2011-06-19

利子、配当は富裕層に集中する/『エンデの遺言 根源からお金を問うこと』河邑厚徳、グループ現代


 モノの価値は時間を経るごとに下がる。腐ったり、色褪せたり、時代遅れになってゆく。時は残酷に諸行無常のリズムを奏でる。

 ただ一つ例外がある。それがお金だ。マネー。お金は利子を生んで増殖する。まるで生き物のように。なぜお金は減ってゆかないのだろう? 本書は利子というマジックの種明かしをしている。待望の文庫化。

 すでに早く『アメリカの没落』(ドナルド・L・バーレットほか著)は21世紀初頭のアメリカにおいては、利子、配当などのキャピタルゲインのすべては上位4パーセントの富裕層に流れ込むことになろう、と予測している。IT革命を味方とした国際金融システムがそれを加速する。(『エンデの遺言』 その深い衝撃/内橋克人)

【『エンデの遺言 根源からお金を問うこと』河邑厚徳〈かわむら・あつのり〉、グループ現代(NHK出版、2000年/講談社+α文庫、2011年)】

 内橋克人が寄せた序文である。マネーの川は流れ、富裕層というダムによって堰(せ)き止められる。水は発展途上国の手前で干上がる仕組みになっている。

 経済の重力を阻害しているのは富裕層の強欲だ。競争原理が働けば「見えざる手」も機能するのだろうが、税金・国家予算・規制・広告などが幅を利かせているから無理だ。競争は常にコントロール下で行われている。

 アメリカや中国、そして日本でも貧富の差が拡大している。二極化は富の分配が不公平であることを示す。

 次に紹介するのは今月のニュースである。

◆世界の富の約4割を1%の「億万長者世帯」が保有、米調査

 世界の世帯数のわずか1%程度に過ぎない「億万長者世帯」が、世界の富の約4割を保有し、国際的不況の中で貧富の格差はさらに広がりつつある──。コンサルティング大手のボストンコンサルティンググループ(Boston Consulting Group)が5月31日に発表した2010年度の世界の資産などに関するレポートで、このような実態が示された。
 金融資産100万ドル(約8100万円)以上を保有する「億万長者世帯」の数は前年比で12%増え、この結果、億万長者世帯が世界の家計金融資産を保有する割合も、2009年調査の37%から39%に増えた。
 国別に見ると、米国は国際金融危機の震源地だったにもかかわらず、億万長者世帯数は群を抜いており、前年比1.3%増の520万世帯と世界で最も多かった。2番目に富裕世帯が多いのは日本で153万世帯、3位が中国で111万世帯だった。
 アジアではシンガポールを始めとする新興経済国の成長も目立ち、世界の富を保有するアジア地域の割合は前年比2.9%増だった。

AFP 2011-06-05

 使い切れないほどの富を独占している連中が存在する。世界中に転がっている飢餓や貧困は彼らが生んだものかもしれない。政治や経済が、あるいは科学や宗教が世界を救ったことは一度もない。我々は飢えに喘ぐ人々をテレビの画面越しに眺めた時だけ、ほんの少し哀れみを覚えるだけだ。

 コンピューターネットワークによって金融はグローバル化された。余ったお金がマーケットに溢れ、実体経済を翻弄する。

 経世済民が本当であるならば、貧困と飢餓をヘッジするファンドがあってしかるべきだ。IMF(国際通貨基金)と世界銀行支配から脱却することが南北問題解決の第一歩であると私は考える。

貨幣経済が環境を破壊する/『エンデの遺言 「根源からお金を問うこと」』河邑厚徳、グループ現代
IMF(国際通貨基金)を戯画化するとこうなる
消費を強制される社会/『浪費をつくり出す人々 パッカード著作集3』ヴァンス・パッカード

エンデの遺言 ―根源からお金を問うこと (講談社プラスアルファ文庫)


アンシャン・レジームの免税特権/『タックスヘイブンの闇 世界の富は盗まれている!』ニコラス・シャクソン

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