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2022-03-04

ワシントン・コンセンサスが世界中を破壊/『超帝国主義国家アメリカの内幕』マイケル・ハドソン


『円高円安でわかる世界のお金の大原則』岩本沙弓
『ボーダレス・ワールド』大前研一
IMF(国際通貨基金)を戯画化するとこうなる

 ・ワシントン・コンセンサスが世界中を破壊
 ・ブレトン・ウッズ体制の崩壊~米国債本位性=ドル債務本位制

世界銀行は米軍の一部門
『ロスチャイルド、通貨強奪の歴史とそのシナリオ 影の支配者たちがアジアを狙う』宋鴻兵
『通貨戦争 影の支配者たちは世界統一通貨をめざす』宋鴻兵
『ペトロダラー戦争 イラク戦争の秘密、そしてドルとエネルギーの未来』ウィリアム・R・クラーク
『ドル消滅 国際通貨制度の崩壊は始まっている!』ジェームズ・リカーズ

必読書リスト その二

 2001年の9月11日は、どうしてアメリカが――そして特にアメリカ政府が――これほど広範に憎まれているのかという問題をアメリカ人を含む世界中の人々につきつけた。アメリカの評論家ですらもが、テロリストの攻撃は、かなりの程度アメリカ自身の外国での行動の結果であったと述べているが、それは、軍事面ばかりか、大多数の国々に対する財政的な圧力を通じての行動を指している。この意味で、9月11日は、アメリカの金融がIMFと世界銀行を支配し、それらの機関を経済的破壊の道具としていたことの間接的な結果と言えるかもしれない。
 パキスタン政府がわずかな収入を外国の債権者への支払いにあてざるをえなくなったのは、結局のところ何年か前のIMFとの“付帯条件”(コンディショナリティ)のせいだった。外貨調達にあたり、IMFのアドバイザーたちが繰り返したのは、過去50年間ワシントン・コンセンサス〔アメリカ政府、IMF、世界銀行などによって唱導された経済的綱領で、民営化、規制緩和、自由化を強調し市場至上主義的傾向が強い〕の核心となってきたフレーズだ。パキスタン政府は、外国の債権者に支払うためさらに多くの収入を“とりのける”べく、緊縮財政を実施するよう指図を受けたのである。
 特に腹立たしく思えるのは、アメリカ国際開発局(AID)が債権者となっていることだ。現在“対外援助”と称されているものは、主として、ドルで支払わねばならない貸付の形を取っている。そこでパキスタンは、国内収入を国民の教育に振り向けることをやめてまでも、外国の債権者に支払わざるをえない。公教育システムとそれにかかわる文化活動を奪い去るのは、子供たちに読み書きを教える役割を宗教教育施設に任せることにほかならない。そういう施設こそが、“学生”を意味するタリバンなのである。ワシントンが押しつけたそういう緊縮財政に対する返答が激しい憤りであり、それが最も顕著な形で爆発した場所が、あのニューヨークの世界貿易センタービルとワシントンのペンタゴンだった。(日本語版への序文)

【『超帝国主義国家アメリカの内幕』マイケル・ハドソン:広津倫子〈ひろづ・ともこ〉訳(徳間書店、2002年)】

 冒頭より。こうした正確な情報がニュースとして報じられない。アメリカは人工国家である。たかだか2世紀半程度の歴史しかないし、サブカルチャー以外の文化も乏しい。人種の坩堝(るつぼ)と化しているため民族性も無色透明だ。西部開拓を原動力にして、インディアンを殺戮し、黒人奴隷の労働力を駆使しながら、日本にマシュー・ペリーを送り込み(1853年)、1945年にはダグラス・マッカーサーが占領の指揮を執った。ペリーが司令を受けたのが1852年で、GHQの占領終了が1952年でちょうど100年である。林房雄はこれを「百年戦争」と名づけた(『大東亜戦争肯定論』)。その後、ゴー・ウエストは中国を目指したが奏功することはなかった。

 軍事力と借金の押しつけがアメリカの流儀であれば、世界を動かす力は獣の時代からそれほど進化していないと考えるのが妥当だろう。日本人が考える「平和」は甘すぎる。我々は島国で安閑と過ごしているうちに世界の現実を見失ってしまったのだろう。

 ウクライナが戦火に包まれている。在日ウクライナ大使館が義勇兵を募るツイートをしたところ、直ちに70人の日本人が名乗り出たという。敗戦後、帰国することなくアジア諸国独立のために戦った日本兵を思い出させる義挙である。願わくは金門島決戦を指揮した根本博中将のような人物が現われんことを。

 アメリカは自らの悪逆非道によって滅ぶことだろう。株式市場に流れ込んだ緩和マネーがそろそろ逆流してもおかしくない頃合いだ。個人的には間もなく大暴落が訪れると睨んでいるが、ドル崩壊でグレート・リセットへ誘導するのは確実だと思われる。

2021-08-19

世界金融システムが貧しい国から富を奪う/『エンデの遺言 根源からお金を問うこと』河邑厚徳、グループ現代


『金持ち父さん 貧乏父さん アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学』ロバート・キヨサキ、シャロン・レクター
『国債は買ってはいけない! 誰でもわかるお金の話』武田邦彦
『平成経済20年史』紺谷典子
『税金を払わない奴ら なぜトヨタは税金を払っていなかったのか?』大村大次郎

 ・貨幣経済が環境を破壊する
 ・紙幣とは何か?
 ・「自由・平等・博愛」はフリーメイソンのスローガン
 ・ミヒャエル・エンデの社会主義的傾向
 ・世界金融システムが貧しい国から富を奪う
 ・利子、配当は富裕層に集中する

・『税金を払う奴はバカ! 搾取され続けている日本人に告ぐ』大村大次郎
・『無税国家のつくり方 税金を払う奴はバカ!2』大村大次郎
『デジタル・ゴールド ビットコイン、その知られざる物語』ナサニエル・ポッパー

必読書リスト その二

 世界をおおう金融システムとその上に乗って自己増殖しながら疾駆する「貨幣」は、人間労働の成果と自然を含む価値高い資源を、貧しい国から富める国へと移す道具となっている。
 本来の役割を終えた貨幣は「利が利を生むことをもって至上とするマネー」となった。この変質する貨幣の全体が『エンデの遺言』に凝縮されている。エンデは予言している。
「今日のシステムの犠牲者は、第三世界の人びとと自然にほかなりません。このシステムが自ら機能するために、今後もそれらの人びとと自然は容赦なく搾取されつづけるでしょう」(NHK番組『エンデの遺言』より)
 今日、世界をめぐるマネーは300兆ドルといわれる(年間通貨取引高)。地球上に存在する国々の国内総生産(GDP)の総計は30兆ドル。同じく世界の輸出入高は8兆ドルに過ぎない。
 この巨大な通貨の総体はそのままコンピューターネットワークを従僕とした世界金融システムと同義であり、その世界金融システムは「商品として売買される通貨」をこそ前提としている。
 そのゆえに「世界市場化」(グローバライゼーション)の本意は、自由奔放なる商品としてのマネーの襲撃から地域と社会を遮断(しゃだん)するいかなる防衛システムも機能不全に陥れるか、あるいはまたそのような防衛システム不在のバリアフリー社会を普遍化すべく、高度なノウハウを総動員しようとはかる強烈な意思のなかに見ることができる。
 言葉を換えていえば、いまや世界のすべての地域と人は、そのようなマネーの暴力の前に裸で身をさらすことを余儀なくされているのである。
(『エンデの遺言』 その深い衝撃/内橋克人)

【『エンデの遺言 根源からお金を問うこと』河邑厚徳〈かわむら・あつのり〉、グループ現代(NHK出版、2000年/講談社+α文庫、2011年)】

 行き過ぎた資本主義の形を戒めるとすれば社会主義的な色彩が強くなるのは当然なのだが、そこに党派性があれば話は少し変わってくる。ある政治信条を鼓吹する姿勢が隠されているならば批判は誘導のための道具と化す。今再読すれば印象はかなり変わることだろう。

 初版は2000年2月1日の刊行である。9.11テロの7ヶ月前だ。内橋克人〈うちはし・かつと〉の指摘は正確にグローバリゼーションの本質を衝いている。しかしながら、「だから地域通貨」とはならない。

 本来は巨大資本の暴力性に対抗すべく考案されたのがビットコインであった(『デジタル・ゴールド ビットコイン、その知られざる物語』ナサニエル・ポッパー)。金融は既に融資から、コントロール~支配へと変貌を遂げた。

 マネーの歴史や意味を知る上では良書だが、ドル崩壊後の世界を見通せるほどの眼力はない。

2021-07-17

大航海時代の主役はスペイン、ポルトガル、オランダ/『お金の流れで探る現代権力史 「世界の今」が驚くほどよくわかる』大村大次郎


『お坊さんはなぜ領収書を出さないのか』大村大次郎 2012年
『税務署員だけのヒミツの節税術 あらゆる領収書は経費で落とせる【確定申告編】』大村大次郎 2012年
『お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力……はこう「動いた」』大村大次郎 2015年
『税金を払わない奴ら なぜトヨタは税金を払っていなかったのか?』大村大次郎 2015年
『お金の流れで読む日本の歴史 元国税調査官が古代~現代にガサ入れ』大村大次郎 2016年

