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2021-11-09

1分間に200回の腹式呼吸/『火の呼吸!』小山一夫


『究極の身体(からだ)』高岡英夫
『フェルデンクライス身体訓練法 からだからこころをひらく』モーシェ・フェルデンクライス
『運動能力は筋肉ではなく骨が9割 THE内発動』川嶋佑
『ウィリアム・フォーサイス、武道家・日野晃に出会う』日野晃、押切伸一
『大野一雄 稽古の言葉』大野一雄著、大野一雄舞踏研究所編
『武学入門 武術は身体を脳化する』日野晃
『ことばが劈(ひら)かれるとき』竹内敏晴
『スーパーボディを読む ジョーダン、ウッズ、玉三郎の「胴体力」』伊藤昇
『気分爽快!身体革命 だれもが身体のプロフェッショナルになれる!』伊藤昇、飛龍会編
『棗田式 胴体トレーニング』棗田三奈子
『天才・伊藤昇と伊藤式胴体トレーニング「胴体力」入門』月刊「秘伝」編集部編

 ・1分間に200回の腹式呼吸

『ストレス、パニックを消す! 最強の呼吸法システマ・ブリージング』北川貴英
『BREATH 呼吸の科学』ジェームズ・ネスター
『釈尊の呼吸法 大安般守意経に学ぶ』村木弘昌
・『新正体法入門 一瞬でゆがみが取れる矯正の方程式』佐々木繁光監修、橋本馨
・『仙骨姿勢講座 仙骨の“コツ”はすべてに通ず』吉田始史

身体革命

【「火の呼吸」とは1分間に200~250回の激しい腹式呼吸を行い、体内のエネルギーを高めることで神経を刺激し、アドレナリンの分泌を促進していくものです。簡単にいえば、激しい呼吸によって多量の酸素を脳に送り込むわけです。それによってニューロン(脳を構成する神経細胞)の代謝が促進され、体のなかの機能が活発に働き、そうして自然治癒力が高まっていくわけです。】(中略)
 さて、「火の呼吸」の基本動作を紹介しましょう。
 胡座(あぐら)をかく状態で右足を上にして、肩の力を抜いて両手はひざの上におきます。背筋を伸ばしましょう。この姿勢で呼吸をするわけですが、腹式呼吸で鼻で息を吸い、思いっきり鼻で吐きます。吐くときは腹部の筋肉をへこませます。要領は吐くことに集中すること。思いっきり吐いて自然に息を吸うという感じです。

【『火の呼吸!』小山一夫〈こやま・かずお〉、安田拡了〈やすだ・かくりょう〉構成(KTC中央出版、2003年)以下同】

 火の呼吸は「クンダリーニ・ヨガの秘法」と紹介されている。英語だと「クンダリーニー」、サンスクリット語だと「クンダリニ」と聞こえる。クンダリーニの文字を見て尻をすぼませる人がいることだろう。私もその一人だ。少しかじった程度でも条件反射が出てしまう。

 小山一夫が伊藤昇に献本したところ、伊藤は直ちに出版社から数十冊を購入したというエピソードがある(『天才・伊藤昇と伊藤式胴体トレーニング「胴体力」入門』月刊「秘伝」編集部編)。単なるサービス精神ではあるまい。有望な弟子たちに読ませようとしたのだろう。

 小山は船木誠勝〈ふなき・まさかつ〉を指導した。それもヒクソン・グレイシー戦までの4ヶ月間である。「船木選手は私が1年以上かかったレベルの修行をわずか2か月で達成しました」と書いてある。

 クンダリーニ・ヨガというのは、日本のヨーガ教室でやっているもの(ハタ・ヨーガ)ではありません。ハタ・ヨーガというのは体を柔軟にする技法が主体で、おもに健康法として広まっています。しかし、クンダリーニ・ヨーガはヨーガのなかでも、もっとも高度な技法体系で構成されたもので、ヨーガの秘法とされ、長いあいだ公開されていませんでした。2000年以上も前からインドのさまざまな文献に名前は出てくるのですが、その実践方法が明らかにされておらず、幻のヨーガといわれていたのです。
 ところが、20世紀後半のことです。その秘法の継承者ヨギ・バジアン師(インド人)がアメリカに渡り、その全容が世界に広まっていったのです。しかし、残念ながら日本では知られておらず、私がヨギ・バジアン師から学び、ようやく日本で公開することができたのです。

