2021-08-04

余ったトウモロコシのために清涼飲料水が発明された/『医者が教える食事術 最強の教科書 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68』牧田善二


『ファストフードが世界を食いつくす』エリック・シュローサー
『「食べもの神話」の落とし穴 巷にはびこるフードファディズム』高橋久仁子
『給食で死ぬ!! いじめ・非行・暴力が給食を変えたらなくなり、優秀校になった長野・真田町の奇跡!!』大塚貢、西村修、鈴木昭平
『伝統食の復権 栄養素信仰の呪縛を解く』島田彰夫
・『本当は危ない植物油 その毒性と環境ホルモン作用』奥山治美
『日本人には塩が足りない! ミネラルバランスと心身の健康』村上譲顕
『果糖中毒 19億人が太り過ぎの世界はどのように生まれたのか?』ロバート・H・ラスティグ
『野菜は小さい方を選びなさい』岡本よりたか
『うつ消しごはん タンパク質と鉄をたっぷり摂れば心と体はみるみる軽くなる!』藤川徳美
『コレステロール値が高いほうがずっと長生きできる』浜崎智仁
『小麦は食べるな!』ウイリアム・デイビス
『シリコンバレー式 自分を変える最強の食事』デイヴ・アスプリー
・『HEAD STRONG シリコンバレー式頭がよくなる全技術』デイヴ・アスプリー
・『運動ゼロ空腹ゼロでもみるみる痩せる ガチ速“脂"ダイエット』金森重樹
・『食べても太らず、免疫力がつく食事法』石黒成治
・『世界のエグゼクティブを変えた超一流の食事術』アイザック・H・ジョーンズ

 ・余ったトウモロコシのために清涼飲料水が発明された
 ・運動は食後すぐに行うのがいい

『医者が教える食事術2 実践バイブル 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方70』牧田善二
『医学常識はウソだらけ 分子生物学が明かす「生命の法則」』三石巌
『DNA再起動 人生を変える最高の食事法』シャロン・モアレム
『免疫力が10割 腸内環境と自律神経を整えれば病気知らず』小林弘幸、玉谷卓也監修
『サピエンス異変 新たな時代「人新世」の衝撃』ヴァイバー・クリガン=リード
『アルツハイマー病は治る 早期から始める認知症治療』ミヒャエル・ネールス
『反穀物の人類史 国家誕生のディープヒストリー』ジェームズ・C・スコット
『あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた』アランナ・コリン

身体革命
必読書リスト その一

 もともと清涼飲料水は、アメリカでトウモロコシが生産過剰に陥ったことがきっかけで生まれたと言われています。余ったトウモロコシを無駄にしないようコーンシロップをつくり、溶かして人々に売りさばくことを考えたのです。
 そのときに、どのくらいの量を入れれば血糖値が上がって至福点に達するかも計算されています。つまり、【企業の利益のためにあえて中毒をつくりだしたわけです】。
 しかし、税金をたくさん納めている企業に対し、国や自治体が本気で規制に乗り出すことはできません。アメリカでは買収された学者が【「肥満を呼ぶのは糖質ではなく脂肪だ」】という説を垂れ流し、いまもそれを信じている人が世界中にいます。

【『医者が教える食事術 最強の教科書 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68』牧田善二〈まきた・ぜんじ〉(ダイヤモンド社、2017年)以下同】

 牧田善二は糖尿病の専門医で38年間にわたって20万人以上の患者を診てきたエキスパートだ。自身の経験から「健康格差」が広がっていることに気づいたという。糖尿病予防の肝は血糖値の上昇を抑えることだ。生活習慣病改善のためには血圧よりも血糖値に注意を払うのが正しい。

 上記テキストは映画『あまくない砂糖の話』(デイモン・ガモー監督)を紹介する件(くだり)である。同作品はamazonのprime videoで視聴できる。

 戦後の学校給食がパンになったのも、アメリカの余剰小麦をさばくための戦略だった(『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?』菅沼光弘)。

「肥満の原因は脂肪である」との迷信は砂糖業界がハーバード大学の学者に資金を提供し「低脂肪ダイエット」なる概念を発明した。その後1950年代にミネソタ大学のアンセル・キーズ博士が飽和脂肪酸やコレステロールを槍玉に挙げ、冠動脈性心疾患の原因と指摘した。同博士は『TIME』誌の表紙を飾った。

現実の虚構化/『コレステロール 嘘とプロパガンダ』ミッシェル・ド・ロルジュリル

 半世紀を経ても尚、迷信は生きている。

 いまから45年も前の1972年に『日本の長寿村短命村』(サンロード刊)という本が刊行されました。著者は、東北大学名誉教授の近藤正二医学博士です。
 博士は、1935(昭和10)年から36年間にわたり、日本中を歩き、長寿者が多い村、逆に短命者が多い村を探して訪ね、その生活様式を調査しました。
 博士がこの調査を始めたとき、「短命の原因は酒ではないか」「いや、重労働がいけないのだ」などという俗説が流布されていました。そこで博士は、「それらの俗説が正しいのかどうか、実際に自分の目で見てくる」ことを決意し、20キロを超えるリュックサックを背負い、ときに険しい山を登りながら僻地まで足を運び、長いときには1つの地域に2か月も滞在し、合計で990の町村を調べ上げたのです。(中略)
 私の手元に残る『日本の長寿村短命村』は、表紙が少し黄ばんでしまいましたが、内容は少しも色あせていません。むしろ、現代を生きる私たちに非常に重要な示唆を与えてくれています。
 私なりに、博士の研究結果をまとめてみると、以下のようなことが言えます。

1.健康・長寿の決め手は食生活である
2.酒飲みは短命ではない
3.重労働をしている人のほうが長寿
4.ごはんの食べすぎは短命
5.魚ばかりで野菜が少ない村は短命
6.大豆製品を多く食べている村は長寿
7.大量の野菜を食べている村は長寿
8.果物を多くとる村は短命
9.海藻を多くとっている村は長寿
10.肉の食べすぎは短命
11.塩分をとりすぎている村は短命
12.ゆっくり楽しんで食べることが大事

 これはフィールドワークのため尊い仕事だと思うが、もっと広い範囲のデータが必要だろう。また相関関係と因果関係が異なることを理解する必要もある。食事だけに注目すれば疑似相関となりかねない。

 平均寿命はずっと伸び続けている。問題は健康寿命だ。人は必ず死ぬ。長生きを望むよりは、いつ死んでもいいように生きておくのが求められる流儀ではあるまいか。



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