 ・大航海時代の主役はスペイン、ポルトガル、オランダ

『お金で読み解く明治維新 薩摩、長州の倒幕資金のひみつ』大村大次郎 2018年
『ほんとうは恐ろしいお金(マネー)のしくみ 日本人はなぜお金持ちになれないのか』大村大次郎 2018年
『知ってはいけない 金持ち悪の法則』大村大次郎 2018年
・『日本人が知らない日本医療の真実』アキよしかわ
『脱税の世界史』大村大次郎 2019年

世界史の教科書
必読書リスト その二

 近現代の世界の権力を読み解くにあたって、最初に取り上げなくてはならないのは、やはりイギリスだろう。
 まず、「イギリスは、いち早く【産業革命】を成し遂げることによって世界の覇権を握った」――と思われがちだが、それは事実ではない。
 イギリスは産業革命以前にスペインの【無敵艦隊】を破り、スペインやポルトガルが世界中に持っていた植民地の大半を横取りした。そうして蓄積された資本によって、産業革命が成し遂げられたのである。
 では、イギリスはどうやってスペインをしのぐほどの強国になったのか?
 簡単に言えば、“国を挙げての海賊行為”である。
 イギリスは【大航海時代】に出遅れている。大航海時代の主役はスペイン、ポルトガル、オランダであり、イギリスは後進国だったのである。イギリスが海洋に乗り出したときには、すでにアフリカ大陸、アメリカ大陸の重要な地域は、スペイン、ポルトガルに占領されていた。
 そんな中、気を吐いていたのがイギリスの海賊たちだった。イギリスの海賊は統率の取れた船団、巧みな航海術によって、スペインやポルトガルの輸送船を襲い、財宝や貴重な産品を次々と強奪していたのだ。
 イギリス王室は、この海賊船団に目をつけ、王室が建造した船を与えて、国家事業としての海賊行為を始めた。その最たるものが、【海賊ドレイク】の航海である。  海賊ドレイクはマゼランに次いで世界一周を行い、スペインの無敵艦隊を破ったことで知られるイギリスの海軍提督である。もともとは普通の海賊だったが、【エリザベス女王】に見込まれて、国家プロジェクト的に海賊行為を行ったのである。その功績が認められてのちにイギリス海軍を任され、海軍提督にまでなったのだ。

【『お金の流れで探る現代権力史 「世界の今」が驚くほどよくわかる』大村大次郎〈おおむら・おおじろう〉(KADOKAWA、2016年)】

 厳密に言えばオランダは後発組で、八十年戦争を経てスパインからの独立を果たした。トルデシリャス条約はスペインとポルトガルで世界を二分することをローマ教皇が認めたものだ。後(おく)れを取ったイギリスとフランスが帝国主義を席巻するのだから歴史の有為転変を思わずにはいられない。

 国家が行う犯罪は正当化される。なぜなら国家を裁く機関がないゆえに。イギリス王室はともすると日本の皇室に続く伝統と見なされがちだが、海賊と手を組むようではお里が知れる。たぶん真のエンペラーは日本にしか存在しないのだろう。天皇陛下はつくづく不思議な存在であらせられる。

 第二次世界大戦以降、米ソが世界を牛耳り、46年後にソビエトが崩壊する。パックス・アメリカーナも100年は続くまい。アメリカの威光が翳りを帯び、中国が台頭してきた。世界は今静かに揺れている。チベットやウイグルに対する中国の暴虐に対して、主要国は断乎たる態度を取ることができなかった。最近になってようやくアメリカが重い腰を上げたところである。

 日本にとっては千載一遇の好機である。速やかに憲法を改正し、間もなく訪れるであろう中国戦に備えるべきだ。我が国としては一億玉砕をも辞さずの覚悟をもって戦争に臨み、日清戦争における臥薪嘗胆(がしんしょうたん)を晴らす秋(とき)である。この際、遼東半島と言わずに満州・チベット・ウイグルの独立にも手を貸すべきである。すなわち防衛や局地戦といった消極的な姿勢ではなく、一朝事ある時は万難を排して中国領土を奪取しなくてはならない。

 歴史を動かすのは強い意志である。専守防衛などという自国独善主義では世界を牽引することが不可能だ。欧米が没しつつある現在、日出る国が世界を照らすのは当然と考えるがどうか。

2021-03-27

過去2~3年の米国債のわずかな買い手はFRBだけである


 現在、米国の金利先高観から「ドル高になる」という見方が多いが、債券を運用する立場で考えると、金利の上昇とは、すなわち、債券価格の下落であり、債券投資には最も向かない局面といえるだろう。債券投資という米国への資金流入がなければ、ドル高にはなりにくい。

 債券王のジェフリー・ガンドラックは、「ほとんどの人が知っていること、つまり、外国人が国債を売り続けている中で、過去2~3年の間、国債のわずかな買い手はFRB(米連邦準備制度理事会)だけである」と述べている。中国もロシアも米国債を買わなくなってしまった。

 FRBとともに数少ない米国債の買い手である日本勢も3月期末要因で逆に動いた。3月23日のゼロヘッジの記事「Morgan Stanley Identifies The Source Of Massive Treasury Selling」では、「日本の持続的な年度末売りは、世界中の悪影響ドミノ効果につながり、最終的には世界的な債券と株式市場の混乱を引き起こした」と、解説されている。

2021/3/25 石原順 | トウシル 楽天証券の投資情報メディア

 直近のドル円は3連騰で高値を更新している。


 為替は資産ではない。単なる通貨の交換比率である。ここを誤解すると思わぬ落とし穴に落ちる。為替の値動きは実需筋で決まる。


 原油は横這いである。コロナ騒動で人の動きが止まっているが、その分自宅の電気使用量が増えているだろうから相殺されると私は考える。

 続いて防衛費の推移を見てみよう。


 こちらは伸びている。尖閣有事に備える動きか。つまり武器購入も増えると予想される。

 日経平均株価は年内に38954円の史上最高値を目指すと予想している。コロナ騒動による社会不安で財布の紐は固くなり、緩和マネーが向かうところは株価しかあるまい。目標は8~9月頃だ。衆議院解散~総選挙~与党圧勝で株価最高値という算段である。そこからドル崩壊を目指すというのが私のシナリオなので、ドル円は112~114円程度までは上昇余地があると思う。まだ4ヶ月ほどあるので120円を目指してもおかしくはない。

2021-01-21

ギャンブルは「国家が愚か者に課した税金」/『なぜ投資のプロはサルに負けるのか? あるいは、お金持ちになれるたったひとつのクールなやり方』藤沢数希


『金持ち父さん 貧乏父さん アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学』ロバート・キヨサキ、シャロン・レクター
『金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント 経済的自由があなたのものになる』ロバート・キヨサキ、シャロン・レクター
『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015 知的人生設計のすすめ』橘玲
『世界にひとつしかない「黄金の人生設計」』橘玲、海外投資を楽しむ会

 ・お金持ちになる方程式
 ・ギャンブルは「国家が愚か者に課した税金」

『国債は買ってはいけない! 誰でもわかるお金の話』武田邦彦

必読書リスト その二

 共産主義の国家では頭のいい人間は権力者の脅威になるので見つけてはいろいろと難癖をつけて、みんなの前で銃殺するのがお決まりのパターンですが、資本主義の国家では逆に頭が悪いということは大変重い罪で、その罪を償うためにこのようなさまざまな「税金」を払う必要があります。

 ギャンブルは「国家が愚か者に課した税金」といわれる所以です。

【『なぜ投資のプロはサルに負けるのか? あるいは、お金持ちになれるたったひとつのクールなやり方』藤沢数希〈ふじさわ・かずき〉(ダイヤモンド社、2006年)】

 弱者は奪われる。自由を。ヤクザの賭場はテラ銭が20%といわれる。公営ギャンブルの控除率は25%前後で、宝くじやサッカーくじは50%を上回る。支払った瞬間にお金を失っているわけだから愚か者と言われても文句はあるまい。

 幸か不幸か私はギャンブルとは無縁だが、賭け事が古代からあったことは何となくわかる。幼い頃におやつなどを賭けたことは多くの人が経験しているに違いない。運試しは未来を占う行為だが現在性を強く自覚させる。ギャンブルと言えば聞こえは悪いが保険はギャンブルを通して発達した。自分が災難に遭う方に賭けるのが保険である。投資取引をトレードというが「交換」が原義である。リスクとリターンの交換といってよい。

 ギャンブルの依存性が高いのは「ランダムな報酬が“嬉しい驚き”となる」ためだ(『ゾーン 「勝つ」相場心理学入門』マーク・ダグラス)。性的快楽を感じるのと同じ脳の部位が反応するとされる。本能を刺激するわけだから一旦ハマると中々やめることができないのだろう。脳がハッキングされた状態になるのだ。

 現在では煙草もまた「国家が愚か者に課した税金」となりつつある。今日もまた私は納税にいそしむ。

2020-06-22

沈みゆくアメリカ/『ペトロダラー戦争 イラク戦争の秘密、そしてエネルギーの未来』ウィリアム・R・クラーク


『超帝国主義国家アメリカの内幕』マイケル・ハドソン
『マネーの正体 金融資産を守るためにわれわれが知っておくべきこと』吉田繁治
『〈借金人間〉製造工場 “負債"の政治経済学』マウリツィオ・ラッツァラート
『紙の約束 マネー、債務、新世界秩序』フィリップ・コガン
『ロスチャイルド、通貨強奪の歴史とそのシナリオ 影の支配者たちがアジアを狙う』宋鴻兵
『通貨戦争 影の支配者たちは世界統一通貨をめざす』宋鴻兵
『タックスヘイブンの闇 世界の富は盗まれている!』ニコラス・シャクソン
『資本主義の終焉と歴史の危機』水野和夫
『ドル消滅 国際通貨制度の崩壊は始まっている!』ジェームズ・リカーズ