 小山は3歳で吃音症を発症。治したい一心で少林寺拳法や真言密教の過酷な修行にも取り組んできたが願いがかなうことはなかった。ところが、ヨギ・バジアン師と出会い、クンダリーニ・ヨガを修める中でいつの間にか治っていたという。その事実に気づいたのが27歳の時で、振り返ると25歳頃に治っていたかもしれないと綴られている。ここが凄いところだ。つまり知らず識らずのうちに吃音を治したい願望よりも、クンダリーニ・ヨガを極めることが最大の目的となったのだ。生の次元が変わったと言ってよい。視線が遠くを捉えた時、目の前の障碍(しょうがい)は小さな段差に過ぎなくなったのだ。

 だいたいヨーガの生活というのは、4時に起きるんです。それでシャワーを浴びたりして、4時半からヨーガをはじめます。まずエクササイズを30分から1時間やって、それからメディテーション(瞑想)に入るわけです。合計1時間半か2時間やって、それから食事をします。

 とすると私の場合、20~21時に寝る計算となる。ウーム、早いな。しかも二度寝る癖がついてしまっている。自然の摂理からすれば、やはり早起きするのが望ましい。

 玄米というのは体を冷やします。だから熱の代謝が悪い体質の人や風邪をひき真っ青になって寒気でガチガチしているような人が玄米を食べますと、もっと代謝が悪くなるわけです。体を温めなくてはいけないのに、体を冷やす食べ物を口にしてはいけません。

 私もアンチ玄米派である。せめて3~5分づき程度にするべきだろう。玄米が健康によいのであれば米糠(こめぬか)を食べればいい。


 マクロビオティックだと玄米は「中庸」とされている。カリウム=陰性、ナトリウム=陽性と判断するようだ。ところが、「玄米にはカリウムが多量に含まれ258.1±20.0mg%であったが, ナトリウムはきわめて少量しか含まれていない」との論文がある(CiNii 論文 -  食品中ナトリウムおよびカリウム含有量の調理による影響 (第1報):米の搗精, 洗米によるナトリウムおよびカリウム含有量の変化)。とすれば小山の指摘が正しいのだろう。

 座して10分の「火の呼吸」ができる人でも、仰向けに寝た状態だと3分も持ちません。もしも寝た状態で5分の「火の呼吸」ができるようでしたら、ものすごく呼吸筋が強くなっているということです。


 尚、小山は止息を批判しているが、これは成瀬雅春に対する批判か。横隔膜を鍛えることができるのは素晴らしい。結局、大腰筋よりも上部のインナーマッスルを刺戟(しげき)するところに目的があるのだろう。

 ヨーガの師サトワン・シン先生は、毎朝アーモンドを2粒食べれば、ガンの予防になるとおっしゃていました。

 根拠は不明である。ただし信ずるものは救われるかもね。



行間から滴り落ちる毒/『先崎学の浮いたり沈んだり』先崎学

2020-01-27

スピリットとは/『ソースにつながる呼吸法 セルフ・ヒーリング・ハンドブック』ジャック・アンジェロ


 たとえば、英語では「スピリット(spirit)」という語は、キリスト教における三位一体の神の一側面=「聖霊」を意味すると同時に、「個人の魂」という意味がある。加えて「スピリット」は「生命に命を吹き込むエネルギー」とも定義づけられる。

【『ソースにつながる呼吸法 セルフ・ヒーリング・ハンドブック』ジャック・アンジェロ:井村宏次監訳、八木さなえ訳(ビイングネットプレス、2013年)】

 エーテル体とハイヤー・セルフが出てきたところで読むのをやめた。スピリットは意識に置き換えることができよう。仏教用語だと「有情」(うじょう/反対語は非情)になる。日本語の「魂」は気力や精魂の意味合いが強い。「生命に命を吹き込む」との発想がキリスト教に毒されていて創造説を脱しきれていない。表紙で気づくべきであった。

