシャルメディア』クリストファー・ワイリー
『無人の兵団 AI、ロボット、自律型兵器と未来の戦争』ポール・シャーレ
『データ資本主義 ビッグデータがもたらす新しい経済』ビクター・マイヤー=ショーンベルガー、トーマス・ランジ
『アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る』藤井保文、尾原和啓
『あなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠』キャシー・オニール
『シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント』エリック・ジョーゲンソン

情報とアルゴリズム
必読書リスト その三

 新しいタイプの通貨を創るなどという考えは、多くの人には奇異で無意味な企てに思えるだろう。現代に生きるほとんどの人は当たり前のように、通貨とは各国が発行する紙幣や硬化だと思っている。通貨を発行する権限こそ、国家の有するもっとも重要な力の一つであり、それはバチカン市国やミクロネシアなどの小国であっても変わらない。
 しかし、これは比較的新しい現象なのだ。アメリカも南北戦争までは流通している貨幣の多くは民間銀行が発行したものであり、多種多様な貨幣が混在していた。そして発行元の銀行が倒産すれば紙屑になった。当時は多くの国が、他国が発行した硬貨を使っていた。
 金(きん)、貝殻、石片、桑白皮(ソウハクヒ)など、人類が飽くことなく通貨のよりよい形態を探すなかでは、こうした状況が長いあいだ続いてきた。
 通貨のよりよい形態を探すことは、身のまわりのモノの価値を測るための、より信頼性の高い、そして統一的方法を見つけることである。材木1本、1日分の大工仕事、森を描いた絵画など、さまざまなモノの価値を信頼性のあるかたちで比較できる単一の指標である。社会学者ナイジェル・ドッドの言葉を借りれば、よい通貨とは「さまざまなモノの質的違いを量的違いに転換し、交換できるようにするもの」だ。
 サイファーバンクのめざす通貨は、通貨のもつ標準化という特徴をとことん追求し、どこでも使える普遍的なものった。国境を越えるたびに両替しなければならないなどの制約の多い国ごとの通貨とは違う。

【『デジタル・ゴールド ビットコイン、その知られざる物語』ナサニエル・ポッパー:土方奈美〈ひじかた・なみ〉訳(日本経済新聞出版社、2016年)以下同】

 読んで直ぐ必読書に入れた。しばらくして外した。ビットコインの理念は崇高なものだが現在の金融システムを支配している連中が黙って見過ごすわけがない。実際に私は本書を読んで仮想通貨を購入し、更に渡邊本を読んでから売却した。直後に私が利用していた取引所のZaifで不正アクセスによる70億円の不正出金が発覚した。

 大衆消費社会では神を信じる人も神を信じないも、お金の価値だけはしっかりと信じている。マネーこそは現代の神であり誰もが疑うことのない常識だ。ところが我々は財布の中の紙幣や硬貨がどのような仕組みで生まれているかを知らない。金融機関に勤めている人でも信用創造を理解する人は稀だ。

 1971年8月15日のニクソン・ショックによってブレトン・ウッズ体制は崩壊した。兌換(だかん)紙幣の終焉はマネーの仮想化を意味する。金(ゴールド)の裏づけを失った紙切れを信用の名の下で交換する行為はまさに宗教的である。

 エリックがビットコインの世界に飛びこんだ理由はカネであってカネではなかった。フェイスブックの投稿でビットコインの存在を知った直後から、その価値が天文学的ペースで成長するだろうと予測できた。しかしそうした成長は、ビットコインの複雑なソースコードによって、ウォール街の金融機関や各国政府など既存の権力構造が覆(くつがえ)された結果、実現するものだとずっと信じていた。インターネットが郵便制度やメディ業界にもたらした変化が、金融世界でも起きると思っていた。ビットコインが成長すれば金持ちになれるだけでなく、政府が勝手に戦争にカネを出すようなまねはできなくなり、個人が自分のおカネと運命を管理できる、もっと正しく平和な社会が実現するのだと見ていた。

 つまりビットコインの理念はマネーによる民主政といってよい。インターネットは距離と時間の革命であった。通貨を管理するのは国家であり、国内で使用すれば税が課され、外国と取引すれば為替レートに振り回され、更に両替手数料が発生する。第二次世界大戦以降は米ドルが基軸通貨となっておりオイルや兵器の支払いは米ドルで行われれる。サダム・フセインは原油のユーロ決済を認めたことで殺された。

「お金とは何か?」を我々は教えられてこなかった。税についても同様である。日本国憲法では納税が国民の義務と規定されているが、政府や官僚には何の義務も課されておらず血税を湯水の如く無駄遣いする温床となっている。

 アメリカの金融とメディアを牛耳っているのはユダヤ資本である。アメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備銀行)は日銀などとは異なり完全な民間会社である。アメリカ政府は一株も持っていない。FRBがドルを印刷して米国債を購入する。FRBは紙と印刷代だけで国債の利息を手に入れるのである。つまり発行されるドルはそのまま米国民の債務となる。銀行券ではなく債券証書なのだ。

 大統領のリンカーンやケネディは政府による通貨発行を企てて暗殺された。とすればビットコインがどれほど優れた技術に裏づけられたとしてもドル基軸体制を揺るがすことは考えにくい。

 正真正銘の良書である。ただし仮想通貨には手を出すな。