 ・大英帝国の凋落
 ・沈みゆくアメリカ

必読書リスト その二

 2001年9月11日、世界はもはや後戻りできなくなった。アメリカは脱皮できたはずだった。真に啓蒙された自由な諸国からなる西欧文明において確固たる地位を打ち立てられたはずだった。だが、望みは徹底的に打ち砕かれてしまったように見える。
 2003年3月19日、アメリカ率いるイラク侵攻によって、世界は再び一変した。早急に行動を起こさない限り、今世紀、アメリカが恐怖、抑圧、そして経済的衰退を目の当たりにするのはほぼ確実である。指導者たちは、共和党であろうと民主党であろうと、自滅的な行動を続け、国家本来の目的と約束を次第に顧みなくなっている。(「序文 イラク戦争以後 新世紀を方向づける最も危険な10年間」ジェフ・ライト)

【『ペトロダラー戦争 イラク戦争の秘密、そしてエネルギーの未来』ウィリアム・R・クラーク:高澤洋志〈たかざわ・ひろし〉訳(作品社、2013年/原書は2005年)】

 そして2007年にサブプライムショックがあり、翌2008年にはリーマンショックが続いた。更に現在、ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性が白人警官に押さえつけられて死亡した事件をきっかけに各地で暴動が起こっている。民主党議員が選出された地域に限られているという話もあるが、その意外な脆弱さに驚かされる。

 アメリカ政府は大きく誤ることがしばしばある。かつて日本を締め上げて第二次世界大戦へと暴走させた。天皇陛下も軍部も最後の最後までアメリカ融和を図ったが敢えなく拒否された。しかもあろうことかソ連に手を貸し、戦後の冷戦の種を播(ま)いた。終戦から5年後には朝鮮戦争(1950年)でソ連・中国に勢いを与えた。1963年にはジョン・F・ケネディ大統領が衆人環視の中で暗殺され、1965年からベトナム戦争に本格な介入をする。そして1971年にドルショックが訪れる。第二次世界大戦を唯一無傷で終えたアメリカがわずか26年間でこの凋落ぶりである。1970年代以降は敗戦国であった日本や西ドイツに工業製品のシェアを奪われ続けた。

 たぶんキリスト教原理主義が瞳を曇らせるのだろう。思い上がった彼らが我が身を振り返ることはまずない。米国内でイスラエル左右の覇権争いがあり、更にはチャイナマネーがくすぶり続ける人々に燃料を与えている。我々が今目にしているのは沈みゆくアメリカの姿だ。


2020-05-28

ブレトン・ウッズ体制の崩壊~米国債本位性=ドル債務本位制/『超帝国主義国家アメリカの内幕』マイケル・ハドソン


『円高円安でわかる世界のお金の大原則』岩本沙弓
『ボーダレス・ワールド』大前研一
IMF(国際通貨基金)を戯画化するとこうなる

 ・ワシントン・コンセンサスが世界中を破壊
 ・ブレトン・ウッズ体制の崩壊~米国債本位性=ドル債務本位制

世界銀行は米軍の一部門
『ロスチャイルド、通貨強奪の歴史とそのシナリオ 影の支配者たちがアジアを狙う』宋鴻兵
『通貨戦争 影の支配者たちは世界統一通貨をめざす』宋鴻兵
『ペトロダラー戦争 イラク戦争の秘密、そしてドルとエネルギーの未来』ウィリアム・R・クラーク
『ドル消滅 国際通貨制度の崩壊は始まっている!』ジェームズ・リカーズ

必読書リスト その二

 これにより、ドルと金の市場価格とのつながりは断ち切られた。金の価格は二通りになる。公開市場での高騰する価格と、世界の中央銀行が自らの通貨準備を評価するのに用いつづける、1オンス35ドルの“公的”価格である。
 3年後の1971年8月、ニクソン大統領が正式に金輸出禁止を宣言した。ドルの金への交換性に基づいた基軸通貨本位性は死滅したのだ。米国債本位性――すなわち、ドルの非交換性に基づくドル債務本位制――の始まりだった。手持ちのドルをアメリカの金を買うのに使えなくなった諸外国政府は、アメリカの国債(およびずっと少ない範囲でアメリカ企業の株や債券)を買うしかないのに気づいた。
 自国通貨の方を好む輸出業者や商業銀行からドルを受け取る諸外国の中央銀行は、それらのドルをアメリカ政府に貸し付けるしか取る道がなかった。国際収支上でドルの黒字を出すのは、その黒字をアメリカ財務省に貸し付けているのと同義になった。世界で最も豊かな国アメリカは、国際収支を赤字にしさえすれば、自動的に他国の中央銀行から借金できることになったのである。アメリカの赤字が大きくなればなるほど、他国の中央銀行には多量のドルがたまり、中央銀行はそれらを、流動性や市場性のさまざまに異なる米国債に投資することで、アメリカ政府に貸し戻す。
 合衆国連邦予算は、大砲もバターもという経済に対応してますます赤字にい傾いていた。この経済のもとで、さらなる輸入品に費やされる国内の支出も、対外投資も、そして覇権主義的システムを維持するための対外軍事支出もふくれ上がっていったのだ。しかし、アメリカの市民や会社が税をかけられたり、アメリカの資本市場が増えつづける連邦の赤字への資金供給を強いられたりしたわけではない。その代わりに、諸外国が新たに発行された米国債を購入することを余儀なくされた。こうして、アメリカの冷戦の費用は、他国の人々に課せられた税となったのである。東南アジアでの戦争費用を供給したのは、それらの国々の中央銀行だった。

【『超帝国主義国家アメリカの内幕』マイケル・ハドソン:広津倫子〈ひろづ・ともこ〉訳(徳間書店、2002年)】

 二度挫けている本である。今度が三度目の正直。

 基軸通貨は第二次世界大戦後のブレトン・ウッズ協定(1944年)で英ポンドから米ドルに代わった。現在のハードカレンシー(信用が高く交換可能な通貨)は米ドル・ユーロ・日本円で、英ポンドとスイスフランが続く。ニクソン・ショック(ドル・ショックとも。1971年)でゴールドの裏付けを失ってもドルの基軸通貨が揺らぐことはなかった。主要国は金本位制をやめて変動為替相場制に移行した(1973年)。

 ニクソン・ショックから来年で半世紀が経つ。そろそろ米ドルの命運も尽きることだろう。ドル崩壊は以前から叫ばれてきたが、世界がドルを信用している間は価値を下げない。アメリカはIMFや世界銀行を使って発展途上国の自立を妨げてきた。パックス・アメリカーナの名の下(もと)でやりたい放題で自国優位のシステムを構築してきた。

 ヨーロッパからすればアメリカは新興国であり、間もなく有色人種が白人を上回る人口構成となる。トランプ大統領が「アメリカ・ファースト」を宣言して、保護主義政策にシフトした。アメリカが世界から引いた隙(すき)に中国がしゃしゃり出てきた。

 アメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備銀行)は名ばかりの政府機関で政府は1株も所有していない。その実態は完全な民間企業であり、FRBの中核を成すニューヨーク連銀は欧米のユダヤ系銀行が株主となっている。つまりアメリカ政府はドルを発行することができないのだ。するってえとドルはどういう意味を持つのだろうか? 政府の借金だ。アメリカ政府はFRBに対して国債の金利を支払わされる。もちろんそれを負担するのはアメリカ国民である。

 原始経済が物々交換から始まったとするのは現代人の勝手な妄想で、かなり古くから信用経済が成立していた事実が判明している。金融資本主義の問題は利子である。貨幣経済が環境を破壊するのも利子のせいだ(『エンデの遺言 「根源からお金を問うこと」』河邑厚徳、グループ現代)。余剰マネーは投資され、インカムゲイン(配当)とキャピタルゲイン(売買差益)を押し上げる。資本主義は「発見の時代」(Age of Discovery/大航海時代)に産声を上げた(『投機学入門 市場経済の「偶然」と「必然」を計算する』山崎和邦)。とすると弱者から資源を奪う植民地システムこそ資本主義の母と呼べるかもしれない。

 米ドル信用の裏付けはアメリカという国家の繁栄である。トランプ政権がアメリカ・ファーストを唱え経済のブロック化に進む以上、米ドルの相対的評価は当然下がる。本当であれば暗号通貨が基軸通貨システムを追いやってもおかしくなかったが(『デジタル・ゴールド ビットコイン、その知られざる物語』ナサニエル・ポッパー)、利権を握る連中がそれを許すはずもない。ビットコインはやや持ち直してきてはいるが、国家がブロックチェーン(分散型台帳技術)を導入すれば並み居る暗号通貨は吹き飛ばされる。現在、中国が世界に先駆けてデジタル人民元を開始しようとしている(ついに実験開始「デジタル人民元」は何を目指すのか)。

 米ドル崩壊後の有力な説としては部分的金本位制とSDR(特別引出権)の二つがある。

2020-03-15

ミヒャエル・エンデの社会主義的傾向/『エンデの遺言 「根源からお金を問うこと」』河邑厚徳、グループ現代


『金持ち父さん 貧乏父さん アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学』ロバート・キヨサキ、シャロン・レクター
『国債は買ってはいけない! 誰でもわかるお金の話』武田邦彦
『平成経済20年史』紺谷典子
『税金を払わない奴ら なぜトヨタは税金を払っていなかったのか?』大村大次郎