2019-01-14

ハムストリングのストレッチは不要/『勝者の呼吸法 横隔膜の使い方をスーパー・アスリートと赤ちゃんに学ぼう!』森本貴義、大貫崇


 ・ハムストリングのストレッチは不要

・『間違いだらけ!日本人のストレッチ 大切なのは体の柔軟性ではなくて「自由度」です』森本貴義
『BREATH 呼吸の科学』ジェームズ・ネスター
『静坐のすすめ』佐保田鶴治、佐藤幸治編著

身体革命

 身体が硬いからとストレッチばかりしていると、骨盤を後ろから引っ張っておいてくれる縁の下の力持ちのようなハムストリングを伸ばしきってしまいます。それで力が出ないようにしてしまうのではなく、適切なトレーニングをすることでちゃんと力が出るようにしてあげましょう。これがPRIやDNSなどをベースとした私の持論です。
 もし、立った状態の前屈で指が地面に着かなくても、ハムストリングのストレッチは不要です。それはハムストリングの硬さが原因なのではありません。実は骨盤や胸郭、肋骨の位置などを変えることで指はどんどん地面に近づいていくのです。

【『勝者の呼吸法 横隔膜の使い方をスーパー・アスリートと赤ちゃんに学ぼう!』森本貴義〈もりもと・たかよし〉、大貫崇〈おおぬき・たかし〉(ワニブックスPLUS新書、2016年)】

 PRI(Postural Restoration Institute/姿勢回復研究所)、DNS(Dynamic Neuromuscular Stabilization/動的神経筋安定化)は呼吸に鍵がある。身体瞑想と名づけていいように思う。新しい概念で理解するのが容易ではない。

 ま、ヨガをやっていることもあり、「ハムストリングのストレッチは不要です」と言われて、ハイそうですかというわけにはいかない。私の場合、明らかに硬いのだ。伸ばしきってしまうと力が出ない、との指摘も根拠を示さなければ説得力を欠く。それでも尚、視点の新しさが蒙(もう)を啓(ひら)いてくれる。

 身体の総合性や関連性についてアメリカの研究に先を越されているのはどうも面白くない。もともと日本には古武術や忍術などの文化があったわけだから素地は失われていないだろう。

2017-09-01

出息入息に関する気づきの経/『呼吸による癒し 実践ヴィパッサナー瞑想』ラリー・ローゼンバーグ


『悲鳴をあげる身体』鷲田清一
『「疲れない身体」をいっきに手に入れる本 目・耳・口・鼻の使い方を変えるだけで身体の芯から楽になる!』藤本靖
『BREATH 呼吸の科学』ジェームズ・ネスター
『静坐のすすめ』佐保田鶴治、佐藤幸治編著
『マインドフルネス瞑想入門 1日10分で自分を浄化する方法』吉田昌生
『マインドフルネス 気づきの瞑想』バンテ・H・グナラタナ
『ゴエンカ氏のヴィパッサナー瞑想入門 豊かな人生の技法』ウィリアム・ハート
『釈尊の呼吸法 大安般守意経に学ぶ』村木弘昌

 ・出息入息に関する気づきの経

悟りとは

アーナーパーナサティ・スートラ(出息入息に関する気づきの経)

 瞑想修行者は、森に行き、木陰に行き、あるいは空き家に行って足を組んで坐り、身体を真っ直ぐにして、気づきを前面に向けて確立する。常に気をつけて、瞑想修行者は息を吸い、気をつけて瞑想修行者は息を吐く。

――十六の考察

最初の四考察(身体に関する組)
1.息を長く吸っているときには、「息を長く吸う」と知り、息を長く吐いているときには、「息を長く吐く」と知る。
2.息を短く吸っているときには、「息を短く吸う」と知り、息を短く吐いているときには、「息を短く吐く」と知る。
3.「全身を感じながら息を吸おう。全身を感じながら息を吐こう」と訓練する。
4.「全身を静めながら息を吸おう。全身を静めながら息を吐こう」と訓練する。

