2018-01-26

力の強いもの、ずる賢いものが得をする税金/『税金を払わない奴ら なぜトヨタは税金を払っていなかったのか?』大村大次郎


・『お坊さんはなぜ領収書を出さないのか』(『そば屋はなぜ領収書を出したがらないのか? 領収書からみえてくる企業会計・税金のしくみ』改訂版)大村大次郎
・『税務署員だけのヒミツの節税術 あらゆる領収書は経費で落とせる【確定申告編】』大村大次郎

 ・力の強いもの、ずる賢いものが得をする税金

・『お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力……はこう「動いた」』大村大次郎
・『起業のためのお金の教科書』大村大次郎
・『お金の流れで読む日本の歴史 元国税調査官が「古代~現代史」にガサ入れ』大村大次郎
・『知らないと損する給与明細』大村大次郎

必読書リスト その二

 トヨタ自動車は、2015年3月期の連結決算で、グループの最終利益が2兆円を超えた。利益が2兆円を超えたのは、日本の企業としては初めてのことである。
 このトヨタ、2009年から2013年までの5年間、じつは国内で法人税等を払っていなかった。(中略)
 じつは、そこには巧妙なカラクリがある。そして、そこに日本税制の最大の闇が隠されているのである。
 近年の日本の税制がトヨタを中心に設計されてきたこと、ざっくり言えば、トヨタの恩恵のために税システムが改造されてきたことである。

 トヨタが5年間も税金を払っていなかった最大の理由は、「外国子会社からの受取配当の益金不算入」という制度である。
 これは、どういうことなのか。外国の子会社から配当を受け取った場合、その95%は課税対象からはずされる、ということなのである。
 たとえば、ある企業が外国子会社から1000億円の配当を受けたとする。この企業は1000億円の配当のうち、950億円を課税収入から除外できる。つまり950億円の収入については無税となるのだ。なぜこのような制度があるのか?
 これは、現地国と日本で二重に課税することを防ぐ仕組みなのだ。
 外国子会社からの配当は、現地で税金が源泉徴収されているケースが多い。もともと現地で税金を払っている収入なので、日本では税金を払わなくていいという理屈である。
 現地国で払う税金と日本で払う税金が同じならば、その理屈も納得できる。
 が、配当金の税金は世界的に見て、法人税よりも安い。
 つまり現地で払う税金は、日本で払うべき税金よりもかなり少なくて済むのだ。

【『税金を払わない奴ら なぜトヨタは税金を払っていなかったのか?』大村大次郎〈おおむら・おおじろう〉(ビジネス社、2015年)以下同】

 昨日、「JTが6銘柄を40円値上げ わかばやエコー、旧3級品」とのニュースを目にした。わかば、エコー、しんせいがそれぞれ40円の値上げをするという。「俺は吸わないから関係ない」と思っている人は税の不平等を見過ごしていることになる。煙草の税負担率は実に63.1%で、ガソリン55.4%やビール48.4%よりも高い(たばこ税の仕組み)。

「一方的に国民に納税を要求する取り立て屋のような憲法があるのは、日本・韓国・中国くらいものですから、こんな恥ずかしい憲法はもう、即刻改正しなければいけません」(『反社会学講座』パオロ・マッツァリーノ)。しかも我々が支払っている税のトータルは所得の55.4%にも及ぶ(消費税率を上げても税収は増えない)。

 その一方で日本のリーディングカンパニーであるトヨタが税金を支払ってこなかったというのは驚愕の事実だ。銀行も不良債権処理を口実に「住友信託が07年3月期に法人税の納付を再開しただけで、三菱UFJ、三井住友、みずほの3メガバンク、りそな、中央三井は1995年3月期から15年連続、法人税を払ってない」(日本経済新聞 2010年5月24日)。

「税金は国家と国民の最大のコミュニケーション」(『消費税は民意を問うべし 自主課税なき処にデモクラシーなし』小室直樹)と言われる。国民の所得を半分以上も簒奪(さんだつ)する国家の未来は暗い。更にこうした事実に対して無自覚な国民の将来はもっと暗い。

 税金というのは力の強いもの、ずる賢いものが得をする世界である。
 だから、国民は税金に関して無知であってはならない。国民が完全に無知になってしまうと、力の強いもの、ずる賢いものの意のままになるからだ。
 そして今の日本はそういう状態になっている。

「この国は国家予算のバランスシートさえ明らかにしていない」(『独りファシズム つまり生命は資本に翻弄され続けるのか?』響堂雪乃)。予算の具体的な配分は全て官僚が行っている。そして財務省官僚は政治家よりも頭がいい。

 戦後教育は愛国心を否定し、憂国の情を奪い去った。この国のエリートは国士ではない。憲法を改正したところで既成政党と官僚の関係性が変わるとは考えにくい。戦争にでもならない限りこの国が目を覚ますことはないだろう。

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