 ・貨幣経済が環境を破壊する
 ・紙幣とは何か?
 ・「自由・平等・博愛」はフリーメイソンのスローガン
 ・ミヒャエル・エンデの社会主義的傾向
 ・世界金融システムが貧しい国から富を奪う
 ・利子、配当は富裕層に集中する

・『税金を払う奴はバカ! 搾取され続けている日本人に告ぐ』大村大次郎
・『無税国家のつくり方 税金を払う奴はバカ!2』大村大次郎
『デジタル・ゴールド ビットコイン、その知られざる物語』ナサニエル・ポッパー

必読書リスト その二

「今日ではお金とは抽象的な大きさにすぎません。紙幣すらだんだんと姿を消し、今日動かされているのはコンピューターの単位、まったく抽象的な数字といえるでしょう。しかし本格的な経済の問題は紙幣の発明とともに起こったと思います。紙幣には物的価値はなく、価値のシンボルなのです。紙幣の発明で問題が生じるのは、紙幣が好きなだけつくれるからで、金塊ならば好きなだけ増やすというわけにはいきません。金銀に不足した王様は、軍隊に給金が払えず、弱小化しました。周知のようにローマ帝国の滅亡もこのことが主な原因です」

【『エンデの遺言 「根源からお金を問うこと」』河邑厚徳〈かわむら・あつのり〉、グループ現代(NHK出版、2000年/講談社+α文庫、2011年)】

 今考えると、やや社会主義的な印象が強い。ミヒャエル・エンデは1929年(昭和4年)11月12日生まれ。世界恐慌の引き金となったブラックサーズデイ(10月24日)の直後である。「マネーに裏切られた世代」といってよい。

 16歳の時に召集令状を破り捨て、「その後、近所に住むイエズス会神父の依頼でレジスタンス組織『バイエルン自由行動』の反ナチス運動を手伝い、伝令としてミュンヘンを自転車で駆け回った」(Wikipedia)。当時のレジスタンスは共産主義者の特許である(『イタリア抵抗運動の遺書 1943.9.8-1945.4.25』P・マルヴェッツィ、G・ピレッリ編)。総本山はフランス人民戦線だ(フランス共産党 - 世界史の窓)。

 1983年、河西善治が西ドイツ(当時)緑の党をモデルとした「東京緑派」(DIE GRUENEN) を結成し、参院選に東京都選挙区より出馬した。河西は人智学(シュタイナー思想)の研究家であり、西ドイツ緑の党がミヒャエル・エンデなど多くの人智学者によってできた経緯から、緑の党の思想を日本に広めることに注力していた。

Wikipedia > 緑の党 > 日本での試み

 同盟90/緑の党は「新左翼色の濃いエコロジー政党」のようだ。カール・マルクスやフリードリヒ・エンゲルスを生んだドイツである。エンデがその影響を受けたのはむしろ当然であろう。

 人智学とのつながりは初めて知った。ルドルフ・シュタイナーはもともと神智学協会のメンバーだったが、若きジッドゥ・クリシュナムルティを神の再誕とする見方に反発し、自ら人智学協会を設立した(『仏教と西洋の出会い』フレデリック・ルノワール)。

 またエンデはベルトルト・ブレヒトから大きな影響を受けていたようだ(『ブレヒトの写針詩』岩淵達治編訳)。リベラルよりもやや左側に位置すると見てよい。言説にとらわれて思想的背景を見失うと、あらぬ方向に誘導されることがある。留意が必要な一書だ。

2020-02-18

「自由・平等・博愛」はフリーメイソンのスローガン/『エンデの遺言 「根源からお金を問うこと」』河邑厚徳、グループ現代


『金持ち父さん 貧乏父さん アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学』ロバート・キヨサキ、シャロン・レクター
『国債は買ってはいけない! 誰でもわかるお金の話』武田邦彦
『平成経済20年史』紺谷典子
『税金を払わない奴ら なぜトヨタは税金を払っていなかったのか?』大村大次郎

 ・貨幣経済が環境を破壊する
 ・紙幣とは何か?
 ・「自由・平等・博愛」はフリーメイソンのスローガン
 ・ミヒャエル・エンデの社会主義的傾向
 ・世界金融システムが貧しい国から富を奪う
 ・利子、配当は富裕層に集中する

・『税金を払う奴はバカ! 搾取され続けている日本人に告ぐ』大村大次郎
・『無税国家のつくり方 税金を払う奴はバカ!2』大村大次郎
『デジタル・ゴールド ビットコイン、その知られざる物語』ナサニエル・ポッパー

必読書リスト その二

 フランス革命のスローガンである『自由・平等・博愛』は革命前からある言葉で、もとはフリーメーソンのスローガンにほかなりません。

【『エンデの遺言 「根源からお金を問うこと」』河邑厚徳〈かわむら・あつのり〉、グループ現代(NHK出版、2000年/講談社+α文庫、2011年)】

 悪夢の民主党政権で鳩山由紀夫首相は「友愛」を掲げた。祖父の鳩山一郎はフリーメイソンのメンバーだった(Wikipedia)。「フリーメイソンは、中世ヨーロッパの石工職人組合を祖にして生まれた秘密結社だが、その後、政財界や知識階級などのエリート達が集う、世界的な巨大組織に発展した」(ユダヤ=フリーメイソン説)。このくらいは大勢の人が知っていることだろう。

 フリーメイソンと陰謀がセットになっているのはその影響力の大きさによる。アメリカ合衆国大統領はジョージ・ワシントンを始めとする14人が会員だった。日本に縁のある人物だと黒船のマシュー・ペリーやダグラス・マッカーサーもフリーメイソンである。音楽界だとモーツァルト、バッハ、ベートーヴェン、ブラームス、メンデルスゾーンなど。ボーイスカウトやロータリークラブ、ライオンズクラブなども派生団体である。

 プロビデンスの目や原型であるホルスの目などを調べてゆくと、キリスト教が古代宗教の寄せ集めであることまで見えてくる。


【ホルスの左目】プロビデンスの目とは?由来と解説、さらに企業ロゴや身の回りに隠されているものをまとめてご紹介【万物を見通す目】 – Gossip Repository

 かつてのフリーメイソンから宗教色を取り除いたのはフランス大東社で、石工(いしく)の職人団体から知識人の友愛団体へと変貌を遂げた。実は歴史の潮流がここから変わるのだ。ピーター・F・ドラッカーが唱えた「知識社会」の源流を見出すこともできよう(ドラッカーの父親はフリーメイソンのグランド・マスターだった:『傍観者の時代』)。

 つまりだ、友愛団体となったフリーメイソンは超国家組織となって潰されたテンプル騎士団の生まれ変わりなのだろう。彼らは科学革命を背景に理神論を唱え、啓蒙思想を牽引し、フランス革命で近代の扉を大きく開いた。ナポレオン・ボナパルトもフリーメイソンの会員だった。

 国民国家となったフランスでユダヤ人は初めて国民として認められた。プロテスタントとは異なる第三の道が示されたわけだ。

フランス市民革命におけるメイソンとユダヤ人解放令

 フランス市民革命は、アメリカ独立革命の影響が旧大陸に波及したものである。ユダヤ人にとっては、アメリカにユダヤ人も自由に活動できる「自由の国」ができた後、フランスで市民革命を通じて、ユダヤ人の解放がされることになった。
 フランスでは、早くからロックの思想が摂取され、急進化していた。また、18世紀後半のフランスでは、フリーメイソンが活動していた。絶対王政やカトリック教会を批判した啓蒙主義者、百科全書の編纂者等には、メイソンがいた。また市民革命の指導者には、多くのメイソンがいた。
 フランス啓蒙思想は、イギリス啓蒙思想を源流として発達した。その発達には、フリーメイソンの組織と活動が関係している。
 フランス啓蒙思想の成果の一つが、『百科全書』である。1751年に第1巻が刊行された『百科全書』は、イギリスのチェインバーズ百科事典のフランス語訳を、ドゥニ・ディドロが行ったことを契機とする。チェインバーズ百科事典は、編纂者も版元もフリーメイソンだった。ディドロは不明だが、盟友のジャン・ル・ロン・ダランベールはメイソンだった。百科全書派は、総じてメイソンの影響を強く受けている。

ユダヤ42~フランス市民革命におけるメイソンとユダヤ人解放令 - ほそかわ・かずひこの BLOG

 ぶったまげた。こんなことは岡崎勝世ですら書いていない。近代の本質は「知識とマネー、そしてネットワーク」にあるのだろう。

「自由・平等・博愛」はフランスからカトリック色を漂白するための仕掛けか。この流れはアメリカに受け継がれ「民主政こそ正義」という概念に飛躍する。その後、フランスではドレフュス事件(1894年)が起こるのだがこれまた再考が必要だ。



フリーメイソンの「友愛」は「同志愛」の意/『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか』菅沼光弘
私の政治哲学 祖父・一郎に学んだ「友愛」という戦いの旗印:鳩山由紀夫
歴史という名の虚実/『龍馬の黒幕 明治維新と英国諜報部、そしてフリーメーソン』加治将一
ネオコンのルーツはトロツキスト/『「米中激突」の地政学』茂木誠