第二の四考察(感受に関する組)
5.「喜悦を感じながら息を吸おう。喜悦を感じながら息を吐こう」と訓練する。
6.「楽を感じながら息を吸おう。楽を感じながら息を吐こう」と訓練する。
7.「心のプロセスを感じながら息を吸おう。心のプロセスを感じながら息を吐こう」と訓練する。
8.「心のプロセスを静めながら息を吸おう。心のプロセスを静めながら息を吐こう」と訓練する。

第三の四考察(心に関する組)
9.「心を感じながら息を吸おう。心を感じながら息を吐こう」と訓練する。
10.「心を喜ばせながら息を吸おう。心を喜ばせながら息を吐こう」と訓練する。
11.「心を安定させながら息を吸おう。心を安定させながら息を吐こう」と訓練する。
12.「心を解き放ちながら息を吸おう。心を解き放ちながら息を吐こう」と訓練する。

第四の四考察(智慧に関する組)
13.「無常であることに意識を集中させながら息を吸おう。無常であることに意識を集中させながら息を吐こう」と訓練する。
14.「色あせていくことに意識を集中させながら息を吸おう。色あせていくことに意識を集中させながら息を吐こう」と訓練する。
15.「消滅に意識を集中させながら息を吸おう。消滅に意識を集中させながら息を吐こう」と訓練する。
16.「手放すことに意識を集中させながら息を吸おう。手放すことに意識を集中させながら息を吐こう」と訓練する。

【『呼吸による癒し 実践ヴィパッサナー瞑想』ラリー・ローゼンバーグ:井上ウィマラ訳(春秋社、2001年)】

 単純な行為である。単純であるがゆえに難しい。何もしないことが瞑想だと思われがちだが実はそうではない。フル回転しているコマが止まっているように見えるのと一緒である。卑近な例を挙げれば美しい風景に心を奪われる時、スポーツでトレーニングの威力を発揮する時、ふと耳にした音楽に感動する時、我々は瞑想に近い位置にいる。

 上記テキストには明らかな間違いがある。「集中」は瞑想ではない。「注意」が瞑想なのだ。また「訓練」という言葉も相応しくない。「調(ととの)える」「修める」とすべきだろう。繰り返し行う訓練は心を鈍感にし瞑想を儀式化する。仏教が形骸化した原因もここにある。こうした言葉の誤りが伝承によるものか、あるいは翻訳によるものかはわからない。自分の感性で見抜けばいいだろう。教条主義から離れて軽やかに生きることがブッダの心にかなうと思う。

 本書は実践を踏まえた上で「出息入息に関する気づきの経」を解説した一書で、ヴィパッサナー瞑想関連本の中で一番しっくり来た。ただしヴィパッサナーが「型」になれば瞑想の果実を得ることは難しい。また瞑想と筋トレは異なる。やればやるほど力がつくわけでもない。

 瞑想とは「今」を気づく行為である。恐怖に駆られた時、怒った時、焦った時、驚いた時、失敗した時、事故を起こした時、転んだ時に呼吸を意識できるかどうかである。浅い呼吸を自覚できればそこで深呼吸が可能となる。

 特段大袈裟に考える必要はないだろう。ただ「呼吸を見つめる」という意識を普段から持てばよい。その瞬間、余計な不安が消える。具体的なやり方については「アーナーパーナサティの完全技法と自然法」が詳しい。



六道輪廻/『マインドフルネス 気づきの瞑想』バンテ・H・グナラタナ

2017-08-24

呼吸をコントロールする/『ストレス、パニックを消す! 最強の呼吸法システマ・ブリージング』北川貴英


『火の呼吸!』小山一夫、安田拡了構成

 ・恐怖心をコントロールする
 ・呼吸法(ブリージング)
 ・呼吸をコントロールする

武の思想と知恵 平直行✕北川貴英
『火の呼吸!』小山一夫、安田拡了構成
『「疲れない身体」をいっきに手に入れる本 目・耳・口・鼻の使い方を変えるだけで身体の芯から楽になる!』藤本靖
『BREATH 呼吸の科学』ジェームズ・ネスター
『釈尊の呼吸法 大安般守意経に学ぶ』村木弘昌

