2冊挫折、1冊読了。
挫折22『
遠い朝の本たち』須賀敦子(筑摩書房、1998年/ちくま文庫、2001年)/開くなり「調布のカルメル会修道女」と出てきてウンザリ。これだけで「敬虔なクリスチャン」という印象が黒々と浮かび上がってくる。強信(ごうしん)のブードゥー教信者とか厳格なムスリムだったら書けない。それだけでもずるいと思う。「わたくし、クリスチャンですのよ。オホホホホ」という忍び笑いが聞こえてきそうだ。エッセイを読んでいると、水で薄めたウイスキーみたいに感じて、パラパラとめくってパタンと閉じてしまった。
挫折23『
樹の花にて 装幀家の余白』菊地信義(白水社、1993年/白水Uブックス、2000年)/菊地は装丁の第一人者。文章が巧みだ。上手すぎて鼻につく。見事なデッサンなんだが、どうも線が気に入らぬ。銀座の様々な表情が描かれている。
34冊目『
暗殺者(キラー)』グレッグ・ルッカ/古沢嘉通〈ふるさわ・よしみち〉(講談社文庫、2002年)/アティカス・コディアック・シリーズの第三弾。600ページ近いが一日で読了。やはり順番で読むのが正しい。サービス過剰のあまり冗長な部分もあるが、文章がいいので苦にならない。ブリジット・ローガンの使い方が実に上手い。登場しないことで存在感を際立たせている。巨大な煙草メーカーを告発する重要証人の警護を行う。この爺様が不思議な魅力を放っている。
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