2019-10-30

大英帝国の凋落/『ペトロダラー戦争 イラク戦争の秘密、そしてドルとエネルギーの未来』ウィリアム・R・クラーク


『超帝国主義国家アメリカの内幕』マイケル・ハドソン
『マネーの正体 金融資産を守るためにわれわれが知っておくべきこと』吉田繁治
『〈借金人間〉製造工場 “負債"の政治経済学』マウリツィオ・ラッツァラート
『紙の約束 マネー、債務、新世界秩序』フィリップ・コガン
『ロスチャイルド、通貨強奪の歴史とそのシナリオ 影の支配者たちがアジアを狙う』宋鴻兵
『通貨戦争 影の支配者たちは世界統一通貨をめざす』宋鴻兵
『タックスヘイブンの闇 世界の富は盗まれている!』ニコラス・シャクソン
『資本主義の終焉と歴史の危機』水野和夫
『ドル消滅 国際通貨制度の崩壊は始まっている!』ジェームズ・リカーズ

 ・大英帝国の凋落
 ・沈みゆくアメリカ

必読書リスト その二

 大英帝国は1870年代あたりから凋落し始めた。以来、イギリス政府は南アフリカなどでたびたび帝国主義戦争に訴えるようになり、どんどん泥沼にはまっていった。アメリカも同じである。軍事力を使って、もはや経済的手段では成し遂げられないことを追求しようとしている。

【『ペトロダラー戦争 イラク戦争の秘密、そしてドルとエネルギーの未来』ウィリアム・R・クラーク:高澤洋志〈たかざわ・ひろし〉訳(作品社、2013年)】

 ボーア戦争(1880年)から第一次世界大戦終焉(1918年)までが38年である。そして英ポンドは基軸通貨としての地位を失った。1600年前後から続いた大英帝国は滅んだと考えてよい。




 第二次世界大戦後(1945年)、米ドルが基軸通貨となる。ニクソン・ショック(1971年)でブレトン・ウッズ体制は終結したが、ゴールドの裏付けを失ったドルはペトロダラーとして延命した。

 トランプを救世主と仰ぐQAnonと呼ばれる人々が出てきた。国家機密にアクセスできる人物が匿名掲示板に膨大な量の書き込みをしている。その投稿者がQなる人物で彼を支持する人々がQAnonである。

 昨夜初めて知ったのでそれほど精査したわけではないが、どうもイスラエルから目を逸らさせる目的があるような気がする。トランプ政権の裏側で起こっているのはイスラエルの新旧勢力の暗闘である。トランプ大統領はたぶん連邦準備制度(FRS)にまで切り込むことだろう。FRSは中央銀行でありながら完全な民間企業で、驚くべきことにアメリカ政府は1株も株式を有していない。つまり政府から通貨発行権が剥奪された状態がずっと続いているのだ。リンカーンやケネディがこれに手をつけようとして暗殺されたことは有名な話だ。

 米ドルが基軸通貨としての役割を終えるのはそれほど先のことではないだろう。とすればユーロ高、円高となるのは必然である。更にドル/スイスフランが1.000を割り込んだ時にスイスが介入するかどうかも見ものである。

「アメリカは9.11テロ~アフガニスタン紛争~イラク戦争で滅んだ」と未来の歴史家が綴ることになるだろう。大国にとってアフガニスタンは鬼門だ。ソ連もアフガニスタンと戦争をして滅んだ。

 石油を巡ってアメリカが帝国主義的な振る舞いをしてきた事実が描かれている。「必読書」に入れたが惜しむらくは2005年の刊行でシェール革命以前にとどまっている。

2019-06-20

マネーによる民主政/『デジタル・ゴールド ビットコイン、その知られざる物語』ナサニエル・ポッパー


『エンデの遺言 「根源からお金を問うこと」』河邑厚徳、グループ現代

 ・マネーによる民主政

・『今だからこそ、知りたい「仮想通貨」の真実』渡邉哲也
『次のテクノロジーで世界はどう変わるのか』山本康正
『ビッグデータの正体 情報の産業革命が世界のすべてを変える』ビクター・マイヤー=ショーンベルガー、ケネス・クキエ
『パーソナルデータの衝撃 一生を丸裸にされる「情報経済」が始まった』城田真琴
『マインド・ハッキング あなたの感情を支配し行動を操るソーシャルメディア』クリストファー・ワイリー
『無人の兵団 AI、ロボット、自律型兵器と未来の戦争』ポール・シャーレ
『データ資本主義 ビッグデータがもたらす新しい経済』ビクター・マイヤー=ショーンベルガー、トーマス・ランジ
『アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る』藤井保文、尾原和啓
『あなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠』キャシー・オニール
『シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント』エリック・ジョーゲンソン

情報とアルゴリズム
必読書リスト その三

 新しいタイプの通貨を創るなどという考えは、多くの人には奇異で無意味な企てに思えるだろう。現代に生きるほとんどの人は当たり前のように、通貨とは各国が発行する紙幣や硬化だと思っている。通貨を発行する権限こそ、国家の有するもっとも重要な力の一つであり、それはバチカン市国やミクロネシアなどの小国であっても変わらない。
 しかし、これは比較的新しい現象なのだ。アメリカも南北戦争までは流通している貨幣の多くは民間銀行が発行したものであり、多種多様な貨幣が混在していた。そして発行元の銀行が倒産すれば紙屑になった。当時は多くの国が、他国が発行した硬貨を使っていた。
 金(きん)、貝殻、石片、桑白皮(ソウハクヒ)など、人類が飽くことなく通貨のよりよい形態を探すなかでは、こうした状況が長いあいだ続いてきた。
 通貨のよりよい形態を探すことは、身のまわりのモノの価値を測るための、より信頼性の高い、そして統一的方法を見つけることである。材木1本、1日分の大工仕事、森を描いた絵画など、さまざまなモノの価値を信頼性のあるかたちで比較できる単一の指標である。社会学者ナイジェル・ドッドの言葉を借りれば、よい通貨とは「さまざまなモノの質的違いを量的違いに転換し、交換できるようにするもの」だ。
 サイファーバンクのめざす通貨は、通貨のもつ標準化という特徴をとことん追求し、どこでも使える普遍的なものった。国境を越えるたびに両替しなければならないなどの制約の多い国ごとの通貨とは違う。

【『デジタル・ゴールド ビットコイン、その知られざる物語』ナサニエル・ポッパー:土方奈美〈ひじかた・なみ〉訳(日本経済新聞出版社、2016年)以下同】

 読んで直ぐ必読書に入れた。しばらくして外した。ビットコインの理念は崇高なものだが現在の金融システムを支配している連中が黙って見過ごすわけがない。実際に私は本書を読んで仮想通貨を購入し、更に渡邊本を読んでから売却した。直後に私が利用していた取引所のZaifで不正アクセスによる70億円の不正出金が発覚した。

 大衆消費社会では神を信じる人も神を信じないも、お金の価値だけはしっかりと信じている。マネーこそは現代の神であり誰もが疑うことのない常識だ。ところが我々は財布の中の紙幣や硬貨がどのような仕組みで生まれているかを知らない。金融機関に勤めている人でも信用創造を理解する人は稀だ。

 1971年8月15日のニクソン・ショックによってブレトン・ウッズ体制は崩壊した。兌換(だかん)紙幣の終焉はマネーの仮想化を意味する。金(ゴールド)の裏づけを失った紙切れを信用の名の下で交換する行為はまさに宗教的である。

 エリックがビットコインの世界に飛びこんだ理由はカネであってカネではなかった。フェイスブックの投稿でビットコインの存在を知った直後から、その価値が天文学的ペースで成長するだろうと予測できた。しかしそうした成長は、ビットコインの複雑なソースコードによって、ウォール街の金融機関や各国政府など既存の権力構造が覆(くつがえ)された結果、実現するものだとずっと信じていた。インターネットが郵便制度やメディ業界にもたらした変化が、金融世界でも起きると思っていた。ビットコインが成長すれば金持ちになれるだけでなく、政府が勝手に戦争にカネを出すようなまねはできなくなり、個人が自分のおカネと運命を管理できる、もっと正しく平和な社会が実現するのだと見ていた。

 つまりビットコインの理念はマネーによる民主政といってよい。インターネットは距離と時間の革命であった。通貨を管理するのは国家であり、国内で使用すれば税が課され、外国と取引すれば為替レートに振り回され、更に両替手数料が発生する。第二次世界大戦以降は米ドルが基軸通貨となっておりオイルや兵器の支払いは米ドルで行われれる。サダム・フセインは原油のユーロ決済を認めたことで殺された。

「お金とは何か?」を我々は教えられてこなかった。税についても同様である。日本国憲法では納税が国民の義務と規定されているが、政府や官僚には何の義務も課されておらず血税を湯水の如く無駄遣いする温床となっている。

 アメリカの金融とメディアを牛耳っているのはユダヤ資本である。アメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備銀行)は日銀などとは異なり完全な民間会社である。アメリカ政府は一株も持っていない。FRBがドルを印刷して米国債を購入する。FRBは紙と印刷代だけで国債の利息を手に入れるのである。つまり発行されるドルはそのまま米国民の債務となる。銀行券ではなく債券証書なのだ。

 大統領のリンカーンやケネディは政府による通貨発行を企てて暗殺された。とすればビットコインがどれほど優れた技術に裏づけられたとしてもドル基軸体制を揺るがすことは考えにくい。

 正真正銘の良書である。ただし仮想通貨には手を出すな。

2018-11-20

通貨リセットとゴールドの役割/『金価格は6倍になる いますぐ金(ゴールド)を買いなさい』ジェームズ・リカーズ


『円高円安でわかる世界のお金の大原則』岩本沙弓
『新・マネー敗戦 ――ドル暴落後の日本』岩本沙弓
『資本主義の終焉と歴史の危機』水野和夫
『通貨戦争 崩壊への最悪シナリオが動き出した!』ジェームズ・リカーズ
『ドル消滅 国際通貨制度の崩壊は始まっている!』ジェームズ・リカーズ