悟りとは

 恐怖心は筋肉を緊張させます。これこそが恐怖心が肉体にもたらす最大の足かせです。皆さんも突然の大きな音に驚いてビクッ! とすくみ上がった経験があるかと思います。人間は何かに驚くと、反射的に筋肉が緊張し、呼吸が浅くなります。

【『ストレス、パニックを消す! 最強の呼吸法システマ・ブリージング』北川貴英(マガジンハウス、2011年)以下同】

「交感神経の興奮が抑えられ、副交感神経の働きが優位になっている状態」(Wikipedia)をリラクゼーションという。自律神経系の一部を構成する副交感神経系を古来、日本では「肚」(はら)とか「肝」(きも)と呼んだのだろう。泰然自若として動かない落ち着きに人物の大きさが表れる。

 リラクゼーションの本意にかなうのは瞑想・ヨガ・呼吸法であると私は考える。ま、かじった程度しかやってないのにでかい顔をするのはいつもの悪い癖だが付き合ってくれ給え。

「短気は損気」というが瞑想やヨガをやってみるとよくわかる。体が硬い私にとって結跏趺坐(けっかふざ)は苦痛以外の何ものでもないし、ヨガのまったり感を堪(た)えるのは難しい。そこで目をつけたのが歩く瞑想である。

「100%今を味わう生き方」~歩く瞑想:ティク・ナット・ハン
歩く瞑想/『君あり、故に我あり 依存の宣言』サティシュ・クマール

 だがこれも長続きしなかった。歩くスピードがどんどん速くなるのだ。もちろん筋力をつけるためで、現在を犠牲にして未来を目指す行為は瞑想の否定である。

 ところがシステマブリージングはやってみると中々よい。動きと呼吸のマッチングに面白味があるのだ。

 もう少し強い負荷が欲しい人には「スクエアブリージング」をおすすめします。息を吸う時と吐く時の間に息を止めるプロセスをはさむのです。

1.吐きながら1歩歩きます。
2.止めながら1歩歩きます。
3.吸いながら1歩歩きます。
4.止めながら1歩歩きます。
5.これを1~3分続けたら、同じことを2歩のペースでやります。つまり2歩吐き、2歩止め、2歩吸い、2歩止めるサイクルを繰り返すのです。
6.1~3分ほど続けたら、3歩、4歩~10歩と徐々に歩数のサイクルを増やし、10歩まで行ったら9歩、8歩と徐々に歩数を戻します。
7.1歩まで戻ったらおしまいです。


 歩数が増えるほど息を止めるのが苦痛になってきます。吸い過ぎでも吐き過ぎでもない、一番楽に息を止めていられる空気の量を見出しましょう。するとこれまでよりも厳密に自分の呼吸と姿勢をチェックすることができるはずです。息を止めることで緊張が生まれたら、その部位を軽く動かしたりして緊張を分散させるようにしましょう。息を止めるという負荷の中で快適さを保ち、かつ冷静に回復するのがこのエクササイズのポイントです。

 早速実践したところ「お、いい感じだな」という手応えがあった。悟れそうな気になった(笑)。これを応用してストレッチや筋トレを行う際に「呼吸を見つめる」ことを意識するようになった。体をコントロールするのは意識であるが、呼吸をコントロールするには意識と無意識の間を行ったり来たりする必要がある。

「生きる」とは「息する」の謂(いい)である。すなわち息を止めることは死に通じる。呼気と吸気の間で死を自覚すれば、瞬間瞬間に世界は新しく生まれ変わることだろう。多分それが事実なのだ。自我が永続するという錯覚が世界を永続させている。自我が消滅すれば世界は常に新しい。