 ・通貨リセットとゴールドの役割

必読書リスト その二

 強大な勝者――世界のゴールドパワーの本当の中心――は、ユーロ圏を構成し、ユーロを発行している19ヵ国である。これらの国が持っている金の対GDP比は4パーセントを超えている。アメリカの比率は約1.7パーセントだ。興味深いことに、ロシアの比率は約2.7パーセントである。ロシアはアメリカの8分の1強の金を保有しているが、経済の規模はアメリカ経済の8分の1にすぎないので、比率が高いのだ。ロシアは金の取得を進めている国のひとつであり、ユーロ圏と対等になろうとしているように思われる。日本、カナダ、イギリスは経済大国だが、金の対GDP比はきわめて低く、3ヵ国とも1パーセント未満である。(中略)
 中国は、ロシアと同じく、アメリカやヨーロッパと同等の比率になるように金の取得を進めている。通貨制度が崩壊した場合、金の対GDP比はきわめて重要だ。どのような通貨リセットをおこなうにしても、それが基礎になり、新しい「ゲームのルール」になるからだ。
 通貨リセットをする際は、すでに説明したように、諸国が集まって交渉することになる。その会議はポーカーゲームのようなものだ。ポーカーテーブルにつくときは、チップをたくさん持っていたい。金はこの状況でポーカーチップの働きをするのである。これは世界が自動的に金本位制に移行するということではない。交渉の席での発言権が、金をどれだけ持っているかで決まるということだ。

【『金価格は6倍になる いますぐ金(ゴールド)を買いなさい』ジェームズ・リカーズ:藤井清美訳(朝日新聞出版、2016年)】

 いつでも頭のいい人に接することができる。これが読書の利点である。もちろん読んだだけで自分の頭がよくなることはない。大事なことは思考の構造をトレースできるところにある。自分の頭の枠組みを広げるまではいかなくとも歪めるくらいはできる。

「通貨リセット」とはドル基軸体制の崩壊を意味する。ま、ドル本位制と言い換えてもよろしい。

アメリカに「対外貿易」は存在しない/『ボーダレス・ワールド』大前研一

 アメリカ人の借金体質(クレジットカードの最大限活用)とドルの汎用性が第二次世界大戦後の世界経済を支えてきた。イラクのサダム・フセイン大統領がユーロによる原油決済を認めて結局アメリカに殺された。ドルに翳(かげ)りが見えたのは2008年のリーマン・ショックだ。後になって振り返ればこれこそがドル崩壊の兆候であったと位置づけられることだろう。

 本書のタイトルは極めて安直で低俗だが内容に瑕疵(かし)は見当たらない。ただし、ゴールド現物を購入するのは少し早いだろう。12月から株価は上昇し、明年初頭で一旦大幅調整し、その後本格的な上げ相場になると考えている。紙(株、債券)が上がればコモディティ(商品)は下がる。そこを拾うのが賢いやり方だ。

 尚、本書ではSDR(特別引出権)の詳しい解説があり、マネーの新しい形を明示している。

金価格は6倍になる いますぐ金を買いなさい
ジェームズ・リカーズ
朝日新聞出版 (2016-12-07)
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2018-08-08

日本はキングではなくエンペラーを持つ唯一の国/『アンダー・プロトコル 政財暴一体で600億円稼いだ男の錬金哲学』猫組長


 日本ではあまり知られていないがヨーロッパにおいては貴族・王族を保有しているかいないかが、その国の価値を決める一つの基準になっている。民主主義国歌となった現在でも、モナーク(君主)を持っているかいないかは、ナショナルバリューにおいては非常に大きな問題なのだ。あの芸術大国を誇るフランス人の最大のコンプレックスこそ、貴族や王族の不在である。18世紀、世界に先駆けて市民革命を起こしたことで、フランスの貴族や王族は滅亡。そのことで、王室外交においてフランスは格下に置かれたのだ。
 IMFが2017年に発表したデータによれば、世界の名目GDPランキングでフランスはイギリスに次いで6位、デンマークはフィリピンより1つ上の35位である。このように経済規模ではフランスに比べて圧倒的に小国なデンマークだが、外交においては非常に尊重されている。その理由はデンマークが、世界で2番目に古い王室を持っているからである。どれほど巨万の富を築いても「歴史」を買うことはできない。つまり、「歴史」は価値なのだ。その歴史が育むものが「文化や伝統」である。【希少性こそが最も価値を創造する要素であり、唯一無二には高いバリューがある。】
 現在、世界に王室は27しかない。
 その中で一番古い君主こそが日本の天皇である。日本はキングではなくエンペラーを持つ唯一の国。天皇家は古事記と日本書紀を信じれば紀元前660年から、きちんとした資料によれば6世紀以降から続く「万世一系」である。現在の世界の覇権国であるアメリカ大統領が、自分より格上の儀礼としてホワイトタイ(白い蝶ネクタイ)で空港まで迎える人物は、ローマ法王とイギリス女王、そして日本の天皇であることを知らない日本人は多い。
 私は特に特定の思想を持たないプラグマティストであるが、プラグマティックに考えれば「天皇」は国家の価値であり、この歴史が日本の文化や伝統を生んだのだ。

【『アンダー・プロトコル 政財暴一体で600億円稼いだ男の錬金哲学』渡邉哲也監修:猫組長(徳間書店、2018年)】

 経済ヤクザの識見恐るべし。嘘が少ない世界で生きているがゆえに物事の本質がよく見えるのだろう。

 浜島書店編集部編『ニューステージ 世界史詳覧』では日本は紀元前3世紀半ばから始まっており、後漢の後でローマ帝国の後半という時代である。日本に遅れてビザンツ(東ローマ)帝国(4世紀末)、フランク帝国(5世紀)、イングランド王国(9世紀)、神聖ローマ帝国(10世紀)となっている。ま、日本以外は新興国と断言しておくよ(笑)。

 そんな古き歴史もGHQの占領によって断絶されてしまった。殆どの知識人が過去を否定して赤く(社会主義・共産主義)染まった。確か朝日新聞だったと記憶するが「報道で天皇に敬語を使うのはおかしい」というキャンペーンを張っていたことがある。もう30年以上も前の話だ。今日に至っても尚、朝日新聞・毎日新聞は不敬な態度を取り続けている。譲位という言葉を使わないで「生前退位」と報じた。毎日はつい先日、「天皇代替わり」とやったらしい。これほど小馬鹿にされると不敬罪を蘇らせた方がいいように感じてくる。

「天皇制打倒」とのコミンテルンの指示がまだ生きていることに恐れを抱く国民は少ない。他国の意のままに動き、国家を転覆して、別の国家をつくろうとする連中が山程いるのだ。そのマインドコントロールの度合いは宗教のレベルに達している。

 平成の30年間はバブル崩壊に始まり、地下鉄サリン事件、二度の大震災など、とても平成とは思えぬ時代であった。次の元号に「安」の字がついたとしても戦争は避け得ないことだろう。

アンダー・プロトコル: 政財暴一体で600億円稼いだ男の錬金哲学
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2018-05-20

ポスト・ドル体制の青写真/『ドル消滅 国際通貨制度の崩壊は始まっている!』ジェームズ・リカーズ


『円高円安でわかる世界のお金の大原則』岩本沙弓
『新・マネー敗戦 ――ドル暴落後の日本』岩本沙弓
『21世紀型大恐慌 「アメリカ型経済システム」が変わるとき』山崎養世
『超帝国主義国家アメリカの内幕』マイケル・ハドソン
『資本主義の終焉と歴史の危機』水野和夫
『通貨戦争 崩壊への最悪シナリオが動き出した!』ジェームズ・リカーズ

 ・ポスト・ドル体制の青写真

『金価格は6倍になる いますぐ金を買いなさい』ジェームズ・リカーズ
『ペトロダラー戦争 イラク戦争の秘密、そしてドルとエネルギーの未来』ウィリアム・R・クラーク

必読書リスト その二

 本書はドルの終焉(しゅうえん)について論じる本だ。その延長線上で、国際通貨制度の崩壊の可能性についても論じることになる。なぜなら、ドルに対する信認が失われた場合、他のどの通貨も世界の準備通貨というドルの地位を引き継ぐ用意はできていないからだ。ドルは基軸である。ドルと国際通貨制度は表裏一体なので、ドルが崩壊したら、それとともに国際通貨制度全体が崩壊する。このダブル崩壊は恐ろしい可能性だが、これから説明していく理由により、ますます避けがたくなっているように見える。

【『ドル消滅 国際通貨制度の崩壊は始まっている!』ジェームズ・リカーズ:藤井清美訳(朝日新聞出版、2015年)以下同】

 SDR(特別引出権)の意味を初めて理解できた。「FRBがドルを捨てる方向に動いている」というのが真意である。SDRは事実上、世界通貨であり、ゆくゆくはSDR建てでアメリカの大型株が発行される可能性を示唆する。ゴールドの価値は不変であり、価格の上下はドルの価値が動いているに過ぎない、との指摘に目から鱗が落ちる。アベノミクスについても触れており、アメリカ経済の今後を日本の金融政策(金融緩和)が占うという。基本的には緩和マネーが資産バブルを形成し、首が回らなくなるという見立てである。ドル基軸通貨体制崩壊後に関しては三つのシナリオが描かれているが、ゴールドを裏付けとするSDR基軸通貨が実現するような気がする。デフレという化け物に紙幣が敗れる日はそう遠くない。