2014-04-18

呼吸法(ブリージング)/『ストレス、パニックを消す! 最強の呼吸法 システマ・ブリージング』北川貴英


『火の呼吸!』小山一夫、安田拡了構成

 ・恐怖心をコントロールする
 ・呼吸法(ブリージング)
 ・呼吸をコントロールする

武の思想と知恵 平直行✕北川貴英
『「疲れない身体」をいっきに手に入れる本 目・耳・口・鼻の使い方を変えるだけで身体の芯から楽になる!』藤本靖
『BREATH 呼吸の科学』ジェームズ・ネスター
『釈尊の呼吸法 大安般守意経に学ぶ』村木弘昌

悟りとは


 1.楽な姿勢で座ります。
 2.肩の力を抜いて手の平(ママ)を上向きにして膝に載せ、息が手のひらに伝えるように意識しつつ、普段より強く長めに呼吸をします。
 3.これを繰り返すと、手のひらがぽかぽかして来たり、呼吸による圧力が伝わってくるのがわかるでしょう。
 4.5分ほどかけて続けて終了です。首に力が入っていると、のぼせたり、立ちくらみになったりすることがあります。そういう時はすぐに休み、気分が落ち着いてから首や肩を回したりして、凝りをほぐすようにしましょう。

【『ストレス、パニックを消す! 最強の呼吸法 システマ・ブリージング』北川貴英(マガジンハウス、2011年)以下同】

 基本的なことだが呼吸とは鼻から吸って口から吐くことをいう。北川は「口をすぼめる」と書いているが、あまり気にすることもあるまい。大口を開ける必要はない。色々な呼吸法が示されているが、一番手っ取り早く効果を感じられるのがこれだ。寒い時にやってみるといい。意識を手のひらに向けることが大事だ。続けて足の裏も同様に行う。

 仏教の瞑想のひとつに数息観(すそくかん)というのがある。これは鼻から吐いても構わない。ただひたすら息を勘定するのだ。焦った場合にやるとわかるが中々効果がある。確か米軍かCIAでも教えているはずだ。

数息法(気功の呼吸法)
数息観について

 病気や怪我などで痛みを感じる場合にも効果があると思われる。

 1.吐きながら1歩歩きます。
 2.止めながら1歩歩きます。
 3.吸いながら1歩歩きます。
 4.止めながら1歩歩きます。
 5.これを1~3分続けたら、同じことを2歩のペースでやります。つまり2歩吐き、2歩止め、2歩吸い、2歩止めるサイクルを繰り返すのです。
 6.1~3分ほど続けたら、3歩、4歩~10歩と徐々に歩数のサイクルを増やし、10歩まで行ったら9歩、8歩と徐々に歩数を戻します。
 7.1歩まで戻ったらおしまいです。

 歩数が増えるほど息を止めるのが苦痛になってきます。吸い過ぎでも吐き過ぎでもない、一番楽に息を止めていられる空気の量を見出しましょう。するとこれまでよりも厳密に自分の呼吸と姿勢をチェックすることができるはずです。息を止めることで緊張が生まれたら、その部位を軽く動かしたりして緊張を分散させるようにしましょう。息を止めるという負荷の中で快適さを保ち、かつ冷静に回復するのがこのエクササイズのポイントです。

 私はこれを実践して瞑想のコツをつかんだ。階段の昇り降りで行ったところ走る姿勢まで変わった。「生きる」とは「息する」ことの謂(いい)である。呼吸を見つめることは生を実感する行為でもある。

 我々は日常生活で身体を意識することが殆どない。意識に上るのは違和感や痛みであって身体そのものではない。明らかに身体を見失っているといってよい。呼吸を意識することは身体を調(ととの)える第一歩なのだ。



歩く瞑想/『君あり、故に我あり 依存の宣言』サティシュ・クマール

2014-04-17

恐怖心をコントロールする/『ストレス、パニックを消す! 最強の呼吸法 システマ・ブリージング』北川貴英


『火の呼吸!』小山一夫、安田拡了構成

 ・恐怖心をコントロールする
 ・呼吸法(ブリージング)
 ・呼吸をコントロールする

武の思想と知恵 平直行✕北川貴英
『「疲れない身体」をいっきに手に入れる本 目・耳・口・鼻の使い方を変えるだけで身体の芯から楽になる!』藤本靖
『BREATH 呼吸の科学』ジェームズ・ネスター