 ドルに対して使われる【崩壊】という言葉が世界の終わりのように響くとき、それは100パーセント実際的な意味を持っている。崩壊とは、簡単に言うと、ドルの未来の購買力に対して市民や中央銀行が信認を失うということだ。その結果として、ドルを持っている者たちは、通常より速いペースで支出したり実物資産を購入したりすることによってドルを手放すことになる。この急激な行動変化は、当初は金利の上昇やインフレ率の上昇、それに資本形成の崩壊を引き起こす、最終的な結果は(1930年代のように)デフレのこともあれば、(1970年代のように)インフレのこともあり、その両方になることもある。

 米10年債の金利がいよいよ3.0%を超えてきた。実際は今までの低金利が異常事態であって、年利が2%であれば国債のリスク・プレミアムはインフレ上昇分と相殺されてしまう。つまりリターンが低すぎて投資家はリスクを取る意味がない。で、なぜ低金利だったかというとFRB(連邦準備理事会)が量的緩和政策(QE)を行い国債を買い漁ってきたためだ。QEが終了すれば金利は当然上がる。

 今年はリーマン・ショックからちょうど10年目に当たる。もはや経済は企業や人々が自然に織りなす営みとは言い難い。人為を過信してマネーを水道の供給みたいに考えている節(ふし)がある。氾濫(はんらん)したマネーが逆流すれば次は津波のような被害が世界を襲うに違いない。リーマン・ショックは100年に一度の金融危機と言われたが、次なる危機は「1000年に一度」となる可能性が高い。

ドル消滅 国際通貨制度の崩壊は始まっている!
ジェームズ・リカーズ
朝日新聞出版 (2015-06-05)
売り上げランキング: 300,947

2018-05-06

米ドル崩壊のシナリオ/『通貨戦争 崩壊への最悪シナリオが動き出した!』ジェームズ・リカーズ


『円高円安でわかる世界のお金の大原則』岩本沙弓
『新・マネー敗戦 ――ドル暴落後の日本』岩本沙弓
『資本主義の終焉と歴史の危機』水野和夫

 ・米ドル崩壊のシナリオ

『ドル消滅 国際通貨制度の崩壊は始まっている!』ジェームズ・リカーズ
『金価格は6倍になる いますぐ金を買いなさい』ジェームズ・リカーズ

 1971年8月15日、穏やかな日曜日の夜、リチャード・ニクソン大統領はアメリカで最も高視聴率を誇っていたテレビ番組の時間に、電波を使って新経済政策を発表した。政府は価格統制を行い、高率の輸入課徴金を課し、ドルと金の交換を停止すると宣言したのである。継続中の通貨戦争によって米ドルに対する信認が打ち砕かれ、アメリカは危機のさなかにあった。思い切った措置が必要だと、大統領は決断していたのである。

【『通貨戦争 崩壊への最悪シナリオが動き出した!』ジェームズ・リカーズ:藤井清美訳(朝日新聞出版、2012年)以下同】

「トランプ米大統領は8日の記者会見で、鉄鋼とアルミニウムにそれぞれ25%と10%の関税を課す輸入制限を実施することを正式に発表した。カナダとメキシコを対象外とすることも改めて明らかにした」(ロイター 2018年3月9日)――あとはドル安に誘導すればニクソンショックの再現となる。東京オリンピックの翌年がちょうど半世紀後に当たるから、日中戦争はこのタイミングになるような気がする。もちろん米国債を大量保有している日中を戦わせるシナリオを用意しているのはアメリカだ。序文の続きを紹介しよう。

 今日、われわれは新たな通貨戦争の渦中にあり、ドルに対する信認の危機がふたたび訪れようとしている。危機の影響は、ニクソンが直面したものよりはるかに深刻になるだろう。あれから40年の間にグローバル化が進み、デリバティブ(金融派生商品)やレバレッジ(借り入れを利用する投資)が多用されるようになったことで、金融パニックやその伝播(でんぱ)を抑え込むのはほぼ不可能になっているからだ。
 新しい危機は為替(かわせ)市場で始まって、またたく間に株式や債権やコモディティ(商品)市場に波及するだろう。ドルが崩壊したら、ドル建て金融商品の市場も崩壊する。パニックはまたたく間に世界中に広がるだろう。
 その結果、アメリカ大統領が――それはオバマ大統領かもしれない――電波とサイバー空間を使って、ドルを全面崩壊から救うための大胆な介入計画を発表し、法的権限を行使するだろう。この新しい介入計画には、金本位制への復帰という策まで含まれるかもしれない。もしそうなったら、膨張したマネーサプライ(通貨供給量)を限られた量の金で支えるために、金の価格は現在より劇的に高い水準に設定されるだろう。早くから金に投資していたアメリカ人は、金価格の上昇による棚ぼた利益に対して、公正の名の下に90パーセントの「超過利潤税」を課せられるだろう。現在ニューヨークに保管されているヨーロッパや日本の金は、接収されて「新ドル政策」を支えるために使われるだろう。ヨーロッパや日本は接収された金の代わりに受取書を与えられ、その受取書は以前より大幅に高い新価格で新しいドルと交換できるとされるだろう。
 もう一つの可能性として、大統領は金本位制への復帰は避けて、さまざまな資本規制やIMF(国際通貨基金)のマネー創造機能を使って流動性を供給し、状況を安定させようとするかもしれない。IMFによるこのグローバルな救済は、金との兌換(だかん)性のない古いドルではなく、新たに発行されるSDR(特別引き出し権)と呼ばれるグローバル通貨で行われるだろう。世界は回り続けるだろうが、国際通貨精度はすっかり様変わりするだろう。
 これは荒唐無稽(むけい)な推論ではない。そっくり同じことがかつて起きているのである。紙券通貨が崩壊して、資産の凍結、金の接収、資本規制という措置が取られたことは過去に何度もある。アメリカもこうした措置と無縁ではなかった。それどころか、アメリカは1770年代から1970年代まで、独立戦争、南北戦争、大恐慌、そしてカーター政権時代のハイパーインフレーション(物価暴騰)を経験するなかで、ドル安政策を積極的に推し進めてきた。通貨崩壊が30年余り起きていないという事実は、次の崩壊の機が熟しすぎるほど熟していることを暗に示しているだけだ。単なる推論の所産ではなく、前提条件はすでに整っているのである。

 二度の世界大戦で英ポンドは凋落(ちょうらく)し基軸通貨は米ドルに変わった(1944年)。ブレトン・ウッズ体制はニクソン・ショック(1971年)で終焉を迎え、為替(かわせ)の変動相場制が幕を開ける。それにしても米ドルが現在も基軸通貨の地位を譲っていないのは何とも不思議な話である。兌換(だかん)紙幣は死んだ。金(ゴールド)の裏づけを失ったマネーは物としての価値を消失したが信用情報として生き延びた。

 基軸通貨とは簡単に言えば「石油や武器を買う時に使用できる通貨」のことだ。日本が中東から石油を購入した場合、1万円札で支払えば相手が困るのは誰にでも理解できよう。国家の基盤が弱い国ほど外貨が必要となる。

 イラクのフセイン大統領は原油の決済通貨をドルからユーロに変えたために殺された。「要するに、イラク戦争というのは、イラクにある石油利権を植民地主義敵に囲い込むための戦争だったのではなく、ドルを基軸としてまわっている国際石油市場のルールを守るための戦争だった」(『超マクロ展望 世界経済の真実』水野和夫、萱野稔人)。ルールを決めるのはいつだって強者だ。


 1ドル360円が半分の価値になるまでわずか10年である。1990年代から2000年代初頭にかけてアメリカではITバブルが、続いて住宅バブルが絶頂を迎える(2007年7月)。そして物づくりを放棄して金融工学にうつつを抜かしていた彼の国を襲ったのがリーマン・ショックであった(2008年9月)。10月28日には日経平均が7000円台を割り込んだ。グローバリゼーションは恐慌のスピードを加速する。

 トランプ大統領が唱えるアメリカ・ファーストとは、今まで世界中から物を買ってきたアメリカが「物を売る側」にシフトするとの宣言である。とすればドルが強くなることはあり得ない。しかしながら世界から資金を集める必要があれば株価は釣り上げてくることだろう。更にはアメリカが覇権から一歩退くことで東アジアと中東に混乱が生じるに違いない。

通貨戦争 崩壊への最悪シナリオが動き出した!
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2017-11-21

国家が堂々と行う詐欺/『国債は買ってはいけない! 誰でも儲かるお金の話』武田邦彦


『金持ち父さん 貧乏父さん アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学』ロバート・キヨサキ、シャロン・レクター
『金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント 経済的自由があなたのものになる』ロバート・キヨサキ、シャロン・レクター
『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015 知的人生設計のすすめ』橘玲
『世界にひとつしかない「黄金の人生設計」』橘玲、海外投資を楽しむ会
『なぜ投資のプロはサルに負けるのか? あるいは、お金持ちになれるたったひとつのクールなやり方』藤沢数希

 ・国家が堂々と行う詐欺

『平成経済20年史』紺谷典子
・『給料を2倍にするための真・経済入門』武田邦彦
『円の支配者 誰が日本経済を崩壊させたのか』リチャード・A・ヴェルナー

 庶民が国債を100万円買ったとする。そのお金はいくらになって戻ってくるのだろうか?
 この世ではじめて「庶民から見た国債」ということが明らかになるのだから、その結果をすぐには納得できないと思うが、次のような結果になる。
 100万円の国債を1回買うだけなのに庶民は5回にわたってお金を支払い、その合計は実に405万円以上になる。そして、受け取りは200万円になるので、差し引き最低でも205万円のマイナスとなる。
 つまり「100万円の国債を庶民が買ったらマイナス205万円」と覚悟しておかなければならない。それが「庶民から見た国債会計」だ。

【『国債は買ってはいけない! 誰でも儲かるお金の話』武田邦彦(東洋経済新報社、2007年)以下同】

 武田邦彦の近著は文章が酷い。たぶんブログ記事を出版社が編集しているだけなのだろう。わかりやすさを強調して内容が劣る結果となっている。それでも「必読書」に入れたのは経済のインチキ手法を見事に明かしているためだ。上記テキストでも「受け取りは200万円になる」という部分が理解に苦しむ。国債償還分100万円+金利分とインフラ整備や社会保障などによる還元を意味するのだろう。つまり「国民が政府に100万円を貸し出すと、205万円の税負担が増える」ということだ。

 政府に返す気がないのをハッキリさせるのは簡単だ。庶民の代表が政府に行って「まあ、政府にもいろいろな事情はあるだろうが、そろそろ国債を返して下さい」と言えばよい。
 そうすると、思わぬ答えが返ってくる。普通なら「すみません。もう少し待って下さい」と言うだろうがそうではない。政府の高官はすでに次のように発言している。
「赤字国債がたまり国の財政が不安定になったので、消費税を上げて国債の償還に充てたい」
 なかなか素直な発言で、その点では評価できる。でもハッキリと「国債」が借金ではない、だから返さないと言っている。そのカラクリは次のようなものだ。
 まず100万円の国債を国民に売ったとしよう。それは高速道路の建設などに使い切ってしまうのでお金を貸した国民が債権を持ってきて「100万円返して下さい」と言うと、国は「使ってしまいましたので手元にはありません。返しますから100万円を税金として納めて下さい」と答える。
 確かに国はお金を使ってしまったのだから、返せるはずはない。こんな簡単なトリックがまかり通るのは国民が一人ではなく1億2000万人もいるからである。

 トリックを見破るために、まず国民がAさん、Bさんの二人しかいないとしよう。
 政府は、国民Aさんに利率1%で100万円の国債を売り「期限の5年が来たら必ず返します」と約束する。でもこのお金は使ってしまうので、Aさんの国債を返す期限が来ると「税金」という名前でAさんとBさんから利子を含めて半分ずつ取って105万円をAさんに返す。そういう仕組みが国債である。
 明らかに一種のサギであるが、民法には引っかからない。
 なぜなら民法はもともと個人を対象にしているので、Aさんから借りたお金をAさんも含めた関係者一同から取るケースなど現実的にあり得ないので考えてもいないからである。

 吃驚仰天である。なぜこんな簡単な道理を学者や経済評論家、新聞、テレビが明かしてこなかったのか? こうした事実を思えば、やはり安易な気持ちで自民党を支持するのはどうかと思う。まして財務省に操られる政治家など言語道断だ。

 国が行う事業は基本的に利益が出るものは少ない。利益が見込めれば民間がやるわけだし、利益がないからこそ国家が行うのである。とすると赤字国債発行は国家にとって麻薬のような存在となる。まずは増税する前に国の資産を売却するのが筋だろう。

「国民1人当たり830万円詐欺」には気をつけよう - シェイブテイル日記

 国民を騙し続ける財務官僚を罰する法律が必要だ。彼らこそは国家を蝕む獅子身中の虫である。

2017-11-20

お金持ちになる方程式/『なぜ投資のプロはサルに負けるのか? あるいは、お金持ちになれるたったひとつのクールなやり方』藤沢数希


『金持ち父さん 貧乏父さん アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学』ロバート・キヨサキ、シャロン・レクター
『金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント 経済的自由があなたのものになる』ロバート・キヨサキ、シャロン・レクター
『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015 知的人生設計のすすめ』橘玲
『世界にひとつしかない「黄金の人生設計」』橘玲、海外投資を楽しむ会

 ・お金持ちになる方程式
 ・ギャンブルは「国家が愚か者に課した税金」

『国債は買ってはいけない! 誰でもわかるお金の話』武田邦彦

必読書リスト その二

 お金持ちになる方法はたったひとつの方程式で完全に記述できます。

 資産形成=(収入-支出)+利回り×資産

 もう少し具体的に書くと、次のようになります。

 1年間で増える財産=(年間総収入-年間総支出)+年率運用利回り×運用資産

 このお金持ちになるための秘密の方程式にあいまいな点は全くありません。完全に正しい方程式です。要するに、お金持ちになるためには、(1)収入を増やすか、(2)支出を減らすか、(3)利回りを上げて投資からの収入を増やすという、みっつの方法しかないことがわかります。
 作家の橘玲さんによると、世の中の「金持ち本」は、すべてこのみっつのうちのどれかに分類できるそうです。

【『なぜ投資のプロはサルに負けるのか? あるいは、お金持ちになれるたったひとつのクールなやり方』藤沢数希〈ふじさわ・かずき〉(ダイヤモンド社、2006年)以下同】

「あ!」と思った人は金持ちになれる。「なーんだ」と思えばそれまでのこと。所詮、足し算引き算なのだ。そして資産形成を左右するのは利回りである。利回りは時間を経るごとに大きな力を発揮する。つまり若いうちからマネーの勉強をするのが正しい。

『金持ち父さん 貧乏父さん アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学』から順番で読めば投資のリスク(不確実性)をすんなりと理解できる。素人の甘い考えは呆気なく吹き飛ばされる。これがファイナンシャル・リテラシーの第一歩である。

 このように借金をして何かに投資することを、ファイナンス用語で「レバレッジをかける」といいます。(中略)

 所持金の何倍に値する株式を持っているかを、レバレッジ倍率といいます。
 3倍のレバレッジをかけていれば、持っていた株が30%上がると、3倍の90%もうかります。100万円の所持金で、レバレッジなしで株を100万円買っていたら30万円しかもうからなかったのが、3倍のレバレッジをかけていれば一気に90万円もうかるのです。
 逆に30%下がるとどうなるでしょうか? レバレッジなしだと30万円の損失です。しかし、3倍のレバレッジをかけると損も3倍になるので90万円の損失になります。(中略)

 さて、マイホームの話に戻りましょう。実は自分の全財産の何倍もの借金をして家を買うというのは、レバレッジをかけているのと同じことなのです。例えば、頭金1000万円で5000万の物件を買うというのは、レバレッジ5倍に相当しますし、頭金が500万円ならレバレッジ10倍になります。ファイナンスの常識から考えると、非常にハイリスクな投資といえます。
 マイホームを買うという行為は、投資という意味では、株を買うのとまったく同じです。損することもあれば、得することもあります。
 買った後に、土地の値段や家賃の相場が上がり不動産価格が上昇すれば、投資は成功したことになりますし、逆に下がれば、投資は失敗でお金を損したことになります。

「レバレッジ」とはレバー(梃子〈てこ〉)の作用を意味する。証拠金に対して現物(株式)の信用取引は3倍、外国為替証拠金取引(FX)は25倍、商品先物・指数先物は30倍前後となっている。リーマンショック以降法規制が進み、かつては100倍ほどだったレバレッジも25倍前後で落ち着いている。また多くの証券会社は有効比率が100%を割り込むとストップ(強制執行)するシステムを導入しており、昔のように投資で借金を背負い込むことはほぼない(※最近ではスイスフランショックという例外あり)。

 マイホームは借金が残っている間の所有者は銀行である(『金持ち父さん 貧乏父さん アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学』)。ここを錯覚させるところが貸し方のマジックである。20年、30年とローンを組んでいる間は借家と何ら変わりがない。

 尚、上記テキストの損得は注意が必要で、決済(マイホームを売る)しなければ損得は実現されない。手っ取り早く言ってしまえば買値よりも高く売れることが資産価値であり、これを投資と名づける。不動産は流動性リスク(=買い手が少ない)が高く、売りたい時に直ぐ売れるとは限らない。バブル景気以前の土地神話は復活するべくもなく、少子高齢化という現状を見れば不動産市場は長期的に低迷を避けるのが難しいだろう。

 先程ツイッターで以下の記事を知った。

株高の今「資産100万円」の人が株式投資で成功するための戦略とは?=鈴木傾城(すずき・けいせい)

 さすが世界の闇を見つめているだけのことはある。やはり投資で成功する人は目の付け所が違う。

 若い人に投資の優位性があるのはドルコスト平均法を長期展開できるからだ。株式であればインデックス(日経平均、ダウ平均など)に妙味がある。資本主義の未来を信じる人は株式に投資すればよい。ま、わたしゃ信じないけどね(笑)。米株もそろそろバブルだろう。何と言っても米ドルが信用ならない。東アジアの戦争→米ドル失墜→新通貨体制発足という青写真をアメリカが描いているような気がする。そもそもニクソンショックで紙幣という紙幣は裏づけを失い、ただの紙切れになったことを踏まえると実に危うい信用世界である。

 個人的にお勧めするのは金現物かビッドコインの積み立てである。紙(紙幣・株式・債権)の価値が下がれば商品(コモディティ)の価値が上がる。ただしゴールドは戦争となれば国家に押収される可能性が高まる。いずれにせよリスクを取らない者はリターンを得ることができない。