悟りとは

 日常における不安やストレス、不調、その他のありとあらゆる不快なこと。その根っこを探ってみると、多くは恐怖心に行き当たります。
 恐怖心は天災や自己といった非常事態にだけ伴うものではありません。
 日常生活のいたるところに立ち現れて、私たちの生活に大きな影響を与えているのです。
 例えば「大事な会議に遅刻をしてしまう!」と焦って先を急いでいるとき。学生が道いっぱいに広がっておしゃべりをしながら歩いていてなかなか前に進めなかったりすると、思わずカチンとしてしまったりすることでしょう。そういう「カチン」を感じたら、その奥にある感情を少し意識してみてください。おそらく遅刻によって信頼を損なう恐怖、大きな失敗へとつながる恐怖、メンツを潰す恐怖、仕事を失う恐怖、家族を露頭に迷わせる恐怖といった、実にさまざまな恐怖心を見出すことができるのではないでしょうか。このように恐怖心はさまざまな形で感情をかき乱し、あなたから正常な判断力や行動力を失わせる原因となってしまいます。
 また一見恐怖心とは関係なさそうな行為が、実は恐怖心から逃れようとする懸命な努力の表れであることもあります。夜の盛り場で過剰にはしゃぐ大学生たちは、漠然とした将来への不安を紛らわそうと必死なのかも知れません。仕事熱心と言われるような人も、その根底には他者から認められないことへの恐怖、敗北への恐怖などが原動力となっているかも知れません。メールに依存したりTwitterなどのコミュニケーションサイトにはまったりするのも、やはり他者への恐怖心が一因となっているのではないでしょうか。
 このように恐怖心から逃れるために何かに頼り、いったんその心地良さに慣れてしまうと、それがクセになってそれなしでは生きられないくらい、のめり込んでしまうこともあります。

【『ストレス、パニックを消す! 最強の呼吸法 システマ・ブリージング』北川貴英(マガジンハウス、2011年)】

 システマは旧ソ連軍で採用された格闘術で長い間、機密扱いをされていたがソ連崩壊後にその内容が公開された。打撃、関節技はもとより、あらゆる武器の使用法・防御法を網羅している。私が知り得る限り、世界最強の総合格闘術といってよい。飽くまでも実戦に即しているため競技としての試合は行われない。このため格闘技とは呼称しない。

 北川はシステマ東京支部の代表を務める公式インストラクターである。文章がこなれていて驚かされた。

 戦場を支配するのは恐怖だ。恐怖心に駆られると視野は狭まり、些細なことに過剰反応を示し、自ら墓穴を掘ることになる。システマは恐怖を呼吸法で制御する。呼吸を意識することは視点をずらすことでもある。瞑想で呼吸を重んじるのはこのためだ。呼吸は自律神経で唯一コントロールできる機能でもある。

https://onologue.tumblr.com/post/82980330962/mikhail-ryabko
【システマの創始者ミカエル・リャブコ】

 恐怖は呼吸を止める。あるいは極端に浅くする。身体は硬直し動けなくなる。一種の仮死状態といってよいだろう。そこで鼻から息を吸い込むことができれば身体は直ちにリラックスする。こういうことは普段から練習しておかないと出来るものではない。ちょっとびっくりした時や慌てた時に自分の呼吸に意識を向ける。実際にやってみると驚くほど色々なことに気づかされる。身体と脳は背骨でつながっているが、たぶん呼吸でもつながっているような気がする。神経と酸素の違いだろうか。

 親に抑圧されながら育った子供は大抵声が小さい。きっと恐怖心が呼吸を浅くしてしまったためなのだろう。

 思想・哲学や宗教は真正面から恐怖にアプローチすべきだと私は思うが、クリシュナムルティ以外には知らない(『恐怖なしに生きる』)。宗教に至っては恐怖で信者を支配する有り様である。罪と罰のセットメニュー。お持ち帰りに「先祖の祟り」はいかがでしょうか?

 システマが恐怖に着目しているのは、やはりその思想性の高さによるものだろう。具体的な呼吸法については次回記す。